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学校へGO! 〈未来編〉
 狭間の中。ハルトを背負いながら、歩く俺。目が壊れて、俺の左目も逝っちゃってる。時間を戻す能力は使えないけれど、狭間に飛ぶ事はできるから。皆から逃げて、帰路につく。俺の髪の毛を触って遊ぶ、鬱陶しいハルトに話しかける。

「本当にハルトは女の子泣かせだね。美月ちゃん、本気で泣いてたよ」
「そんなつもりはなかったのだけどなぁ~。柊さんが変な事を言うから」
「勝手に消えて、連絡なし。その上、次に再会した時には片目を失明。更に、体調は悪化傾向にあると。まぁ、好きな人がそんな目にあっていたら泣きもするよ。今日の出来事で、美月ちゃんの心配は増加しただろうね」
「う~ん、心配させたくないのに……」

 ハルトがため息をつきながら、俺の髪の毛を引っ張る。ちょっと止めてほしいんだけど。ハルトに注意。

「人の髪の毛を引っ張るのはよくないと思うよ」
「未来さんの髪は細いですね。女の子の髪みたいです」
「あまりほざくと、ここに捨てるぞ」
「すみません」

 謝りながら、未だに俺の髪で遊ぶハルト。もう……鬱陶しい。首を振りながら、ハルトに言う。

「それにしても、本当に良かったの? 住所は愚か、電話番号もアドレスも教えてないんでしょ? ほとんど逃亡に近かったけど……」
「いいのですよ。もう会いませんから……。大体、今日は皆の様子を窺うだけのつもりでしたし。ペンダントも返ってきたので。思い残す事はありません」
「そう……?」
「はい、今日は充分に楽しめました」

 ハルトの嬉しそうな声。一人で満足そうだけど、周りの皆は満足していない。後で俺やシバ君が問い詰められるんだ。考えるだけで面倒くさい。ため息をつく俺に、ハルトが話しかけてくる。

「未来さん……」
「何?」
「いつか……」

 ハルトが途中で言葉を止める。しばらく間を置いて、小さな声でもう一度……。

「いつか……壊れてしまっても。躊躇はしないで下さいね」
「何の事? 具体的に説明してもらわないと、よくわからないよ」
「わかっているくせに……」

 ハルトが言って、俺の背中に顔を埋める。そのまま寝息が聞こえてくる。躊躇はするな……か。まさか一介の高校生に言われるとはな。まぁ、何はともあれ。世界がどう回ったとしても、俺は俺のやり方を通す。

 世の中にはハッキリとした正解がないから難しい。全ての物事は中立だ。裏と表の面が存在して、一枚のコイン。そういうこと……。何をしても、良い事と悪い事が同時に訪れる。だから厄介……。

 俺の背中では、スヤスヤと眠るハルト。今なら、色々と行動できる。自分の身を守りたいのなら……。ハルトを閉じた空間に落として、そのまま封印してしまえばいい。あいつなら、きっと躊躇わず行動するだろう。

 だけど、俺にはできないな……。昔……俺も閉じた空間に落とされた事があるから。あそこは暗くて怖くて寂しくて……。一分一秒が地獄のようだった。子どもながらに、泣く事も忘れて、死んでいたな……。

 首を振って、悪夢を追い払う。マイナス思考になるのは止めよう。俺がしっかりしないでどうする? 師匠は師匠らしく、胸を張って弱みを見せてはいけない。何もできない自分を隠して、何でもできるように装う。嘘偽りでも構わない……。

 それに俺はエンターテイメントだ。娯楽が落ち込んだら世界が終わる。皆に楽しみを提供する事が任務。そうだろ? ニート? どうせ暇を持て余しているだろうニートに話しかける。まぁ、このまま直で帰ってもいいけれど……。せっかくだし、寄っていこうかな? というわけで、ホットココアを用意しておいて。すぐ行くから。

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