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ハーレム100 作者:松宮星

決戦(Ⅲ)

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裏 英雄世界 その1 (※)

「裏英雄界の伴侶達よ」

 オレの呼びかけに応え、魔法絹布の一番左端――裏英雄世界の魔法陣から輝きが生まれる。
 召喚をかける最後の世界だ。
 魔法陣から上空に向かい、光が広がる。
 まるで光の柱ができたかのようだ。

 まばゆい光の中から、ふわふわっと綺麗な花びらが舞い出て来る。すごい花の乱舞だ。
 そして、魔法陣に、パーン! とピンク色の爆発が広がる!
 しゃらんら〜 って感じに、ピンクの髪にピンクの衣装の美少女が現れる。独楽(コマ)のようにくるんくるん回転しながら。花びらは、踊る少女から散っているのだ。
 ボリューム感あふれる髪にも、レースびらびらのミニの衣装にも、色とりどりの花を模した飾りがいっぱいだ。
 右手には、トップがバラの小さなステッキを持っている。

 ナニな格好だけど、ラブリー。
 魔法の国のプリンセス、ゆめみのアイリちゃんだ。

 アイリちゃんが、ピタッと回転を止める。
「どこの世界の悪だか知らないけれど、花園を荒らす奴は許さない! ゆめみのアイリが華やかに退治しちゃうわ!」
 右足をわざとらしくあげ、顎に両のにぎりこぶしをそえて、えへっと笑ってウインク。
 アイリちゃんの決め台詞に、決めポーズなのだろう。


「え? なんなの……それ?」
 サラが固まっている。
「登場シーンのお約束。ヒーローやヒロインは、登場する度に格好いいポーズをとって名乗りをあげきゃいけないんだ」
 はあ? って顔の幼馴染。

「バカじゃねーの!」と、リーズがはっきりと声に出して言う。言っちゃいけないんだよ、それは……

 けど、裏英雄世界に共に行った、ジョゼやアナベラやイザベルさんは心得ている。パチパチパチと拍手を送っている。お貴族様も、か。
 ニーナも喜んでる。きゃーって感じに興奮して、手を叩いている。魔法少女だもんな、アイリちゃん。女の子は好きそうだ。


 つづいて、魔法陣のまばゆい光から強い風が吹き……パーン! と緑色の爆発が広がる!
「とぅ!」
 かけ声と共に、クルクルクルッと宙返りをしながら素早く動く女性が現れる。
 そんな超ミニで、空中回転なんかしていいんですか?
 着地。
 おおお! 今、見えたぞ!
「ワルイーゾに改造された機械の体! しかし、心までは改造されていないわ! 正義の戦士ミラクルみどり! 世界の平和は私が守る!」
 魔王をびしっ! と指さして、女性が決めポーズをとる。

 ジャスティス戦隊リーダーのミドリさんだ。

 ミドリさんは優しそうな顔立ちの美人だ。
 今は、緑色のヘルメットを被って目元をバイザーで隠しているんで残念ながら素顔がほとんど見えないけど。色っぽい口元とセクシーなほくろが見えるぐらい。
 だが、衣装は凄い!
 白いブーツに、白い手袋! 腰にはベルト! ホルスターには銃と緑の羽根型の遠隔武器! 翼のようなショートマントが背中にひらめいている!
 それはいいとして!
 超ボンキュッボンな体を覆うヒーロー衣装は、ビキニブラとミニスカ! おなか丸出し! 強化服なのに!
 むっちりとした魅力的な胸は大きすぎて、ビキニにおさまりきらず下からぷりんなふくらみが見えている。下乳が出ちゃってる……
 きゅっとくびれたウエスト! 豊かなお尻! 超ミニのスカートからあらわれるのは、うっとりするような美脚!
 戦隊ものヒロインなのに、エッチだ!
 ドキドキする!


「ちょっと待ってください! 何なのですか、その爆発は!」
 青ざめた顔で、学者様が魔法陣の前の正義の味方へと近づく。
「やめてください! その爆発、もしや」

 と、セリアがそこまで言いかけた時だった、又もや魔法陣からパーン! と爆発が広がった。今度は、赤い色の爆発だ。
 魔法陣の光から、トテトテと走って来たのは、ちっちゃな子だ。年の頃は、ニーナと同じくらい……だと思う。
 フードつきの、ちょっぴりダボッとした衣装を着ている。きぐるみの寝巻のような感じ。色は赤。
 子供はミドリさんとアイリちゃんの間まで走って行って、ビシッ! とポーズをとる。体を低くして片膝をつき、がお〜って感じに両手をあげる。右をやや前に、左をやや後方につきだす感じで。
「ふーらい戦士マサタ=カーン! ふぁいあー ばーじょんッ!」

 へ?
 風来戦士マサタ=カーン?
 サクライ マサタカさん……?

「………」

 なわけないか。
 チビッ子で、かわいい女の子の声だし。

 あの格好、どっかで見たような気がしたが、カーンさんの変身スーツの複製なのか?
 カーンさんは、精霊を体に装着させて正義の味方に変身する。精霊八体分、八種類のヒーローになれるって言ってたっけ。
 あれを着てるのは、きっとイガラシ ヒトミちゃんだ。ツイン・テールの小学二年生の。

 あの衣装をわざわざ着て来て、嬉しそうにポーズをとっているってことは……
 カーンさんのファンだったんだな。
 ヒトミちゃんの目は、きらきらと輝いている。

 なぜだろう……
 わけもなく……
 ちょっとだけさびしい……


「だから、やめてください! 敵対行動は一人一回しか」
 セリアが必死に叫ぶが、正義のヒーロー達は返事をしない。時が止まったかのように、ぴたっと動きを止めている。
 静止ポーズに慣れていないのか、ヒトミちゃんはちょびっとフラフラしているが。
 アイリちゃん、すごいなー 片足あげてるのに微動だにしないよ。正義の味方のプロだ。


 魔法陣から、どど〜ん! と紫色の爆発が広がる。

「ああああ……」
 セリアが、ぺたりと床に座り込む。

「邪悪あるところに光あり・・・」
 全身を神々しく輝かせながら、女性が現れる。
「光の中に生まれ、光を広める。それが俺の定めなのだ」
 わっはっはっは! と高笑いを始めた凶悪そうな巫女さん……

 中身が誰なのか、一目瞭然……

 外身はスメラギ ユリカさん、ポニーテールの巫女さんだ。白い小袖に濃い紫の袴を着ている。
 まっすぐに切り揃えた厚い前髪をしていて、目鼻立ちのはっきりした顔立ちをしている。美少女だ。

 美少女だけど……
 中身がなあ……

『マッハな方』が暴れ出す前にと、オレの精霊のティーナとルーチェさんが動きを奪おうと近づく。
 だが、巫女さんの体に触れようとした途端、バッチン! と光の衝撃が走り、二人の手をはじき返した。
 呆然とする炎と光の精霊に、『マッハな方』が得意そうに高笑いをした。

「ククク・・愚か者! この俺が同じ手を二度も三度もくらうと思ったか、マリーの下僕の下僕よ」
 くらったじゃないですか、二回。ヤチヨさんの時と、ジュリエットさんの時で。
「いかなる者も、神の使徒の俺を止めることはできん。俺のなすことを、そこで指をくわえて見ているがいい」

「あ、でも、まだ来てない人が」
 止めようとした。が、オレも光に弾かれる。手がビリビリする。ユリカさんに触れようとすると、強い静電気のような痛みが、バチッ! と走る。聖なる結界か何かか?

 ユリカさんは、ミドリさんの隣まで進むと、カネコアキノリを指さした。
「魔王に堕ちた醜きクズよ。妄執に囚われし愚か者よ。自ら堕落したきさまに、もはや神の慈悲は無い。内なる俺の霊魂が、マッハで、きさまの罪を言い渡す」
 右の親指をビシッと突き立てて、それからゆっくりと下に向け、『マッハな方』はいつもの決めポーズをとった。
「有罪! 既に存在自体が、きさまの罪だ!」

 オレや仲間達が、『マッハな方』に注目する。

 だが、しかし……

 いっこうに『終焉ノ(グッバイ・)滅ビヲ(イービル・)迎エシ神覇ノ(ブレイク・)贖焔(バーン)』を打たない。
『マッハな方』は親指を下に向けたままだ。動かない。霊力も高めていない。
 アイリちゃん、ヒトミちゃん、ミドリさんと共に動きを止めている。


 魔法陣から、ドドド〜ン! と青い爆発があがる。

《期間限定イベント ジャスティス戦隊VS魔王のご案内。本イベントはプレイヤーが五人参加した時点で終了します。時間制限はございませんが、先着順です。魔王との苛烈な戦いをお望みの方は、お急ぎください》
 抑揚のない声がした。
『マッハな方』から、違う人の声が聞こえるような?
《私はジャスティス戦隊飛び入りメンバー、ジャスティス・ブルーとして参加します。私の攻撃が警告です。以後、当イベントの挑戦者はラスト一名となります》
 へ?

「ブルー、名乗って」
 ミドリさんに促され、音声が名乗りをあげる。
《私はDQFFWZ社の『デ・ナニノ・ヲシス』のゲームマスターです。当イベントでは、ジャスティス・ブルーとして参加します。どうぞみなさま、イベントをお楽しみください》

 魔法陣から、ドドドドド〜ン! っと、ピンク、赤、緑、紫、青の爆発がいっぺんにあがる。

 魔法陣の爆発を背景に背負った四人が、
「ジャスティス戦隊、参上!」
 ハモって叫ぶ。
《参上》
 遅れて、ゲーム的な声がする。タイミングを誤りましたね……

挿絵(By みてみん)

 しかし、派手だ〜
 どうやってるんだ、あの爆発?


「決まったわ!」
 ミドリさんが、ヒトミちゃんの両手をとる。
「呼吸もぴったり。素晴らしかったわ、レッド。義務教育が終わったら、ぜひジャスティス戦隊に加入してね。私達は、いつも若い力を求めているのよ」
 万年人不足な組織だもんな。
「はい! リーダー!」
 素直なヒトミちゃんが、大きく頷きを返す。

「リーダー、あそこに舞台が」
 アイリちゃんが、『MY ステージ君』を指さす。
「あら、素敵。ヒロイン・ショー向きね。第二部はあそこでやりましょう」

 ちょ、まっ!

「お待ちください! 裏英雄世界のみなさま!」
 床にへたりこんでいたセリアが、しゃきっと立ちあがる。
「あのステージは攻撃時専用舞台です。何かをしゃべると、魔王への攻撃になってしまうのです。ご利用はお控えください」
「あら、残念」
 ミドリさんが口元に指をそえる。仕草といい、口元のほくろといい……色っぽい。

「それに、先ほどの爆煙は何なんです……?」
「え? 正義の味方登場時の演出効果だけど?」
 それが何? と首をかしげるミドリさんからシャルルへと、セリアが視線を動かす。
「魔王への攻撃の機会は一度だけ。攻撃が命中しなくとも敵対行為をとっただけで行動は終了してしまうのだと……みなさんに、きっちり、はっきりご説明したのでしょうね、シャルル?」
 再従弟(またいとこ)を睨みつけ、セリアが吠える。

 オレと共に裏英雄世界へ行ったお貴族様が、髪をかきあげる。
「むろん、きちんとお伝えしたさ」
「では、なぜ爆発と共に登場なさったのです! 攻撃判定のある爆発だったりしたら、それだけで行動終了になってしまうのに!」

 え?

 嘘?

 もしかして、オレの裏英雄世界の五人の伴侶、今ので攻撃終了?
 五人とも、ダメージがゼロ?
 魔王の残りHPが2167万1448なのに?

 借金1167万かぁぁ?

 お貴族様が、ハハハと笑う。
「いらぬ心配だよ、セリア。ミドリさんは聡明な方だ。不用意な攻撃などなさるはずがない」
 ミドリさんが頷き、ニコッと笑う。
「五色の爆発の事なら、大丈夫。私達の召喚に合わせて、ゴールドが召喚の光の中に色つき花火を投げ込んでくれただけよ」
 へ?
「タイミングはバッチリ! さすがゴールド! 使える超能力者だわ!」
 ゴールドさんは、未来から来た警察官だ。
 スタイルが良くて、すらりと背も高い。
 だが、その正義の味方スタイルは、ひどいもんだった。顔から手足の指先にいたるまでゴールドメタリックの表皮で覆われ金ピカに光っていて……マスクも、目があるはずのところに三角釣り目型の白い穴が開いているだけという……
 素顔は格好いい系の美人なんだが……

「では……みなさん、まだ攻撃はなさっていらっしゃらないのですね?」
 念を押すように聞くセリアに、
「もちろんよ」
 ミドリさんは笑顔で答える。
 良かった〜って感じに、セリアがホッと息をつく。
 セリア……本気で心配してくれてたんだな。

 一方……
「やあ、もろく傷つきやすい……まるで硝子細工のように繊細なお嬢さん。あなたの花園に再び(いざな)われて、嬉しい限りです。幸福な香りに酔いしれられそうだ」
 シャルルは、裏英雄世界で特にお気に入りだった相手に挨拶をしていた。
 それに対し、シャルルのお気に入りは、
「ぐわぁぁ! 寄るな! 触るな! 近づくな! キモいわッ!」
 おぞけを押さえながら、怒鳴っていた。
「ハハハ。本当に内気で可愛らしい方だ。怖がらなくとも大丈夫です。この私が、あらゆる敵から可憐な姫をお守りいたしましょう」
「だぁぁぁ! 黙れッ! 立ち去れッ! あたしの視界から消えろッ!」
 アイリちゃんが、涙目で叫んでいる。
 うんうん……わかるよ、キモいよな、そいつ……


 ジャスティス戦隊のみんなが、ちょいと下がると……
 魔法陣から、九十九人目の女性が現れた。
 召喚する、最後の女性だ。

 野牛の角の飾りのついた兜、背にはマント、肩や腕や脚にはメカメカしいプロテクター、膝上までのロングブーツ。いかにも悪そう。
 だが、しかし、スタイルはボンキュッボン! 胸元が深く開いた黒のボディースーツ! V字に開いたそこから大きな山の谷間はもちろん、おへそまで見えて……おまけに美脚……
 でもって、童顔。悪っぽい濃い化粧をしているのに、目が大きいし、頬もふっくら。何というか……可愛い。

 NEOワルイーゾの女幹部、アベンジャー ノリコだ。
 カーンさんの昔の仲間、てか十二の世界の恋人の一人だった女性。カーンさんがマドカさんを本命に選んだのに激怒して、悪の道へ走ったのだとか。

 悪の女幹部が、キッ! とジャスティス戦隊を睨む。
 あっちの世界じゃ、NEOワルイーゾとジャスティス戦隊は敵対関係。
 ミドリさんとこの(ヒト)は知り合いっぽいんだが……

「私をこんな所に連れて来て……何が狙いだ、ミラクルみどり?」
「私はノー・タッチよ」
 ミドリさんが掌で、オレを示す。
「彼の不思議な力で、私達は召喚されたの」
 誰だそいつ、って顔で女幹部がオレを見る。お会いした事あるんですよ〜 あなたの目にはカーンさんしか映ってなかったでしょうけど。
「彼の願いを叶えない限り、もとの世界に還れないの。あの魔王に大ダメージを与えればいいんですって」

 ノリコが、魔王を見る。
 人間の五倍の大きさ、両目は赤々と燃える松明を思わせ、山羊の角や蝙蝠の翼を生やし、全身が針とも毛ともつかぬ真っ黒な体毛で覆われている。
 恐ろしげな魔王そのものの姿だが……

 悪の女幹部は、「ふん!」の一言しか発しなかった。

「もとの世界に還りたかったら、しっかり戦ってね。あなたの順番は一番最後よ」
「知るか」
 バサーッとマントを翻し、女幹部が立ち去って行く。ジャスティス戦隊とは慣れ合わん! と全身で叫ぶかのように。

 カーンさんの(もと)カノ……ちゃんと戦ってくれるのだろうか?


 ふと、ユリカさんと目が合った。
 偉そうに両腕を組み、顎をつきだしてふんぞりかえっているが……妙に大人しい。
『邪悪を粛清することこそが、俺の存在理由』とかわめいて、魔王に神聖魔法をぶっぱなしまくりそうなものだが……

 聞いてみた。
「攻撃しないんですか?」
 フンと『マッハな方』が鼻で笑う。
「今はせん。俺はしがないバイトの身だ。それぞれの世界の神のリクエストには応えている」
「え?」
「『正義の味方のグループに属した時は、リーダーに従え』。それが、こいつらの世界の神から与えられた絶対ルールだ。下チチがGOサインを出すまで、魔法はうたん」
 ミドリさんは、下チチか……
 そいや、この人、あだ名で呼ぶのが好きだよな。オレはずっと『勇者』か『マリーの下僕』だし、魔界の伴侶達は『首』『裸』『眼帯』『色毛虫』とか呼んでたもんな。
 ちゃんと呼ぶのは、マリーちゃんぐらい?

「パープル」
 ジャスティス戦隊リーダーが、セリアを伴ってやって来た。
「勇者世界の方に、ブルーを紹介してあげて」

『マッハな方』は面倒くさそうに着物の合わせてに手をつっこみ、取り出したモノをミドリさんへとポーンと投げた。
 ミドリさんが慌ててキャッチする。
「乱暴にしないで! ブルーが壊れたら、どうするの?」

 名刺入れサイズの機械だ。
 この中にゲームマスターさんが居るのか?

「ゴールドとマサタ=カーンが、未来教会経営の秘密クラブをガサ入れしたのよ。『デ・ナニノ・ヲシス』を含む全六ゲームを止めたの。緊急メンテってことで、サーバーを落としたのよ」
 む?
「この端末は、『デ・ナニノ・ヲシス』の複製よ。召喚時に稼働していたのは、この端末だけだから、コレがあなたの伴侶と判断されたわけ」
 むむ?
「内部もちょっとイジったみたい。期間限定イベント『ジャスティス戦隊VS魔王』を挿入したって言ってたわ、ゲームマスターはジャスティス・ブルーというNPCで魔王戦に参戦するの」
 むむむ?

 ミドリさんが肩をすくめる。
「プログラム的なことは、私にはさっぱりわからないけれど……一応、戦えるみたいよ。ゲームマスターも」
 おお!
「マサタ=カーンがあなたの託宣を叶えるんだ、ゲームマスターを戦闘可能にするって、妙に熱血してね……ゴールドをひっぱって、あれこれやったのよ」
 そうなのか! やっぱ、いい人だな、カーンさん!
「あいつが、あんなに燃えるなんて、びっくりしたわ。熱くなるのは、のりこ絡みだけだと思ったのに」
 ミドリさんがクスリと笑う。
「あの莫迦、あなたに気があるのかもね」


「………」


 はっ。

 頭が真っ白になっていた。

 むむむ?

 耳が浮いちゃって、ミドリさんが言っていることが理解できない……

 誰ガ、誰ニ、キガ、アル……?

 脳裏に、白い歯をキラッと輝かせて笑う三十オヤジの顔が浮かんだ。

 いやいやいやいやいや! ないないないないない! カーンさんはいい人だと思う! けど、男だろ! ありえねー!

「冗談よ」
 ミドリさんがフフフと笑う。
「あなたは弟みたいなものなんですって。魔王戦で生き延びて、幸せに暮らして欲しいんだそうよ」

 ジーンとした。

 知性Eで、オレより馬鹿で……
 女心がわからないから、平然と、あっちこっちで彼女をつくりまくっちゃう人だけど……

 カーンさん……
 やっぱ、いい人だ……

「僕からしてやれる事はもうない。あとは君次第だ。最後まで気を抜くんじゃないぞ……そう伝えてくれですって」


『女神を信用するな。退路は確保しておくように』
 裏英雄世界でもらったカーンさんからの助言を、思い出す。

 オレは拳を握りしめた。
+注意+
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