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ハーレム100 作者:松宮星

勇者世界

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ぷるんぷるん    【アナベラ】(※)

 オレとジョゼとサラは、お師匠様の移動魔法で跳んだ。

 今日は、王城に来たらしい。

『らしい』って推測なのは、周囲が見えないからだ。

 今日も、オレは目隠し勇者なのだ。

 ツンデレ魔術師にうっかり萌えちまって、オレは、天才魔術師シャルロットちゃんを逃している。
 ノー・モア・サラというわけで……お師匠様がオレに目隠しをするんだ。
 外へ行く時は、必ず、目隠し。
 そのへんの娘さんや、奥さんや、お子様に萌えないようにって配慮なわけだ。
 うざ。何もかんもサラのせいだ。

 つったら、
『ア、アタシの、せいじゃない! あ、あんたが、アタシに惚れたのが悪いんだからね!』と、ツンデレ魔術師にすごい勢いで殴られた。くそぉ……

 ジョゼに手をひかれるままに、廊下らしき場所を進む。
 辺りはシーンとしていて、オレらの靴音ばかりが響き渡る。人払いがされているんだろうか?
 王城に来たんで緊張したんだろう、ジョゼの手は汗ばんでいた。
 落ち着かせてやりたくって、ぎゅっと握りしめたら、ますます汗ばんでしまった。
 ジョゼ、内気だしなあ。がんばれ。

 しばらく歩いてから、背後で扉が閉まる音がした。どうやら部屋に入ったらしい。

「ジャン君、もう目隠しは不要だ。ここには我々しか居ない」
……どっかで聞いた声がした。

 目隠しをとると、予想通りそこには……
 金の巻き毛の、気障ったらしい衣装のキモ男が、スカしたポーズで立っていた。

 シャルルじゃねえか! 何でおまえが、ここに!

 お貴公子様は、まずお師匠様、つづいてジョゼ、次にサラに対してまで、片膝をついて右手の甲に接吻しやがった。

 おぃおぃおぃ!
 何で手を振りほどかないんだよ、サラ!

 お貴族様はオレに対しても、気さくな笑顔を向けてくださりやがった。

「国王陛下のご指示により、今日と明日、君の仲間探しに協力する」

 はぁ?

 何で?

「私はジョゼフィーヌ様の婚約者。オランジュ伯爵家と親しい間柄だからね。案内役に最適だろ?」

『へー、婚約者』と、小声でサラがジョゼに話しかける。『なかなか美男子じゃない』て……おまえ、男を見る眼が腐っているぞ!
 それに対して、ジョゼはぷるぷるとかぶりを振って必死に否定していた。

 そうだよな! 嫌だよな、ジョゼ!
 こ〜んなムカつく野郎、オレのかわいいジョゼにふさわしくない!
 おにーちゃんが守ってあげるからな!
 野郎が接近しようとしたら、間に入ってやる!

 キザ男に促されるままに、オレらは椅子に腰かけた。

 これからメイン武器が剣の女性を、一人づつこの部屋に連れて来るのだそうだ。
 家柄やら技量やら容姿やら年齢やら、さまざまな条件を考慮した上で、ふさわしいと思われる者から順に案内するとも言った。

 なのに……
 最初に入室して来たのは、男にしか見えない顔の、がっしりとした体型の女騎士。オバさんだった。
 萌えツボはピクリとも反応しない。
 次も似たような女性、その次も、横幅がたいへんある女騎士だった。

 若い美女はいねえのかよ。
 ゴツイのばっか連れてきやがって。

 だが、しばらく見てて、気づいた。
 鎧が徐々にショボくなっていく事に。
 三番目までの女騎士は、魔法金属の鎧をまとっていた。
 それから、部分的に魔法金属を使用した鎧となり、魔法金属と鋼の合成鎧となり、鋼の鎧となっていった。

 身分の高い女性、役職付きの者、戦士ギルドの最高格の戦士。そういった『実力者』から順番に紹介しているのだろう。
 容姿うんぬんとか言いやがったが、多分、それは、考慮してない。
 やっぱ、ムカつく、シャルル。

「高貴な女性には、ときめかないのかね?」
 二十人ほどと対面した後で、貴公子野郎はそんな事を尋ねていらっしゃった。 

 そこそこいいかなあと思った女騎士もいた。でも、全然キュンキュンこねえんだもん。一応、名前は控えといたけど。

「君はシャルロットを振ったし……庶民的な女性の方がいいのかもしれんな」

 ん?

 何で、天才魔術師シャルロットちゃんの名前がそこで?

 シャルルの野郎がいけすかない顔で、サラに微笑みかける。

「大輪の薔薇のように艶やかな我が妹シャルロットと異なり、サラさんは野に咲くデイジーのように可憐な方だ。庶民にも捨てがたい魅力があるようだ」

 妹……?

 いもうとぉ……?

 シャルロットちゃんがシャルルのぉ、いもうとぉ〜〜〜〜〜?

「………」

 はっ。

 一瞬、頭が真っ白になってしまった。

 シャルロットちゃんを仲間にしそこねて良かったのかもしれん……
 仲間にし損ねたのは、とても、とても、とっても残念だが、そう思う事にした。

 しばらく、どーでもいいようなムキムキの女性と対面し……

 それから、オレは……
 運命の女性に出会った……


 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……


 心の中でリンゴ〜ンと鐘が鳴る。
 欠けていたものが、ほんの少し埋まっていく、あの感覚がした。

《あと九十六〜 おっけぇ?》
 と、内側から神様の声がした。


「新たな仲間はあの戦士か……」
 お師匠様が、あきれたようにつぶやき、

「えっち!」
 サラがオレを杖でぶん殴った。

 すっごく痛い!

 痛いけど……いい……

 男の理想のような女戦士に会えたのだ! 我が人生に悔いなし!

 んで、当の女戦士は、

「やったー!」
 バンザーイと両手をあげて、ぴょこぴょこと飛び跳ねていた。

 真っ赤な髪が揺れ、ぷるんぷるんと胸とお尻も揺れる。

 おぉぉぉぉぉ……

 至福! 絶景!

「この、スケベ!」

 サラが杖を振りまわす。

 痛ぇぇッ!

「何でオレだけなんだよ! シャルルも殴れよ!」
 スケベ貴公子が、慌ててハンカチで口元を隠した。が、鼻の下は伸びきってた。見逃さなかったぞ。

 ふっふっふ。
 スカしていても、男は男……

 やっぱ、ビキニアーマーは男の夢だよな!

 つーか、布地も鎧部分もほとんどないし!

 局部はしっかりガードされてるけど、ぷるるんな胸も、ぷりんぷりんなお尻も、ほぼ! 全部! 露出!

 あぁぁぁぁ……こんな夢のような装備している女戦士に初めて会った……
 こんなの着る人、本当に、いたんだ……

「アナベラでーす。こー見えても、十才からバリバリの傭兵やってきましたー めっちゃ強いでーす。期待していいよぉ」

 あぁぁぁぁ……頭も軽い……
 ステキだ……

 胸とお尻にばかり目がいってしまうが、か・な・りの美人だ。大きな緑の目で、コロコロ笑う笑顔がすっごく可愛い。真っ赤な髪は、ちょっぴり巻き毛で胸が隠れるぐらいの長さだ。

「そんな格好で……」
 ジョゼが心配そうに、赤毛の女戦士を見つめる。
「おなかを壊しませんか……?」

「壊したよー」
 あっけらかーんとアナベラが答える。
「でも、もう平気。おなか、丈夫になったみたい」
「まあ、おなかを鍛えてらっしゃるのですね……ご立派です……」と、ジョゼがズレた事を言う。

「あんた、何でそんな格好をしてるのよ?」
 鼻の頭を真っ赤に染めて、サラがアナベラに詰め寄る。
「鎧、つけなさいよ! 服、着なさいよ! 恥ずかしくないの?」

「恥ずかしかったよー」
 これ又、あっけらかーんと女戦士が答える。
「でも、もう慣れた。このカッコウ、注目の的になるから、いいんだよー」
「慣れるなッ!」と、サラが怒鳴る。相手が女性なんで、殴りはしなかったが。

「注目されたいのか?」と、お師匠様が尋ねると、
「うん」と、ビキニ戦士は頷いた。

「あたしね、強いんだよー お仕事、失敗したことないし。でもね、戦士ギルドのランクちっともあがらなかったのー 傭兵の仕事もね、面接でよく落とされるし、指名もあんま入らなかったの。困ってたのー」
 それは、君のオツムがちょっと足りなさそうだからだろう、たぶん。
 いや、ちょっとどころじゃないか。

「だからねー どーしたら売れっ子傭兵になれるか、有名な占い師さんに相談したんだー」
 占い師と聞いて、サラがぴくっと反応する。

「占い師さんが、ビキニアーマーを作ればいいって教えてくれたのー ここは勝負! って時に着れば、絶対、勝てるんだって。だから、あたし、なけなしの貯金をはたいて、このアーマーを特別注文(オーダーメイド)したんだー」
 えへへと女戦士アナベラが笑う。

「占い師さんの言った通りだー 今日さ、お城に、百人以上、女の人が集まったのに、あたしが優勝したんでしょー? ビキニアーマーのおかげだー も〜嬉しいー!」

 いや、優勝はしてないから。
 てか……ああああ、又、跳びはねちゃって、ぷるんぷるんじゃん!

「ねえ、相談した占い師って……もしかして、イザベルさん?」
 サラの問いに、アナベラが大きく頷く。
「うん、そーだよ。魔術師さんも、占い師さんのファン?」

「ファンというか……アタシが魔術師になったのも、イザベルさんの勧めで……」

 そう聞いてアナベラはニコ〜と笑うと、サラの手をとり、ぶんぶん振りまわした。『やったー! なかま、なかま♪』と。

「勇者さまー あのねー イザベルさんにたのまれてるのー 勇者さまの、仲間になれたらねー 次の日の夜にイザベルさんのお店に、みんなをつれてきてくださいって」

 へ?

「女占い師イザベルさんは、この国一の占い師なの」
 サラが説明する。
「失せモノ探しなんか百発百中だし、迷宮入り事件を解決してもいるわ。それから、その……こッ、恋のキューピットと、して、カップルを、成就……ううん! ともかく凄い占い師さんなのよ! 明日の夜、時間をあけてくれるって言うのなら会いに行きましょう!」

 明日の夜には、聖女マリーちゃんと合流したかったんだが。

「マリーとは心話で連絡がとれる」
 と、お師匠様。
「マリーが目的地に着くのは明日の夕方か夜だ。悪霊祓いは明後日以降だな」

「なら、急ぐ事ないわ! 合流は明後日にして、イザベルさんに会っとくべきよ! 勇者として、会って損はないと思う!」
 サラは目の色が変わっている。

 明日の夜、占い師に会う方向で話はまとまりそうだ。

「そろそろいいだろうか?」
 シャルルがオレに尋ねる。
「あと七十三人だ。次の方を連れて来たいのだが」

 え?

「けど、アナベラが仲間になったし……オレ、一ジョブにつき一人しか仲間にできないから」

「アナベラさんは、戦士として仲間になったのか? 傭兵としてか? 戦士と傭兵、両方の職業が埋まったのか?」

 う。

 そう聞かれても、オレにはさっぱり……

 救いを求めてお師匠様を見たけど、静かに頭を横に振られてしまった。
 お師匠様にもわからないのか〜〜〜〜

「それに、残っている女性の職業は、下級騎士、騎士見習、兵士、剣術師範、用心棒など多様だ。戦士や傭兵ばかりではない」

「………」





 結局、その日は夜中まで仲間選びが続いた。

 仲間にできたのはアナベラだけだったが……

 課題が終わらない〜〜〜〜と、サラは泣いていた。明日は仲間選びの場に『中等部の教科書を持ってって読む!』とも、わめいていた。

 まあ……ビキニ戦士が仲間にできたんだし、よしとしよう!

 魔王が目覚めるのは、九十七日後だ。
 明日も、萌えな仲間を増やすぞ〜! 


* * * * *


『勇者の書 101――ジャン』 覚え書き

●女性プロフィール(№004)

名前 アナベラ
所属世界   勇者世界
種族     人間
職業     ビキニ戦士・傭兵
特徴     ビキニアーマー! 露出狂ではない。
       明るくて、元気。あまり深く物事を考えない。
       腕っぷしは強いのに、
       傭兵として売れてなかった。
       占い師イザベルの勧めでビキニアーマーを作る。
       本当に着て歩くんだから、すげえよ。
       おなかは丈夫。
戦闘方法   両手剣
年齢    『あなたよりおねえさんよ』
容姿     見事な赤髪で目は緑。俺より背が高い。
       ぷるんぷるんの、ぷりんぷりん!
       アーマーは、大事な部分しか
       隠していない(ここ重要)。
口癖    『やったー』『えへへ』
好きなもの  注目されること
嫌いなもの  頭を使うこと
勇者に一言 『有名になりましょー!』
挿絵(By みてみん)
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