開戦
お待たせして申し訳ございません。
3巻が無事発売いたしましたので、もし書店で見かけた際には、お手に取っていただけると幸いです。
では、どうぞ。
「これは……」
私――ルイエス・バルゼは、目の前に広がる光景に、思わず眉をしかめた。
「うひゃー……とんでもない数ですねぇ」
「そうだね……。まさに埋め尽くされたって感じだね」
私の部下であるローナと、クラウディアの二人が、そろって同じように目の前の光景に圧倒されていた。
私たち『剣聖の戦乙女』が、『黒の聖騎士』の要請を受け、こうしてウィンブルグ王国の国境付近である小高い丘に辿り着いてみれば、もうすぐそこという距離に丘の下を埋め尽くす魔物の群れが存在していたのだ。
さらに、王都の兵士から連絡が入り、王都の方にも何故か魔物の軍勢が押し寄せているらしい。
そのことを知ったときは、急いで帰ったほうがよいのでは? とも考えたのだが、陛下の恩師であるバーナバス様がちょうど陛下のもとに訪れていたことや、多少難のある方々が集まるとはいえ、実力的には信頼できるギルドの冒険者たち、そして何より、私の師匠が王都に構えていることを思い出し、私の不安は一切なくなった。本当に運がよかったのだろう。
『フム、なかなか圧巻であるな』
「……そうですね」
男とも女ともつかない、魔法によって加工された声がかけられる。
その声の主は、私の隣に並び立ち、同じように迫りくる魔物の群れを眺めた。
ふとそちらに視線を向ければ、目に飛び込んでくるのは『黒』。
2メートルを越える巨体に、武骨で威圧感溢れる漆黒の全身鎧。
背負っている大剣は、私の身長を優に超えていた。
私の隣にいる人物こそ、同僚にして、私と並び立つ騎士の一人――――『黒の聖騎士』その人だった。
ちなみに、私どころか、陛下ですら『黒の聖騎士』の本名を知らず、性別も年齢も何もかも不明な謎の多い人物だ。ただ、身長を考慮すると、男であると思うのですが……。
「それで? もう他の魔物は倒し終えたのですか?」
『無論。魔の眷属どもは、我が漆黒の炎にて輪廻の輪にすら帰れぬほどに焼き尽くしてくれたわ』
「……」
何を言っているのか分かりません。
他の場所にいた魔物を完全に倒してここに来た、と解釈していいのでしょうか? ……まあ、ここにいる時点でそうなのでしょう。
『ときに、ルイエスよ。主は陛下のもとへ戻らなくてもよいのか? 王都に魔の眷属どもが進軍しているのであろう? 主がいなければ、王都は混沌の底へ堕ちるやもしれぬぞ?』
「……それについては大丈夫です。たまたま陛下のもとを訪れていたバーナバス様をはじめ、ギルド本部に在中の冒険者たちが手伝ってくれるでしょう」
『ほう? あの超越者たるバーナバス様がおられるのか。それなら安心であるな』
「それに……」
『ム?』
「私の師匠もいますから」
『なんと……ルイエスの師匠だと……?』
私の言葉に、黒の聖騎士は驚いた声を出した。
『ルイエス。主に師匠がいたのか? 我はてっきり、地獄の修練の果て、その力を手に入れたと思っていたのだが……』
「いえ、つい最近の話です。師匠は、本当にお強いですから」
『ルイエスがそこまで言う者か……』
黒の聖騎士はそう言うと、腕を組み、唸った。
そんな雑談を軽くしていると、クラウディアが私に告げる。
「ルイエス様。そろそろ動かなければ、近くの集落などに被害が……」
「そうですね。そろそろ動き出しましょう」
私はそう言うと、静かに腰に差してあった細剣を抜き放った。
『相変わらず美しい剣身であるな……』
私の剣を見て、黒の聖騎士は感嘆の溜息をもらす。
『水神の細剣』。それが私の神話級武器であり、魔法が使えない私でも、水属性に限り、最上級まで魔法が使えるようになるといった効果を持っていた。
いえ、この剣の場合、魔法が使えるという言葉はあっていないかもしれません。
単純に魔法が使えるようになるのではなく、魔力を剣に流すことで、最上級レベルの威力を持つ水を剣身に纏わせることができるのです。
早速私は剣に魔力を流し始める。
『……魔法の使えない者の魔力量ではないな、ルイエス』
「黒の聖騎士。アナタも戦う準備をしてはどうですか?」
いつまでも見られるというのは居心地の悪いもので、私は思わずそう返してしまった。
『すまないが、思いのほか他の場所の魔の眷属どもが多かったため、さほど活躍はできぬぞ? ただ、我の漆黒の炎で、主たちのことを護ってやる程度には力は残っているが……ルイエスには必要ないかもしれんがな』
「いえ、助かります。――――では、参ります」
私はそう言うと、一気に駆け抜けた。
『あれは走るというより、飛んでいるような……まあ良い。我も行こうか』
背後でそんな声が聞こえると、突如、丘の上を覆い尽くす漆黒の炎が吹き荒れた。
丘の上には、ワルキューレの隊員たちや、他の兵士たちがいるのだが、私は全く心配をしていなかった。
なぜなら、その漆黒の炎は、我々には一切害がないのですから。
『さあ、魔の眷属ども。死の足音は聴こえるか?』
そう言うと、黒の聖騎士は漆黒の炎を纏いながら魔物の群れへ突っ込んだ。
「ワルキューレ……突撃!」
背後でクラウディアの掛け声も聞こえ、その声をきっかけに、一斉にすべての兵士たちが丘を駆け下りるのが気配で分かった。
「さて、早く終わらせて、師匠たちのもとへ帰りましょうか」
まだまだ学ぶべきことが、たくさんあるのですから。
◆◇◆
俺――――柊誠一は、サリアたちとともに、王都の門付近に、他の冒険者たちと同じように集まっていた。
「すごい人数だな……」
思わずその場に集まった人間の数に、俺は驚く。
つい先ほど、この国の王であるランゼさんによる放送が行われ、魔物の群れの存在を伝えられたのだ。
だが、驚くほどにこの街の住人は焦っていなかった。
なので、国の兵隊さんたちの指示に従って、王城内へ避難を開始するときも、緊急事態とは思えない態度と速度でスムーズに移動が終了したのだ。
移動する前、俺たちの泊まっている宿屋のオーナーである、フィーナさんたちにそのことを訊いてみると……。
『だって、この国の兵士は優秀だもの。それに、私たちができることなんて、兵士たちの言うことを速やかに実行するくらいでしょう?』
『そうよ! 焦ったら兵隊さんたちに迷惑をかけるもの。ギルド本部もあるし、そこまで不安じゃないわ。だって、兵隊さんたちがダメだったら、結局私たちも助からないんだもの。騒ぐだけ無駄よ』
『ははは。メアリは少し極端すぎる気もするけど、だいたいそんな感じかな? それよりも、誠一君たちは冒険者だから魔物と戦うことになると思う。でも、無理をしちゃいけないよ? ダメだと思ったら、ちゃんと逃げること。いいね?』
という回答をもらった。ライルさん、男性なのに、一番母性を感じましたよ。
「しっかし、魔物の侵攻か……なんだかピンとこないな……」
思わずそう呟くと、近くにいたアルが答えた。
「オレも、そこそこ長い間冒険者として活動してるけどよ、5000だなんて数の魔物を相手にするのは初めてだぜ」
「やっぱり珍しいことなのか?」
「そりゃあな。もちろん、群れを作る習性がある魔物ならおかしくはねぇけどよ、今回の侵攻は話を聞けば、多種多様な魔物がいるらしいじゃねぇか。だから、珍しいし、不思議なんだよ」
「ふーん……」
そんなものかと思っていると、サリアが握り拳を作って俺に言う。
「誠一っ! 頑張ろうね!」
「おう、そりゃあもちろん!」
サリアは俺の言葉を受けると、笑みを深め、シャドーボクシングのようなことを始めた。……本当に拳で戦うんですか? いや、人間状態のサリアで、戦っている姿は見たことないんだけども……。
そんなことを思いつつ、不意に視線を移すと、何やら異様な雰囲気を漂わせているルルネの姿が。
「お、おい。どうした? ルルネ……」
その雰囲気が、並ならぬものだったため、俺は思わず気圧されながらそう訊いた。
「……主様。私、気付いたんです」
「な、何に?」
「魔物どもが、この王都を襲えばどうなるのか……」
「それで?」
「王都には、まだまだ主様と一緒に食べていない、美味しい食べ物がたくさんあります。それなのに、魔物どもが王都を襲ったりなんかすれば……その美味しい食べ物が、食べられなくなってしまうんですよおおおおおおおおおお!」
「結局食事が第一なのね」
俺の後悔ベスト10の中に、ルルネに人間の食べ物を与えたことがランクインする日も遠くないかもしれない。
「美味しい食べ物のためならば、私は神をも蹴り殺そう」
「本当にできそうなところが怖いよね」
神様がコイツから食べ物奪ったら、力ずくでぶっ飛ばしに行きそうだよね。アレ? コイツ、ロバダヨネ?
顔が引きつるのを止めることができずにいると、突然俺のローブが引っ張られた。
「ん? どうした? オリガちゃん」
実は、今回の魔物の群れを討伐する依頼に、オリガちゃんも来ていたのだ。
それも、オリガちゃん本人がやりたいといったのだ。
「……誠一お兄ちゃん。私、頑張る」
「おう、そうか。でも気を付けてな? オリガちゃんが傷ついたら嫌だからな?」
「……ん。でも、頑張ったら、なでなでして?」
「お、おう!? よ、よし、任せなさい!」
不意打ちであるオリガちゃんの上目遣いに、どもりながらも何とかそう答えると、オリガちゃんは微かにだが、嬉しそうに笑った。
「ハハハ! 誠一君、準備はできたかい?」
他の冒険者たちに紛れ、そんな会話をしていると、ガッスルが俺たちのもとにやって来た。
だが、全然戦うといった格好をしておらず、相変わらずブーメランパンツ一丁である。
「ガッスルも本当に戦うのか? ギルドマスターなのに……」
「もちろんではないか! この王都テルベールの危機に、私がただ座っているだけなはずがないだろう?」
「本音は?」
「私の肉体美を見せつけるチャンス……!」
「そんなことだろうと思ったよっ!」
いや、でもギルドマスターだからこそ、前線で戦うことに意味があるのかもしれないな。肉体美がどうとかって言うのも、冗談なんだろうし。
「まあ、個人がどうであれ、皆の最終的な気持ちは同じだと私は思っているよ。このテルベールの危機を救いたい……それは、変わらないはずなんだ。だからこそ、迫りくる害悪を共に倒そう!」
「ガッスル……」
「この騒動が終了すれば、より一層我々ギルドの冒険者たちは欲望を解放することになるだろうがな!」
「ナゼに!?」
「国から多くの報酬が貰えるのだ。それに、国を救った英雄的扱いにもなるわけだ。それはそれは、日ごろ兵隊さんたちによって取り締まられていた欲望を解放しやすくなるというモノだよ」
「魔物よりお前らのほうが害悪じゃねぇかっ!」
「ハハハハハッ! 諸君! 欲望を解放するのだ! イッツ、マイ、ジャスティィィィイイイイイス!」
「あっ、ちょっ……逃げんなよ!」
ガッスルは、言うだけ言うと、うさぎ跳びをしながらその場から去って行った。
……この騒動が終わったら、次の討伐対象はギルド本部の冒険者たちだな。
俺は、心にそう決めた。
そのあとも、サリアたちと会話をして過ごしていたときだった。
突然、魔法による放送が、その場に響き渡った。
『魔物の群れが、姿を現しましたッ!』
その放送の直後、場の雰囲気が徐々に盛り上がっていくのが分かった。
そして、先ほどの放送に続ける形で、新たな情報が飛び込んでくる。
『そ、それと……魔物の推定ではありますが、平均ランクが……え、Aランク、だそうです……』
その放送が流れた瞬間、一瞬にして、その場を静寂が支配した。
それもそうだろう。Aランクは、アルが5人で討伐できるレベルらしいからな。
しかも、この街には、Aランク冒険者のアルを除けば、Bランクすらおらず、あとはすべてCランク以下の冒険者たちしかいないのだ。
これは、さすがに絶望するしか……。
「なお燃えてきたぜええええええええ!」
「よおおおおおおおおし! 魔物どもに制裁をおおおおおおおおおおお!」
「俺たちの住む街を狙って、無事でいられると思うなよ……!」
「破壊だ……俺に壊させろおおおおおおおおお!」
オカシイ。絶対にオカシイ。
コレ、魔物ノ群レニ襲ワレル街ノ雰囲気ジャナイヨ。
思わずそう内心でツッコみながら呆然としていると、バーナさんが俺のもとへやって来た。
「ホッホッホ。流石、ギルド本部の冒険者たちと言ったところかのぅ。Aランクの魔物程度では、恐れもせぬか」
「バーナさん。あの……それって、どういう意味ですか?」
「どういう意味、と言われてものぅ……おっと、どうやら先鋒隊として、ガッスルたちが突撃するようじゃぞ?」
「え!?」
驚いて、門の外側を見ると、ガッスルや、エリスさんといった、見知ったギルドの冒険者たちが仁王立ちしていた。
しかも、いつの間にか、魔物の群れすら、目視できる距離に近づいている。
「フム……5000と聞いておったが、その倍近くいるようじゃのう……」
不意に、バーナさんが上空を眺めながらそう呟いたので、同じ方向に視線を向ければ、王都カップで使用されたカメラと同じもので撮影された映像が、その場に投影されていた。
そこには、大量の魔物の軍勢が、一斉に駆け抜けてくる映像が映し出されている。
「圧巻じゃのぅ。Aランクどころか、Sランクも多くおるではないか」
内容は厳しいはずなのに、なぜかバーナさんの声音は全く焦りを感じさせなかった。
「あの……どうしてそんなに落ち着いていられるんですか?」
やっぱり、バーナさんが超越者という数少ない化物的存在だからだろうか? まあ、俺も化物なんですけどね!
「なに、ガッスルたちを見てみなさい。先ほどの質問と一緒に、その答えも教えてあげよう」
「?」
頭に大量の疑問符を浮かべながら、ガッスルのほうに視線を向ける。
すると、ガッスルはその場でマッスルポーズをとりながら、言い放った。
「私の筋肉に、傷をつけられるかな?」
その言葉を発した瞬間、ガッスルはその場で飛び上がり、上空から魔物の群れへと突っ込んでいった。
「なっ!?」
その光景に思わず絶句していると、ガッスルが飛び込んだ周囲の魔物たちが、一斉に打ち上げられた。その数、約10体。
「ハハハハハハハハハ! 高ぶる筋肉! 唸る筋肉! 荒ぶる筋肉! 私の筋肉が、多くの人に見られ、歓喜しているぞ!」
ガッスルは、高笑いしながら、その流れで、他の魔物を次々と殴り飛ばしていく。
すると、さすが高ランクの魔物というだけあり、知能も高いらしく、魔物たちは連携をとりながらガッスルと戦い始め、ついに一斉にガッスルの体に牙や爪といった、凶悪な攻撃が与えられた。
だが――――。
「ぬるい……ぬるいぞ! そんな攻撃で、私の筋肉に傷をつけられると思うなッ!」
ガッスルは、いとも容易く、攻撃を加えてきた魔物たちをなぎ倒していった。しかも、ガッスルの体には、切り傷一つ付いていない。
デタラメなその光景に、唖然としていると、バーナさんは冷静に教えてくれた。
「ガッスル・クルート。彼は、今でこそギルド本部のギルドマスターとして、冒険者たちを取り締まってはいるが、その高い防御力と圧倒的力によって、数々の高難易度の依頼を完遂してきた、元S級冒険者じゃよ。その戦い方から、人々は彼を【鉄人】と呼んだのじゃ。ほれ、映像を見てみなさい」
バーナさんに促されるまま、再び映像のほうに視線を向けると、エリスさんの姿が映し出されていた。
エリスさんは、受付嬢の姿ではなく、ボンデージ姿で、牛追い鞭と呼ばれる、長い一本の鞭を構えていた。
「オーホッホッホッホッ! さあ、卑しい家畜たち! わたくしの前に跪きなさいっ!」
そう高らかに叫ぶと、エリスさんは鋭く鞭を振るった。
パアアアアアアンッ!
そんな、激しい破裂音が聞こえると、次々と魔物の体が弾け飛んでいく。
「んんっ! いいですわっ! もっと、もっと悲鳴をくださいなっ!」
パアン! パアン! パアン! パアン!
連続で鳴り響く破裂音。エリスさんが鞭を振るうたびに、必ず魔物の体のどこかが吹っ飛んでいるのだ。
「つまらないですわね。わたくし、Mでもイケますのに……」
エリスさんは、残念そうな表情を浮かべながらも、頬は上気し、恍惚とした様子にも思えた。
「エリス・マクレーヌ。彼女は受付嬢として働く以前は、【受攻の令嬢】と呼ばれ、恐れられた元S級冒険者じゃ。受付嬢として活動を始めるも、その実力は未だ衰えておらぬようじゃのぅ」
「な……なっ……」
俺は、開いた口が塞がらなかった。
いや、あの、うん。ヤベェ、全然頭の中が整理できてない。
だが、そんなことを知らないバーナさんは、追い打ちをかけてきた。
「ほれ、あの二人を見て見るのじゃ」
次に映し出されたのは、あのロリコンと露出狂の二人組だった。
ちょっと待て。まさか、この二人も――――。
「まったく、不届きな連中ですな」
「そうですな、スラン氏。幼女たちが、怯えてしまうではありませぬか」
「私も、こんな事態ですから、誰も私の全裸を見てもらえないのですよ」
「何はともあれ、ヤツらさえ倒してしまえば……」
「ええ、あとはいつもの日常が……」
二人は一度顔を見合わせると、魔物の群れに向かって、言い放った。
「「だから、貴様らは死んでくれ」」
まず、ロリコンのオッサンは、両手にそれぞれ片手剣を握り、素人目に見ても分かる流麗な動きで次々と魔物を切り刻み始めた。
「貴様らのせいで、幼女が怖くて眠れなくなったらどうするのだああああああああっ!」
まさに、剣の舞。
高ランクの魔物たちでさえ、その動きについて行けず、どんどん数を減らすばかりだった。
「では、私も……とうっ!」
そして、露出狂のオッサンは、なぜか服や装備をすべて脱ぎ去り、魔物の群れへとダイブした。
「フレイム……ボディィィィイイイイイイ!」
すると、魔物の群れと衝突する瞬間、オッサンの体は激しく燃え始めた。
その炎を受けた魔物は、次々と灰燼と化していった。
「まだまだ! 私の体を見ろおおおおおおおおお!」
その後も、雷を纏ったり、氷を纏ったり、光を纏ったりなど、様々なモノを全裸に纏いながら、オッサンは魔物を駆逐していった。
「【幼子の守護者】ウォルター・ベラットと、【包み隠さぬ者】スラン・アルガード。彼らは、それぞれパーティを組んでおり、ウォルターはその流麗な剣術で、スランは斬新な魔法で、次々と依頼をこなしていく実力者じゃよ。ただ、上のランクに上がれば上がるほど、冒険者には品性が求められるため、彼らは常にCランク止まりなのじゃよ」
もう、お腹いっぱいです。
俺は白目になりながら、バーナさんの話を聞くしかなかった。
他にも、いろいろなギルド本部にいる冒険者のことを聞いた結果、彼らはランクこそ低いが、実力的にはS級に匹敵する者すらいるらしい。
その話を聞いて、俺の感想を一つ言わせてくれ。
「お前ら何なの!?」
変態ギルドは、最強ギルドでした。
【幼子の守護者】ウォルター・ベラット……ロリコン紳士。
【包み隠さぬ者】スラン・アルガード……露出狂。