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ハーレム100 作者:松宮星

決戦(Ⅱ)

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エスエフ界 その1 (※)

 ルネさんは、立ちながらたまに寝ている。
 寝不足なのだ。
 武器開発が遅れに遅れたせいで、ルネさんは魔王戦が始まる寸前まで武器開発をしていた。一カ月近く平均三時間睡眠、そしておとといから完徹なのだそうで。
 うとうとしても、仕方がない。
 フルフェイスのヘルメットをつけてるから、寝てるか起きてるか外見からじゃわからないが。

「いよいよですね!」
 ロボットアーマーの人が魔法絹布の前で、スタンバイしている。
「私の心の友! ユーリアさんやバルバラさんの魔王戦用武器、間もなくデビューです!」
 再会を待ち望んでいたのだろう、やけにしゃっきりしている。


 エスエフ界は、オレらの世界より科学技術がずっと進歩している。
 あちらの兵器を持ち込めれば、魔王に100万どころか1000万とか1億クラスの攻撃が出来るのだそうだ。

 だが、しかし……

 持ち込めない。

 強力な武器ほど巨大化する。弾薬だけでも、馬二十頭分の重量。射出用の装置を合わせれば、その何十倍にも膨れ上がるのだとか。
 自分と荷物しか運べない魔法陣では運搬不可能だし、更に言えば危険すぎる。その手の武器を使用すれば、その後、数十年間から数百年、悪影響が残る。魔王城周囲どころか国全体が、植物一本育たない荒れた土地になりかねないのだそうだ。

 ユーリアさんは、環境に安全で且つ攻撃力の高い武器を魔王戦に合わせて開発すると言っていた。部下のバルバラさんも張りきっていた。
 どうなったのだろう?
 うちの発明家とは違って、まともなモノを開発してくれているといいが……





「エスエフ界の伴侶達よ」

 オレの呼びかけに応え、魔法絹布の右から七番目――エスエフ界の魔法陣から輝きが生まれる。
 魔法陣から上空に向かい、光が広がる。
 まるで光の柱ができたかのようだ。

 まばゆい光の中から現れたのは……

 紫の髪の少女だった。
 エスエフ界の住人らしく、体にフィットした白銀のスーツ姿だ。
 首から、手の指、足先まで、白銀色の薄手の布で覆われている……ように見える。
 しかし、エスエフ界の人間は服は着ない。
 下着の上から、服の(もと)をスプレーで蒸着してるだけなのだ。下着のラインは浮かび上がらず、どこもかしこもすべすべではあるが……
 下着同然の姿と思うと、ドキドキする。体のラインがはっきり出てるんだもん。スレンダーだけど、あるべきところはきちんとあって魅力的だし。
 胸もそうだけど、後ろから見るとお尻が割れてるところまではっきりわかるんだよな……

 眼福。

 あ、いやいやいや! 目のやり場に困るよな、うん!

 紫の髪の少女がふきだし、ケラケラ笑う。
「あいかわらずだな、ユーシャさん。着衣の人間に興奮するなんて、ほ〜んと、文化の差だよな」
 心を読まれてしまったようだ。

 ラリサさんは、エスパーだ。
 テレパシー、予知、透視、千里眼、念力、瞬間移動等々。呪文を使わずに、魔法に良く似た力を使える。

 右眼が紫、左眼が金。
 ラリサさんの眼は、左右で色が異なるオッドアイだ。
 その目を見つめるとドキドキしちゃうんで、なるべく見ないようにした。
 髪の毛が紫だし、綺麗なんだが、ミステリアス。外見は精霊っぽい無機質さがある。

 しかし、ラリサさんはしっかりした女性だ。見た目は若いけど、オレよりずっと年長者だし。
 仲間達を見渡し、
「はじめまして、エスパーのラリサです」
 オレの仲間へときちんと挨拶をする。


「早速で悪いんだけど、ユーシャさん、頼みがある。ここは、危ない。もうすぐ、」
 と、ラリサさんが言いかけた時だ。

「ああああ、何ってこと! パワードスーツが外れちゃったわ! 何故、荷物扱いにならなかったの! ルネはロボットアーマーごと『マホージン』移動してたのに! ん? あら? もう異星に到着? 未知の超能力星間航行技術で! 素晴らしいわ! イヴ、『OPo−OPo』は正常稼働してるわね? あなたも、記録を継続。撮影よ! 何もかも撮りまくって! この世界の情報を可能な限り収集なさい!」
 良識があるんだかないんだかわからない人が魔法陣から現れ、
「了解しましタ、スーパー・マスター。データ収集ヲ、続行しまス」
 語尾がカタコトっぽい、メイドロイドの声が聞こえた。
 イヴだ。
 オレが教育した、メイドさん型アンドロイドだ。

「ユーリアさん!」
 ロボットアーマーの人が、イヴの前の科学者に抱きつく。
 寝ぼけてても、心の友は間違えないようだ。オレの見分けはつかんくせに。

「ルネ! 会えて嬉しいわ!」
 メイドロイドの産みの親の科学者は、きさくな感じの女性。
 綿か雲のようにモコモコしたオレンジの髪。白銀のフィットスーツの上から白衣をまとっているのは、科学者としての美学だそうだ。
 化粧っけはないものの整った顔立ちには、変装用のメガネが輝いている。
 メガネをしていれば両目とも紫に見えるが、外せば、右眼が紫、左眼が金のオッドアイとなる。
 ユーリアさんは、ラリサさんのお姉さん。二人のオッドアイは、母方の遺伝なのだそうだ。

 まあ、ユーリアさんはいいんだが……

 イヴは……膨れ上がっていた。

「マスター」
 メイドロイドが、ガションガション歩く。
「お久しぶりでス。マスター、大丈夫ですカ? 健康状態おおむね良好ですガ、皮下出血を七カ所、検知しましタ。体温と血圧も通常より高いでス。治療しますカ?」

「あ、いや、いいよ」
 メイド型アンドロイドを、ジーッと見つめた。
 イヴは全身が、エメラルドグリーン。まつげやまぶたがない開いたままの眼までもが、光沢のある不思議な色に輝いている。
 あどけない少女のような顔。後頭部の高い位置で髪を一つにまとめた総髪(ポニーテール)は、肩をすぎるほどの長さ。
 胸元もきわどいミニのワンピースは、腰から下がボリュームをもって傘のように広がっている。のびやかな手や足も魅力的。
 なのだが……
 背中に自分の倍はありそうなデカい機械を背負っている。ボールに輪っかとアンテナがついた、丸っこいロボのようだが?
 左右の手に巨大な銃……てか、大砲を持っているし。
「……重くない?」
 イヴが小首をかしげる。イヴの顔には表情がない。仮面そっくりだ。でも、角度が変わると微妙に表情ができるような。今はニコッと微笑んでいるように、オレには見える。
「大丈夫でス、マスター。イヴはアンドロイド。十万馬力でス。探査艇『OPo−OPo』を背面にドッキングさせた状態デ、重機関砲全弾、標的命中可能でス」
 背中の機械は探査艇『OPo−OPo』と言うらしい。
「武器は二丁使うの?」
「違いまス。左手の超重力砲ハ、ナターリヤ様用武器でス。重量ガ、30kgの為、運搬を依頼されただけでス」

「話中のところすまないけど」
 ラリサさんが、オレとイヴの間に割って入る。
「ユーシャさん、移動してくれないかな? マホージンから少なくとも十メートルは距離をとって欲しい」
「なんでです?」
 紫の髪のエスパーは溜息をついた。
「もうすぐシャフィロス星女王様がいらっしゃるからだ。あの方の魅了を完璧に遮断するフィールドは、まだ未完成なんだ」





 そんなわけで、オレは後方に下がった。

 魔王と反対側の結界の端、大太鼓ほどのデカイ灯り『照らすクン』が並ぶ辺りだ。背面が非常に眩しい。
 すぐ側に、野郎のシャルルと、男女の性別のない精霊達が居る。一緒にここまで退避したのだ。
 シャフィロス星女王シャフィールとの接触を避けて。


 魔法絹布から伴侶達が登場するのを、セリア達が彼女等に挨拶するのを、オレは遠くからボーと眺めた。

 子リスを肩にのせた背の高い美人……バイオロイドのチコと、サイボーグのジリヤさん。
 青ビキニの美少女……自称正義の味方のキャロライン。
 緑のフィットスーツに白衣の女性……ユーリアさんの双子の妹のタチアナさん。
 銀の髪の少女……超常現象研究家のナターリヤさん。ユーリアさんの末の妹だ。

 せっかく来てくれたみんなに、遠くから手を振るぐらいしかできない。

 非常に残念だし、申し訳ない。

 だが、離れていないと危険なのだ。


 魔法陣からその女性が現れた途端、胸がキュンキュンした。
 白銀のロングヘアーに、ミッドナイトブルーのドレス。ドレスの胸の中央に大きなカッティングがあり、そこから谷間を覗かせているのも、エッチ。
 女王然とした、きりりとした顔。力強い眉。
 そして、長い睫毛の切れ長の瞳……涼やかで落ち着いたそれは、左は金、右は紫のオッドアイだった……

 体温が上昇し、胸の鼓動が早くなる。
 目は、美しい女王様に釘づけだ。
 その美しさに、くらくらと目まいを感じた。

《ほんとうに、綺麗な方ですよね……》
 マーイさんが、うっとりとつぶやく。
 他の精霊も、シャフィロス星女王様を熱い眼差しで見つめている。

「これは凄まじい……常時魅了魔法が発動しているようだ……」
 お貴族様は鼻の下にハンカチをあてていた。

 シャフィロス星女王シャフィールは、『フェロモンの塊』。
 国を統率する為に、強烈な魅了の力で他人を虜にする。無性の労働者階級を従わせ、次代に種を残せる者を必ず欲情させる為なのだそうで。性的魅了は、男にも女にもなれる精霊にまで及ぶ。
 魅了の力は、近づけば近づくほど強まる。
 魔法絹布の側に居たら、女王様が登場した途端、理性がふっとんでた。
 女王様が欲しくってたまらなくなり、女王様を争って精霊達やシャルルとバトル開始か、女王様に襲いかかってサラにぶん殴られるか……ろくな目に合わなかったろう。

 女王様がオレの方を見て静かに微笑み、それからセリアに何かを話しかける。ナターリヤさんが側に立ち、女王様の質問の言葉不足を補っているようだ。
 そのお美しい姿を、オレはただぼんやりと眺めた。

 女王様がカネコの方へと移動してから、魔法陣より最後の伴侶が現れる。
 見事な赤毛の赤いフィットスーツの女性……巨大ロボのメカニック兼パイロットのバルバラさんだ。
 ユーリアさんの部下で、ルネさんの親友でもある女性は、細長くて大きい四角い機械の箱を持っていた。





 シャフィロス星の女王様は、アタッカー位置の『MY ステージ君』まで移動した。
 ステージ端に腰かけカネコを見上げる姿は、何というか……ものさびしげ。魅了の力を持って生まれた為に孤独になっていらっしゃるのだと思うと、お気の毒だ。駆け寄って抱きしめてさしあげたくなる。

 だが、オレは理性を振り絞り、女王様から視線を外した。

 女王様を除くエスエフ界の仲間達やこの世界のみんなが、勇者のオレの所まで挨拶と戦闘相談に来てくれたんだ。
 話をきちんと聞かなきゃ、失礼だ。

 ユーリアさんと握手を交わした。
「お久しぶり、ユーシャさん。本日はテラ代表親善大使として、あなた方の星の防衛戦に参戦するわ。侵略者(マオウ)を撃退した後は、ぜひ調査隊を派遣させて。あなた方の(セカイ)を徹底的に研究したいの。いずれは、テラ系人とユーシャ型宇宙人のあなた方で国交が結べるように!」
 エスエフ界では、自分達の世界(ほし)出身ではない者を『宇宙人』と呼ぶ。だから、オレらは『宇宙人』なわけで。
 国交うんぬんは、オレが口を出せる話じゃない。が、文化交流自体は問題ないはず。可能な限り協力しますと答えておいた。
 ユーリアさんが、お土産をくれる。『ギンガケイ』地図やら、説明を聞いてもよくわかんない機械やら、ポチ用の新培養液やらカプセルやら……ルネさんに渡しておこう。

 ポチ用の培養カプセルを持つオレに、ユーリアさんが言う。
「それで三年はもつはずよ。でも、ポチ2号はいずれバビロンに返してね。お国が落ち着いてからでいいから」
「わかりました」
 バリア役のポチ2号は、サバイバル型バイオロイド。異世界でも、それなりに長く生きられる。だが、電脳部分が故障したら、こちらでは直せない。壊れる前に、エスエフ界に還してあげなくては。

「で、こっからが相談。転送トラブルで、私のパワードスーツがこの世界に持ち込めなかったの。運搬していたシャフィール用の武器と合わせ2名分の武器が不足しています。武器を借してくれないかしら?」

 え?

 ユーリアさんが、にっこりと微笑む。
「ルネの発明品を借りたいの。いいわよね?」
「私の武器に注目するなんて! さすが、ユーリアさん! お目が、高い!」

 え〜?

……ルネさんの発明品を使うの?

「お手持ちの武器を使いまわされては、いかがでしょう?」と、学者様が提案してくれたが、
「無理。弾薬やエネルギーパックが足りないし、そもそもジリヤやイヴの武器じゃ重すぎて一般人は持てないもの」
 と、ぴしゃりとユーリアさんははねのけた。

「本当、残念だわ……魔王戦用に特別チューンアップをした自信作のパワードスーツだったのに!」
「魔王戦用パワードスーツ? この目で見たかった! さぞキュートだったでしょうね!」と、ロボットアーマーの人。
「そうなのよ! ロボじゃなくて、装着スーツなのに何故、運びこめなかったのかしら?」
「謎ですねー」と、言ったのはユーリアさんの部下のバルバラさん。
「軍事用の『TARA=BA=GANI』を改良した『TAKA=ASHI=GANI』! 高機動多脚型スーツで、ミリタリーテイストのデザインが特徴! 背中に波動エンジンを搭載していてね、超小型ウルトラ波動砲が二門も使用可能! スーツの全長は砲筒を含めてほんの10メートルだし、重量もほんの5トン……」
挿絵(By みてみん)
……それ、荷物と言い張るにはデカくて重かったんじゃ? 10メートルって、三階建の建物よりデカかったよな……

 けど、ルネさんは乳牛並の重さのロボットアーマーを着たまま魔法陣で転移&帰還できてるわけだし……

 むぅ?

《メンタルの差だと思うー ルネは日常的に『迷子くん』を装備してるもん。ロボットアーマーは体の一部ですってぐらい馴染んでるから、荷物扱いで運べたんじゃないかな》
 エクレールの推論に、メカおたくの三人がなるほど! てな顔になる。
「そうか! 『TAKA=ASHI=GANI』を装着し続けて精神と体に馴染ませておくべきだったのね! 不覚!」
 は? 三階建の建物よりデカいスーツを普段着にしてれば良かった、と?

「過ぎた事を今ここで詮議しても仕方がない事だ」
 変な方向に転がっていきそうなメカおたく達の会話を、サイボーグのジリヤさんが強引に方向転換させる。
「武器を持ちこめなかったのは、ユーリア姉さんとシャフィールの二人だが、二人がこの世界の武器を借りるのか?」
 ユーリアさんの妹でラリサさんのお姉さんなので、ジリヤさんもオッドアイだ。右が紫、左が金。
 その目も、髪の毛も、肌のうぶげにいたるまで全身が、人工物なのだそうだが。
 銀の短髪をオールバックでまとめた、彫りの深い顔立ち。きりりとした眉、高い鼻、浮き出た頬骨、厚い唇。凛々しい系美人だ。
 サイボーグのジリヤさんは、大きな円筒状の武器を左肩に担ぎ、右手は円盤状の小さな機械を持ち、右肩に愛らしいバイオロイドをのせていた。
 リスそっくりのバイオロイド……オレの伴侶のチコだ。チコはリス用ビスケットを、せわしなくポリポリと食べている……
 全部食べきる度に、横からキャロラインが次のビスケットをあげる。ユーリアさん達と敵対してたはずの正義の味方は、すっかり仲良しになったようだ。ニコニコ笑顔で、チコにおやつをあげている。
 チコのお口が休まることはなく、ビスケットをほおばる……
 かわいい……

 ユーリアさんはエスエフ界の仲間を見渡し、イヴの左手の武器に目をとめた。
「そうね……武装を変更しましょうか。ナターリヤ、あなた用にイヴに運ばせた超重力砲は、私が使うわ。私は超重力砲の発明者だもの。あなたよりも、扱いに長けているから」
「わかりましたわ、おねえさま」
 銀の髪の少女が肩をすくめる。この子も、右眼が紫、左眼が金のオッドアイだ。ユーリアさん姉妹にシャフィロス星の女王様と、エスエフ界はオッドアイだらけだ。
「私とシャフィールがこの世界の武器を使えばよろしいのね?」
 ナターリヤさんは超常現象研究家。宇宙人のシャフィール女王様とは、友人なのだ。
「何の武器を使うかは、任せるわ」
「お任せください! 私の武器は、どれも取り扱いがちょ〜簡単! 戦闘素人でも、宇宙人でも、誰でも使いこなせますから!」
 ロボットアーマーの人が嬉しそうに、バーン! と胸を叩く。

 何とも微妙な顔のセリアやサラ達と、視線を交わした。
 武器を持ちこめなかった人がいる以上、ルネさんの武器の使用もやむなしとは思う。
 思うんだが……

 オレにできる事は……英雄世界のマドカさんが残してくれた7枚の精霊カードも武器として使えると知らせる事だけだった。


 オレらがそんな会話をしている間……
 ユーリアさんの双子の妹のタチアナさんは、オレの精霊達とサラとジョゼにセクハラをしていた。
 一言もしゃべらず、無表情で目標に接近。顔を近づけクンクンと匂いを嗅いでは、立ち去ってゆくのだ。
《なんなの、この人?》
 ティーナは、匂いを嗅がれながらたじろんだ。
《頭の中が真っ白だし! 何、考えてるんだかさっぱりわからない!》

 タチアナさんは、子作りが趣味の、ちょっと怪しい生物学者だ。
 優秀な遺伝子を持っているものが、動物的勘でわかるらしい。精霊達と精霊を憑依させた人間の匂いに惹かれているんだろう。

 グラキエス様は自分の周囲に氷を張り巡らしてタチアナさんの接近を拒んだ。が、それ以外のものは、苦笑を浮かべつつもセクハラを許していた。みんな、優しいなあ……
《だって、この人、ポチちゃんのお母さんでしょ? 服の緑もおにーちゃんだし、協力してあげないと》と、ソワ。

 ニーナのポチ2号の産みの親は、タチアナさん。
 タチアナさんが教育したポチの電脳を複写し、ポチ2号を作ったのだとか。ポチ2号の兄……ポチ1号はタチアナさんのフィットスーツに付着している緑部分だ。

 タチアナさんが、オレにべったりとくっついてくる。小さく鼻を動かしながら。
 そいや、オレにもサブレがくっついてたんだっけ。
 タチアナさんは、髪は黒で、フィットスーツの色も緑。けど、顔や体格はユーリアさんそっくりで、メガネと白衣を好んでるところも一緒。
 メガネ越しに見える瞳は紫だ。しかし、メガネを外せば、この人もオッドアイ。
 お化粧の甘い香りが漂う中、くすぐったい息をかけられ、クンクンと匂いをかがれるのは……
 キュンキュンもので、かなり恥ずかしい……
+注意+
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