タマゴを拾った! 〈エア編〉
何だかんだ言いながら、エッグパーティーが始まった。机の上には卵料理が並べられ、皆が料理を突きだす。そんな中、ハルトがダシ巻きを食べながら、ため息をつく。
「はぁ……ライさん。いい味をしていますね」
「誤解を招くような口を開くな。傍から見ると、お前がライリティーを食っているように見えるぞ」
口を出すのはニート。ハルトがニートに向いて言う。
「そんな事を言われても……一体どうすればいいのですか? ライさん……こんなに殻にこもるような性格じゃなかったのに……」
「まぁ、確かにこもってはいるが……意味が違うだろ?」
「何か辛いことでもあったのでしょうか?」
「いや、辛い出来事を理由に。タマゴになる奴は未だかつて見た事がない」
二人の会話はまるでコントだ。そんな二人の会話に聞き耳を立てている奴も少なくない。僕もその内の一人になるだろう。ダシ巻きを食べるハルトに、ニートが問いかける。
「そういえば、ちびっ子魔王はどうした?」
「あぁ、シナはまだ寝ていると思います。気持ちよさそうに眠っていたので、起こすに起こせなくて……」
「何だ? じゃあ、あいつにはこのタマゴについて話を聞いていないのか?」
「まぁ……どうせ聞いてもわからないでしょうし」
ハルト達が話をしていると、どこからともなくマティーが出現する。ハルトに飛びついて、ハルトを吹っ飛ばす。
「ハルト様~! 今日はご機嫌いかがでありますですか~?」
突き飛ばされたハルトが机に直撃し、動き出すのは机の上にまつられているタマゴ。コロコロと転がり、手を出すまでもなく地面に落ちた。硬直する空気。皆がタマゴに目を向ける。目を向けないのは何も知らないマティーだけだ。ハルトはマティーに抱きつかれながらも、凍り憑いた表情でタマゴを見つめている。そして、ユムアがハルトに言う。
「た、大変だよ……。ライさんが……落ちちゃった。どうしよう? ハルトさん?」
「ブラックユーモアな展開ですね……。奇妙な液とか出ていませんか?」
恐る恐るタマゴに近づくハルト。液が出ていたら終わりだな。それはタマゴの命……要するに、ハルト達の言うワイバーンの命が尽きた事を表す。そして、聞こえてくるのはハルトの怯えた声。
「どうしましょう? タマゴにヒビが……」
「ゆで卵にしたらどうだ? 液漏れはしないぞ」
口を出すのはニート。直後、ありえないハルトの言葉。
「それは名案です。ライさんの命を繋ぐために、ゆで卵を作りましょう」
「先に言っておくが、ゆでると確実に死ぬからナ」
流石の僕も注意をしておく。もしも、ハルトが本気で言っているのなら。友達殺しの道を歩もうとしていることになる。それだけは止めておこうと思う。ついでにハルトに問いかける。
「お前の力を使って、時間を戻す事はできないのカ? いくら動物とはいえ、タマゴの欠片くらい戻せそうダガ……」
「多分、成功すると思います……。でも確証がありません。絶対宣言はできないのです。この力は案外に適当ですから……」
「成る程。ゆでるよりはマシだということカ」
僕達が話をしていると、不意にユムアが話しかけてくる。
「ねぇ……二人共。これ……これ……」
ユムアの指差す場所。ここから死角にあたる場所。場所を移動して、タマゴに目を向けると……何かが突き出ている。何だろう? 目を細めて凝視する。もしかして、腕か……? それに気が付いたのか、ハルトが騒ぎ出す。
「ギャー! 腕がー! 腕が出てるー! タマゴから腕が出てるー!」
「落ち着け、ハルト。液体じゃない分、可能性を感じるぞ」とニート。
「何の可能性ダヨ?」
問いかけるのは僕。まぁ、この時点でワイバーンではないだろう。だって、出ている腕は人の腕……。よくよく考えたら、ワイバーン以上におかしな現象だな。神である僕が言うのだから、本当に変な話だ。
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