挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ハーレム100 作者:松宮星

決戦(Ⅰ)

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

167/224

幻想世界 その1

「幻想世界の伴侶達よ」

 オレの呼びかけに応え、魔法絹布の一番端――幻想世界の魔法陣から輝きが生まれる。
 魔法陣から上空に向かい、光が広がる。
 まるで光の柱ができたかのようだ。

 まばゆい輝きの中で、何かが動く。
 水飛沫をあげながら光から飛び出して来たそれは……人間ではなかった。
 軽いウェーブがかかったコバルトブルーの長い髪、青みがかった白い肌、尾や(ひれ)がある魚のような下半身。
 人魚ちゃんだ!
 頭の中は魚そのものだけど、外見は絶品! 儚げで幻想的な美貌! 見えそで見えない、やわらかそうなナマ胸! ああああ、あいかわらず髪が邪魔! 濡れた髪が張りついてなきゃ見えるのに!

 人魚ちゃん黒い床の上を、ピチピチと跳ねる。
 周囲から驚きの声が漏れる。
 一緒に行ったサラ達はともかく、初めて目にしたらびっくりするよな。
 幻想的な生き物がそこに居て、動いているんだもん。
 人魚ちゃんはオレを見つけ、ニコッと笑みを浮かべ……
 次の瞬間、悲鳴をあげた。

 人魚ちゃんの下半身に何かがくっついている。
 つーか、噛みつかれてる。
 頭のてっぺんの二つの耳と尻尾を、ご機嫌にヒョコヒョコさせてる奴に。
 人魚ちゃんに噛みついてるのは、おかっぱのやわらかそうな金髪、素肌の上にダボダボのオーバーオールを着た、小柄なネコ獣人だ。

「馬鹿野郎、ミー。その人魚は兄さんの伴侶だ。絶対に手を出はさねえと固く誓ったじゃねえか」
 そう言って、光の中からピョコンと飛び出してきたのは……
 道中合羽を羽織って、三度笠を背負い、腰に刀を差した『渡世人』装束のお方……
 長いお耳と、つぶらな赤い瞳、ヒクヒク動く鼻。後ろ足で立つヤクザな白ウサギ。長い楊枝ならぬ牧草をくわえていらっしゃる!
 シロさん!
「約束を破るような奴は、妹分じゃねえ。今日を限りで縁を切るぞ」

「た、た、たべてないにゃー この人魚、ケガをしてるから、レロレロして、治してあげてるだけだにゃー」
 ネコ獣人は人魚ちゃんから慌てて口を離し、歯型の痕をザラザラの舌で舐める。
 ミーの唾液には、軽い媚薬効果がある。舐める事で獲物を骨抜きにし、無抵抗にしてから食す為だとか何とか。
 大人しくなった人魚ちゃんを、ミーはうっとりとした顔で舐めまわした。
「さすが世界三大珍味の人魚だにゃ……いい香り、すばらしい歯ごたえ、血まで極上だにゃー ヨダレがあふれるにゃ……食べてしまいたいにゃー……」
 絶対、喰うなよ、おまえ……

「おねー様。お会いしたかった」
 オレンジ色のちっちゃなモノが光から飛び出し、トテトテと走る。パメラさんに一直線だ。
 頭がとっても大きい。だもんで、体は丸々としてるんだけど、細く見える。アンバランスだ……二頭身しかない。
 これぞぬいぐるみ、まさにぬいぐるみ。
 愛らしいオレンジのクマさんはパメラさんに飛びつこうとして、ぴたっと動きを止めた。
 パメラさんの体に巻きついている白龍を見つめて。
 両者の間で火花が散っている……ような気がする。
「ピアちゃん!」
 二人の緊張にお構いなく、獣使いがオレンジのクマをギュッとする。
「かわいい! かわいい! かわいい! 会えて嬉しいわ!」
「おねー様! ピアもです!」

「勇者の兄さん、お久しぶりでござんす」
 白ウサギがぴょこんとオレに頭を下げる。ぺたりと垂れる耳がラブリー……
「兄さん方へのご恩を万分の一でもお返しする為、及ばずながらこのシロ、本日は妹分達と共に働かせていただきやす」
 プフプフとお鼻を鳴らしている……
 まずはオレに挨拶してから、ミーを蹴っとばして人魚ちゃんからひきはがし共にパメラさんのもとへと。
 はふぅ。
 あいかわらず義理がたい。
 かわいいなあ、シロさん……

 魔法陣から召喚されて来る伴侶は、仲間に加えた順っぽい。
 召喚の魔法陣のサイズは、『勇者の書』よりも小さい。そこから上向きに拡散している光も、人間一人を内部におさめられるぐらいの大きさだ。いっぺんに、全員召喚はできないようだ。

 その後に光から出て来たのは、鉢植えを持ったエルフだった。
 さらさらなプラチナブロンドの長髪、白いドレス、気品漂う美貌。
 そして、先がピンと尖った、エルフらしい耳……

 エルフの肩には、とんがり帽子の小人さんがいた。
 薄桃色のふんわりした髪、チュニックに白タイツ。
 エルフのイーファさんと小人のモーリンちゃんは、本音で喧嘩しあえる友人だ。

 見た目は、美人なエルフにキュートな小人さん。
 しゃべらなきゃ、二人とも魅力的だ。

 つづいて登場した者に、オレは駆け寄った。
「ケリーさん!」
「おお、勇者のあんちゃんか」
 戦斧を背負った逞しいドワーフが、ニカッと人なつっこく笑う。
「武器は気に入ってくれたかい?」
「はい! どっか〜んな剣を、本当にありがとうございました!」
 オレはドワーフに深々と頭を下げた。

 勇者の剣の生みの親は、目の前にいるドワーフの鍛冶師だ。
 オレの剣は、柄頭はドラゴンをかたどり、鞘にも柄にも宝石や模様がいっぱい。ひたすら豪華。白く輝く刃までもキンキラだ。
 だが、ただ派手なだけじゃない。宝石は伴侶を表してるし、流形模様は戦勝の呪言葉だ。
 魔王に大ダメージを与えたい! と望んだオレの為に、心通わせた伴侶達の思いを力とする魔法剣を鍛えてくれたんだ。

「おっと、後がつかえてるな」
 ケリーさんがドスドスと横にどくと、ごぉおんごぉおんってな機械音と共に、大きくて逞しくって黒くて立派なものが光の中から登場した。
 何もかもが黒く、輝いている。背へと垂れる髪も、目も、肌も。
「お久しぶりです、勇者様」
 オレを見下ろす静かな顔、魔法金属の黒鎧をまとった上半身、右手に大きな黒いランスを持っており、そして……腰から下は、馬そのものだ。()のつまった、黒い馬体だ。
 でもって、四本の足にはそれぞれ車輪つきの板を履いている。なべの蓋ぐらいの大きさで、蹄の上の辺りでベルトで固定して外れないようになっている。

 その発明品は!

「このエンジン音は! 魔法機関内蔵型、四足用スピード・アップ装備! 私の最高傑作の一つ『かっとび君』ではありませんか!」
 ロボットアーマーの人が、人馬へと駆け寄る。
 人馬のクロエさんは動いてはいる。が、じわじわと前に進む感じ。カタツムリ並だ。壁や石像や家を破壊しまくってかっとんだ時の、超危険なハイスピードはどこへやらだ。
「最低スピードに設定中なのですね! ああ、しかし! 素晴らしい安定感! 馬体がのっても揺るぎなし! やはり、この発明品は四足の方にこそ向いていますね!」

「あなたが、この機械の発明者なのですか? ゆえがありまして、勇者様からお預かりする形となっていました。一度エネルギー切れとなりましたが、魔法使いに協力いただいてエンジンの魔法炉を再稼働しました。本日の魔王戦での使用後、お返しいたします。長い間、」
「返すだなんて、そんな! 『かっとび君』は、さしあげます! どうぞ今後もご利用ください!」
「え? よろしいのですか?」
 クロエさんの顔が、ちょびっとひきつる。
「はい! 発明は生活をより豊かにし、みんなに笑顔を運ぶ為にあるんです! ふさわしい方にふさわしいものをご愛用いただけることほど、発明家冥利につきる事はありません! 『かっとび君』を使って、今日も明日もバーン! とかっとんでください!」

「さすが、勇者のあんちゃんの発明家だ。ものづくりの魂がわかってるぜ」
 クロエさんの友人のケリーさんが、ガッハッハと笑う。
「良かったじゃねえか、クロエ。その発明品がある限り、おまえ、人馬(いち)速くて、人馬(いち)つぇぇ女だもんな」
 クロエさんが、困惑した顔になる。暴走する『かっとび君』のせいで、数えきれないほど目の前の障害物をぶっ壊し、山を二つ越え、砂漠をつっきって突っ走ったらしいし……。魔王戦の後、嫌な思い出の発明品は返却したかったんだろう。目の前から消したかったんでしょ? わかるよ……

「大丈夫だって。リモコンも複製した。俺とおまえが一個づつ持ってりゃ、もう暴走する事もねーだろ」
「リモコンを複製? そんな高度な技術をお持ちだなんて、びっくりです! いつの間にか、メカのエキスパートになっているなんて! さすが勇者様! 超A級ヒーローですね!」
 ロボットアーマーの人が、ドワーフのケリーさんとがっしりと手を握る。
 あの……
 身近に居る人をテキトーにオレと決めつけてませんか? 赤毛のドワーフとオレ、ぜんぜん似てないと思うんですけど!

「どいて! どいて! どいて!」
 光の中からぴょ〜んと飛び出して来たのは、女の子だ。蒼い髪の毛、犬っぽいかわいい耳、つぶらな黒い瞳。体に残った蒼い毛は、肌着のようだ。
 狼王キーラーちゃんだ。
 王家一族の他の者が亡くなってしまった為に王位に就いたんだが。
 見た目かわいい少女が、愛らしい顔を青くし、切羽つまった声で叫ぶ。
「逃げないと、死ぬわよ!」
 言うが早いか、キーラーちゃんは猛ダッシュで走り去ってゆく。

 魔法陣から天へと広がる光より……
 衝撃が広がる。
 光におさまりきらぬ巨大なものが現れ始める。
 にょきにょきにょきっと出て来たそれが、髪の毛だと気づく。
 魔法岩石巨人(ゴーレム)のゾゾだ。
 オレの思考を読んで生まれたゾゾは、オレにとっての理想体……女性の究極美を象っている。
 お師匠様とパメラさんとイザベルさんをたして割ったような超美形! 背中に天使の翼のある体は八頭身! 重力に逆らい上を向く、超乳!
 岩石と土くれから出来てるから、柔らかくない。それはちょっと残念だけど、素晴らしい芸術的な彫像と思えばそれはそれでいいものだ!
 そんな魅力的なゾゾは巨大サイズ。
 三階建ての家ほどの大きさ。

 む?

 三階建ての家……?

 宙に浮かぶ光の中に、ばい〜んな胸が見え始めている。
 既にもうオレ達より大きい!

「全員退避! 魔法絹布から離れて!」
 ゾゾに踏まれたら、ぺっしゃんこじゃん!

 魔法絹布の側から、あらかた仲間は逃げていた。

「あら〜 すみません〜」
 マリーちゃんは、光の結界布の上から動けない。そんなマリーちゃんを、結界布ごとアウラさんが風の魔法で運んでくれた。

 あと逃げ遅れていたのは、マルティーヌ先生だ。
 何ごと? って感じにきょろきょろと周囲を見渡す先生を、カトリーヌとシャルルが両脇から抱えて連れ去ってゆく。
 オレもその横を走って、危険地帯から離れた。

 走りながらカトリーヌが、先生を叱る。
「お馬鹿ね、死ぬ気? あの狼少女ちゃんが逃げろって警告したでしょ?」
「びっくりしてたのよ……異界の生き物が私達の言葉をしゃべるから」

 むぅ?

 あ、そっか……

 自動翻訳機能か。
 勇者とその仲間は、どの世界に行こうがその世界の言語が理解できて文字も読める。
 シロさん達は異世界人だけど、オレの伴侶。自分らの世界の言葉を使っても、自動翻訳機能でこの世界の者との会話が可能になるのだ。

 けど、ふつー、異世界人とは言葉が通じない。
 カネコも、オレらの言葉が理解できなかったようだし。

………

 あれ?

 何か、今、ひっかかった。

 勇者やその伴侶は、異世界人とでも会話が通じる。
 けど、仲間じゃなきゃ、自動翻訳機能の恩恵は無い……

 カトリーヌと一緒にマルティーヌ先生を運ぶ男が、目に入った。
 シャルル……裏英雄世界で普通に話してたよな。ジャスティス戦隊のみんなと会話してたし、街中でナンパもしてた……

 なんで話ができたんだ?

《魔法を使っていたのです。心話の応用です。相手の表層意識を読み、相手の脳に思念を送る事で疑似会話を成立させるのです》
 水の精霊マーイさんが教えてくれる。
《『言語が通じない相手との会話』の基本。魔術師学校の教えだそうです》

 へー
 ンな魔法があるのか。

 その魔法をカネコが使えてたら……いや、自動翻訳機能があれば……魔王誕生は防げたかもしれないな。


 どど〜ん! と大きなものがそびえる。
 幸いなことに、誰も何も踏まれずに済んだ。
 ゾゾは、三階建ての建物並の大きさ。デカい。
 岩でできた、足、ふともも、おなか。大迫力。
 そっから先は、よく見えない。
 上の方は光が届かなくって真っ暗だし、近すぎるせいでゾゾの全体像がわからないんだ。見上げても、でっかい胸の裏側が見えるぐらいだ。
 けど、ゾゾはまっすぐに立ってるっぽい。
 この部屋、三階建の建物が丸々入っちゃう高さがあるんだな。

「一月ぶりじゃな、勇者殿」
 ゾゾの上から、女性が飛び降りて来る。
 重力を感じさせない動きで、ふわりと。
 黒衣の美女だ。背に垂れた黒髪も黒い。
 気品に満ちた顔立ち、他を圧倒する存在感。
 ドラゴンの人型変化の姿だ。

「その節はお世話になりました。ありがとうございました」
 オレは深々と頭を下げた。

 最強の生き物でありながら、小さきものに慈悲の心を示すアシュリン様。

 アシュリン様が勇者の剣を届けに来てくれたのはだいたい一カ月前、お師匠様が石化した翌日だ。
 落ち込んでいたオレの為に、剣の柄頭のドラゴンにお師匠様のファントムクリスタルをくわえさせ励ましてくれたんだ。『戦場にシルヴィも連れて行ってやるがよい』と言われた時には、胸が熱くなった。わんわん泣いた。

「顔を見せてくれ、勇者殿」
 求めに応じると、ドラゴンの女王様はしばらくオレを見つめ鷹揚に微笑まれた。

「良い顔となったな。実に男らしい」
「あ、ありがとうございます」
 貫禄あふれる女王様に、誉められちゃった。
 いやあ、照れるなあ。

「あれが魔王か……」
 アシュリン様の金の眼が、『カネコ アキノリ』を見つめる。
 アシュリン様の息子フォーサイスは、お師匠様と九十六代目魔王との戦いにおいて命を落としている。
 魔王との戦いにかける思いは、アシュリン様も深いのだ。

「勇者殿、頼みがある」
「はい、何でしょう」
 何でもおっしゃってください!
「魔王との戦い、(わらわ)達に任せてはもらえまいか? 少しでもダメージが伸ばせるよう、皆と知恵を出し合い、作戦をたててきたのじゃ」
 おお!
 それは助かる!
「構いません。てか、ぜひお願いします」
 そう答えてからヤバイかもと気づく。オレは慌てて仲間へと振り返った。
「幻想世界のみんなに戦闘を任せてもいいよな? それともマズい? 連携攻撃の作戦をたててた? だったら、ごめん。だけど、現地の人達の判断が一番的確だとオレは思うんだ」

 質問された仲間(セリア)は、眉を微かにひそめた。
 私に聞かなくてもいいのにって感じに。
「勇者様がそれで良いと判断なさったのでしたら、何の問題もございません。指揮権はアシュリン様にお任せします」

「あちらの女性が参謀か?」
 と、ドラゴンの女王様に聞かれたので、はいと答えた。
「オレの頭脳です。馬鹿なオレの代わりに、情報を分析し、勝率を計算し、魔王戦までに最善の計画を立ててくれました。とても頼もしい仲間です」

「私は百一代目勇者ジャン様の学者です。学者として当然の働きをしただけです」
 コホンとセリアが咳払いをする。
 ちょっぴり頬が赤い。

「では、妾達十二名の戦いを、この世界の者達に見ていただこう」
「お願いします!」

 人魚ちゃん、ミー、シロさん、ピアさん、イーファさん、モーリンちゃん、ケリーさん、クロエさん、キーラーちゃん、ゾゾ、アシュリン様。
 皆を見渡し、何か違和感を覚える。

 何か、おかしい、ぞ。

 何か、忘れている、ような……?

《私の存在を忘れるなんて……ひどい旦那様ですね》
 クスクスと笑い声がする。
 オレの思考を読んで笑ったのは……エルフのイーファさんか?

 いや、違う。

 イーファさんが持っている鉢植えだ。
 小さな若葉に重なるように、半透明な女性が居る。小人サイズだ。
 長くしなやかな緑の髪。身にまとうドレスも深い緑色だ。肌の色は茶色い。
「あー! あなたは!」
 オレは叫んだ。
「サラを殺そうとした、森の女神様!」

《ひどい思い出し方ですね。あなたに免じて、幼馴染の命を救ってあげたのに》
 口元に手をあて、小さな森の女神様が楽しそうに笑う。

「アタシに魔法の導きをしてくださったエレン様ですか?」
 サラが駆け寄って来る。
「ありがとうございました。それからごめんなさい。知らなかったとはいえ、アタシ、森に大火事を起こすところだったんだって、ジャンから聞きました。森の平和を乱してしまって、すみませんでした」

《炎の大魔法使いとなったようですね。あなたの背後にある炎は全てを燃やしつくす紅蓮の炎。強大すぎて、森の女神である私には恐ろしいばかりです》
 そうは言いながらも、森の女神様は穏やかに微笑んでいる。
《けれども、私は愛あふれる生き物は大好きです。あなたもあなたの幼馴染も、とてもかわいい。大好きですよ》

「ありがとうございます」
 サラの鼻の頭が赤くなる。オレもエレン様にあの時のお礼を改めて伝えた。

「森の女神様と、偉大なる花エルフ一族は親しいの。緑を愛するもの同士、心が通い合っているのよ」
 鉢植えを持っている人の言葉だ。
「森の女神様は森から離れられない宿命。だから、栄えあるエルフ一族の一員として我が魔法で森の土と水と若木をお選びし、エレン様にかりそめに鉢植えに宿っていただいたのよ」
 エルフのイーファさんは得意そうだ。

「馬鹿エルフが役に立つなんて、百年に一度あるかないかよね」
 イーファさんの肩のモーリンちゃんが毒づく。
「普段は存在するだけで迷惑な花馬鹿なんだもの、働ける時にはせいぜい働くべきだけど」

 ギャーギャーと言い争いを始める、エルフと小人。鉢植えのエレン様は、笑っている。

「魔王戦さなかですのに、のどかで楽しいですわね」
 シャルロットちゃんが、コロコロと笑う。

 先制攻撃の法で敵の動きを封じてるからこその、のんびりさだ。

 カネコは……ボーッとオレ達を見てるだけだ。
 暇だろうな、きっと。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ