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学校へGO! 〈その2〉
 学校付近。周りを見回して、人がいないことを確認すると。狭間から外に出る。はぁ~……こんな空気だったな。思い出す、駅から学校への道のり。

 まぁ、能力が付いてからは、『節約!』とか言いながら、定期券があるにも係わらず。家から学校まで、無駄に走って登校していたけど。意味なんてない。しいて言うのなら、それくらいしないと力が有り余って、仕方なかったのだ。

 今の僕には、遅刻もないから。急がず慌てずのんびりと学校へ向かう。僕が気ままに歩いていたら、同じ学校の生徒を発見。その人を見て、硬直する。しまった……何てことだ。僕とした事が……。鞄を忘れてきた。

 急に恥ずかしくなる。鞄なしで登校している人なんて見たことある? 僕はないのだけど……。どうしよう? 未来さん……鞄なんて用意してくれてなかった。今から頼みに行く? でもなぁ……。

 鞄一つで気まずい気分。持てあます手をポケットに入れながら、何とも言えない後ろめたさを感じる。それでも歩みを止めない僕。ここまで来たからには引き返すのも面倒だ。トボトボと登校する。



 学校の校門前に近づき、ポケットから手を抜く。流石に、ポケットに手を突っ込みながらの登校はマズイだろう。校門の前に先生を発見する。永村先生。おっとりした優しい先生だ。今日の早朝当番らしい。

 僕が先生に挨拶をする。

「おはようございます。永村先生」
「おはよう。あら……あなた、制鞄はどうしたの?」
「えっと……教室に置きっぱなしです……」
「あら~、それは困るわね……。いくら宿題がなくても、鞄はいつも持ち帰りしてほしいわ」
「すみません。以後、気をつけます」

 頭を下げて、謝る僕。永村先生が笑って、話しだす。

「フフッ、聞きわけがいいわね。それなら、安心ね。ところで……あなたは何年生?」
「三年一組の青木陽斗あおきはるとです」
「三年一組? あら、ごめんなさい。授業を持っているのに、こんなことを聞いて……。生徒の顔を覚えていないなんて、駄目な先生ね。私もしっかりしなくちゃ」

 困った顔をする永村先生に頭を下げて、学校の中に入る。侵入成功。本来は生徒でもないのに、自然と通してくれた。学生証を見せろ。とか言われていたら、終わっていたな。

 永村先生で良かった。これが石沢先生だったら、ピンチだったかもしれない。まぁ、鞄を学校に置きっぱなしの時点で、あの世送りにされるだろうけど……。



 気分気ままに歩きまわる。校庭では、朝練をする人々。僕には一生関係ない。それは今も昔も変わらないこと……。昔は運動が苦手だったから、運動部に入っていなかった。今は学校を止めたから、文化部にも入れない。

 僕が羨ましそうに、練習をする人達を見ていると。不意にボールが転がってくる。サッカーボール。悩む必要もない、サッカー部の物だろう。遠くから声が聞こえてくる。

「すみませーん。ボールを取ってくれませんか?」

 ここのサッカー部は、歩いている人の近くにボールを転がし。その人の蹴りの強さやコントロール力を見て。才能ある人を、勧誘するらしい。というのは、僕の作り話。ただの冗談。そんなことをする暇があったなら、自分の能力を鍛えるだろう。

 目の前にはサッカーボール。狙うは手を上げる人を通り越して、遠くに見える小さなゴール。常識で考えたら、届かない。だけど、僕は非常識だ。やってみせよう。ボールを構えて、思いっきり蹴り飛ばす。

 勢いよく飛んで行き、いい感じでカーブする。だけど、ゴールの枠に当たり、ギリギリで弾かれる。気に食わない。もう一回。手を伸ばして、ボールの時間を戻す。僕の足元まで戻ってきて、止まるボール。それをもう一度蹴り飛ばす。

 これでどうだ? 眺めていたら、先程よりも悪くなった。今度は枠にも当たらず、横を通過。面白くない。カッコよく決めようと思っていたのに、こんなに失敗ばかりしていたら。恥さらしだよな。再度、時間を戻して蹴る。

 今度は上手い具合にゴールに入った。やったー! と思った直後、ボールがゴールの網を破いて、サヨナラホームラン。やったー! じゃなくて。これ、やっばー!? 流石の僕も青い顔で、ゴールの前まで飛んで行く。

 壊れたゴールの時間を戻して、飛んで行ったボールを拾いに行く。めちゃくちゃ手間暇かけた後に、手を上げていた人にボールを返す。もちろん、手渡し。蹴りはしない。ボールを返しながら、その人に言う。

「サッカーって、難しいですね。練習、頑張って下さい」
「…………」

 返事が返ってこない。ボールを受け取ったまま、固まっている。どうしたのかな? 妙な視線を感じて周りを見ると、皆が僕を眺めている。停止しながら、茫然と……。うん? やり過ぎた? そんなことないと思うのだけど……。

 まぁ、いいや。皆を無視して、ここから離れる。次はどこへ向かおうか? ワクワクしながら、足を進める。

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