挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ハーレム100 作者:松宮星

あなただけを……

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

219/224

ぷりんぷりん    【アナベラ】

 ダーツの矢は、【アナベラ】に当たりました!

※この章の各話は、それぞれ独立した話です。共通の設定もありますが、ストーリーに繋がりはありません。
 ルーレットダーツによって、オレの真の伴侶はアナベラとなった。

 で、オレの中のアナベラへの好意が、猛烈にふくれあがったんだ。

 もともと、か・な・り好きだったんで、チョーうれしい。
 ビキニ・アーマーは男の夢だし!
 布地も鎧部分もほとんどないし! 局部はしっかりガードされてるけど、ぷるるんな胸も、ぷりんぷりんなお尻も、ほぼ! 全部! 露出!
 その上、美人! ノリがいい! 明るい! 優しい!
 有名になりたくてビキニ・アーマーになっちゃうぐらい、おバカ……いやいやいや、純真だ!
 子供のように、心が美しいのだ!

 アナベラこそ、運命の女性!

 オレは男らしく、愛しい女性に告白した。
「アナベラ、結婚してくれ!」と。

 だが、しかし……
「むりー」
 あっさり玉砕した……

「男はね、強くなくっちゃいけないの。でもって、優しくないと、ダメだってー おとーさんの教えー あたしをおヨメさんにしたかったら、あたしに勝ってみせてー」

 無理無理無理無理!

 アナベラは両手剣の達人だもん、オレとじゃ実力は雲泥の差!
 大人と子供。
 ただでさえ果てしなく差が開いてるのに、オレはその差をチマチマと埋めてくぐらいしかできない。不老不死の賢者には肉体的成長がない。これから頑張って鍛錬を積んでも体力も向上しなけりゃ、剣技もまったく伸びない。経験をつんでけば多少は避ける能力はあがると思うけど、逃げ回るだけじゃ勝てないわけで……

 アナベラに勝てる未来が、まったく想像できない……

「ごめんねー 勇者さま。ダンナさんはねー ソンケーできる男でなきゃ、ダメなんだってー おかーさんの教えー」
 ううううう……

「じゃ……友だちなら?」
 あきらめきれず、聞いてみた。
「友達なら、いい?」

「うん。いいよー」
 アナベラは、にっこりと笑った。
「ていうかー あたしと勇者さま、もうお友だちだよね? いっしょに魔王を倒した仲だもん」
 屈託の無い笑みを見ていたら……失恋の痛みもどこかにふきとんでしまった。

 いつも、ついついボンキュッボンな体ばかりを見てしまうけど……
 アナベラは美人だ。
 胸が隠れるぐらいの真っ赤な巻き毛、大きな緑の目。化粧っ気のない、ツヤツヤのお肌。綺麗な顔立ちなんだが、表情が幼くって……コロコロ笑う笑顔がすっごく可愛いんだ。
 そして、明るい外見からは想像もつかないほど、苦労してきたはず……十才の時に、大好きな『おとーさん』と『おかーさん』を亡くして、傭兵になって生きてきたんだもんな……

 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……

「これからも、よろしくねー」
 握手を求められたので、応えた。

 嫌われてるわけではないし……
 お友だちでもいっか……と思いつつ。





 賢者の館に招く度に、アナベラは喜び勇んでやって来る。

 お目当ては、もちろんオレじゃない。

 魔法木偶人形だ。

 賢者の館には、魔法剣士だった二十六代目勇者ジャメルの遺産――魔法人形がある。
 一見、案山子(カカシ)みたいなそれは魔王戦の練習用に作られたもの。強度は魔王並、再生能力まであり、二十六代目の時代の有名な武道家達の動きがコピーされている。
 人形は、起動されてから累計1億ダメージをくらうと、ファンファーレが鳴って停止する。また戦いたければ、再起動すればいい。
 現役なのは、片手剣、両手剣、短剣、弓、槍、斧、格闘、鞭などの使い手、コピー十四体だ。
 人形が持つ武器は稽古用の魔法道具(アイテム)。『生物を絶対に傷つけられない』つくり。生命反応のあるものを攻撃しようとすると、武器はクッションみたいなやわらかさに変化する。対戦者には、本来くらったであろう傷の程度が『心話』で伝えられ、怪我の度合いに応じた一時的な『麻痺』魔法がかけられる。
 勇者の鍛錬用の人形だから、対戦相手に怪我をさせないよう非常に配慮されているのだ。

 全ての人形とアナベラは対戦し、全勝だ。
……とオレは思うんだが……
 本人は『負け』と思いこんでおり、魔法人形との再戦を繰り返している。

 アナベラは、自分が『死』に等しいダメージをくらうと勝負をそこで終わらせ、仕切り直す。
『勝ち』の基準は、魔法人形を活動不能にする事。
 魔法人形は疲労知らず。
 長期戦になるほど人間(アナベラ)は集中力も体力も衰えるってのに、自分はノー・ダメのままで、武の達人クラスに累計1億ダメージを与える気なんだ……無茶すぎる。



 今日のアナベラの対戦相手は、両手剣師範(マスター)の魔法木偶人形。両手剣VS両手剣の勝負だ。

 部屋の隅に張ってもらった、風の精霊の透明な結界にオレは籠っている。今日はアナベラの相棒、リーズも一緒に観戦だ。二人で並んだ椅子に座っている。

 ビキニ戦士がえへへと笑って、部屋の隅のオレ達に左手を振る。
 ニコニコ笑顔。ご機嫌だ。これからの勝負が、楽しみなのだろう。期待に胸をふくらませた、わくわく顔だ。

「んじゃ、始めるぞ」
「うんー」
 オレは呪文を唱え、魔法木偶人形を起動した。人形に『開始』『中断』『そこまで』の指示が出来るのは、賢者か勇者だけなのだ。


 下段に構え、切先を床に向けるアナベラ。
 頭上に剣を構える魔法人形。

 どちらも、綺麗な構えだ。

 じりじりと動いていた両者の距離が、唐突に縮まる。
 カキン! と、音が響き、火花が散る。巨大な両手剣がぶつかり合ったようだ。

 む。

 魔法人形が上段から剣を斬り下ろし、アナベラは攻撃をかわしつつ剣を切り上げた。
 そこまでは、見えた。が、両者はとにかく速い。
 突き、はねあげ、斬り下げ、側面を叩きつけ、かわし、攻防がめくるめく変化する。
 両者が、押し合い、いなし合う。相手の攻撃を避けつつ、有利な間合いをとろうと牽制し合っている。

 相手の重い剣を受け止める度、駆ける度、跳躍する度、身をひねる度に……
 少し癖のあるアナベラの赤い髪が、鮮やかになびく。
 しなやかな四肢は、時にはのびやかに、時には力強く動く。『両手剣の師範』相手に、素早さでも力でも互角以上の戦いをしている。
 アナベラの体は、無駄なく鍛え上げられた戦う為の肉体なのだ。

 たとえ……
 動く度に、胸がぶるんぶるんぶるん! お尻がぷりりんぷるんるん! と、魅惑的に揺れていても!

 胸もお尻も、たっぷんたっぷんだ。前後左右に大きく揺れ、跳ねまわっている。

 たわわな果実のような胸、きゅっとくびれた腰、やわらかそうなお尻、見事な美脚……
 身にまとっているのは、大事なところしか隠していないビキニアーマーとブーツだけなのだ……

 素晴らしく挑発的だ……


 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……


 本気で戦っても、オレでは万に一つもアナベラには勝てないが……

 アナベラ相手では、そもそも本気になれないだろう……

 目は素晴らしい二つの山と谷間に釘づけになっちゃうし、綺麗な肌に刃を向けるなんて絶対に嫌だ。
……ビキニアーマーって、敵の戦意を喪失させる効果があるよな……
 モンスターには効果なしだろうけど。
 あとは、女にも。そっちの趣味の人(カトリーヌ)を除いて。

 アナベラは、いつになく目つきが鋭い。鷹のような眼で敵を見つめ、斬りこむ機会をうかがっている。
 けれども、顔は笑顔のままなのだ。頬をゆるめ、口元ににっこりと笑みを浮かべている。
 魔法人形が凄い一撃を繰り出してくる度、それをうまく避ける度、アナベラの笑顔はどんどん輝いてゆく。
 強い奴と戦うのが楽しくってたまらない、って感じだ。
 生き生きと楽しそうに戦いに興じている。

 人形の激しい突きを、アナベラが避けた! バク宙で!
 すげえ! 両手剣を片手で持って、宙を舞い、着地!
 胸もお尻も、ぷるんぷるん! でもって、ぷりんぷりん!
 回避から一転して、今度はアナベラの突きだ。

 てか、不思議なんだよな……

 これだけ激しく動きまわってるんだ。普通、アーマーや紐がズレる。いや、留め金が外れて全開とか、パンツがずり下がってゆく可能性すらも……
 なのに、最少面積のアーマーはアナベラの大事な箇所をしっかり隠し続けているのだ。そこに吸いついているかのように、まったく動かないのだ。
 あのアーマー、悪徳防具屋のイカサマ商品かと思ったが……もしかすると、魔法鎧なのかも。
 鉄壁の加護がついた魔法鎧なら、あのフィット感も頷ける。
 絶対、ポロリしないのかー
 ざんね……
 いやいやいやいや!

 視線を感じた。
 リーズがとことん冷たい目で、オレを見ている……
「……おい、ヨダレ」
 うぉ!
 あわてて口元をふいた。
「たれてねーよ、バーカ」
 リーズはフンと笑い、視線をアナベラへと戻した。

 いや、あの……
 その……

 すみません……


 踏みこんで来た相手の突きを、ぎりぎりの間合いで避け、アナベラが体を捻りつつ剣を振りまわす。
 遠心力をいかした振り。
 両手剣が、魔法人形の脇を叩き潰すように薙いでいった。

 魔法人形が、床に吹っ飛んでゆく。

「よっしゃー!」
「おし!」
 オレとリーズがガッツポーズで、椅子から立ち上がる。

 口元に笑みを浮かべ、アナベラが駆ける。
 人形の立ち上がりに、更に叩きこもうとダッシュしている。

 魔法人形の残りHPは、9851万7235だ。





「死んじゃったー」
 ニコニコ笑顔のアナベラが、両手、両足を投げ出すように床に倒れる。呼吸は乱れ、肌は汗できらめき、真っ赤な髪もまるで雨に濡れたかのようにぐっしょりだ……

「かわせると思ったんだけどなー」
 左脇腹に人形の剣をくらったアナベラは、敗北を宣言した。
 けど、それまでに二時間近く戦って、人形に4000万以上のダメージを与えてる。
 両手剣のマスタークラスと比べても、技量はアナベラのがあきらかに上だ。
 疲れてなきゃ、さっきの一撃も避けられたろう。

 疲労を回復してくれる僧侶が一緒なら、1億ダメいけそうだ。

 両手剣の師範相手に、一人で1億……

 むぅ。

……次期勇者には、アナベラを推薦すべきだったのかも……

「ほら、風邪ひくぞ」
 宙を飛んだタオルが、アナベラの上にパサッと落ちる。
「おもしろかったー」
 はいはいと聞き流して、リーズは準備しておいたレモンを絞り入れた水を相棒に渡している。
「おい、一気に飲むなよ! 胃がびっくりするだろ、バカ!」

 仲良いなあ……

 ハアハアと荒い息をつきながらも、アナベラはオレに笑いかけてきた。
「賢者さまー また今度、やらせて。次こそ、あたし勝つから」

「いいよ。気が済むまで、何度でも挑戦(チャレンジ)してくれ」
 アナベラが強くなればなるほど、オレの恋人の座は遠のくけどな。

「マーイさんとティーナが風呂を準備してくれた。汗、流してこいよ。メシも用意しとくからさ」
 と言っても、作るのはオレじゃない。
 アウラさんだ。
 ベテランしもべのアウラさんは、三人目のご主人には女召使になって仕えた。仲間の精霊を使って、家事全般をこなせるのだ。
 たいへん、ありがたい。
 見習い時代、お師匠様の手伝いをいろいろやったんで、掃除や洗濯は何とかできる。
 でも、料理は……ぶきっちょすぎて、あまり手伝わせてもらえなかった。ジャガイモを洗ったり、レタスをちぎったり、皿を並べたりとかぐらいだ。
 オレと新勇者の生活を支えているのは、賢者の館に残ってくれたお師匠様と、精霊達と言っても過言ではない……

 食事と聞いて、ビキニ戦士がお日様みたいに明るく笑う。
「わーい、ありがと、賢者さま。大好きー」

 そのかわいらしい笑みに、胸がキュンキュンした。

 けど、その大好きは『お友だち』としての大好きなわけで……
 ちょっぴりせつない。

「賢者の館は、ほーんといいね。昔の武人そっくりさんがいっぱいいて、ごはんおいしくて、おふろもすぐに入れて、賢者さまもいてー」
 アナベラが無邪気に笑う。

「あたし、ここン()の子になっちゃおうかなー」

 え……?

「賢者の館の子になる……?」

「うん。そんで、賢者さまとずーっと、いっしょ」


 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……


 顔がカーッと熱くなり、うつむいた。

「真に受けるとバカ見るぞ、賢者さま」
 生意気盗賊の冷たい声がする。
「もうちょっと人形と遊びたーいって、わがままこいてるだけだよ」
 だよな……

「えー そんなことないよー」
 あっけらかーんと、女戦士が言う。

「賢者さまのおヨメさんなら、あたし、なってもいいもん」

 え?

 おヨメ……?

 お嫁さん……?

 アナベラが、オレの嫁ぇぇぇ〜〜〜〜〜?

 えぇぇぇ?


 びっくりして顔をあげた。
 アナベラは、ニコニコ笑顔だ……

「……嘘?」
「ほんとだよー」

「でも、やだって言ってたじゃん……魔王戦の後、プロポーズした時にさ」
 オレはツバを飲み込んだ。
「強い奴と結婚したいんだろ? オレ、弱いよ。アナベラより、ずっとずっと……」

「賢者さま、強いよ」
 アナベラがえへへと笑う。

「あたしより、ずっとずっとー」
 嘘……

「本、いっぱい読んだからー」

 はい?

「あたしより、お勉強が強い」

「はあ?」
 リーズと、ハモってしまった。

「賢者さま、カシコイもん」
 満面の笑顔でアナベラが言う……

 思わず、のけぞってしまった。
 たしかに……
 アナベラよりは……ちょっとは賢いとは思う。

 でも……

「寝言、言ってんじゃねーよ! おまえよりマシって程度で、そいつ、どっからどー見てもバカだろ!」
 いや、まあ……
「このバカが『賢い』ってんなら、世界中が天才だらけにならあ!」
 リーズの叫びに、激しく同意……
「お勉強ができて賢いってのは、学者のおねーちゃんみたいのを言うんだろ? いや、あの女も、いろいろマヌケだけどさ!」

「えー でも、学者さんがお勉強できるのは、フツーだよ」
 アナベラは、肩に羽織ったタオルで額をふきふき言う。
「にがてなこと、がんばれるから強いの」

「え?」

「勇者さんを育てるの、カイカクするんでしょ?」
 えへへとアナベラが笑う。
「そんで、ずーっとムツカシイ本、読んでるんだもん。すごいよねー あたし、本とかムリー」

「賢者の書のこと?」
「うん、それー」

 歴代賢者は、それぞれの勇者について一冊づつ書を記してきた。
『賢者の書』だ。
 初代勇者にして初代賢者モーリスの分がないんで、勇者の書より一冊少ない。が、オレが書いてる分を除き、百冊ある。
 賢者になってから、その百冊を読み進めている。

 よくわかんない本が多いけど!
 魔法理論やら哲学的な話になると、もうさっぱりだ。だけど、文体や言葉遣いが難解でも投げ出さない。一字一句まちがえないよう真剣に字を目で追っている。

 賢者の書は賢者にしか読めない。勇者の書裏表紙の魔法陣が賢者にしか見えないのと同じく、特殊な呪がかけられてあるのだ。
 賢者以外の者が目にしても、他の本に見えるのだそうだ。オレは賢者になっちまったんで、どんな感じに偽装されてるのか逆にわかんないんだが。

 オレの目が見たままのものを、水のマーイさんが記憶の中から引き上げ(サルベージ)し、文字に書き写してくれている……
 このとこずーっと、賢者の書の写本づくりをしているのだ。

 賢者の書は、歴史と知識(ノウハウ)の宝庫。
 書から学びとれる事はいっぱいあるはず。
 だが、しかし!
 残念なことに、オレは馬鹿なのだ。書かれている内容のかなりの部分が、理解できない。

 だから、写本を作ろうと思ったんだ。
 頭のいい人に写本を見てもらって、勇者システム改革について一緒に考えてもらいたい。
 お師匠様は賢者の書を全巻読んではいるけれども、丸暗記しているわけじゃない。細かい事が知りたかったら、原本にあたるべき。

 ついでに言うと、王国や聖教会から勇者システム変更の認可を得る為には、法律的な問題をクリアーし、改良の目的及び利点を訴え、改革後の社会的影響を説明し、理解を得る必要がある。
 こっちも、オレの手には余る。

 みなが協力しやすくなる態勢を整えたい。
 そう思って、眠くなりそうなムツカシイ本を読み進めているんだが……


「腕っぷしだけじゃダメなのー ココロザシがあるのが、ほんとーの男なんだってー おとーさんの教えー」

「それからねー おかーさんも言ってたー みんなの幸せのために、がんばるのが、強い男なんだってー」

「今の賢者さま、カッコいいよー 大好きー」


 胸がジーンとした。


「つまり、アレだろ」
 ケッと、リーズが髪を掻く。
「こいつバカすぎだから、ちょびっと勉強してるとこ見ただけで、すげぇ賢そうに見えちゃったんだろ」
「そーかもー」
 のほほんとアナベラが笑う。

 リーズがギン! とオレを睨む。
……なんか、すげぇ不機嫌そうなんだけど……

「……騙されやがって」
 小声でポツリとつぶやき、盗賊はチッと舌打ちをした。
「てか、そのバカ、まだ何もやってないぜ。ご立派な志があったって、途中で投げ出しちゃ、意味ねーんだよ。どデカイこと成し遂げて初めて、男ってのは評価されるんだろ?」

「そいや、そーかも」
 アナベラがえへへと笑う。

「くっだらねえ話は、ここまでだ」
 ちっちゃなリーズに背を押され、アナベラが扉へと向かう。
「ほら。さっさと風呂に行け。風邪引くぞ、バーカ」

 扉の前で立ち止まり、アナベラが振り返る。
「賢者さまー お仕事うまくいったら、もっかいプロポーズしてねー」
 明るく笑い、右手をぶんぶん振り回す。
「あたし、おっけぇだからー」

 二つのみずみずしい山が、素敵にぷるんぷるんと揺れる……

「あたしが、おヨメさんになったら、リーズもいっしょに、ここに住むでしょー?」
「バカ言ってんじゃねーよ! 行くぞ!」

 リーズが、アナベラを廊下へと追い立て……
 扉が音をたてて閉まる。

 けれども、オレは……

 閉じられた扉を見つめたまま、しばらく、その場に固まっていた。

 アナベラの笑顔と、ぷるんぷるんのぷりんぷりん……
 心の中で、何度も何度も、その姿を蘇らせて……
【ぷりんぷりん 完】

+ + + + + + + +

 次回は、マリーとの話。神聖な聖女に恋をし、ジャンはためらいます。
 9月22日(日)更新予定です。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ