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ハーレム100 作者:松宮星

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ツンデレ年上メガネ 【セリア】

 ダーツの矢は、【セリア】に当たりました!

※この章の各話は、それぞれ独立した話です。共通の設定もありますが、ストーリーに繋がりはありません。
「勇者様、あなたは騙されてます!」
 セリアが声を張り上げる。

「異世界転移を強要されかけ、危機的状況に追いやられたが為に、精神が不安定となり、正常な判断力を失ったのです。おそらく魅了の魔法をかけられ、価値観を改竄かいざんされたのです。たとえ神の御業であったとしても、ご自分を失ってはいけません! 真のご自分を思い出してください!」
 ぎゃーぎゃーわめくセリアに促され、マリーちゃんが状態異常治癒魔法を唱える。
宵ヲ彷徨フ(クレセント・)月将ノ(シェイド・)菩蓮掌ディスアピア
 魔法の輝きが、オレを包む。
「マリーさんの魔法は、毒・麻痺・弱体化・混乱・魅了・呪縛・石化など、どんな状態異常でも治癒し、ステータスを回復します。これで、正気に戻られたでしょ、勇者様? 愚昧な妄想は消え去りましたよね?」
 マリーちゃんの魔法の輝きが消える。

 セリアが、探るようにオレを見る。
「質問します……勇者様の一番大切な女性はどなたですか?」

 オレは、目の前の女性を見つめた。
 キリッとした知的美人だ。
 濃紺のアカデミックドレスも、正方形の角帽も、結いあげたひっつめ髪も、小さな丸いフレームのメガネも、お硬い感じ。
 真面目で、責任感が強くて、潔癖。すごいキツイことをポンポン言う。でも、仲間思いなんだ。時々、とっても優しくって……
 何もかもが……素敵な女性だ。

 みとれていたら、同じ質問をされてしまった。
「繰り返し、質問いたします。勇者様の一番大切な女性は?」
「セリアさん……」

「違います!」
 セリアがキッ! とオレを睨む。
「勇者様の一番大切な方は、私ではありません! あなたは、騙されているんです! 惑わされているのです! 夢を見ているんです!」
 何故、正気に戻られないのです! と、叫んで、セリアがその場にうずくまる。地面にへたりこんだら、アカデミックドレスが汚れちゃうだろうに。

 しっかりしているように見えて、セリアはパニックになりやすい。不測の事態になると、気が動転して、無茶苦茶な事を言ったりやったりするんだ。
 よく知っている……
 そういうところも、可愛いんだよな……



 運命のダーツによって、オレの本当の伴侶はセリアと決まった。

 その瞬間から、オレの中でセリアの存在が大きくなってしまった。
 もともと、セリアには深く感謝していた。
 彼女が参謀役として陰日向になって働いてくれたからこそ、オレは託宣を叶えられた。
 魔王戦に臨めたのも、メテオストームを使おうとしたサラを止める事ができたのも、セリアのおかげだ。

 好意を抱いていた相手だけに、思いの変化を素直に受け入れられた。

 全てを隠さず話し、セリアへの思いも伝えた。

 みんなの前での告白になっちゃったけど、しょうがない。

 返事は今すぐでなくていい、嫌なら振ってくれても構わないって言ったのに……

 何で、こんなに取り乱すんだ……?



「落ち着きたまえ、セリア」
 シャルルが、親しげにセリアの背をさする。
「君も学者ならば、わかるだろう。迅速な判断こそが、用兵学の基礎。ためらってはいけない」
 お貴族様がフッと笑う。
「たとえジャン君が正気でなくとも、既成事実さえつくってしまえば君の勝ちだ。幸いなことに、ここには結婚誓約書がある。使用したまえ。君のいじらしい心は、再従弟(またいとこ)であるこの私がよく知っている。君はジャン君より年上だが、十も違うわけではない。ほんのなな……」

 お貴族様はそれ以上言葉を続けられなかった。
 再従姉に、右ストレートを腹にぶちこまれたからだ。

 そのままセリアは、ボカボカとシャルルを殴った。
 顔中が真っ赤だ。泣きだしそうな顔で、シャルルを睨み、むちゃくちゃに拳を振っている。

 子供に戻っているというか……
 感情がむきだしというか……
 セリアらしくない。

 こんな顔……オレには見せないのに。

 ムッとした。

 そういえば、前にもこんな事があった。
 セリアは、シャルルに対してだけ、こうなのだ。冷静沈着な学者の仮面をあっさりと捨ててしまう。素直な自分をさらけ出せるのだ。

 心やすい相手だからか……

 再従弟を殴る手を止め、セリアはこほんと咳払いをした。頬がまだ赤い。
「勇者様、この話は、また後ほど。少し時間をおきましょう。どうか理性を取り戻してください」
 むぅ。

 セリアの視線が、オレの背後へと向く。
 つられて、オレも振り返った。
 小さかった騎馬の軍勢が、はっきりと目視できる距離まで近づいている。王国軍は、間もなくオレらのもとに到着する。
「王国軍に勝利を報告した後、王宮まで魔法でご移動ください。国王陛下や名だたる大貴族が列席される広間で、戦勝報告をなさるのが新賢者様のお務めですから」
 セリアがしゃきっと立ち上がり、オレに対し優雅な所作でお辞儀をした。
「私としたことが、『勇者様』などと何度もお呼びしてしまって……たいへん失礼いたしました。魔王を無事に討伐された今、ジャン様は賢者様にご就任なさったのでしたね。おめでとうございます。百一代目勇者様が魔王戦を乗り越え、賢者となられた事を、心より祝福いたします」

 セリアだけじゃない。シャルロットちゃんも、マルティーヌ先生も、オレに恭しく頭を下げる。
 ジョゼやサラ、マリーちゃん、みんなからも祝福の声があがる。
 乱れた髪を直しながら、シャルルの野郎まで。

「おめでとう、新賢者さま」
 背後から、うふふとイザベルさんの笑い声が聞こえた。
「茨の道を抜け出せて、本当に良かったですわ。お祝いに、良い事を教えてさしあげますわね……」
 耳元で、ハスキーな色っぽい声がする。
「良い事……?」
「うふふ。とっても素敵なこと……」
 すぐそばから聞こえる甘いかすれ声に、ゾクリとした。



 王宮に赴いたのは、オレとセリアと、シャルルとシャルロットちゃんと、マリーちゃん、護衛役のアナベラだった。

 何とかって偉い大臣に魔王戦のことを報告したら、大騒ぎとなった。
 ポワエルデュー侯爵家嫡男が、新勇者となった為だ。貴族階級から勇者が出るのは、何百年ぶりの事だとか何だとか。
 いろいろ理由があるんだが……オレは次代勇者にシャルルを推薦し、その願いを女神様が聞き届けてくれた。シャルルはかなりアレな性格だが、根はいい奴だし、勇者になりたがっていた。百二代目勇者として推すのは、悪くない選択だと思ったのだ。

 周囲が、どんどんお祭りムードとなる。
 国王陛下との謁見の準備が整うまでと待機させられた控室には、シャルルに一言賛辞をと代わる代わるお貴族様達が現れ、祝賀会をもっと派手にするとかでもう少しおまちくださいとか侍女さんが知らせに来て……

 完全に、主役はシャルルだ……

「身内と少々込み入った話をしてきたい。すまないが、少し離席する」
 などとシャルルが言い出したので、土のサブレと闇のソワに護衛をさせる事にした。お貴族様は百二代目勇者となったのだ。暗殺者に狙われたり、事故に遭われたら困る。
「サブレはシャルルに同化、ソワはいざって時に治癒できるよう注意を払っていてくれ」
 ソワはわかったと、すぐに頷いたのだが……
《……ご主人様以外の男と同化しろ……?》
 土の精霊は、目を見開き、熱をおびた顔でオレを見つめた。
《そんなイケメン金持ちリア充……小指の先ほども、私の好みじゃないのに……》
 サブレが、うっとりと瞳をうるませる。
《あああ、ス・テ・キ……。NTR(ネトラレ)ですね! ご主人様の命令で、愛してもいない男と一つになるわ・た・し……。そして、自分の女を他の男にお与えになることで、ご主人様は嫉妬を抱き、自虐的な悦びを得る……そんな高度なプレイをしたがるなんて! 素晴らしい成長ぶりです! 立派なトホホSです!》
 はあはあと荒い息を吐くMでSな精霊(ヒト)は、新勇者に押しつけといた。
 ソワとサブレを連れてシャルルと、シャルロットちゃんが退出する。

 そのすぐ後にマリーちゃんが「ごめんなさい。急用です〜 すぐに、戻ります〜」とにっこり笑って、アナベラを連れて廊下へと消えて行った。


 控室に、セリアと二人っきりになった。

 セリアは、オレから露骨に顔をそむけてソファーに座っている。話しかけられたくないというオーラをびんびんに出して。

「あのさ」
 声をかけると、セリアはびくっと身をすくませた。
 が、すぐにしゃきっとし、オレに対しツーンと澄ましたいつもの顔を向ける。
「何でしょう?」

 そんなに嫌がるなよ……
 オレだって、落ち込むぞ……

「……ごめん、悪かったよ、セリアさん」
「え?」
「突然、変なことを言ってすまなかった。……好きでも無い男から言い寄られたって、迷惑だよな」
「あ、いえ……」
「セリアさんを困らせたかったわけじゃないんだ。ごめん。忘れてくれ」

「あ……」
 セリアが声を震わせる。
「そう、です……互いに、忘れましょう……賢者様は女神様のお力に惑った状態。正常な判断力がなく、責任能力がありません。生じる義務に拘束されることはないのです。魔法・暗示・脅迫・飲酒や薬物の服用等による一時的な状態であれ、意思能力の欠けた状態ならば保護対象となりますから」
 何を言ってるんだかよくわからない。が、振られた事だけはわかる。
「ジャン様はこの世を救った勇者なのです。勇者とは、強く、賢く、正義感に満ち、道徳的で、悪を憎んで人を憎まない、美しくも頼もしい方……。ご自分の意志を貫かれるべきです。そうでなければ、いけません。それ以外は、この私が認めません……」
 床に視線を落とし、それから顔をあげ、セリアは微笑んだ。

「幾多の困難を乗り越え、勝利をつかみとられたのです。勇者……いえ、賢者様には幸せになっていただきたいのです。精神呪縛などに、負けてはいけません。賢者様の魂が真に欲しておられる女性は、私ではありません。よく存じております……」
 セリアのブラウンの瞳が、うるんでいるような……
 無理に笑みをつくろうとしているのか、口角が下がっている。
 少し悲しそうな、寂しそうな微笑だ。


 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……


 その頼りなげな姿に、胸がキュンキュンする。
 抱きしめたい……
 ぎゅ〜と抱いて、心の憂いを取り除いてあげたい……
 そんな衝動が強くなってゆく。

 けれども、嫌がっている女性を無理矢理とか最低だ。ンな真似できない。

「……一つだけ、教えて欲しい」
「はい。何でしょう?」
 オレはセリアの目を見て、尋ねた。

「セリアさんが好きな男って……シャルル?」

「は?」
 セリアが目を丸める。

「セリアさんには大好きな彼が居るって、前に神様が言っていた」
 最初の女神の何でも答えちゃおうコーナーで。
「セリアさん、シャルルと一緒だと、すごく楽しそうだし、はしゃいでるし、何というか……幸せそうだし……」

「何をくだらぬ事を!」
 セリアが声を荒げ、噛みついてくる。
「シャルルは弟みたいなものです! 男と思ったことなど、一度もありません!」
……本当に?

「けど、あいつ、勇者になった」
 ますます好みになったんじゃないか?
「セリアさん、勇者が好きなんだろ? 勇者おたくだから」
「おた……、その決めつけは、不当です。撤回してください、私は純粋に歴代勇者様を尊敬し、その偉業を称えたいと思うからこそ、知識を集積しているのであって、決して酔狂ではなく、」
「勇者おたくだろ?」
「違います! 正しい言葉使いを願います! 勇者研究家が妥当です。或いは、賛美者や信奉者でも目をつぶりましょう。しかし、それ以外の表現は心外です!」
「勇者おたくじゃん!」
「違います!」
 何時の間にか、オレとセリアと睨み合っていた。

 くっそぉ……オレだって勇者だったのに……
 知ってるよ。勇者は好きだけど、好男子じゃない勇者は嫌いなんだよな……
 オレは、セリア的に不合格だったんだろう……

 セリアが、メガネのフレームを押し上げる。
「とにかく! 私はシャルルなど何とも思っておりません! 何でこの私が、あの気障ったらしい軽薄バカを好きにならねばいけないのです! 勇者になったとて、全く好みではありません! ロマンの欠片もありません!」
 興奮すると、セリアの人物表現はひどくなる。けど、ここまで言うんだ、本当に好きじゃないんだろう。
 ホッと安堵の息が漏れた。

「勇者なら、誰でもいいわけではありません。勇者だから、だけではないのです。人間としての甘さも含め、人物を正しく評価しました。他人の過ちを許せるお優しさ、子供のような純粋さ、些事にこだわらぬおおらかさ、最強を望めぬのに誰よりも強くあろうとなさるその姿勢。その全てに、私は惹かれて……」

 そこまで言いかけて、セリアはぐっと喉をつまらせた。
 オレから視線をそらし、口元を左手で覆う。
 左手の袖から腕輪らしき装飾品が、少しだけ見える。

 ふと、イザベルさんのハスキーな囁き声を思い出した。
『大切なのは左手……そこに求める答えは、ありますわ……』
 占いの力を無くしたはずなのに、そんな導きの言葉をくれたのだ。

 袖口から覗くものが気になって、
「ごめん」
 と、謝って右手を伸ばした。

 セリアの腕に軽く触れ、袖をほんの少しだけ少しめくる。

「あ」

 セリアの左手首は、ブレスレットに装われていた。
……透明感のある美しい紫色の水晶が、気高い深く穏やかに輝いている……

 思わず、オレは左腕をあげた。
 左手首にある雷の精霊エクレールとの契約の証を、セリアに見せる為に。

 デザインも石も、セリアのとまったく同じ……アメジストの腕輪だ。

「おそろいだね……」
 セリアの顔が、みるみる赤くなってゆく。

 こういうのを何って言うんだっけ……
「ペアアクセサリー……?」

「違います! うっかり、手にはまっただけです!」
 そう叫んでから、自分でも不自然と思ったのだろう、セリアが全力で『ペアアクセサリー』を否定する。


「ご記憶ですよね? これは、イザベルさんから押し付けられた物です。だから、デザインが同じなだけで……意図的に揃えたわけではありません。たまたま、同じなだけです」

「イザベルさんが『勇者の仲間』として贈ってくださった物なので、無下にしても悪いかと……それで装備をした、それだけです! もちろん、霊感商品の効能を信じたわけではありません! 私は常に冷静ですから!」

「三十三代目勇者様は賢者様とお仲間の方々と共に、ルビーのイヤリングを身につけられました。連帯意識を高める為に同一の宝石で着飾るなど、ごくごくありふれたこと! 深い意味などないのです!」

「指輪でしたら愛の形を表わす装身具の可能性も否定できませんが、これは腕輪ですから! 一緒にいない時も勇者様を感じたいとか、腕輪を通じてご無事をお祈りしたいとか、強い絆を感じたいとかとか、そんなことはなく……」

「いえ、あの……。そ、そもそもですね! ただの石に神秘の力などないんです! 『捨てたら、生涯、結婚できなくなる』とか、恋愛運をアップさせるとか、絶対、嘘です! 詐欺の手口です! 私は迷信も占いもジンクスも、信じていませんから! そんな理由で身につけたわけではなく! 私は、勇者様と恋人になりたいわけではなく!」



 いったん話し始めると、セリアはなかなか止まらない。
 一時間でも二時間でも、うんちくを語り続けるのだ。
 裏ジパング界のアネコ様など、《その おんな くちから うまれたに ちがいない》と言いきってたし。

 けれども、今は……
 話せば話すほど、セリアは顔を赤く染めてゆく。
 本音をポロポロと漏らしてしまうから、照れているのだ。
 何とかとりつくおうと必死になっている顔が、可愛い。
 顔中、真っ赤だ。

 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……

 ここまで本音を聞かされたら、鈍いオレだってわかる。
 セリアの思い人が、誰なのか。

 きゃんきゃん吠える子犬のような女性を、抱きしめた。

 びっくりしたのだろう、オレの腕の中でセリアは身じろぎする。

「ごめん、セリアさん。不安にさせちゃって。ものすごく好きになったきっかけは、確かにルーレットダーツだけど……そのまえから、オレ、セリアさんが好きだったよ。一番じゃないけど、すっごく好きだった……。これからは、セリアさんを一番にしてもいいかな?」
「で、ですが……」

「これからもオレの頭脳でいてくれ」
「しかし……」
「セリアさんの支えがあれば、オレは立派な賢者になれる。ずっと側にいて欲しいんだ」

「……賢者様こそ……よろしいのですか?」
 オレの腕の中で、セリアが弱々しい声で問う。

「賢者様は不老不死のお体になられたのです。ただでさえ年が離れているのに……年齢差は開いていく一方なのですよ?」
 震える声で、セリアが尋ねる。
「年上すぎる女性なんて……」
 上目づかいにオレを見つめ、それからセリアは恥じらうように視線をそらした。
「お嫌でしょ……?」

 恥ずかしそうなその横顔が、これ、また何とも……

 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……

「かわいい! かわいい! かわいい!」
 オレは愛する女性を抱きしめた。

「大丈夫だよ、セリアさん! 普段はババくさいけど髪をおろすと若返るし! 三十前には見えないから! それにきっと、素敵な老女になる! アンヌばあさんみたいな、きりっとして格好いい、品のいいバアさんに! オバさんでもおばあさんでも、セリアさんなら可愛いよ!」

 バチーン! と、左頬をぶったたかれた。

「……私の年齢に関して、誤解なさっていらっしゃるようですね……」
 セリアがものすごくおっかない顔で、オレを睨んでいる……

「え、でも、十は違わないんだよね? なら、九でしょ? 今、二十七……」
 もう一発強烈なのを、反対側にくらった。
「じゃ、二十六……?」
「そのようなデリケートな話題を、軽々しく口にしてはいけません! 紳士であれば、鷹揚に沈黙すべきです!」
 え? そうなの?

「勇者たる者……いえ、勇者だけでなく賢者もですね、それ相応の好人物でなければいけません。無神経な発言をするなど言語道断です!」
 セリアのメガネが、キラリと光る。
「賢者様のお人柄の素晴らしさはよく存じておりますが、正直に申し上げまして教養や作法に関しては不満を覚えておりました。学者として、知識をもってご助力いたします。賢者様には、何処に出ても恥ずかしくない好男子となっていただきたい……賢者とは常に紳士であるべきなのです」

 え〜

 呼び出しがかかるまで、オレはずっとセリアの熱弁を聞いていた……

「五十一代目勇者様はたいへん常識に欠ける異世界人でしたが、当時の学者の教育で、最後には礼儀正しい好男子となられました。何ごとも勉強だとお思いになりませんか?」
 うるさくて、たまらない。
 耳栓が欲しい……

 とは思いつつも、オレの為! と思いこんで必死になっている姿は、それはそれで可愛くって……
 見ていて、あきない。
「聞いていらっしゃいます、賢者様? 強く、賢く、正義感に満ち、道徳的で、悪を憎んで人を憎まない、美しくも頼もしい好男子になる為にはですね……」
【ツンデレ年上メガネ 完】

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 次回は、アナベラとの話。ビキニ戦士VS魔法木偶人形。
 9月20日(金)更新予定です。
+注意+
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