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Phase 017:「クレーム?」

「クレーム」とは和製英語だと「苦情」のように用いられますが、本来の意味は「要求」です。

契約違反した時に、損害賠償を求める要求をクレームと言います。

しかし、今は「クレーム」が「要求」というより、不条理な「欲求」になっていることも多いようです。

 この高校には、かなり多くのクラブと委員会が存在する。

 これは生徒数が多いからという、単純な理由もある。

 しかし、本来の理由は、生徒の育成のために、自主性を重視するということにあった。

 その自主性を管理しやすい校内で活動させたいという考えも反映されていたのだろう。


 だからと言って、多くの団体が勝手気ままに活動したのでは、今度は校内の秩序が保たれない。

 そこで、好きなことをやらせる代わりに、「やりたければきちんとした計画と運営をしろ」というルールとなっていた。


 それを管理するのが、【校内活動監査委員会】――通称、監査――である。


 監査は、会議室や講堂、その他施設・設備などのリソースを無駄に占拠していないか、予算は無駄遣いされていないか、活動は成果を上げているのかなどをチェックする。

 組織は、委員長、副委員長を頭として、会計監査部、資源監査部、運用監査部の3つに別れている。

 もちろん、監査自体の公平性を見るため、監査が提出する報告書は、生徒会と教師陣、そして内容によっては風紀委員会にまわされて随時チェックされている。

 生徒の「自由」という権利に対する「責任」は、このような厳しい管理体制が敷かれていたのだ。


 しかし、英才教育を受けているものは別にして、多くの者は単なる高校生だ。

 特にクラブの多くでは、まともな計画を立てられるはずもなく、提出される企画書も報告書も穴だらけとなった。

 結果、監査の審査で落とされてしまい、本来の活動ができなくなることも多々あった。

 また、大量の問題点が発生するため、監査自体もパンク状態になっていた。


 その状況を変えたのが、【プロジェクトマネージメント部】――通称、PM部――であった。


 創設者は、当時二年生だった【九笛 桂香】の兄だった。

 実家の英才教育によりプロジェクトマネージメントを学んでいた彼は、各団体のイベント企画などの相談に乗り、プロジェクト管理を行うようにしていった。

 それにより、問題は激減。

 各団体は、計画的にイベント等を行えるようになり、監査も無駄な手間が減ることで監査内容の品質自体をあげることができるようになった。

 また、今まで不満をぶつけられていた生徒会も、無用なトラブルが減って助かるようになった。

 さらに教師達まで、学校主催のイベントにPM部を活用し、自分たちの残業を減らすことに成功していた。


 つまり、PM部の創設は、校内全員に歓迎されたのだ。


 しかし、その分、PM部の活動は激務で、その難度も高く大変なものとなった。

 創設者である九笛の兄は、何人かの優秀な仲間と共にがんばったのだが、なかなか良い後継者を見つけることができず、あまり後釜を育てることはできなかった。

 彼が卒業して一年は活動が続いたものの、その後は部員が増えることもなく、PM部は消滅してしまった。

 それから1年は、後に【校内活動暗黒時代】と呼ばれ、パンク状態になった監査が次々と部活動をつぶしにかかり、生徒会や風紀もトラブルに追われて、それをよしとしてしまっていた。


 だが、その後にPM部は復活した。

 もちろん、復活させたのは、新入生としてはいったばかりの【九笛 桂香】であった。

 彼女は、兄以上と呼ばれる手腕で優秀なメンバーを集め、少人数ながらも校内活動のサポートをしていった(残念ながら優秀なメンバー数名は3年生だったため、今は在籍していない)。

 また、幸いだったのは、当時の監査や生徒会も優秀なメンバーがそろっていたことだろう。

 PM部を始め、監査と生徒会は関係を密にし、全力を持って暗黒時代を切り抜けたのだった。


 ……と、ここまでが、俺が調べたPM部の歴史だ。

 つまり、PM部は生徒会や監査とは、持ちつ持たれつ……どころか、多くの場合はPM部が一方的に「持つ」立場である。

 生徒会や監査に感謝されこそすれ、恨まれる理由などない。

 PM部ががんばっているかぎり、非常に良好な関係にあるはずなのだ。


 ところが……。


「ロ、ロウくん! 手芸部が企画書を監査に蹴られたって……」

「あぎゃ。なんで、試合の校庭使用許可が、監査に取り消されてるのよ!」

「主殿。陸上部が監査について話があると……」

「あら。天文部の会計に査察がはいったみたいね。まあ、大丈夫かしら」

「大丈夫のわけないでしょうが!」


 呑気に重大なことを言う桂香さんに、俺は席から立ちあがって突っこんだ。


「来週、プラネタリウムイベント企画しているのに、査察入ったら資産凍結されちゃうでしょ!」

「わかってるわ。冗談よ」

「冗談って……」

「最近、ギャグが少なかったし、こんな状態だから、少しは笑いも必要でしょう?」

「笑えませんから……」

「そ、そうね。ごめんなさい……」


 そう言うと、桂香さんは顔を下に向けて沈みこんだ。

 いつもシレッとした桂香さんからは、想像できない様子だ。

 まあ、それも致し方なしだろう。


 彼女は今日、何が起こっているか、部員たちに簡単に説明した。

 彼女が「とある事情」から【木角 有楽】に嫌われていること。

 そしてその有楽が、わざわざ転校してきてまで、監査に入り、桂香さんに嫌がらせをしていること。

 彼女が説明したのは、たったそれだけだった。


 それに対して、華代姉が「ぬぬ。木角財閥だからって! 負けるか!」と怒りを見せた。

 他の者も大きく頷いた。

 普通に考えて、桂香さんの説明は明らかに足らない。

 事情をすべて知っている俺と柑梨以外、簡単に納得できるものではなかったはずだ。

 しかし、華代姉を始め、露先輩もスケさんも、桂香さんを責めたり、さらなる説明を求めたりしなかったのだ。


 ちなみに、毎日のように顔を出していた古炉奈は、ここしばらく部室に顔を出さなくなった。

 どうやら、監査から生徒会(特に会長)とPM部の癒着を疑わす話が流れてきたらしいのだ。

 もちろん、その情報は古炉奈からもたらされた。

 部室に顔を出さなくなったからと言って交流が途切れたわけではなく、その代わりに彼女とは毎日のようにチャットする羽目となり、いろいろな情報をもらっている。

 むしろ、会話は増えたぐらいだ。


 ……まあ、癒着と言われても、ある意味では仕方ないかも知れないか。


 それでも、不正行為はしていないはずだ。

 言われなき仕打ちであることはまちがいない。


「しかしまあ、本当にあることないこと、イチャモンつけてくるよねぇ、監査」


 大きく伸びをしてから、華代姉が肩を回す。

 かなりお疲れのようだから、肩でも揉んで上げたいが、こっちもそれどころではない。


「ほ、ほんとーに酷いですぅ。特に弓道部と茶道部、図書委員会からのクレームがすごくて……」

「ああ。そこなら、今――」


「ただいま、エブリワン!」


 俺の言葉を遮って、部室の扉が開いた。

 そこには金髪のフサフサした髪を揺すりながら、スケさんが満面の笑みを浮かべている。

 少々、ドアの開け方が乱暴だったが、そこは目を瞑ることにした。

 なにしろ、彼には重要な役割をお願いしていたからだ。


「お疲れ様。どうだったかしら、スケさん」

「オフコース! ノープロブレム! そんな不安な顔はノーサンキューだよ、ミス・桂香」


 そのスケさんの自信満々のドヤ顔に、桂香さんが大きな安堵のため息をもらす。

 しかし、逆に俺はこれ以上ないぐらいに不安になった。


「本当に、納得してもらえたんですか?」

「イェース。弓道部、茶道部、図書委員会と、すべてクレームはキャンセルしてもらったよ」

「ま、まじすか……」

「リアリィ、リアリィ。ツゥルーリアリィ! こういうことは、ミーに任せておきたまえよ」

「…………」


 桂香さんは、PM部を再生した時、「優秀な人材」を集めた。

 しかし、なぜかその中に、スケさんが入っていたことが、俺には不思議で仕方なかった。

 なにしろ、この人はマネージメントしない。

 特に事務仕事は、すぐ逃げる。

 優秀という言葉が似合わない人だと思っていた。


 しかし、スケさんはかなり多才な人物だった。

 先日の思いだしても悔しい格闘技の才能もだが、実は裏庭でヴァカンスごっこをした時の立て板の見事な風景画を描いたのも、スケさんだったという。

 さらに字を書かせても達筆で、習字は段位持ち。

 そしてなにより驚いたのが、交渉術が得意だと言うことだ。


 ここでの会話は、ちょいちょい出てくるエセ英語を聞いただけで腹が立ってくるものだった。

 しかし、彼はその気になると、会話による相手の心の掌握が非常にすぐれているらしい。

 怒っている相手をいとも簡単になだめたり、他の部員があきらめた難しい交渉ごとをまとめてきてしまうと言う。

 実際、今回のクレームで炎上しかけていた3つの団体の火消しに成功しているのだから、そのクレーム処理能力は認めざるを得ない。

 しかし……


「いったい、どうやって説得したんですか?」


 俺は疑問を思わず口にした。

 すると、スケさんは一度、にやりとしてから、不意に口元を引き締める。

 目元まで引き締まり、青い明眸に英知さえもが浮かんでいる。


「クレーム対応のコツはね、ロウくん。まず、相手の話をよく聞くことだ」

「は、はあ……」

「当たり前だと思ったんだろう? しかし、意外にこれをきちんとできる人がいない。話をよく聞き、とことんまで聞きだし、その話をまずは否定しないことが大事だ」

「まちっていても……ですか?」

「まずは『なるほど』と納得してみせる。初めから否定は絶対にしない。ただし、まちがっていることを肯定してもいけない。行うことは、『あなたの気持ちを理解している』というパフォーマンスだ」

「な、なるほど……」

「そして、相手の目的をその間に理解する。何を求めているのかということだ。意外かもしれないが、クレームを言う側は、実は自分が本当に何を求めているのかわかっていない人もいる」

「そういうもんですかね……」

「ロウくんのように頭の回転がいい人は違うかもしれない。それに例えば、最初から『金が欲しい』という欲望がありながら、それをあからさまに言えないから、ごまかすためにいろいろ言う人物もいる。ともかく、そういう心理を読み取り、着地点を探り、誘導する必要がある」

「ふむふむ」

「そして大切なのは、クレームに対するソリューションの提示だ。起きた問題への今後の対策を明確にすることで、相手の不安をなるべく取り除く」

「確かに大事ですね」

「それから、しょせんお互いに人間だ。距離感を近くして、人情に訴えることも大事なことだ」

「おお……」

「最後にもうひとつ言えば、『謝りすぎない』ことも大事だ」

「え? どうしてです?」

「謝罪の言葉の価値が下がるからね。最初と最後にきっちりと謝罪すればよい。それに『ごめんなさい、ごめんなさい』と繰り返されると、相手も言い返す言葉がなくなって、最後は叱咤だけになり、むやみに興奮をあおりかねない。相手を落ち着かせることも大事だからね。……ドゥーユーアンダースタン?」

「ア、アイシー」


 最後にいつもの柔らかい顔つきに戻ったスケさんに、俺は認めたくないが少し圧倒されつつ、素直にうなずいていた。

 俺に説明する間、あのエセ英語はまったく登場しなかった。

 それどころか、流暢で抑揚が絶妙な口調で、すっかり聞き入ってしまったぐらいだ。


「スケさん。俺、初めて少しだけ先輩として敬意を持てましたよ」

「あはは。そうだろう?」

「今まで俺、スケさんを害虫のように見ていましたけど、これからは少しだけ人間的に見ようかと思いました」

「うんうん。でも、害虫のように蔑まれるのもウェルカムだけどね!」

「ああ、大丈夫ですよ。少しだけですから。基本、害虫です」

「サンキュー!」


 けなしてはいるが、こういう交渉タイプに関しては、たぶん俺よりもはるかに能力が高いのだろう。

 少なくともそこは認めることにする。

 そして認めたからには、敬意を持つ(表面には見せないが)。

 しかし、変態のくせに優秀で、本当に腹が立つ人だ。


 だが、これで助かったことはまちがいない。

 あと残っている大きいクレームは、生徒会に対しての疑惑だろう。

 なんか不信任案まで出すという話があがっているらしい。

 こちらも早急に何か対処しなければならない。

 しかし、こちらはスケさんタイプの交渉は聞かないはずだ。

 なにしろ、あちらは最初から友好性のかけらもないのだから。


 ……そう言えば、と思って、俺はPC端末の時計を見た。

 ちょうど、ミーティングの時間5分前を知らせるアラートがポップアップされる。


――コンッコンッ


 かるく響くノックに返事をすると、待っていた人物が姿を現す。

 生徒会副会長殿だ。

 5分前行動とは、さすが全校生徒の模範である。


「ご足労いただき、申し訳ありません、副会長」


 桂香さんが丁寧に頭をさげると、副会長はメガネにかかった髪をかるく横に流しながら、「いいえ」と答える。

 いつもならば、生徒会長である古炉奈も来るはずだが、さすがに今回は来ないでもらった。

 これ以上、妙な疑惑を強めたくはない。


「PM部が今、どれだけ忙しいかは承知していますから。それに今日は、会長からの伝言を伝えに来ただけです」


 副会長は、優しく笑みを見せながら、柔らかく言葉を続ける。


「事情は承知したが、生徒会のことは気にしなくてけっこうです。PM部はPM部の仕事をしてください……との事でした」

「申し訳ございません。ありがとうございます」


 桂香さんが深々と礼をすると、それに続いて慌てて柑梨も立ちあがって頭をさげる。

 当たり前だが、発端となった柑梨も心苦しくて仕方ないのだろう。

 しかも、桂香さんの心遣いで、柑梨は本当のことを隠すことになっている。それはそれで、かなり苦痛なはずだ。

 それでも柑梨は、必死に頑張っている。


 ところで、副会長はわざわざそれだけを言いに来たのだろうか。

 その程度のことなら、メールでもなんでもいいはずだ。

 いったい、副会長はなんのために――


「それから、ロウくんにちょっとお話があります」


 ――と考えている矢先、副会長は俺を見ながらそう言った。

 予想外の名指しに、少しとまどう。


「え? 俺ですか?」

「はい。ちょっと廊下に……」

「は、はあ……」


 俺は言われるまま、副会長の後ろをついて廊下に出た。

 クーラーの効いていない廊下に出ると、まだかなりムシムシとする。

 こんなところにいたらすぐに汗を掻いてしまいそうだが、不思議と副会長は汗一つ書いた様子もなく、暑そうにさえしていない。

 俺が後ろ手にドアを閉めると、会長は日陰になった窓際の方に俺を招いた。

 これは、ドアから離れて、中のメンバーに聞こえなくしたいと言うことなのだろう。

 いったい、何の話なんだ?


「ロウくん。私は君の本名を知っています」

「…………」


 ちょっと動揺してしまう。

 おかげで暑さとは違う、変な汗が急に額に浮かんでしまう。


 別に知られることに驚きはない。

 なにしろ、普通にクラスでは本名で過ごしているのだ。

 しかし、改めてこの話を持ちだす意図がわからない。


「面白いことに、会長も他のPM部の女性達も、君の名前を知ろうとしない。いや。むしろ、知らないようにしようとさえしている」

「見たいですね……」


 さすがにそれは俺も気がついていた。

 知りたければ、簡単にわかるはずなのだ。


「君の口から、本当の名前を聞きたいという気持ちなのかも知れないし、または君に今まで通りの【ロウ】という人間であって欲しいという願いなのかもしれない。少なくとも会長は、君の正体を知ったら、何かが変わってしまうと、第六感で感じているようです」

「……別にそんな大した正体じゃないでしょう」

「まあ、宇宙人とか妖怪とではないですが。ただ、一般人から見たら、君は異世界人みたいなものでしょう」


 少し高めの声で、あまり感情の起伏を見せずに話し続ける。


「まだきちんと名のっていませんでしたね。私の名は、【崎森さきもり (しのぶ)】です」

「崎森……大守家に仕える……」

「そうです。さすがに知っていましたか。私は、幼い頃から、会長――古炉奈様――を御守りする立場の者です」


 なるほど、と合点がいった。

 二人の関係が今ひとつよくわからなかったのだが、それならなんとなくわかる気がする。

 たぶん、副会長も古炉奈を妹のように大事に思っているのだろう。


「もちろん、古炉奈様にどこぞのくだらない馬の骨が近寄れば、それを排除するのも役割です」


 そう言って、鋭い眼光で睨みつつ、口角をクイッとあげてみせる。

 思わず少しゾッとする。

 なにしろ、崎森家の護衛役は、誰もが多くの格闘技を学び、男女問わず強者(つわもの)だという話は聞いている。

 実戦という意味では、たぶんスケさんよりも上ではないだろうか。


「ふふ。安心してください。君の正体を知っていると言ったでしょう。君が『馬の骨』などではないことはわかっています」

「……じゃあ、なんなんですか?」


 俺は少し焦れたように聞いた。

 イニシアチブを取られているみたいで、少しイラついてしまう。


「もちろん、今回のことです。今回の原因について、私なりに調べました。もともとは真直さんがらみで、有楽氏が動いていると言うこともわかっています」

「……それで?」

「今さらとぼけるのはなしにしましょう、ロウくん。今回の件は、無関係ではないはずです。私が知りたいのは、君がどうするのかです」

「…………」

「今回のことで、古炉奈様の心労はかなり大きい。それにこのまま不信任など出されれば、大守家の恥ともなります。そのようなことをさせるわけにはいきませんが、木角家とまともに争うわけにもいきません」

「でしょうね」

「たぶん、この状況を何とかできる人間は、君だけでしょう。だから……」


 副会長が、サッと素早くこちらを向いた。

 俺は思わず、何かされるのではないかと身を引いてしまう。


「…………え?」


 だが、それは勘違いだった。

 突然、副会長が深々と頭を下げたのだ。


「古炉奈様をお助けください」


 いつも通りの高い声ながら、強い気持ちがこもった訴え。

 その真摯な態度に、副会長がどれだけ古炉奈を大切に思っているのか伝わってくる。

 なにしろこの学校で生徒会副会長になれた人が、2年も下の後輩に頭を下げているのだ。

 とても他の生徒に見せられたものではない。


 しかし、俺はその副会長の願いを受け入れるつもりはない。


「……古炉奈は、俺なんかに助けられなくても平気なぐらい優秀ですよ」

「しかし――」

「大丈夫ですよ。古炉奈は強い。信じられませんか?」

「…………」


 困ったような副会長の顔。

 本当に古炉奈のことが大事なんだなぁ……。

 でも、まあ、やはり副会長の願いを受け入れるつもりはない……のだが、俺は俺として不満がある。

 だれかの願いをかなえるためじゃない。

 俺の願いがある。


「それはそれとして……なんですけどね」

「……?」

「俺、けっこういらだっているんですよ。俺のモノになったペットを勝手にいじめようとしたり、俺の美人先輩に辛い思いをさせたり、俺の可愛い妹を困らせたりする、ふざけた奴にはお仕置きが必要ですよね」

「ロウくん……」

「もうね、終わっているんですよ……」

「え?」

「有楽が売った喧嘩は、柑梨と桂香さんの勝ちなんです。二人が、俺をこの部に引き入れた時点でね」


 俺の不敵な笑みに、今度は副会長の顔がこわばり、構えるように身じろぎしていた。


クレーム対応で、スケさんが言っていたほかに重要な要素として、「スピード」があります。

クレーム対応は、やはり初動を早くし、その後の処理も早め早めに行うのがベストです。


……え?

今回の話、掲載が遅かったですって?


す、すいません。

早め早めに対応したい考えです、はい(笑)。

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