「君が、好きだ」
なんて、恥ずかしくていえない。
いつも、すれ違う姿を見てるだけで。
ただ、それだけで胸が高鳴ってしまう。
君の笑っている顔に、揺れる繊細な黒髪。
それが、僕の目を釘付けにして止まない…。
でもきっと、彼女は僕の事なんて見てないんだ。
だって僕には、何もないから。
誇れるところなんて何もないから。
だからきっと告白してもだめなんだ。
彼女の幸せを考えるからこそ、僕ではだめなんだ。
だからこそ、この気持ちは心の奥底に閉まっておこう。
いつか、必ず自分を誇れるようになったとき、必ず。
「おはよう、宏介君」
それでも…
おはよう、なんて卑怯じゃないか。
そんなふうに声をかけられたら、僕だって。
本当は、好きで好きで、仕方がないのに。
そんな笑顔で言われたら、君に、好きだ、と言いたいじゃないか…
この気持ちが抑えられ無いじゃないか!
「君が、好きだ」
だから、僕はそう言った。
でも、その言葉を言ったのは、彼女がもう先に行ってしまった後で。
ただ、その言葉だけが、彼女を追いかけられず、空しく静かに消えていってしまった…
どうしたらいいんだ…
僕は告白して嫌われたくない。
でも、好きなんだ。
君のことがこんなにも…
前にこんな本を読んだことがある。
その本の主人公は、人を愛する事ができてこそ、人に愛されるのだ、とかそんな事を言っていた。
はっきり言って、クサい言葉だと思う。
クーイとかいう名の主人公がそう言っていた。
馬鹿にされるほどの戯れ言だと分かってる。
でも願わくば、自分もそうなりたいと思う。
クサくったって、恥ずかしくったって、それほど僕は愛しているのだから。
それで、彼女が僕を見てくれるのなら、なんだってできるよ。
冷たい風が、僕の体を覆った。
でも、言えないんだよ。
なぜなら、
彼女には、もう愛しい人が居るんだから。
それを分かっていても、僕は諦められなかったんだ。
未練タラタラだよな。
もし、告白しても、可能性がないのだとしたら。
これだけはさせて下さい。
君を好きでいさせて下さい。
僕にはきっと、そうした方がいいと思うから。
だから、幸せにずっと笑い続けてほしい。それだけで僕はうれしいんだ。
だけど、覚えていてほしいんだ。
僕は君にいつか必ず、告白するから。
惚れられるぐらい、良い男になってさ。
だから、待ってろよ。
必ず、強くなるから。
それまで楽しみにしてやがれ。
彼女がいない中で、僕は自分に言い聞かせるように宣言した。
その中で、自分の心が熱くなるのを感じていた… |