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ハーレム100 作者:松宮星

裏 ジパング界

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てんぐの おおうちわ【クロバ】(※※※)

 みんな だめに なった。

 たろうも じろうも さぶろうも しろうも ごろうも。
 よさくも ごへいも かきちも。
 みんな おとなに なって だめに なった。

 こどもなら おれが みえる。 はなしも できる。
 はなたれ わらしの ころの あいつらと おれは あそんだ。

 きのぼりも おにごっこも かくれんぼも さむらいごっこもした。 むしとりも さかなとりも した。
 おんなの あそびに つきあって くれる やさしい やつも いた。 まりつきや おてだまや おはじきもしたぞ。
 おれが おしえた わらべ うたを ひがくれるまで まいにち いっしょに うたった ものだ。

 みんな こころが きれいだった。
 こころざしが あった。
 おおきくなったら なにをしたいか かたってくれた。
 いしゃに なる。 はしを つくる。 かわに つつみを つくる。 おっとうと おっかあに らくさせてやる。 うえるもんが いなくなるように あたらしい こめを つくる。
 それぞれ ゆめを もっていた。
 ゆめに むかって がんばっていた。

 だから いっしょに いて やった。
 おれは ふくを まねく かみ だ。
 おれが あいつらの いえに すめば いえは さかえ ひとの のぞみは かなう。
 あいつらの ゆめも かなう はずだった。

 だが よいことも あれば わるいことも ある。 どちらかだけでは だめなのだ。 ふくも わざわいも ひとのよに なくてはならぬ ものなのだ。

 おれが すむいえには おとめも すむ。 それが きまり なのだ。
 おれが あたえた ふくは おとめが すう。 それも きまり だ。

 あいつら しだい だったのだ。
 おとめが こようとも どんな わざわいが あろうとも あいつらの いちばんの のぞみは かなう。
 おれが いる かぎり そうなるのだ。
 まず おれが ふくを あたえ それから おとめが すってゆくからだ。

 しかし あいつらは みな だめになった。
 せぞくの あかに まみれ いちばん だいじなものが かわって しまったのだ。
 かねとか ちいとか そんなものを ほしがるようになった。
 あいつらの いえは ゆたかに なった。
 けれども ざいは のこらんのだ。
 ちちと しりの でかい おんな を すきに なるからだ。 おれが やった とみを あいつらは のこらず おとめに やってしまった。 きれいな べべ やら ほうぎょくにして おとめに みついで しまったのだ。

 おとめは ひとのめに みえる かみ。 こどもも おとなも だれもが みえる。
 だが おれは こどもとしか はなせぬ かみだ。 だめに なっていく あいつらを とめたくても あいつらの みみに おれのこえは とどかない。 あいつらが おれを みることもない。 おとなにとって おれは いない そんざい なのだ。


 おなじことを くりかえすのに おれは もう あきたのだ。

 だから やまに いって ねようと おもった。
 ひゃくねんでも せんねんでも ひとが いなくなるまで ねてしまおうと おもっていた。

 そこで おまえに あったのだ。

 おれが みえるのは せいれいの おかげ。 おまえは こども ほどには きよくは ない。
 だが ばか だった。
 じぶんの せかいを すくいたい などど まがおで いう ばかだった。
 あたまの なかは こども そっくりだった。

 おまえが どうなるのか みたかったのだ。

 おとめが きたら やはり おちぶれるのか。
 おとめが きても ゆうしゃの ままで いられるのか。

 おまえが ばかの ままなら いいと おもってた。
 おまえに さいごの ふくを あたえ おれは さとに もどろうと おもってた。
 ひゃくにん だめでも せんにん だめでも どこかに おまえのような ばかが いるかもしれない。
 そう しんじて ひとのよで くらそうと おもっていた。

 なのに こんなことになってしまって
 おまえの のこりすくない じかんを うばってしまって
 ほんとうに すまなく おもっている。

 ゆるしてくれ。 じゃん。


* * * * * *


 アネコ様は、いつも不機嫌そうだった。ジロリとオレを睨んでばかりいた。
 それが……
 小さく震え、顔を赤くし、唇を噛みしめていた。その大きな目に、涙をためながら。

 布団の上のオレに、子供の姿の神様が頭を下げているんだ。

 福の神に気に入られた為、オレはその妹の貧乏神にも愛されてしまった。七日も眠らされたのだ。
 魔王が目覚めるのは五日後。
 あと九人も仲間にしなきゃいけない。
 がむしゃらにいろいろ頑張らなきゃ、仲間百人集めは厳しい。
 オレには、もう時間がないんだ……

 オレは座り直し、アネコ様に頭を下げた。
「アネコ様。オレ、もう行かなきゃ」
《うん。 そうだ。 いけ》
 アネコ様は顔をあげ、口元をほころばせる。
《となりの へやに おれの ともだちが いる。 なかまに できんか みてから いけ》
 仲間候補を集めておいてくれたのか……
「ありがとうございます。けど、その前に、謝らせてください」
《あやまる? なにを?》

 オレは布団に頭をすりつけた。
「ごめんなさい。横で見てたのに、一回も誘いませんでしたよね。アネコ様がそんな寂しいお気持ちだったなんて、ぜんぜん想像してなかったんで」
《え?》
「一緒に毬つきをすれば良かった。すみませんでした、アネコ様、遊ぼうって一回も誘わなくって」
《おまえ……》
「オレ、きっとすげぇ下手です。でも、もし機会があったら、毬つきを教えてください。アネコ様といっしょに遊びたいです。わらべ歌も歌いたい」

 顔をあげた。
 アネコ様が、オレをまじまじと見ている。

《おまえ ばかだな》
 そのかわいらしい顔は、徐々にしかめっつらになっていった。眉や額に大きく皺が寄る。
《ほんものの ばか だ》

 赤くなった顔を、くしゃっとゆがめ……
 アネコ様は、声をあげて泣き出した。

 わんわん、と。

 ずっと長い間、ためていた思いを吐き出すかのように。
挿絵(By みてみん)
 泣きながら、オレを叱る。
 今はおれのことを気にしている場合ではなかろう、さっさと仲間探しに行け、ばか、と。

 泣き止まれるまで側にいますと、オレはハンカチを差し出した。
 受け取ってくれないんで、お顔をふいてさしあげた。

 ジョゼがオレの荷物入れを持ってきてくれる。オレはハンカチだけはいっぱい持っているんだ。

 セリアは、戸惑うようにオレを見ていた。
 魔王戦は五日後だ。仲間探しが間に合うかどうか微妙だ。オレがセリアの立場なら、やきもきするだろう。
 けど、今は……
 ちっちゃなアネコ様を放っておくなど、できない。きちんと話してからじゃなきゃ、気持ちの切り替えは無理だ。後悔をズルズルとひきずってちゃ、キュンキュンどころじゃなくなる。
 セリアは口を閉ざしたままだ。言葉を飲み込み、オレを見ている。信頼して、待ってくれてるんだ。
 その気持ちに応えるには、こっから先、しっかり仲間探しをする。それだけだ。


《ぁんた マジはてな ちゅ〜か バリありえんてぃ》
 部屋の隅で、膝を抱えて座る貧乏神が言う。
《じヵン ヵぇせって ゅわなぃわけぇ? ぅちら ぁんたにゎ ゃくびょぅがみ デショー?》
挿絵(By みてみん)
「お二人には怒ってません」
 オレはアネコ様の鼻をかんであげた。
《ぁたしもぉ?》と、意外そうにオトメさん。
「はい」
《なンで? ふつーにぉかしくナイ? ぁたしのせいで さげポヨなのに・・》
「……オトメさんのせいじゃないです」
 オレはかぶりを振った。

「神様の中には、存在するだけで世界に影響を及ぼす方もいらっしゃる。福を招くアネコ様も、禍を呼んでしまうオトメさんも、そういう存在ってだけ。悪意があろうがなかろうがそうなっちゃうんだから、怒るのは筋違いってもんです」
《どゅことォ?》
「そのへんのことは、精霊から教えてもらいました。勇者が近づくと、悪は悪として活性化してしまう。オレだって『トラブルメーカー』です。禍を呼びたくないってオトメさんが思ったって、禍がきちゃうんでしょ? しょうがないです」

 オトメさんが、ムッと眉をしかめ、
《ゃっだー もぉ ぁんた わけわかめ。 おネエちゃんに ぴったり。。。 ガキは ガキと くっつけばぁ?》
 お化粧顔を大きく歪ませ、オレをギギンッ! と睨む。すげぇ、こわい。三白眼みたいになってる……その目つきは、怒った時のお姉さんそっくりですね……
《ヵぉも みたくなぃ てヵ ぁたしの そばに くンな。 おネエちゃんが『アネコ様』で ぁたしが『オトメさん』とヵ マジひどくナイ?!》
「すみません」
 オトメ神が、ぷいっと顔をそむける。もうオレなんか絶対に見るもんかと言うように。





 着替えてからオレは、アネコ様とジョゼとセリアと一緒に隣の部屋に行った。
 神様や妖怪達が酒盛りをしている。みんな、アネコ様の友達なのだそうだ。

 黒髪に白い着物の雪女、ネコ耳のネコマタ、やたら色っぽい白蛇のおねえ様。
 人型の三人のお美しさは、キュンキュンものだった。けど、仲間にできなかった。たぶん、ジョブ被り。白蛇は仲間にいないんだけど……。

 ろくろ首と、のっぺらぼうと、(ぬえ)は、申し訳ないが、キュンとすらしなかった。

 ジョブ被り且つ萌えがなかったのは、人魚と死神か。人魚は人面魚、死神は怨みがましい顔で睨んでるんだもん。

 てなわけで、オレが仲間にできたのは、
《わしが黒羽(くろば)じゃ。見知りおけ》
 爆乳のおねえ様、ただ一人だった。


 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……


 心の中でリンゴ〜ンと鐘が鳴る。
 欠けていたものが、ほんの少し埋まっていく、あの感覚がした。

《あと八〜 おっけぇ?》
 と、内側から神様の声がした。


 クロバさんは背中に黒い羽がある。天狗って種族らしい。
 その格好は、山伏(やまぶし)のようだ。ジパング界でシュテン討伐に行く時、オレ達が変装した山の行者の姿によく似ている。つまり、男の服を着てるんだ。
 あぐらをかき、帽子のようにデカい大盃で豪快に飲んでいる。
 口元からたれるお酒が、首をつたわり、胸元へ。猛烈に豊かな山と深い谷に細い川ができている。すっごい絶景だ。
 ぷは〜と熱い息を吐き、ご機嫌な笑顔でオレを見る。顔はほんのりと赤い。唇を舐めまわす舌の動きが、とてもエッチ。
 美人だ。
 顔だちはやさしげ。眉も目尻もやや下がっている。長い黒髪は腰のあたりで一つに束ねている。口を閉じてうつむいてれば、楚々たる美女で通りそう。
 なのに、男みたいな格好や所作で、体つきや舌づかいが色っぽい。

《わらしの頼みじゃて、力を貸してやる。魔王なぞ、我が団扇で吹き飛ばしてくれよう》

 天狗がどんな神様かは、セリアが教えてくれた。
 自在に空を飛び、風を操る、山の神様。知恵も司り、さまざまな妖術を使う。男の天狗は鼻が長いが、クロバさんは普通の女の人のサイズだ。外見上の天狗の特徴は、背中の黒い羽だけらしい。
 セリア本人はクロバさんが見えないんで、ジョゼに間に入ってもらっていろいろインタビューしたようだ。

《くろば だけ か。 ちちと しりの でかい おんなに あつまって もらったのだが》
 九人いて仲間にできたのは、一人だけ。
 アネコ様は、がっかりしている。
「いつもこんなものです。気にしないでください」
 オレ好みの女の子を集めてくれてたんだ。ありがたい。アネコ様に感謝の気持ちを伝えた。
 だが、ふと気になった。鵺や人面魚は、どこが胸でどこがお尻なんだ? 特に人面魚。魚って乳が無かったような……? むぅ?

《そろそろ行くか》
 酔っ払いの神様が、そう言いながら杯をあおる。デッカイ杯でぐいぐい飲んで大丈夫なのか?
《おかみの神の所へ案内すればよいのじゃろ?》
 クロバさんが、オレにではなく、アネコ様に尋ねる。
《そうだ。 なかまの もとへ つれて いって やって くれ》

「おかみの神?」

《みずの かみ だ。 いにしえ から おられる えらい かみ だ》と、アネコ様。
《その方らの仲間の女、卵を持っていたであろう?》と、クロバさん。
 パメラさんの事か。
「はい」
《ここに来て、卵の歌を耳にし、わしゃ、すぐにわかったわ。卵が歌うは、おかみの神を称える歌じゃ。おかみの神のもとへ行きたがっておるのじゃとな》

 一人前になった獣使いには、モンスターの卵か幼獣が与えられる。
 パメラさんは、獣使いの村に何百年も伝わっていたモンスターの卵と仲良くなり、自分のものとした。
 モンスターは、産まれ出る為に何かを食べる。生き物だったり魔力だったり大気だったり、好みは卵によってまちまちだが……
 パメラさんの卵は、獣使いにしか聞こえない声で、裏ジパングについてず〜っと歌い続けていた。
 裏ジパングにある何かを食べたいと思っていたのだが……

 おかみの神って神様のものを欲しがっていたのか。

《じゃて、わしがおかみの神がおられるお山まで運んでやったのよ。卵の女とキツネに化けた女と妖術使いの女の三人を、な》
 五日前のことだと、天狗は言う。

 サラは……
 パメラさんが強い獣を得られるよう、手伝いに行ったんだろう。
 オレの側に居ても、起こす為にやれる事はない。なら、総合ダメを伸ばす為に働こうと……
 そういう奴だ。

《くろば は おととい おまえの なかまたち の ようす を みて きてくれた》
《わしゃ、翼持つ者じゃてな。ひとっとびよ。まだ卵は孵っておらんかった》
 う。
 この世界で、パメラさんは魔王戦で使えるモンスターを手に入れられるはず。キャピキャピ神がそう言ってた。
 卵が孵るのを待ちたいところだが……
 魔王戦は五日後だ。あまり時間はかけられない。

《おまえの なかま たちは おかみのかみ から しれんを あたえられておる》
 試練?
《たまごの のぞむものを もらう ために おかみのかみの のぞみに こたえておるのだ》
「何をしているんですか?」
《さて?》
 アネコ様は首をかしげ、酔っ払い神はきっぱりと言う。
《わしが見た時は、卵の女も他の女達も揃って問答やら滝行をしておった。しかし、今、何をやっとるのか、いつまでかかるのかはわからん。おかみの神の御心はおかみの神でなければわからん》
 ごもっとも。

 オレは、荷物を背負った。早いところ合流して、今後の事を相談しなくては。
《じゃん》
 小さなアネコ様がオレの前に立っている。
 アネコ様は手にしたものを、まっすぐにオレへと差し出した。
《やる》

 美しい毛糸を巻いた小さな赤い毬だ。
 一度、借りた。毬はオレの周囲に結界を張ってくれ、カグラへの伝言役をしてくれた。
 アネコ様は、この毬を大事そうに抱えていた。ポンポンついて遊んでいる姿を何度も見た。いや……この毬でしか遊んでない。他のもので遊ぶ姿は見てない。

「大事なものなんでしょ、それ?」
《ああ。 だから おまえに やる》
「いただけません」
《もらってくれ。 おれの こころが つまっている。 おまえの たすけと なるはずだ》
「……それが無いと、お寂しいでしょう?」

《さみしい ものか》
 アネコ様が、にっこりと笑う。
《こころは おまえと いっしょにいる。 そう おもう だけで うれしい》
「アネコ様……」
《おまえを まもりたい のだ。 おれの こころも つれていけ》

 子供の姿の神様を抱きしめた。

《なくな ばか。 ゆうしゃの くせに みっともない》
 アネコ様が泣かせたくせに〜
「さっきアネコ様も泣いたでしょ、おあいこです」
《ばか。 おれは かみだぞ。 めったに なくか》
 む。
「泣きましたよね?」
《さあな》
「神様のくせに、嘘ついて良いんですか?」
《うそは ついて おらん》

 あははと、アネコ様が笑う。
 オレの泣き顔を指さし、ひどい顔だと笑う。
 楽しそうに。
 明るい声をあげて。

 ぶすくれてても可愛いけど……その顔のが、ずっといい


《もって ゆき やすく してやる》
 アネコ様の手の中の赤い手毬が形を変え、細長い糸となる。色鮮やかな糸が、宙を飛び、服の上からオレの左の二の腕に絡みつく。赤いスカーフを巻いてるみたいだ。
《おれの な を よべば のぞむ かたち となる。 まり にも ぬの にも なる》
 触れてみた。
 あたたかい……
《まりの けっかいが おまえを まもる。 ただしい けん を ふるうなら やいばに ひかりが やどるだろう》
 神聖防具? 剣に光が宿るって……もしかして、ナディンにもらったサークレットと同じような効果?

 いや……
 なんでもいいや。

 だいじな手毬をくださった……それだけで充分だ。

「ありがとうございます。大切にします」





 アネコ様の御屋敷から出たオレらは、庭で身を寄せ合っていた。
《もっと右。もっと、もっと。そこでいい。動くなよ》
 荷物を持ったオレらは、天狗の指示通りの場所に立った。

《たっしゃ でな》
「アネコ様もお元気で」
「ありがとうございました……セリアさん、アネコ様がお別れをおっしゃってます……」
「お世話になりました。五日後の魔王戦のこと、オトメ神様にもよろしくお伝えください」

 アネコ様が、にっこり微笑む。
 とても可愛らしい。

 オレ達に手を振ってから、アネコ様はクロバさんに頭を下げる。
《よろしく たのむ》

《任せろ》
 酔いがぬけない赤い顔で、天狗がふらふらとよろめく。
 右手をあげる。
 その手の大団扇が、どんどん大きくなってゆく。
 どんどん、どんどん。
 身長と同じ大きさになったそれを、天狗は豪快に振った。

 突風がオレらを包み込む。

 凄まじい風だ。
 まるで刃のように肌につきささる。
 思わず、目を閉じた。

 風が弱くなった……そう思い、目を開けた。
 びっくりした。

 地面が遠い。
 足の裏のず〜っと先だ。
 絨毯のような森、リボンのような街道、豆のように小さな人間たちが足元に見える。現実に重なるようにある半透明なぶ厚い神霊層も見えた。そして、ぐんぐん遠のいてゆく。

 オレ達は風に乗って、かなり上空の宙を飛ばされていた。
 クロバさんの結界に包まれ、運ばれていたのだ。
 オレらの後をちょっと遅れて、クロバさんが飛んでいる。
 酔っ払い天狗はご機嫌な顔で、時々、思い出したように大団扇を振るう。

 風に乗れば乗るほど、スピードが早くなる。

 地面の方は、芋洗いのごとくごちゃごちゃに神霊が居た。
 けど、この辺はかなり空いている。オレらの都のメイン通りぐらいだろうか。雲状のものやら、人や鳥や獣の姿のもの。行きかうものは多いものの、普通に進める。なにかを押し分けずとも、前進できるのだ。

《しばらく風に乗る。寝ててもいいぞ》
 赤ら顔で、天狗が笑う。

 おかみの神は、ずいぶん遠くに居るようだ。


 魔王が目覚めるのは五日後だ。仲間はあと八人増やさねば……


* * * * *


『勇者の書 101――ジャン』 覚え書き

●女性プロフィール(№092)

名前 クロバ
所属世界   裏 ジパング界
種族     神・天狗
職業     山の神。風神。
特徴     アネコ様の友達。さっぱりした性格。
       背中に黒い羽があり、自在に空を飛ぶ。
       山伏(やまぶし)姿。
       右手に葉っぱの形の大団扇を持っている。
       大酒飲みで、陽気なお酒。
戦闘方法   妖術。
年齢     不明。
容姿     目尻と眉毛がやや下がった、優しい顔立ち。
       長い黒髪は腰のあたりで一つに束ねている。
       男の服を着てるのに、胸元をゆるめて
       爆乳を見せているのがエッチ。
口癖    『任せろ』
好きなもの  酒。
嫌いなもの  青魚(セリアがそう言ってた)。
勇者に一言 『わしが黒羽(くろば)じゃ。見知りおけ』
挿絵(By みてみん)
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