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動き出した歯車

「フッ……!」


 私――ルイエス・バルゼは、象の見た目に、巨大な角を生やした魔物……『ドン・ホーン』を一刀両断した。

 斬られた巨体は、ゆっくりと地面に倒れ、大きな地響きを立てる。


「ふぅ……こんなものでしょうか」


 ふと辺りを見渡せば、大量に転がる魔物の屍が。

 今倒した魔物が最後だったらしく、目に見える範囲で魔物の姿はいない。

 どうやら、無事に魔物の侵攻を食い止めることができたようだ。


『無事、事を終えることができたな』


 ふと、隣に威圧感を放つ黒色の鎧が現れた。私の同僚、黒の聖騎士でした。


「ええ。……それで、周辺の村々に被害はありましたか?」

『案ずるな。どこも被害は一切出ておらん。我々の兵たちにおいてもそうだ。けが人は一人も存在せぬ』

「そうですか。それはよかったです」

『……しかし、相変わらずの戦闘力であるな。今回の魔物の侵攻は、優に五千を超えていると思うのだが、軽く三分の一は主が倒したであろう』

「そうでしょうか?」


 黒の聖騎士にそう言われるも、あまりそう言った実感はわきません。

 ただ、師匠と共に訓練するようになり、私は新たに力をつけたことは確かでした。

 急激な戦闘力の増加は望めなくとも、私は長時間にわたって戦闘する術を師匠との訓練で身に着けました。

 長時間戦闘するために、私は無駄な動作をすべて切り捨てました。攻撃を避ける時も、必要最低限の動きで。攻撃するときも、最速かつ最大威力を発揮する動きを、とことん追求したのです。

 昔の私が、今回のような、数多くの魔物との戦闘を続けていれば、今ほど余裕を持って立っていることはできなかったかもしれません。

 そう考えれば、先ほど感じられなかった実感もわいてきます。


「まあ、すべてが無事ならいいでしょう。私は【剣聖の戦乙女ワルキューレ】を率いて、王都に戻りましょう」

『ぬ? それは少し待ってくれぬか? こちらもいろいろと後処理というモノが――――』

「師匠を待たせているので」

『主はそんなヤツだったか!? いや、ほら……我々【奈落の黒兵団アビス・シュヴァルツ】だけではこの魔の眷属の落とす秘宝を集めるのも苦労するというかなんというか……』

「みなさん、30分ほど休憩したのち、王都へ帰還しますよ」

「「「はーい」」」

『話を聴けぇいッ!』


 後ろで何やら騒ぐ黒の聖騎士を無視し、私も適当な場所で腰を落ち着けた。

 王都のほうにも魔物が侵攻しているという話でしたが、師匠がいますし、大丈夫でしょう。

 そんな気を抜いた直後、レベルが500になって以来、久しく聞いていなかった声が、頭の中に響き渡った。


『レベルがアップしました』


 ……どうやら、私もバーナバス様と同じように、『超越者』の一人になったようです。

 以前の私なら、戸惑ったりしたでしょうが、今の私は、師匠の弟子です。この程度では、驚くに驚けません。

 せっかく『超越者』となったというのに、どこか驚くに驚けない私は、王都に帰還するまで誰にこのことを告げるわけでもなく、休憩したのでした。

 あ……帰ったら、真っ先に師匠に教えてあげましょう。


◆◇◆


 私――神無月華蓮は、バーバドル魔法学園で他の生徒たちと同様に魔法についての講義や、魔物との戦闘を経験していた。

 この学園に来て、一週間も経たないうちから、魔物との戦闘を経験した私たちだが、魔物を殺したというのに、私たちの精神には何ら影響を及ぼすことはなかった。

 全生徒が精神的に強いというわけでもなく、むしろ気の弱い生徒も少なくないのに、誰もが魔物を殺したことで気に病んだりしないのだ。

 むしろ、魔物を殺し、レベルアップによる戦闘力の強化で、興奮する者が多いくらいだ。

 おそらくだが、私たちがカイゼル帝国に召喚された際、そこらへんの精神構造を変化させられたのだと、この学園に来て、魔法を学んだことで推測している。

 そして、今現在、私のステータスが……。


≪神無月華蓮≫

種族:人間

性別:女

職業:魔法騎士

年齢:18

レベル:20

魔力:1000

攻撃力:500

防御力:500

俊敏力:500

魔攻撃:500

魔防御:500

運:500

魅力:測定不能

≪装備≫

上質なシャツ。上質なスカート。上質なブレザー。上質な下着。上質な黒タイツ。上質な革靴。腕輪。鉄の剣。聖剣【待機中】。

≪スキル≫

鑑定。二段飛び。

≪魔法≫

火属性魔法:中。水属性魔法:中。風属性魔法:上。光属性魔法:上。

【固有魔法】聖属性魔法:極。

≪奥義≫

新月斬。

≪武術≫

神無月一刀流:皆伝。

≪称号≫

勇者。財閥令嬢。指導者。

≪所持金≫

23800G


 これである。

 勇者である私たちは、この世界の人間に比べ、レベルアップ時のステータスの伸びか高いらしく、おまけに魔法も勇者全員が使える聖属性を除けば、最低でも3属性……この世界の魔法基準を大きく覆す力を身に着けていた。

 ……だからこそ、多くの生徒が増長するのも仕方ないと言えば、仕方ないのだが……。


「それにしても、この視線に慣れることはできないな……」

「そうですね……」


 隣を歩く、部活でも一緒の後輩である高宮翔太が、私の呟きに答える。

 私たちは、ただ、バーバドル魔法学園の廊下を歩いているだけなのだが、明らかに怯えた視線や、侮蔑の視線など、友好的なモノが感じられない視線を向けられていた。

 そんな中を歩いていると、向かい側から、3人こちらに向かって歩いてくるのが見えた。

 先頭を歩く、金髪碧眼の男は、こちらに気付くと、軽く会釈をしてきた。

 ……ロベルト・イロアス・ウィンブルグ。

 隣を歩く、翔太もなかなか男前なのだが、この男は、それを越える顔だちをしており、その立ち振る舞いは優雅で、地球で多くの重鎮たちと会ってきた私でさえ、感嘆するほどだった。


「これは勇者殿。ご機嫌は……麗しくないようですね」


 私たちに近づくと、ロベルトはそう言う。

 しかし、その言葉には皮肉も何も込められておらず、純粋に私と翔太の様子を見て、感じたままを口にしたようだった。


「おい、兄貴。立ち話なんてしてたら、次の授業に遅れるぜ? 次はドルガー先生の授業だろ?」

「……ジオニス。お前はもう少し口調をどうにかできないのか?」

「あー無理無理。俺は兄貴みたいに頭もよくねぇからよ。そんな堅苦しい口調なんざ使えるか」

「王族なのだから、そこはしっかりと……」

「だあああっ! 兄貴が王になって、他国との交渉だのなんだのすべてするんだからいいだろ!? 俺は剣を振ってる方が性に合ってるしな! 兄貴が王で、俺が将軍! ほら、何の問題もねぇ!」

「だから、そう言う問題では……」


 突然、繰り広げられた言い合いに、私も翔太も唖然とする。

 ロベルトと言い合いをしているのは、ロベルトの弟であるジオニス・ガルディアン・ウィンブルグ。

 ロベルトが、いかにも貴公子然とした雰囲気で、サラサラの金髪を整えているのに対し、ジオニスはこのバーバドル魔法学園の制服を着崩し、ロベルトと同じ金髪を適当に切りそろえているなど、どこか荒々しい印象を受けた。

 そんな二人に、とうとう黙っていた最後の一人が声を出した。


「ロベルト兄様も、ジオニス兄様も……その辺にしたらどうかしら? じゃないと……」

「「!?」」


 ロベルトたちと同じ金髪を腰まで伸ばし、勝気な青い瞳は、高貴な雰囲気の中に、力強さを感じさせた。

 人形のように整った顔ながら、無機質さはなく、人間味を感じさせる少女は、ロベルトたちの妹である、ラティス・デア・ウィンブルグだった。

 ラティスは右手の拳を見せると、そこには紫色の雷が纏われている。


「妹の手を煩わせたいのかしら?」

「い、いや……そんなことはないぞ。その……ジオニス、少々うるさく言いすぎたな。すまない」

「あ、いや、俺こそ……もう少し、口調は気を付けるよ」


 ラティスの言葉と拳に、二人は焦った様子を見せると、素直にお互いが謝罪した。

 もはや、目の前の状況について行けない私に、ラティスは申し訳なさそうに言う。


「すみません、私の愚兄どもが……」

「ラティス。それはさすがに言い過ぎではないか?」

「そうだそうだ! お前が一番口悪ぃじゃねぇかよ!」

「それの何が問題なのかしら?」

「「……」」


 ラティスは、開き直るという次元を超えて、ロベルトたちにそう返した。


「まあいいわ。……勇者様。私たちも授業がありますし、これで失礼させていただきます。では……」

「あっ、おい! 悪ぃな、俺らは妹のところに行くわ。んじゃ!」

「ラティスは相変わらずだな……では、勇者殿。私たちもこれにて……」


 ジオニスとロベルトの二人も、私たちにそう告げると、ラティスを追って去っていった。


「……変わった方々だな」

「……そうですね。この学園で、珍しく俺たちに敵意を見せない人たちですし……」


 そう、ロベルトたちは、この学園で貴重な、私たちを相手に普通に接してくれる数少ない人物たちだった。

 ただ、ロベルトたちも他の勇者の行いを知っているはずなのだが、それでもこうして普通に接してくれると言うことは、彼らが個人をしっかり見定める人物なのだろう。


「そう言えば、彼らは王族だったな。確か、ウィンブルグ王国という名だったはずだが……」

「ああ、そう言えば、地理学で習いましたね。俺たちを召喚した、カイゼル帝国からだいぶ離れてて、ここ100年は戦争もない、平和な国……でしたよね?」

「……そうだな。彼らのような者が王になる国だ。私たちを召喚した国などと比べ物にならぬほど、よい国なのだろう」

「……」


 どこかしんみりとした雰囲気になってしまったが、不意に翔太が声を出す。


「ん? ……あれ、世渡か?」

「?」


 翔太が視線を向けた方向を見ると、カイゼル帝国の帝王たちと謁見したとき、物申していた少女たちの一人がいた。

 たしか……世渡愛梨だったか?

 世渡は、何やらキョロキョロとあたりを見渡しており、見るからに何かを探していることが分かる。

 そんな彼女に近づき、何をしているのか尋ねた。


「どうかしたのかい?」

「あっ、生徒会長さん! ん? あと翔っちも? どうしたんスか?」

「いや、何か探しているようだったからね……」

「世渡、野島たちはどうした? 最近、大人しいから全然姿を見ないんだが……」


 私が質問し、翔太が不思議に思ったことを聞くと、世渡は笑う。


「あ、優佳たちッスか? なんか周囲から勘違いされがちっスけど、優佳は別に大人しくないわけじゃないっスよ? 地球のときも、トラブルに首を突っ込んだ結果、喧嘩沙汰になったとかばっかりですし……。まあ、今はみんなと同じように、普通に授業を受けてるッスよ?」


 世渡の言う優佳という人物は、悪目立ちするグループの一人、野島優佳のことだろう。……確か、レディースの総長をしていたんだったか?

 とにかく、世渡が言う通りなら、野島たちは暴れる理由がないというより、元々危険の少ない少女たちだったのだろう。


「なるほど。それで? 君は何をしているのか訊いているんだが……」

「あっ、そうでした! 生徒会長さんに翔っちも、『せいちゃん』を知らないッスか?」

「「せいちゃん?」」


 私と翔太は、揃って首を傾げる。


「そうッス。いや、この世界に来てから、ずっと捜してるんスけどねぇ……」

「……えっと、それは物だろうか? それとも、人かい?」

「せいちゃんは人っスよ? 何言ってるんですかぁ!」


 そう言い、能天気に笑う世渡。……いや、唐突にせいちゃんと言われても、それが何なのか分かるわけないのだが……。

 気を取り直して、一度咳ばらいをするともう少し詳しく聞いてみる。


「んん! それで? そのせいちゃんという人物は、私たちと同じように、この世界に召喚されているのかい?」

「同じ学校ですし、たぶん、そうだと思うんスけど……」

「それじゃあ、本名を教えてくれるかい? そうすれば、簡単に分かるんだが……」

「本名ッスか? えっと……あれ? 何でしたっけ? 生徒会長さん」

「いや、私は知らないよ?」

「んじゃあ、翔っち?」

「何が『んじゃあ』なの!? 世渡が分からないのに、俺が分かるわけないだろっ!」

「おかしいッスねぇ……翔っちは知ってると思ったんスけど……」

「……その根拠がどこから来たのかぜひ聞きてぇよ……」


 翔太が、疲れたようにそう言った。


「ふむ……そのせいちゃんとやらをこの世界に召喚されて、ずっと捜していると言ったね?」

「はいッス。ウチの学校って人数多いですし、どこかで入れ違いになってたりするのかなぁって……」


 確かに、世渡の言う通り、召喚された人数が多いし、全校生徒が一度に集まったとしても、その中から捜している人物を見つけるのは難しい。

 おまけに、常に全校生徒が集まるわけでもないので、なお見つけるのは難しかった。

 それでも、半年以上経ち、未だに見つけられないということはないと思うのだが……。


「なぜ、そのせいちゃんを探しているんだい?」

「せいちゃん、友達少ないッスから……こんな時、困ってるんじゃないかと思って。それに、昔、助けられたッスから……ほら、その……恩返しッス!」


 そう言う世渡は、なぜか頬を染め、そう言い切った。

 ……なぜだろう。今、私の中で、強敵が目の前に現れたような気がしたんだが……。


「まあいいッス。ウチは、まだこれから捜してみるッス。生徒会長さんたちも、もしせいちゃんを見かけたら、『あいりん』が捜してたって伝えて欲しいッス」

「あ、あいりん?」

「んじゃ、そう言うことで!」


 世渡はそれだけ言うと、再びせいちゃんとやらを捜し始めた。


「……何というか、元気だな。彼女は……」

「……そう……ですね……」


 翔太は、妙に歯切れの悪い返事をしたので、私は翔太のほうを向くと、何やら思案顔でぶつぶつと呟いていた。


「……まさかアイツのことじゃ……いや、でも……」

「……」


 よく分からないが、翔太には、せいちゃんとやらに思い当たる人物がいたのだろう。

 未だに考え続けている翔太を連れ、私は次の授業へと向かった。

 ――――そして、私と『彼』の再会が近いなど、このときは夢にも思わなかった。


◆◇◆


「えーっと……」

「どうじゃ!?」


 俺……柊誠一は、目の前で鼻息を荒げるバーナさんを相手に、どうすればいいか悩んでいた。

 バーナさんが俺に告げた内容は、俺をバーバドル魔法学園の講師として、招きたいということだった。


「あの……どうして俺なんでしょうか?」


 そう、まずはそこが気になる点だった。

 魔法だって、バーナさんが【魔聖】と呼ばれるくらい、すごい人らしいし……。

 しかし、俺の質問がおかしかったらしく、バーナさんはきょとんとした表情を浮かべた。


「何を言っておるんじゃ、誠一君。先ほどの、魔物を全滅させた魔法は、君オリジナルの魔法じゃろう? あそこまで強力かつ精密な魔法で、しかもオリジナルというのじゃから、君はワシを優に超越しておるよ」


 ナンテコッタイ。

 どうやら俺は、『超越者』を超越したらしい。もうソレ、なんて言えばいいの? 『超・超越者』?


「ま、まあ、バーナさんの言いたいことは分かりました……」

「それじゃあ、講師として来てくれるのか!?」

「ち、ちょっと待ってください! それはまだ、決めれません!」

「なぜじゃ? お金なら、しっかり払うぞ?」


 いや、正直お金はどうでもいいんだが、それでも今すぐこの場を離れるわけにはいかない理由がある。


「まず、俺はルイエスに、ルイエスが王都に帰ってくるまでの間は、王都から出ないことを約束しています。ですから、最低でも……1週間はこの王都から離れることができません」

「むぅ……なるほど、ルイエスとそう言う約束しておったのか……誠一君の強さを信頼したからこそ、あの王の身の回りから離れることのないルイエスが、『黒の聖騎士』のもとへ向かったのじゃな……」


 そう、ルイエスは俺に街の守護を任せてきた。

 ……まあ、俺の守りなんて必要ないんじゃね? と思うくらい、変態共が強かったわけだが、それはそれとして、ルイエスは俺を信頼してこの街を任せたのだ。なら、帰ってくるまでしっかり待っているのが、その信頼にこたえることだろう。


「あと、俺は、ここにいるサリアたちと離れたくありません」


 そう、一番の理由は、俺が講師として学園に行くことで、サリアたちと離れることだった。

 正直、翔太たちのことも気になるし、学園に行きたいという気持ちはあるが、それでも、サリアたちを置いて行くという選択肢は俺にはない。

 でも、誘われているのが俺だけなのだから、サリアたちを連れて行くわけには……。


「そう言うことか。なら、サリア君……でいいかい? サリア君は生徒として。そちらの冒険者の少女は……先ほどの戦闘を見たところ、十分ワシの学園で戦闘を教えられる技量にあるし、誠一君と同じように講師として。魔物を蹴り飛ばしておったお嬢さんは、生徒でもいいし、講師としてでもいい。ワシの学園は、常に優秀な人材を求めておるのじゃ。今更講師や生徒が何人増えようが、関係ないんじゃよ」


 バーナさんの提示した内容に、サリアたちも目を見開いて驚く。

 ただ……。


「あの……この子……オリガちゃんはどうですか?」

「むぅ……少々幼すぎるのじゃが……そう言えば、魔物を倒す前、ランゼに聞いたのじゃが、この少女がランゼを暗殺しようとしたんじゃったな?」

「えっと……そうです」

「ふむ……ルイエスの警戒を抜け、暗殺する腕を持つか……。なら、オリガちゃんは、誠一君のお手伝いをすればよい。これならどうじゃ?」

「えっと……そこまでしてくださるのなら、俺としては問題ないのですが……」


 ふと後ろで話を聴いていたサリアたちに視線を向ける。


「私は全然大丈夫だよ! 学校ってなんだか面白そうだし!」

「オレも別に構わねぇよ。……まあ、誠一の居場所が、オレの居場所みたいなもんだしな……」

「私はもとより主様の騎士。どこに行こうが、私は付き従うまでだ」

「……ん。誠一お兄ちゃんたちがいるなら、私も行く」

「なら決まりじゃな! 誠一君が言っていた通り、ルイエスが帰ってきてからの出発になると思うが、それでよいか?」

「はい、大丈夫です」


 何とか、サリアたちも学園に行けることになり、ルイエスたちが帰ってきたあと、出発することになった。

 ただ、バーナさんはバーナさんで、ランゼさんに用事もあったらしいので、ルイエスが帰ってきたからと言って、すぐに出発するかどうかは分からないそうだ。

 出発するまでに、いろいろと準備をしないとな。

 それこそ、お世話になった人たちに挨拶はしておかないと。


「よし、それじゃあ、ワシらも報酬とやらを貰いに行くとするかのぅ」


 バーナさんは、どこかほくほく顔で、王城へと歩いて行った。

 ……思いがけないところで、翔太たちと再会できそうな機会がきた。

 カイゼル帝国は、何やら不穏な動きがあるし、しっかりとこの目で翔太たちの安全を確かめたいのだ。

 それとは別に、講師としての形だが、半年ぶりの学園生活というのにも少し興味がある。

 サリアたちも一緒なわけだし、地球のころ以上に充実した学園生活になることは間違いないと思うんだがな。

 そんなことを考えながら、俺たちも報酬をもらうため、王城へと向かうのだった。

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