誠一の死?
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
思わずアルに手を出されたことで頭に血がのぼって殴ろうとした結果、冷静にならざるを得ない状況になった結果、本気で殴ることはなかったが、全裸の男は今もなお正気に返っては気絶してを繰り返している。それに、よく見ると髪の毛が生えてきては抜け落ち、気付けば歯も全て抜けたはずなのに生えていた。この短い時間でこの変化とか……人間なのかな? いや、俺が言えたことじゃねぇけど。
背後を振り返ると、呆然と座り込んでいるベアトリスさんが。
俺は手を差し出し、ベアトリスさんを立たせる。
「ベアトリスさん、大丈夫ですか?」
「え? あ……せ、誠一さん……?」
「はい、俺です」
「そんな……あの人は……」
「あの人? ああ、襲ってきたヤツなら、そこで転がってますが……見ない方がいいですよ? 汚いので」
「どんな状況ですか!?」
そう言われると、非常に困る。
だって、説明するのも嫌なんだもの。
ベアトリスさんの質問を適当にはぐらかしつつ、全裸の男の姿が視界に入らないようにするという妙に難しいことをしていると、サリアを含む、控えにいたFクラスの女子たちが駆け寄って来た。
「誠一、大丈夫!?」
「おー無事だよー」
「さすが主様です……!」
サリアは俺の姿を見て、無事であることを確認するとほっと胸をなでおろし、ルルネは尊敬のまなざしを向けてきた。
「本当に心配したんだよ! あの人、なんだか良くない感じがしてとても怖かったし……」
「……恥ずかしながら、私もあの男には嫌な気配を感じ、戦う事が出来ませんでした……」
「え!?」
俺は二人の言葉に驚いた。
なんせ、恐らく俺以外でこの場で一番強いのはルルネかサリアだと思っていたからだ。
ルルネは謎すぎて実力不明だが、サリアはすでに人類最高レベルの500を優に超えているため、人に負けることはないと思っていたのだ。
そんな二人が、あの男に恐怖を感じているということは……。
少し、警戒しながらもう一度全裸の男に視線を向ける。
全裸の男は、尻を突き出したうつ伏せ状態という間抜けな姿をさらしていた。
……ヤバイ、余計に分からなくなった。
どう見てもギャグにしか見えないその姿に、逆に俺は頭を悩ませていると、ヘレンたちも寄って来た。
「相変わらず無茶苦茶ね、先生」
「そ、そんなに酷いだろうか……」
「酷いですね。主に、倒された側が醜いのがいただけません」
「それは個人的過ぎるだろ」
「先生はもうちょっと普通を勉強した方がいいと思いますよ~」
「れ、レイチェルまで……」
あの優しそうなレイチェルまでもが、苦笑い気味にそう言ってきたのだ。
そ、そんなに酷いかな……。
「うーん……さすがにデタラメすぎるかなぁ~。でも、ボクはそんな人が担任で嬉しいよ! だから、ぜひともサリアちゃんみたいな美人さんとお近づきになれる方法を伝授してくださいっ!」
「いや、知らねぇよ!? てか、今の話の流れで何で女性に近づく方法を教えることになるんだよ!? 普通強くなる方法とかじゃないの!?」
「いらないよ、そんなの」
「真顔で否定するんじゃねぇ!」
おい学生! 学生の本分忘れすぎじゃないか!?
俺もそんなことを教えるために来たんじゃないし、そもそも教えられねぇよ!
「まあいいや……それで? 何があったわけ?」
もう一度アルに訊くと、アルはため息をつきながら教えてくれた。
「はぁ……なんか魔神教団って連中が、いきなり闘技場に現れたかと思うと、誠一がレオンを連れて行く前に倒した先生と、バーナバスさんを人質にとって、ゲームをを始めようってよ……」
「ゲーム?」
「そう。今誠一が倒したヤツに勝ったら、生きてこの闘技場から出られるってゲームだとよ。オレだけじゃなく、アグノスたちも戦いに出たんだが……レベルが違い過ぎてよ、情けねぇことに簡単にやられちまった。そのあとは、そこに同じように捕まってる女も、さっきの男と仲間だったんだがいきなり女を裏切り……正直見聞きした内容が胸くそ悪ぃことを始めやがった」
「……それって?」
「最初に来た時、火傷のあとがあった女がいただろ? アイツがそうなんだが、女からすれば顔に傷があるってのは辛いことなんだ。特に貴族ならな。オレみてぇな冒険者なら、顔の傷も少なくねぇけどよ……アイツはその顔の傷を作った原因で、何よりそのトラウマを抉るようなことを言いやがったんだ」
「……」
他にも、詳しく全裸の男がどんなことを言っていたのか聞いた。
そんなアルの話を聴いて、俺が思ったこと。
それは……。
「もう一発殴っとくか……」
「それはシャレにならねぇ!」
いや、アルがやられたって聞いた時でさえ、相当頭にきてたし、でもそれだと結局サリアたちが食堂で止めてくれたときとあんまり変わらないわけで……まあそれでも全力でぶん殴ろうとしたのは後悔してない。なんか世界がヤバそうだったから我慢したけど、俺の大切な人に手を出したんだからな。つか、世界も根性見せろよ! たかだか人間のパンチ一つで何壊れそうになってんの!? 俺が世界壊しちゃうとか意味分からないからな!?
それに、会話の内容も確かに胸くそ悪かったな……やたらと絶望がどうのって言ってたみたいだし……絶望絶望って。アホなの?
俺は希望を胸に生きてます。そう、俺の体だって……! な、泣いてないからね!? 信じてるよ!?
「まああの様子じゃしばらくは大丈夫だろ。他のみんなも誠一の魔法で助かってるしな」
アルの言う通り、俺が来てからすぐに回復魔法を使ったせいか、怪我人は一人も……あ、クリフ先生が俺の攻撃の巻き添え食らって悲惨なことに……い、生きてるでしょう! ……たぶん。
「神無月先輩たちは大丈夫だったのかな?」
俺はふと観客席にいるであろう神無月先輩たちを探すと、なぜか一発で神無月先輩と目が合った。……あれ、おかしいな……この人数の中で目が合うって……。
神無月先輩は何ともないようだが、周囲にいる勇者たちは違ったようだ。
顔を青くしている者や、気絶している者、果てにはなぜか俺に憎悪の視線を向けてくるなど、実に様々だった。
……いや、あのさ……一応勇者なら、どうにかしようって考えなかったのだろうか? あれだけ自分の力に自信を持ってたわけだし……まあ俺からすると、そんなことをして神無月先輩たちに被害が行くのなら、止めるけどな。
それに、何故親の仇を見るような目で見られなきゃいけないのかが分からん。あれか? 勇者でもないヤツが目立つのが許せないとか? だとしたら小せぇな!
まあなんにせよ、勇者の実力がよく分からなくなったな。もし仮に本気で魔王に戦わせるつもりなら、こんな状態でいいのだろうか? 神無月先輩たちは助けるけどね。
「おっと……バーナさんたちの拘束、今解除しますね」
「お、おお。頼む」
俺は『リ〇カーン大統領』を発動させ、バーナさんと女性の拘束を解いた。……大活躍だな、『リ〇カーン大統領』。もう使うことないと思ってたのに……。
すると、なぜか女性は拘束だけでなく、首についていた黒色の輪っかまで解除されていた。……あの黒い首輪って、まさか……。
「誠一、その女は……」
アルが心配そうな目で拘束を解いた女性に目を向けるが、俺は大丈夫だと思ったから、拘束を解いたのだ。
もともと敵だったみたいだけど、裏切られたらしいし、今も呆然と自分の顔を触ってるしね。
「わ、私の顔が……戻ってる……? それに、首輪も……何で……」
「え? いや、怪我してて、俺に治せる手段があったから治しただけだけど……」
この様子から察するに、相当深い傷だったみたいだなぁ。身体的にも、精神的にも……。
それに、あの首輪はやっぱり、オリガちゃんが着けられていた『隷属の首輪』と同じだったようだ。
俺が殴ろうとした男は、どれだけ悪行を重ねれば気が済むんだ?
そう思っていると、同じように顔じゅうが火傷のあとだった男子生徒が、呆然としている。
「…………ぇ……ぁ…………」
喉を触り、まるで声が出るか確認しているような仕草をしていた。……っていうか、誰だ? 雰囲気がベアードっぽいんだけど、熊の被り物してないし……。
女性の方は、顔に火傷跡があったのだが、男子生徒は頭を含む顔全体が火傷跡だったのに対し、今では焦げ茶色の短髪に、同じ色の鋭い瞳を持つ、凛々しい顔になっていた。……これ、髪の毛も生えるんだね。スゲー。地球で育毛をメインに商売したら売れるかな……?
そんなくだらないことを考えていると、アルと同じようにフラつきながらブルードとアグノスが来た。
「せ、誠一先生……」
「アグノス、ブルード。大丈夫だったか?」
「あ、ああ。俺たちは大丈夫だったが……」
「兄貴! ベアードに何したんです!?」
「ベアード? ……って、彼やっぱりベアードだったの!?」
「知らないで治したんスか!?」
「うん……治してよかったんだよね?」
「今さらっスか!?」
「本当に規格外だな……まあ、あの様子なら良かったんじゃないか? むしろ、理由もなく一瞬で治して見せたことに驚くが……」
いや、スゲェ痛そうだったからさ……でも、安心したわ。治してもよかった傷で。もしも、何らかの理由があって傷を残してるとかだったら、正直申し訳なさ過ぎた。
「それにしても、俺がレオンを保健室に連れて行ってる間にこんなことが起こるなんて……」
「ワシも予想外じゃった……これから厳重に警戒をして、この男と女の目的を調べるつもりじゃ。すまんが、誠一君。少しの間この場で男と女を見張っておいてくれんか? ワシは生徒たちを落ち着けるのでのぅ」
「分かりました」
バーナさんはそういうと、生徒たちを落ち着かせるため、行動を始めた。
それをボーっと眺めていると、ふと何かを思い出したように、アルが訊いてきた。
「ん? そう言えば、誠一は外からやって来たんだよな?」
「え? そうだけど」
「……どこを通って来た?」
「どこって……普通に出入り口だけど」
「……」
そう言った瞬間、アルの表情が険しくなり、俺の体を調べてくる。
「本当に何ともないのか? 体に不調は?」
「え? え? 何? 別に大丈夫だけど……」
俺が困惑していると、今までブツブツと何かを呟いていた全裸の男の目に、光が灯った。
「そうか……そうだったのか……ハハ……アハハハハハハハハハ! どうやら、最後に勝つのは私のようだな!」
「え?」
男の方に視線を向けると、ユラリと体を起こし、凄まじいまでの憎悪の視線を向けてきた。
「私は魔神様の使徒! 『黄泉送り』の名を冠する使徒なのだ! 我々の障害になるであろう貴様は、ここで死ねぇっ!」
「っ!」
男が叫んだ瞬間、俺の足元に魔法陣のようなモノが展開された。
突然の展開に驚いていると、急に周囲の時間が止まった。
さらに驚いて周囲を見渡すと、驚きの表情を浮かべたまま固まるアルや、狂ったように笑っている男が指先一つ動かすことなく固まっていた。
「え? は? ナニコレ!?」
『マスター、落ち着いて聞いてください』
「え?」
不意に聞こえた声に、意識を向けると、足元の魔法陣から声が聞こえていることが分かった。
「えっと……今俺の足元にある魔法陣の声でいいんだよな?」
『はい、そうです! 本当はすぐに声をかけたかったのですが……私を設置した男の魔力が流れなければ、私は起きることができなかったので、今の間まで黙っておりました』
「そ、そうか……で、なんでまた急に話しかけてきたんだ?」
『そのことですが、まずマスター以外が止まっているのは、私の魔法陣に使われている属性の効果です』
「気になるんだけど、一体何の魔法を仕掛けてたわけ?」
『男が仕掛けた魔法は……転移。私は転移魔法なのです。そのため、私の司る属性は空間……つまり、私とマスターだけの空間を一時的に切り取っているため、こうして一時的ではありますが、話す事が出来るのです!』
すごいでしょ! と言いたげに、なぜか足元の魔法陣が胸を張ったように見えた。……本当に表情豊かだなぁ……魔法だけど。
「なるほど……それで、君は俺の転移を防いでくれるのかい?」
そう訊くと、魔法陣は真剣な声音で答えた。
『本来なら、そうするつもりでした。ですが、私の魔法陣としての勘が、マスターにとって、絶対に行くべき場所への転移だと告げているのです』
「俺が絶対に行くべき場所? てかそれ以上に魔法陣としての勘とは!?」
どこだ? それ……そもそも、この異世界にきて、俺が訪れた場所はそんなにない。
テルベールと悲愛の森、そしてこのバーバドル魔法学園に向かうまでの馬車で訪れた小さな村くらいだ。
それなのに、魔法陣としての勘で行くべきとは一体……いや、転移先はあの全裸男が指定してるわけだから、俺が訪れたことのないような場所なんだろうけどね。
『はい。詳しい説明はできないのですが、私たち転移系の魔法陣は、転移先と転移させられる人の相性のような物を察知する機能があります。まあ、このように会話ができるのはマスターだけなので、意味がないのですが……』
驚きの事実だよ!
何? 魔法陣は勝手に相性とか意味の分からないモノまで見てくれるわけ!?
『今回の転移先とマスターの相性が、とんでもなくいいのです。これは、マスターが幸せとなるための必要なことなのです! そう考えれば、あの男の転移先もなかなか捨てたものじゃないですね!』
「いや、その転移先がまるで分からないんだけど!?」
『すみません、私も知りません!』
「ダメじゃん!?」
相性なんて意味の分からないものが分かるのに、転移先が分からないってどうなの!?
『それで……マスター。私はマスターのために、転移してもらいたいのです。マスターには、幸せになってほしいから……』
「いや、そう言われても……どこに行くのかも分からないわけだし、何より今ここで俺が転移しちゃったら、誰もあの男を取り押さえられないんじゃ……」
『あ、それは大丈夫です! 無断であの男の魔力を全部この魔法陣に流しましたし、それに私は転移魔法の魔法陣ですから。あの男の力の源である……魔神? とやらの加護を異次元に転移させました。ついでに、体力やら筋力やら……マスターが転移した後、あの男が抵抗できる手段はないので安心してください』
「なにそれスゲェ!?」
加護を転移させるって聞いたことないんだけど!? それどころか体力とかも転移させたってこと!?
て、転移魔法にそんな使い方があったのね……これ、俺にその力とか転移させたらどうなってたんだ?
『あ、せっかくなのであの男の力は全てマスターに転移させますね』
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
これ以上俺力いらないよ!? 持て余してるからね!?
しかし、魔法陣は俺の制止する声が聞こえなかったらしく、喜々として俺にその男から奪った力を転移させた。
『どうですか、マスター! 加護に含まれてた悪い成分は次元の彼方に転移させたので安心してください!』
褒めて褒めて! といった雰囲気を振りまく魔法陣を見て、俺はとてもじゃないが怒ることは出来なかった。
下手なこと考えるもんじゃねぇな。
俺は身をもって考えさせられたのだった。
俺はため息をついた後、少し真剣な表情で魔法陣に聞いた。
「じゃあ、本当に俺がいなくなっても大丈夫なんだね?」
『はい。それは安心してください』
「……それと、本当に俺にとって大切なことなんだね?」
『……これに関しては、先ほども言ったように私には相性しか分からないので、具体的に何が待ち受けているのかは分かりません。ですが、私はマスターに幸せになってほしいのです。これは、信じてもらう以外にはどうすることも……』
「…………そうか」
しゅんとした様子の魔法陣に、俺は苦笑いを一つ浮かべながら言った。
「分かった。それじゃあ、俺はその転移先とやらに行ってみるよ」
『……え? ほ、本当ですか!?』
「ああ。サリアたちに害がないのなら、安心だしな。……勇者の動向も気になるけど……」
『任せてください! 先ほど男から奪っておいた魔力で、マスターの奥方たちを守る魔法を展開しておきます!』
万能すぎるだろ、魔法陣。てか、奥方って……。
「そこまで言ってくれるなら、俺は魔法陣の言葉を信じてみるよ」
『……ありがとうございます……ありがとうございます……!』
とうとううれし泣きを始めた魔法陣を見て、俺は思わずしゃがみ込むと苦笑いしながら魔法陣を撫でてやった。
『あ、マスター! そろそろ時間が切れます!』
不意に魔法陣がそう言った瞬間、周囲の時間が取り戻され、再びアルや全裸の男たちが動き始めるのが目に入った。
「ハハハハハハハハハ! 死ねぇぇぇぇぇえええええええええええええ!」
目を血走らせ、口の端に泡をためながらそう叫ぶ全裸の男。
俺の足元の転移魔法の輝きが徐々に強くなると、硬直状態から抜け出したアルが、必死に手を伸ばす。
「誠一ぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいい!」
「すまん、ちょっと行ってくる! みんな! テスト勉強頑張れよなっ!」
「今言うことか!?」
アルがツッコみながらも手を伸ばすのをやめなかったが、とうとう俺に手は届くことなく、俺はアルたちの前から消えたのだった。
◆◇◆
「ククク……ハハハハハ! これで邪魔者はいなくなったぞ! 貴様らは全員皆殺しだ! この私に、よくもこのような屈辱を味わわせてくれたな? 簡単に死ねると――――」
「誠一をどこにやったああああああああああああああっ!」
「ぶへっ!?」
オレ――――アルトリアは、全力で目の前の男――――デミオロスを殴り飛ばした。
さっきまで、オレの攻撃は通じなさそうだったのに、今では普通に殴る事が出来た。
「は? は? な、何故だ? 何故、貴様の攻撃が……」
「『封魔の光』!」
「ぐぅぅぅぅぅうううう!? ま、『魔聖』!?」
呆然とする男に、バーナバス様が拘束されていた魔法を使用した。
「もうお前には好き勝手はさせん」
「バカめ! こんな魔法、すぐにでも……フンッ! フンッ! ん……んぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!?」
顔を真っ赤にして魔法から逃れようとするデミオロス。
だが、デミオロスは魔法から解放されることはなかった。
「な、何故だ!? 何故力が出ない!? それに、魔力が残ってないだと!?」
「……詳しいことは分からんが、観念するんじゃな」
拘束され、無様に転がるデミオロス。
そんなデミオロスに、オレは詰め寄った。
「おいっ! 誠一をどこにやった!?」
そういうと、デミオロスは不気味な笑顔を浮かべた。
「言っただろう? 私は『黄泉送り』だ。その名の通り、黄泉へと送っただけだ」
「何!?」
「私はかつて、【冥界】へと行ったことがある。分かるか? つまり……私は冥界に直接生者を送る事が出来るのだよ!」
「なっ!?」
「そう、あの男は――――死んだのだ!」
オレは、呆然とするしかなかった。
『傭兵の王様』という新作も連載しています。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
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