挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ハーレム100 作者:松宮星

さらば愛しき世界よ

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

193/224

メテオストーム (※)

 オレの予想通り、レイは全てを捧げる四散の事をジョゼにきちんと教えていなかった。
「お兄さまの精霊のみなさまやアナム君の時よりも、大目に復活までの時間をみて欲しい……そう言っていましたけれど……」
 あの馬鹿!
「ジョゼ。レイが戻って来るのは……早くて三年後だ」
「え?」
 義妹が目を見開く。
 信じられないと言うかのように瞳が揺れ、こらえたはずの涙がうっすらと浮かんでくる。
 とてもじゃないが、最悪五十年かかるなんて今は伝えられない……
 ジョゼの精霊となってから、レイは一度も四散していない。常にジョゼの側に居た。気弱な義妹を支え、話相手となり、相談も聞き、あいつはジョゼの為だけに生きていたんだ。

「レイちゃん……」
 義妹が胸の上に右手をあてる。衣服の下の契約の証のペンダントに触れているのだ。
「私の為に……ごめんなさい。ありがとう……」

 うつむきかけた義妹を、慰めようと思った。
 しかし、ジョゼは自ら顔をあげた。で、オレにほわっと微笑みかけてきた。
「レイちゃんが帰って来たら、叱ってあげなきゃ……。ちっとも直らないのだもの。いくらお願いしても……大事な事を教えてくれなくて……内緒で私を守ってばかりで……」
 目元をそっとぬぐい、ジョゼが口元に笑みをつくる。
「お兄さま……ご心配をおかけして、すみません。私は大丈夫です。レイちゃんが帰って来る日まで、ちゃんと待てます。私が……レイちゃんの精霊支配者だから……」

 ジョゼの視線が動く。
 つられて、オレもそちらを向いた。

 玉座に座る、デカい魔王。全身が黒い毛だらけの『カネコ アキノリ』。
 残りHPは、900万と6519だ。

「今は……ご自分の戦いに集中なさってください。勝ちましょう、お兄さま……勝って、お兄さまの大切な……賢者さまに……ご報告を……」
 オレを元気づけようとして、ジョゼが微笑む。
 けれども、微笑んでいない。レイを失った悲しみと、これから先の未来への不安。微笑もうとしている顔は、とてもつらそうで、せつない思いだけが強く伝わってくる……

 義妹を、そっと腕に抱いた。抱きしめてわかった、ジョゼは小さく震えている……

「最後まで……オレはあきらめない」
 義妹が小さく頷く。
「ジョゼやサラやみんなと一緒に……オレはお師匠様の目覚めの時に立ち合う。ずっと、ジョゼ達と一緒だ……」
 義妹が小さく、けれどもはっきりと頷きを返した。


「そうよ。明日には賢者様がお目覚めになるんだもの、のんびりしてられないわ」
 後頭部を軽くこずかれた。
 振り返ると、ストロベリーブロンドの幼馴染が居た。ちょっぴり不機嫌そうな、怒ったような顔で。
「さっさと魔王を倒さなきゃ。倒した後だって、大変よ。戦勝報告に、王宮へ行くんでしょ? 祝賀会やら何やらで、絶対、拘束されまくりだわ」
 サラが笑う。悪戯者のような笑みが浮かぶと、機嫌が悪そうだった顔が一変する。
「まあ、あんたはいいけどね。魔王を倒せば、賢者に昇格(ジョブチェンジ)。移動魔法を使いまくりで、王宮とジョゼの家を行き来できちゃうのよね。羨ましいわ」
 ひねくれた笑みを浮かべる顔が、かわいい。

 アタッカーは残り三人。
 人外のドラゴンや神族・魔族が戦うのならともかく……オレもサラも、シャルロットちゃんやマルティーヌ先生も、全員がただの人間。
 通常の攻撃でどれほどのダメージを魔王に与えられるのか……

 崖っぷちもいいところだ。
 暗い雰囲気をぶち壊そうと、サラはわざと軽口をきいてくれてるんだろう。
 優しい奴だから。

「おまえ、大魔術師のくせに移動魔法が使えないのか?」
「アタシは炎の大魔術師だもの」
 サラが肩をすくめる。
「炎以外は、それなりレベル。人間には、向き不向きがあるのよ」
「つまり、得意なのは、カッとなって炎を吐く事だけだと」
「吐かないわよ」
 軽口の応酬を、サラはオレを杖で叩く事でおしまいにした。本気で叩いたわけじゃない、軽くコツンだ。

挿絵(By みてみん)

 幼馴染の鼻の頭が、ほんのり赤い。
 うん、やっぱサラはこうでなきゃな。

「お兄さま……私……大丈夫です……」
 ジョゼがオレの胸をそっと押して、離れて行く。
「がんばってください……サラさん」
 任せてって感じに、サラが軽く右手をあげる。

「百人目なんだけど……」
 サラがオレに顔を近づけ、声を潜める。
「シャルロットさんにしてね」
 ん?
「シャルロットさんも、大魔術師級だもの。炎特化のアタシとは違って、万能型。あらゆる魔法を使いこなせるの。ものすごく強いわよ。魔王に100万は確実」
 そうなのか。

 オレも声を潜めた。
「マルティーヌ先生は?」
「高等科の先生だから、そこそこは強いとは思うわ」
「おお」
「でも、そこそこよ。魔力の総量からいって……魔王に100万は無理ね。40〜50万じゃないかしら」
 ぐ。

「魔力が見えるのか?」
「見えるわよ。アタシ、大魔術師だもの」
 サラが胸をそらせる。魔術師のローブの上からだと、ぺたんこの胸も目立たない。普通だ。体のラインがはっきり出ない、魔術師のローブは実にサラ向きだ。
 と、思ったら、いきなりグーパンチで頬をグリグリされた。
「ぺったんこで悪かったわね……」
 む!
 何故、それを!
 心を読んだのか!
 魔法で?

「………」
 じゃねーな。

「おまえ、アナムにオレの心を読ませてるだろ?」
 プライバシーの侵害だ。
 エッチぃ。
 魔力が見えるうんぬんも、サラの能力じゃなく、アナムの知覚だな。
 炎の精霊を同化させている幼馴染が、ツーンって顔になる。
「勇者(アイ)のダメージ値をあんたの記憶の中から引き上げ(サルベージ)するついでに頼んだのよ。あんたが不埒な事を考えた時だけ報告してくれってね……」
 で、ぺったんこを、精霊支配者にご注進したと……
 アナム〜……覚えてろよ……

「バカでエッチで流されやすくって、弱っちくっておひとよし。ほ〜んと駄目な勇者よね」
 サラが、ケラケラ笑う。
「あんたなんか、アテにならないもの。この世界は、大魔術師サラ様が救ってあげるわ」
 む?
「ま、あんたと百人目にもちょびっと活躍の場をあげてもいいか。サラ様の大活躍の後、勇者の剣を瀕死の魔王にちょこんとあててちょうだい。とどめだけは、あんたにあげるから」

 サラが笑う。明るく、軽く。
「じゃあね……」
 オレに背を向け、ストロベリーブロンドの髪をなびかせ、サラはアタッカー位置へと移動していった。

 背を見ていたはずが、突然、視界が変わる。
 サラと向かい合っているかのような視界。同化している土の精霊が、別視点からの映像をオレの脳に見せているのだろう。

 サラの緑の瞳が、上を見上げている。
 カネコを見ているようだ。

 少し顔色が悪い。
 表情も硬い。
 めちゃくちゃ緊張している感じだ。

 さっきはケラケラ笑って、軽口を叩いてたのに。オレをリラックスさせようと、自分の不安を隠していたんだな。
 ったく……強がりやがって。

 深呼吸。
 気持ちを落ち着けたいのだろう、何度か息を整えてからサラは瞼を閉じた。

 その唇がゆっくりと動く。
 声は出していない。
 だが、サラの声が聞こえた気がした。

『ジャン……』と。

 杖頭のダイヤモンドを額にあて、サラが呪文を唱え始める。
 自動翻訳機能も、呪文にはさっぱりだ。何を言ってるんだかわからない。
 ブツブツと意味不明な音を口にしているように聞こえる。

《わかりたいよね?》
 頭の中に、声がすべりこんでくる。
《何って言ってるのか、知りたいわよね? ご主人様(マスター)
 妙に焦った声……
 この声は……

《おやめなさい。下品でしてよ》
 氷のグラキエス様が叱る。
《精霊支配者から命令されない限り、人が知り得ぬ知識を与えてはいけない……しもべの心得としてお教えしてさしあげましたわよね?》
《そうですね、ルール違反です。精霊が精霊支配者を恣意的に先導した場合、精霊界帰還後に罰が下されるかもしれませんね》と光のルーチェさん。
《ま、へーきなんじゃない? おにーさんが、自分の意志でそう思えば》
 軽い調子で、風のアウラさんが笑う。
《幼馴染が何の呪文を唱えてるのか知りたかったのよね、おにーさん?》

「知りたい」
 迷わず口にした。
 ベテラン精霊三人が、オレにも聞こえるように仲間をたしなめたんだ。
 三人も、オレに教えたがっている。
「教えてくれ、ティーナ。サラは何って言っている?」

 言葉ではなく、イメージが頭に伝わってきた。
 術が成った時に、発動する魔法を教えているのだ。

 日は陰り始めたものの、まだ明るい空。
 穏やかな空の彼方から、巨大なものが落下してくる。
 超巨大な燃える岩……
 隕石だ。
 華々しく燃える巨大なものが、長い雲の軌跡を描いて落ちていく。 
 隕石は、荒野の魔王城へと迫った。
 金属とも岩とも骨ともつかぬ真っ黒なもので、全てがつくられている魔王城。城壁の内には地面すらなく、黒光りする不思議なものが、中央に向かって傾斜してゆき、山のように高く盛り上がって巨大な城を形作っているのだ。
 閃光をともなう大きな爆発音と衝撃に、魔王城は揺れ……
 あらゆる攻撃を弾くはずの外郭に、隕石は透過してゆき……
 カネコの頭上へと、燃える巨大岩が迫る。
 一つや二つじゃない……
 三つ、四つ……五つ? 六つ?

 隕石を幾つ降らせる気だ、サラ!

「メテオストーム……」

 メテオは、隕石を召喚し、敵に大ダメージを与える大破壊魔法。
 天空から降って来る灼熱の大岩は、ありとあらゆるものを粉砕する。
『勇者の書』にもたまに出てくる、魔術師の最大魔法の一つだ。

 メテオストームは、その上位版。
 超強力な隕石をいっぱい呼び寄せるハイパー魔法だ。

 隕石1個で100万ダメージだと、女神様は言った。
 ああ……そうだ、女神様が言ったんだ……『女神の何でも答えちゃおうコーナー』で……

『アタシが魔王戦で使える最大の魔法を教えてください! 1000万でも1億でも伸ばせるだけダメージが伸ばせるやつ!』
 サラは女神様にそう尋ねた。
 その後、セリアに使用してはいけない、と注意されたのに……
 三個呼び寄せた奴は、魔力が枯渇した。生命力を術に吸い取られ、十代だったのに老人になった……
 そして、五個呼んだ奴は死んだんだ……

 ちくしょう!

 オレは馬鹿だ!

 昔っから、サラはそうだ。勇ましくって、めちゃくちゃ友達思い。オレやジョゼをかばって近所の悪ガキどもをぶん殴りに行くような……そんな奴だった。

 サラなら使う!

 このままじゃ、オレが究極魔法を使うってわかってるから!
 自分がどうなろうが構わないって、メテオストームを使う! そういう奴だ!

 なんで気づかなかったんだよ、オレ!

「やめろ、サラ! 死ぬぞ!」
 オレは、サラへと駆け寄ろうとした。
 しかし、杖を持ちあげ、杖底でタン! と足元を突いた瞬間、サラは炎に包まれてしまった。
 燃える炎には熱はない。熱くはないが、オレを押し返す。
 サラの周囲に炎の円陣が出来ている。あらゆるものを拒むかのように。

「術の一環だよ。術師の周囲に炎の結界を張り、あらゆる外的刺激から術師を守るのさ」
 オレのすぐ横に、気障男が立つ。
「もはや君の声も届かなければ、その姿も見えない。サラさんはメテオストームの制御に集中している」

「なんで、おまえが……そんなことを知ってるんだ?」
「愚問だね、ジャン君」
 お貴族野郎が、鼻で笑う。
「幼馴染を救いたいと必死になっておられるけなげな方を、この私が見過ごすとでも? メテオストームに関する知識は全てお教えし、ポワエルデュー侯爵家秘蔵の魔法制御用の魔法道具をお貸ししてご協力したのだよ」

 思いっきり、シャルルをぶん殴った。

 床に倒れたシャルルのもとに、シャルロットちゃんが駆け寄る。
「違うのです、勇者様。最初、サラさんは、お兄様ではなく私に」
「シャルロット」
 上体を起こしたシャルルがかぶりを振る。余計な事は言うなと叱るように。

 シャルロットちゃんが、オレを見つめる。
「今のサラさんは、メテオストームの威力もデメリットも熟知しておられます。私もサラさんなら、三つ……いいえ四つならば制御できると確信しておりますわ」

「あの馬鹿、六つ以上、呼び寄せる気だ!」
 サラを指さして、オレ叫んだ。
 シャルロットちゃんが驚きの表情となり、口元をそっと隠した。
「六つ……? そんな……いくらサラさんでも、それでは……」
 シャルロットちゃんが語尾を濁す。

 青ざめた顔で、ジョゼはサラを見ていた。
 この魔法をサラが使う気だったとは、義妹も知らなかったようだ。

 周囲もざわめいている。死をも覚悟してサラが魔法を唱えていると、みな、初めて知ったのだ。

 しかし……
「サラさんは感情豊かな方ですが、理性的な判断もできる方です。世界が滅びるよりはいいとお考えになったのでしょう」
 メガネのフレームを押し上げながら、セリアが言う。やけに冷静に。
 セリアも知っていたのか……?

「一人の犠牲で魔王が倒せ、世界を救えるのです。安いものではありませんか?」

「ンな世界、いらねーよ!」
 オレは叫んだ。
「サラを犠牲にするくらいならオレが死ぬ! オレは、誰にも死んでもらいたくない! 仲間を誰一人失いたくないんだ!」

「……究極魔法をご使用になられるのですか?」
 う。
 なぜ、それを?
 再従弟(またいとこ)から、聞いたのか?

 学者のメガネがキラリと光る。
「サラさんは死亡するとも限りません。魔王戦を最少の被害で終えるには、メテオストーム実行こそが最良の策と私は考えます」
「いやだ! 絶対に嫌だ! 死ななくても、バアさんになっちまうんだろ? オレはサラを失いたくない!」

 セリアが瞳を細め、口元に微かな笑みを浮かべた。
「……そうおっしゃるだろうと思っておりました」
 だだっこを困ったように見つめる母親の顔と言おうか……セリアは優しく微笑んでいる。
「私は百一代目勇者様の学者です。勇者様のご希望を実現する為に働く事が、私の使命です。仕方がありません……お教えしましょう。メテオストームの最大の欠点は、呪文の長さです。そのひたすら長い呪文を、一言一句たがわず正確に唱えなければ、術は正しく発動しないのです。不発に終わります」
 なるほど!
 セリアが、ぐっ! と右手を握る。
「まだ半分も唱えていないはず。邪魔し放題です、勇者様」
 おっけぇ!
「ありがとう、セリアさん!」

 だが、サラは炎の結界の中だ。近づけないし、声も届かないし、オレを見ることもない。
 どうやって邪魔をする?

「あの炎の結界は、アナム君だよ。自分の魔力を割いて結界を張るよりも、しもべに張らせた方がいい。結界が不必要となれば吸収して内に戻せるので効率がいい……この私がそう助言したので、ね」
 左頬を押さえているお貴族様が、床の上からオレに爽やかに笑いかける。
「アナム君と同じ炎から生まれたティーナさんなら、あの炎の結界は拒めない。通り抜ける事も可能だろう」

ご主人様(マスター)。わたし、アナムをぶん殴りに行きたいんだけど、一緒に来る? アナムったら、あの(ヒト)のメテオストームの炎に魅入られてるのよ。術の威力を高める為に、何もかも捧げそう。四散しそうで、こわいの。アナムがレイみたいに消えちゃったら、わたし……耐えられない》
 ティーナ……
 おまえが《気を抜かないで、みんなの戦いをずっと見て……。勇者として》とか言ったの、この事だったのか。
 いや、サラやアナムの事だけじゃないな。レイの四散の警告でもあったんだろ? あん時は、オレ、気づかなかったが……今度こそ……

 てか、セリアもシャルルもティーナも、グラキエス様もルーチェさんもアウラさんも……
 サラを止めたいんなら、もっと前にわかるようにちゃんと教えてくれよ。
 こんな土壇場ギリギリじゃなくてさ。

《あの女、強情だもの。こうと決めたら、絶対に譲らない。今じゃなきゃ、止められないわ》
……ごもっとも。

《いくわよ》
 オレの内に、炎の精霊が入って来る。

 ティーナがオレの体を動かす。
 オレの体が走る。
 赤々と燃える炎の中に、オレは突っ込んでゆき……

 難なく炎を通り抜けた。

 サラの背中が見える。

 杖をつき、呪文を唱えているサラ。

 ティーナが体の支配を戻してくれる。
 オレは、右の人さし指を懸命にのばし……

 その指をサラの背筋のあたりにあて、上から下へとツツツーと滑らせたのだった。

「う」

 一瞬の溜めの後、

「きゃぁぁぁぁ!」
 サラは絶叫した。 
 杖を放りだし、背中を大きく反らせてのけぞって。

「なにすんのよ、馬鹿っ!」
 サラはふりむきざまに、右腕でオレをぶん殴った。

 床にぶっ倒れながら見た。

 ひょろひょろ〜 と上から何かが飛んで来て、カネコの頭にコツンと当たり、魔王の体を伝わって落ちてゆく。
 それは、コロコロと床を転がった。炎の結界は消えたんで、それは何の抵抗もなくサラの足元までやって来て床に転がった杖にぶつかって止まった。
 親指の先ぐらいの小石だ。

「きゃぁぁぁぁ!」
 サラがもう一回、絶叫した。 
 両手をあたふたと振り、魔王に対し「無し! 今の無し!」とか叫んでる。

「無しになるわけないだろ。その小石で、おまえの攻撃は終わったんだよ」
「……ダメージは?……いくつ?」
 おそるおそる聞く幼馴染に、勇者(アイ)で捉えた数値を精確に伝えた。

「18ダメ」

「きゃぁぁぁぁ!」
 サラが三度、絶叫した。

 頭を抱えるサラ。
 ティーナは、アナムをサラから半ばひきずりだしてぶん殴っていた。

 大魔術師様の大魔法は、18ダメで終わった。が、サラもアナムも無事だった。
 大ダメージをだしてくれるよりも、サラが無事な方がいい。

 いいんだが……

 魔王の残りHPは、900万と6501だ。

 もう、駄目?

 だよな……

 オレと後一人で900万と6501のダメージを、通常攻撃で出すなんて、無理だろう。

「………」

 いやいやいやいや!
 これで、良かったんだ!

 魔王のHPが半端に残ってるより、ずっといい。究極魔法を使おうかどうか迷わなくて済むもんな。

 わはははは! あきらめた!

 もう究極魔法しかねーよな! 
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ