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お疲れ様です 〈ニート編〉
 梅茶を一つ、スティック砂糖三本入りコーヒーを一つ、ブラックコーヒーを一つ。これらを用意して、コタツで待つ。すぐに予定通りの人物が現れる。未来とハルトだ。俺が二人に口を開く。

「お疲れさん。飲み物を用意しておいたぞ」
「ニートにしては、準備がいいね」

 未来が笑顔でコタツに入る。その姿を見ていると、砂糖なしのコーヒーを渡してやりたい気分になる。ハルトもコタツに入り、俺に言う。

「ありがとうございます。やっぱり梅茶が一番ですよね~」

 梅茶一つで超幸せそうな主人公。そんな些細な事で喜ばないでくれ。泣けてくるから、止めてほしい。梅茶をすするハルトに問いかける。

「おい、ハルト。お前、聞いていた以上に環境悪くないか?」
「え? そうですか?」
「明らかに苛めを食らっているじゃないか」
「まぁ……多少は。でも、とりあえず、生活は出来ていますし。まだ、生きているので大丈夫なのでしょう」

 死んでからじゃ遅すぎるだろ……。今後のハルトの生活に不安を抱いていると、未来が横から割って入りだす。

「そういえば、ハルトン。夕食とかはどうしてるの?」
「夜にはウェテオさんが帰ってきますから。ウェテオさんと一緒だと、食事が貰えるのですよ。誰もあの人には逆らえないみたいです。陰では色々と悪口を言っていますけどね」
「何だか……目の前に先生がいたら、苛めを控える。みたいな現象だね……」
「まぁ、そんな感じでしょうか」

 淡々と質問に答える主人公。現状だけを語るその光景は客観的だ。まるで他人事のように話をしている。本の描写と一貫していない。お前、大丈夫か? 更なる不安が心に過る。

 よく人の性格には二面性があるというが、そういった類のものだろうか? 前回の主人公は基本的に発言も心情も同一であったが。今回の主人公は少し勝手が違うらしい。ヘラヘラと笑いながら、未来とお喋りをしている様子を見る限り、お気楽な青年に見えてしまう。

 悩む俺をよそに、二人が駄弁りながらテレビを見る。ほのぼのした空気が辺りを包みこんでいるが、果たしてこれは現実だろうか? くそっ……今は俺視点だから、ハルトの心情がわからない。何と声を掛けてやればいいものか。



 そんなこんなしているうちに、数時間が経過し、ハルトが帰ると言いだした。とりあえず、何かあれば非難してこいよ。と言っておいたが、不安だなぁ……。ハルトが立ち去り、俺が未来に問いかける。

「なぁ、未来。あいつは本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃなくなりそうになったら、俺が拉致ってくるし。それにしても、あのタイプは難しいよね。何でも一人で解決しようとするから。最近流行の甘え方を知らない子どもの典型的なバージョンだよね」
「甘え方を知らない子どもか……。確かに、あいつは一人で悩むタイプだからなぁ~」

 言って、コーヒーを口に含む。未来が仰向けに寝転がって、口を開く。

「傍から見ると、何でも一人でしてくれるから、よくできるいい子だけど。本当に放っておいたら大変なことになるよ。壊れないうちに対処してあげないとね。今回は俺が超乱入すると思うからよろしく。向こうの『橋』には言ってあるから、許可も下りてるし。援護射撃の準備満タンだよ」

 『橋』の説明でもしてやるか。未来は何も説明しないからな。『橋』というのは、まぁ、その世界のリーダーみたいな存在だ。ちなみに、この世界では未来である。

 向こうはシバルという死神だが。現在は受験を控えた高校三年生の担任をしているため、時間に余裕がないらしい。ハルトの様子が気になりつつも、手助けできない状況だ。
 たまに連絡を入れているそうだが、ハルトがあの性格だからな……。多分、悩みなんて打ち明けていないだろう。

 俺にできることは、常に様子を窺い見て。危険を察知したら、未来に報告することくらいだろう。読者である俺が出しゃばるのも変な話だが、主人公くらい守らせてくれ。お前らだって主人公が死んだら、テンション下がるだろ? ここは一つ、許してくれないか?

 テレビの談笑が聞こえてくる中、本を手に取り考える。ハルトを幸せにしてやるには、俺達は何をすればよいのだろうか? 今後の課題である。
 とりあえず、できることから順にする。今できることは、本のページをめくることだ。次のページをめくり、文字が映し出されるのをひたすらに待つ。

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