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ハーレム100 作者:松宮星

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伝説の魔術師?   【サラ】

 ダーツの矢は、【サラ】に当たりました!

※この章の各話は、それぞれ独立した話です。共通の設定もありますが、ストーリーに繋がりはありません。
「目を覚ましなさい、バカ!」
 いきなりの平手打ち。

「い、いつまで、寝ぼけてるのよ。しゃっきりしなさい!」
 往復ビンタ。

 てか、痛いよ!

「あ、あんたが、ふざけたこと言うからじゃない! 魔王を殴りに行って落下死とか、ほんと、もーバカ! あきれかえってたのに! 蘇生したら、い、い、いきなり……」
 サラの鼻の頭が、みるみる赤くなる。

「す、す、すき、だなんて……バカ言ってくれちゃって……」
 どんどん赤くなってゆく。

「バカじゃねえよ。サラ、おまえが好きだ。愛している。オレの真の伴侶になってくれ」
 サラの鼻の頭が、この上ないというほど真っ赤になる。
 体はコチコチで、ガクガク。
 緑の目を大きく見開き、口をパクパク。つーか、バクンバクン。
 せっかくの可愛い顔が、台無しだ。

「お前と一緒に生きていきたい……結婚してくれ」

 告白に対する答えは……
 左頬への右ストレート、それからボディブローの嵐だった……

 生き返ったばっかの人間にひどい……



暁ヲ統ベル(エターナル・)女王(マリー・)ノ聖慈掌(セインツ)陸式(ゼロシックス)!」
 マリーちゃんの声を、夢うつつで聞きながら覚醒した。
 陸式か……オレはわりと重傷だったらしい……
 魔王を倒せたんで、さっきオレは賢者になった。
 賢者は、不老不死。どんな大怪我を負っても死なない。木端微塵になっても、生前の姿のまま生き返る。
 だけど、肉体を再生すればひどく体力を消耗する。そして、何より……傷を負えば、痛いし、苦しい。感覚は、普通の人間と同じなんだ。
 今回は、マリーちゃんがアレな呪文で治してくれたんで、あまり疲労せずに済んだようだが。

 周囲を見渡した。
 まだ、魔王城のあった荒野にいる。
 仲間達に囲まれている。が、幼馴染と義妹の姿が見当たらない。
「サラとジョゼは?」
「あっちー」
 アナベラが右腕をあげ、遠くを指さす。
「魔術師のねーちゃんが照れてかっとんでったのを、武闘家のねーちゃんが追っかけてたんだよ」と、リーズ。

「王国軍は、間もなく到着いたします。その後、新賢者様は王宮まで戦勝報告に向かわれるのが伝統です……サラさんとお話をなさりたいのでしたら、どうかお急ぎください」
 メガネのフレームを持ち上げながら、セリアが言う。やけに固い表情で。

 お貴族様が、やれやれって感じにおおげさに溜息をつく。
「ジャン君。サラさんに謝罪し、仕切り直すと伝えてきたまえ。プロポーズは二人きりの時に、思い出となるような美しい場所ですべきだ。眺めのいい場所か……そうだな、サラさんの寝室を薔薇の花びらで埋め尽くし、眠り姫の目覚めを待ってからプロポーズするのもいい」
 臭そうだな、その寝室……

「新賢者さま。他の方がいらっしゃる所での大声の求婚は、世の女性の大多数は喜びませんわ。恥ずかしいですもの。プロポーズは、一生一度のこと。雰囲気づくりや贈り物も大切になさって」
 イザベルさんがうふふと笑って、オレをたしなめる。
 そういうものなのか……

「ちょっとサラと話して来る。王国軍が到着したら相手していてくれ、シャルル」
 オレは、金髪巻き毛野郎を指さした。
「おまえ、百二代目だから」

「なに?」
 唖然とした顔。いつもの格好づけを忘れ、シャルルが内面を表に出す。
「……私が百二代目勇者?」

「女神様に頼んで、次の勇者をおまえにしてもらった」
 勇者になりたがっていた事も、矜持の塊のようなこいつがオレに嫉妬していた事も知っている。
 外見や性格はかなりナニだが、根はいい奴だ。戦闘力も高い。
 賢者の館でこのバカと二人っきりになったら、げんなりしそうだけど……勇者システムは改革する。勇者は外と繋がらせる。
 ま、問題ないだろ。

 面食らった顔がおかしくって、笑っちまった。
「感謝しろよ、シャルル。これからは、オレのことを『お師匠様』と呼んでくれたまえ」
 おどけてそう言ってから、後は頼むとサラのもとへと向かった。

 祝福の声が、背後から聞こえる。
 アナベラ、マリーちゃん、イザベルさん、マルティーヌ先生は、普通に祝福してるっぽい。けれども……
「さすが、シャルル様! おめでとうございます! 素晴らしいです! 私のスポンサーが勇者だなんて、最高です!」
「こんなバカなスケコマシが勇者ぁ? ……この世界、終わったな」
「ま、誰が何になってもいいわよ。どうせ、もう縁が切れるし」
「………」
「勇者とは、強く、賢く、正義感に満ち、道徳的で、悪を憎んで人を憎まない、美しくも頼もしい方でなければいけないのに……。シャルルが勇者だなんて……ああああ、イメージが……」
「あらあらあら、お兄様、よろしかったですわね。憧れの勇者を、ジャン様から恵んでいただいて。図々しくも、魔王戦まで押しかけた甲斐がございましたわね」
 祝福されているんだか微妙なセリフが続く。

 背後は振り返らず、オレはサラのもとへと走った。



 地面に座り込んで、両手で顔を覆っているサラ、
 その肩や背に手をそえ何かを話しかけていたジョゼが、オレに気づく。オレに対しほわっと微笑んでから、義妹はサラの耳元にささやきかけた。
 ほんの少しだけ手を下げて、サラが上目づかいにオレを見る。目元も真っ赤になってる。
 みんなの前での告白は、やっぱマズかったか……

 まるでベルナ母さんのようにサラに優しく微笑みかけ、オレには聞こえない声でサラに何かを言ってから、ジョゼは立ち上がった。

「がんばってください……お兄さま……」
 すれ違いざまに、ジョゼがオレを励ます。
 愛らしい義妹の目は、赤い。
 泣いたばかりの顔だ……胸がキュンとした。
 しかし、その顔を見つめられたのはほんの短い時間だった。ジョゼは前だけを見つめ、歩いて行った。紫の小鳥がいなくなった左肩は少し寂しそうだが、しっかりとした足取りで、振り返らずに歩み去って行った。


 顔を半ば以上両手で隠しながら、サラは岩だらけの地面に座り込んでいる。

「ごめん」
 その前にしゃがむと、逃げるように視線をそらされた。

「バカ……」
 ポツンとつぶやきが聞こえた。
「うん、悪かった」
「バカ……」
「謝る。デリカシーが無さすぎた」
「バカバカバカ」

「ちゃんと仕切り直すから、許してくれ」
 えっと……
「眺めのいい場所か、バラの花びらで埋め尽くしたおまえの寝室でやるから」

「はぁ?」
 サラが両手を下げて、あきれたように目を丸める。
「何、それ? 寝室を薔薇の花びらで埋める?」
「ロマンチックだろ?」
「ぜんぜんっ! バッカじゃないの! 薔薇は高いのよ! 部屋いっぱいだなんて、幾らかかると思うの! 無駄使いだわ! それに、そんな大量の花びら、どーしろってのよ? 床に落ちたのなんて、ジャムにもできないわ。 ポプリ? 薔薇風呂? 何にせよ、余りまくりよ。掃いて捨てなきゃいけなくなるわ! もったいない!」
 さすが商人の娘……
「だいたい、寝室ってどういうことよ? あんた……アタシの寝てる部屋に忍び込む気?」
 サラの右手が、地面に転がっている杖へと伸びる……
 慌てて、真実を伝えた。
「いや、だって、シャルルが言ったんだ。プロポーズの場所は、バラだらけの寝室がいいって」
「なるほど……まあ、確かにあんたの発想じゃあないわよね」
 一瞬、間をあけてから、サラは特大の溜息をついた。
「バカねえ。シャルルさんみたいな美男子がやれば、そりゃあ薔薇部屋も絵になるだろうけど……あんたがやったって滑稽なだけよ。自分の頭で考えて、身の丈にあったプロポーズをしなさいよ」
 く……

 かわいらしい鼻は、まだ赤い。
 ストロベリーブロンドの髪に、ちょっとつりあがって見える緑の瞳、ふっくらとした頬、ピンクの唇。
 黙っていれば美少女のサラが、毒を吐き続ける。
「無神経、考え無し、バカ。少しはものを考えなさいよ。さっき、顔から火がふきそうなほど恥ずかしかったんだから。それに、あれじゃ、ジョゼは……」
 サラの声が、どんどん小さくなってゆく。
「……つらかったと思うわ。レイがいなくなって、あんたまでおかしくなっちゃって……なのに、あの子ったら、アタシに『おめでとうございます……良かったですね』だなんて……」


『愛しています、お兄さま……ずっとお慕いしていました……お兄さまが私の全てです……他の方と結ばれたく……ありません』
 義妹の儚げな笑みが、心に浮かんだ。

 胸がズキンとした。

『お兄さまのお心が他の方のものでも……構いません。お兄さまがお幸せなら、私は……それで幸せです……同じ世界で……義妹として……生きていけるだけで……』

 オレはジョゼを傷つけたのだ。


「たしかに……いきあたりばったりすぎた。告白するにしても、ちゃんと時と場所を考えてからすべきだった。悪かったよ、無神経なプロポーズして。だけど、」
 ジョゼは愛しい。けれども、この気持ちは、やはり義兄(あに)としての思いだったのだ。

 オレは……サラが好きだ。

「生き返って、すぐそばにサラがいたんだ。嬉しくって、舞い上がっちまったんだよ」
「え?」

「それに、考え無しはお互いさまだ」
 オレは幼馴染をジロリと睨んだ。
「……隕石(メテオ)、幾つ呼ぶ気だったんだよ、おまえ?」

 サラがうっと喉の奥で、変な声をあげる。

「い、いくつ、だって、いいじゃない。メテオストームの魔法は、あんたのせいで失敗したんだから」

「よくねーよ。死ぬとこだったんだぞ。生き延びたって、バアさんになってたんだろ。そんな事されて、オレが喜ぶとでも思ったのかよ?」

「……思ってなかったわよ。アタシが死んだら、あんたは自分のせいだって思いつめる……わかってたわ。でも……」
 サラがキッ!と、オレを睨む。
「あんたが死ぬとこ、見たくなかったの! 魔王のHPが1000万近くあったんだもん、しょうがなかったのよ!」
「しょうがなく、ない!」
「あんたとシャルロットさんで、たぶん300万はいけるって計算して……それで、アタシ、メテオストームを使ったの」
 泣きそうな顔でサラが、オレを睨み続ける……
「死のうと思って、使ったんじゃない。みんなで生き延びる為よ。アタシ、炎の大魔術師だもの。ほんの七つの隕石ぐらい、どってことなかったわ。制御してみせたわよ」

 ちょ! 七つ? マジで?

 ガキのころから、サラはこうなのだ……
 オレやジョゼをかばって、近所のガキどもをぶん殴りに行く……勇ましくって、優しい奴で……
 気が強くって乱暴で怒りん坊で頑固で、男前。
 お師匠様が石化した時、立ち直れたのはサラのおかげだ。サラが叱ってくれなきゃ、オレは勇者として駄目になっていたろう。
 そのくせ、ドジだ。あれこれ考えてるようで、けっこう、いきあたりばったり。
 セリアから、メテオストームを使った術師がどうなったか聞いてたくせに。
 隕石三つで老化、五つで死亡だった。
 七つも呼んで、無事なわけない。アナムの助力や魔法補助のアイテムがあったって。
 サラだって、わかってたろうに……

 オレを助けたい一心で……

 ほんと、馬鹿な奴……

 胸がキュンキュンした……

「……オレだって、おまえの死ぬとこなんか見たくなかったよ」

 地面に座り込むサラを抱きしめた。

「おまえを失いたくない……てか、ほっとけないんだ。いいから、オレのものになれ。なっちまえよ。馬鹿やんないように、一生、見張ってやるから」

「一生……?」
「ああ。一生だ」

 オレの腕の中で、サラが体をこわばらせる。

「ジャン……ほんとうに、アタシでいいの……?」
 腕の中から、小さな問いかけが聞こえた。

「……後悔しない?」

 魔王戦が終わるまで、大切な(ヒト)は選ばなかった。
 霊能者のカンザキ ヤチヨさんに、止められてたってのもある。
 だが、オレ自身、魔王を倒すことだけを考えたかった。魔王戦の後、やりたい事はいっぱいあったが……現実味がなかった。魔王戦で死ぬかもしれなかったから。

 魔王を倒した今、オレは気持ちのままに好きな女性(ヒト)を選べる。
 昔から、サラが好きだった。
 ここまで一気に盛り上がったのは、ルーレットダーツの影響があるのかもしれない。
 だが、そんなものが無くとも、きっと、オレは……

「好きだよ、サラ。……おまえは?」
「バカ……」
 うつむいたサラが、オレに頭をぶつけてくる。
「……それぐらい、言わなくても、わかるでしょ……」
 照れた声が、とても可愛かった。

 鼻の頭も、顔も、真っ赤なんだろうな……


 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……


「一生離れないわ……置いてきぼりは、もう嫌よ……」
 オレに頭をこすりつけながら、サラが言う。

「んじゃ、結婚しよう」
 と、軽く言ったら、
「そういう大事な事は、『ご飯食べに行こう』みたいにさらっと言っちゃ駄目」
 と、ケラケラ笑われてしまった。
「仕切り直ししてくれるんでしょ? ムードあふれる場所で、一世一代の求婚をしてちょうだい。期待しないで待ってあげるから」
 え〜 
「さっきしたじゃん。オレのものになれって」
「だめね。ロマンチックな場所で、やり直し」
 むぅ。
 いいじゃん、相思相愛だから結婚で。
 めんどくせぇなあ……

「アタシ……魔術師学校やめる」
 唐突に、サラが言い出す。
「せっかくだから卒業しとけば?」
 魔法医、魔法技師、魔法騎士、魔法剣士等の専門職に進むには魔術師学校の卒業資格が必要だ。
「いいの。あそこは、あんたの助けになりたくて入っただけだから」
「けど、もったいなくない? 炎特化とはいえ、大魔術師級の実力だ。メテオストームを使える魔術師なんて、めったに居ないぞ。おまえ、望めば宮廷魔術師にだってなれるんじゃ?」
「無理無理。魔王に十八ダメのへっぽこ魔術師だもん」
 明るく笑ってから、サラは顔をあげ、上目づかいにオレを見た。
「それに……」
「それに?」

 オレを一途に見つめる緑の瞳。
 とても、綺麗だった……

「大魔術師よりも……花嫁の、方が、アタシ的には……憧れ、だったの……」
 可愛らしい顔を赤く染めて、サラが又、オレの胸に顔を預ける。
「あんたと、ずっと一緒にいたい……」

 胸がキュンキュンした……

 サラを抱き寄せた。

「……今ので、良いんじゃないか?」
「え?」
「おまえからの、逆プロポーズでさ。バッチリだった。オレ、キュンキュンしたよ」
「いやよ。あんたからのプロポーズが聞きたいの。アタシをキュンキュンさせて」
 チッ。

 二人で、声を出して笑った。


 ずっとこのままサラと抱き合っていたい……
 そんな気持ちをどうにか堪え、サラの背をぎゅっと抱きしめた。
「ごめん。サラ。オレ、行くわ」
「え?」

「王宮に行かないと。一応、新賢者だから」
 サラの肩をそっと押して、体を離した。

「あ、そうか……戦勝報告しに、王宮へ行くんだったわね」
 振り返ってみやると、王国軍の騎馬に囲まれた仲間達が見えた。
 新勇者様や学者様が、きっちり話していてくれてるんだろうが。
「この後は、祝賀会だお祭りだで忙しいし、賢者としてやりたい仕事もある。プロポーズは今度また改めて、な」

 オレが立ち上がると、サラもすっごい勢いで立ち上がった。
「ちょっと待って!」
 ん?
「その格好で王宮に行く気?」
 噛みつくように、サラが叫ぶ。
 鼻の頭が赤い。

 オレは自分の格好を見た。
 腰に勇者の剣。
 背にマント。
 左右の胸に、光と闇の精霊のブローチ。ベルトの飾りは土精霊との契約の証。ブレスレットとペンダントは服の下だ。
 服やブーツは、多少は汚れてる。でも、生々しい血の跡があるわけじゃない。
 頭の神聖防具のサークレットも、外れてないよな。

 む?

「どっか変?」

「右腕!」
 サラは、あたふたしている。
「リボンを外して!」

 そいや、サラから貰った白いリボンを右の二の腕に巻いてたんだった。
 左の二の腕には、アネコ様の手毬が変化した赤い布がある。
 左右でバランスがとれてると思うぞ。
「いいよ、このままで」

「あんたが良くても、アタシが嫌!」
 サラが、オレの右腕に飛びかかってくる。
「へ?」
 強引にリボンを解こうとしやがるから、腕をあげて逃げた。
「よせよ。これ、オレのだぞ。勝手に取るな」

「王宮に行くのよ! そんな黄ばんだ、シミつきのリボン、外してよ! みっともない! 笑われちゃうわ!」
「いいよ、別に」
「よくない!」
「誰に笑われたっていいよ」
 賢者の館へ旅立つオレに、サラは三つ編みの白いリボンを解いて贈ってくれた。白かったリボンは十年の年月のままに、汚れてしまったが……

「ガキのころ、さびしい時にはこのリボンを握りしめた。こいつから、いっぱい元気をもらったんだ」
「え?」

「ずっとオレを支えてくれたリボンだ。宝物なんだ。王宮にいっしょに連れてっていいだろ?」
「な……」

「これがありゃ、王宮でもきっと失敗しない。おまえのまごころいっぱいのリボン……世界で一番、大切なものだ。これからも、一生大事にするよ」

 サラの顔が、じわじわと赤くなってゆく。
 緑の目を見開き、ぷるぷると震えている。

 照れてる、照れてる♪
 かわいいなあ……

「愛しているよ、サラ」
 もっとかわいい顔にしたくって、だめ押しでそう囁いたんだが……

 次の瞬間、オレは背から地面に激突していた……

「なに、こっぱずかしいこと言ってるのよ! バカァァ!」
 恋人の右ストレートをくらったようだ……


 この性格のくせに、オレにプロポーズしろとか……ひどすぎない?
 キュンキュンものの告白をしたら、照れ隠しで猛烈に暴れ回るに違いない。
 殺されるかも……


 けど、サラはかわいい。
 オレを抱え起こして、懸命にヒールを唱える。自分でオレを殴り倒したくせに。
 目をあけてやったら、ほんのり赤い鼻のまま、嬉しそうに頬ずりをしてきた。

 熱く、そして、やわらかな頬……

 気持ちがいい……

 これから、この暴力幼馴染がずっと側にいてくれるんだ……

 欠けていたものが、埋まったような……そんな感覚がする。

 早く王宮へ行かねば……そう思いながらも、サラの腕の中でオレは幸せな気分に浸っていた……
【伝説の魔術師? 完】

+ + + + + + + +

 次回は、ダーツの矢が【ジョゼ】に当たった話。ジョゼが待ち望んでいた時を、ジャンは共に迎えます。
 9月26日(木)更新予定です。
+注意+
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