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レイロックの命令を受けたジェノホリックは、不気味なうなり声をあげながら、一歩一歩こちらへにじり寄ってくる。
こちらは、ガンダルガとナップが皆を守るように前衛に立ち、その後ろに魔法使い達と介護士がいるという陣がまえになった。
「どうするの、アリッサちゃん」
メイシンが困ったような表情でアリッサの服の裾をつかむ。
「ねえねえ、あの筋肉巨人、どんどん近づいてきてるわよ」
「そう言われても、あたしは今、呪符結界で手一杯だ。困ったねえ、ああ困った」
しかし、アリッサはその言葉とは裏腹に、なにやらいたずらっぽい笑みを顔に浮かべていた。
「ちょっとぉ、ピンチなんだから、何かあんなら出し惜しみしないでよぉ!!」
メイシンの抗議を受けると、アリッサは仕方ないなといった表情でハートストンの方に首を向けた。
「ブン・ラッハ」
「なんだ?」
ハートストンの首に下がったしゃれこうべが返事をする。
「準備はできたかい?」
「ああ」
「じゃあ早速やっとくれ」
「わかった」
すると、ブン・ラッハの青い眼窩が、急に強い光を放った。戦いが始まって以来、魔法を使うことはおろか一言も口をきくことさえなかった彼であるが、ハートストンの首の下という地味なポジションで、密かに何らかの術法の準備をしていたようだ。
「おおっ!!」
前衛にいた二人の戦士が驚きの声をあげる。ブン・ラッハの歌うような詠唱が始まると、アリッサ達とジェノホリックの間に、ポカッと井戸ほどの大きさの穴が空いたのだ。
ジェノホリックは警戒の唸り声を上げ、数歩後ろへと飛びすさる。
それは、大きさこそ小さかったが、ブン・ラッハが無数の手を呼び出し、ワイバーンゾンビを引きずり込んだ時に出現した穴とよく似ていた。
「あれは…冥界の穴??」
メイシンのいぶかしげな声がブランの耳に入った。
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