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ハーレム100 作者:松宮星

冒険世界

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雪と嵐とピンチと勇者【サンドラ】(※)

「この世界の主神様は、とても寛容なお方にございます」
 新たに仲間となったのは、イザベルさんのもと部下のアスラ神族。熟女な魔女ドロテアだ。

「何らかの理由でもとの世界に居られなくなった魂を、受け入れてくださるのです。私以外にも、転移神は数多く居ります」
 そんな色っぽいおば様……いやいやいや、おねえ様がオレの左腕をとりべったりとしなだれかかっている。だから、たっぷんたっぷんな爆乳の感触がモロに……

「この世界に渡る時、みな力の一部を主神様に捧げます。以前に比べれば弱体化しておりまするが、それでも神を名乗るだけの力はまだございます」
 ドロテアが体をこすりつけてくる。むっちむっちぼよよんな胸、やわらかな体が……あああ……

「転移神達は、神ゆえに地や人に及ぼす影響が大きい。そこに存在するだけで自然に影響を及ぼしますし、各地の神や支配者に祭り上げられやすい。むろん、隠棲者として暮らしておる者も居りますが」
 あン……顔が近い……耳に息が……ゾクゾクする……

「ジョブ被りせぬ強い女を手に入れたいのでございましょ? どうぞこのドロテアにお任せを。各地の転移神の友人をご紹介しましょう。で、旦那様、お好みは? どんな女がお好きです? やはり、大きいのがお好き?」
 うひぃ! ダメです! そんな! 耳をハムハムしちゃ! 気持ちいい!

「いちいちくっつくな!」
 サラが吠え、テーブルを叩く。
「普通にしゃべれ!」

 仲間と合流したいってオレの希望を聞き入れ、ドロテアはサラ達も自分の城に招いてはくれた。
 夕食も人数分用意してくれた。城に囲ってる男達が給仕だ。見た感じ男達は普通、術で操られてるわけじゃなさそう。ドロテアに惚れて、そのまんま城に居ついてるっぽい。

 しかし、ドロテアは食卓についてるものの食事する気はゼロだ。椅子を寄せてオレの隣に座り、くっつきまくりだ。飲み物を注いでくれるのはいいとして……口うつしで葡萄をオレに喰わせようとしたりとか……サービス過剰。
 いや、まあ、嬉しいんだけど!
 気持ちいいんだけど!
 顔もだらしなくゆるんじゃうけど!
 ドロテアがサービス過剰なのは、オレを『ドゥルガー様』ことイザベルさんの夫だと思ってるからで……
 オレに惚れてるわけじゃないんだ。

 サラはずっと不機嫌だし、ジョゼはジーッと責めるようにオレを見ている。居心地が悪い。
 マリーちゃんはいつも通りほんわかしてて、アナベラは食事に夢中。ときどきリーズは冷めた顔でオレとドロテアを見るが、関心なさそうな態度を貫いている。

 ドロテアが口元に手をあてオホホホと笑う。
「百人の伴侶の末端に加えていただいたのだ、私が旦那様にご奉仕するのは当たり前ではないか」
 お色気たっぷりの魔女が、オレの頬にチュッとキスをした。
 カーッと体温が上昇する。

「旦那様……今宵は是非、この私を……。アスラの秘儀をもって、旦那様を快楽の園へとご案内いたします。素晴らしき夜といたしましょう……」

 快楽の園……

 慌てて立ち上がり、ドロテアから離れた。
 超セクシーなおねえ様に誘われたら、絶対、オレはフラフラ惑う!
 誘惑に弱いから!

「魔王戦必勝を祈願し、女色断ちしてるんです、オレ!」
 この嘘でいこう! ヨリミツもこれであきらめてくれたし!
「魔王戦が終わるまで、大切な(ヒト)は選べません! 誰かと深い仲にもなれません! 今は魔王を倒す事だけを考えたいんです!」

 英雄世界の霊能者ヤチヨさんは言っていた。伴侶を平等に扱えとも。
 一人と仲良くなったら、全員と仲良くしなきゃいけないわけで……
 ちょっと心躍るけど、無理! 『伴侶』って形で、みんなには仲間になってもらってるだけだ。本物の『伴侶』扱いしたら失礼だ。
 それに、サラとかリーズに手を出そうとしたら、確実に血を見る……

「女色断ち……」
 口元に指をあて、魔女が面白くなさそうにオレをジト目で見る。
「わかりました。なれば、私の手と口でのみご奉仕を……」
 いやいやいやいや!
「結構です! 一人で寝ます!」

「それでは、ドゥルガー様に申し訳がたちませぬ」
 熟女な魔女が、オレにしなだれかかる。
「ドゥルガー様の夫に寂しい一人寝をさせられましょうか」
 ああああ、そんなサワサワしちゃ!

「魔女のねーちゃん。勇者、ドーテーだぜ」
 葡萄を食べながら、そっぽを向いたリーズが言う。

「童貞!」
 ドロテアの顔がパーッと輝く。
「あら、あら、まあ。さようにございましたか♪ それは、素敵……あ、いえいえ、オホホホ、女色断ちに触れぬように、この私が旦那様を立派な男にしてさしあげましょう♪」
 余計、その気になっちゃったじゃないか! リーズの馬鹿!

「つまり、あんたの『ドゥルガー様』も手ぇつけてないわけ」
 葡萄の種を吹き出してから、リーズは言葉を続けた。
「『初めて』は、大事な方にあげたら?」

 お色気魔女が、むぅっと唇を尖らせる。
 ご馳走を食べ損ねた子供みたいな目でオレを見ならがらも、こう言った。
「おまえの言う通りであるな、盗賊。初物はドゥルガー様にさしあげよう」
 おおおお! あっさり引いた! すごいぞ、リーズ、ありがとう!

 だが、ドロテアは寝る前にも、見当違いな歓待をしてくれようとした。
「女色断ちをしてるのでしたら、男はいかがです? 私の男の中には、少女めいた美少年もムキムキ兄貴タイプも居ります。ご希望とあらば、三人でも四人でも男達を寝所まで」

 いりません!





 翌日、出発前にオレはドロテアに頼まれていたものを渡した。今までの仲間とジョブの一覧だ。


* * * * *


 ジョゼ……格闘家
 サラ……魔術師・魔術師学校生徒
 マリー……聖女・僧侶
 アナベラ……ビキニ戦士・傭兵
 セリア……宗教考古学の学者
 イザベル……占い師
 リーズ……盗賊・スリ
 ルネ……発明家
 パメラ……獣使い
 カトリーヌ……狩人
 ニーナ……幽霊

 フェドラ……人魚
 ミー……海の警備員
 シロ……侠客・地下迷宮の親分
 ピア……クマ戦士
 エレン……森の女神
 イーファ……養蜂家
 モーリン……市民生活向上課職員
 ケリー……魔法鍛冶師
 クロエ……小学校の先生
 キーラー……狼王
 ゾゾ……接待用ゴーレム
 アシュリン……ドラゴンの女王

 ティーナ……炎の精霊
 マーイ……水の精霊
 アウラ……風の精霊
 サブレ……土の精霊
 グラキエス……氷の精霊
 エクレール……雷の精霊
 ルーチェ……光の精霊
 ソワ……闇の精霊

 サクライ マドカ……幼妻
 タカナシ カガリ……OL
 クオンジ アオイ……女子大生
 ルナ……メイド喫茶店員
 モモセ サツキ……幼稚園児
 ハラ ミサキ……婦人警察官
 ハルカ ランラン……マンガ家
 イトウ タマキ……ナース
 カンザキ ヤチヨ……お茶の師範・副業で霊能者
 オオゾラ コズエ……女子高生
 タチバナ シオリ……委員長
 サカキバラ ナツエ……高校教師・音楽の先生
 ヤザキ ユナ……もと勇者

 カガミ マサタカ……巫女
 ミナモト ヨリミツ……侍大将
 オニキリ……刀の精
 カエデ……くノ一
 シュテン……鬼の大将
 ミナモト ハルナ……家刀自

 ガブルエル……天使・天界の門番
 ドゥルガー(デーヴァ神族)……戦の女神
 ドゥン……騎乗獣

 スライム……スライム
 ゾンビ……ゾンビ
 ベティ……死霊王
 エドナ……蛇身王
 ノーラ……吸血鬼王
 サリー……死神王
 ラモーナ……サキュバス・魔界の王の秘書
 魔界の王……魔界の王

 ラリサ……エスパー部隊隊長
 ユーリア……バビロン副所長・科学部門部長・科学者
 イヴ……メイドロイド
 ジリヤ……サイボーグ
 チコ……愛玩用バイオロイド
 キャロライン……正義の味方・人権保護団体の一員
 タチアナ……生物科学部門部長・科学者
 ナターリヤ……超常現象研究家
 シャフィール……シャフィロス星の女王
 バルバラ……巨大ロボのメカニック兼パイロット

 ドロテア……魔女・もと女神


* * * * *


 ドロテアだけではなく仲間達も、一覧をのぞきこむ。
「このイザベルという方が、我らの王ドゥルガー様の現在の化身でございますな?」
 ドロテアが眉をひそめる。
「なれば、占い師ではなく、もとアスラ王、もと女神と記す方が正しくはありませぬか?」
 む?
「それに〜 イザベルさんは、精霊支配者でも、あります〜 精霊支配者では〜?」と、マリーちゃん。
「いえ、精霊支配者になったのは、精霊界に行ってからです。オレが萌えた時のジョブじゃありません」
「ああ、それは、そうですね〜」
 マリーちゃんが、おっとりと笑う。

 萌えた時点のジョブ……
 となると、やっぱイザベルさんは占い師で、もとアスラ王、もと女神か……オレはその時、イザベルさんの過去を知らなかったが。

「けどさー 『もと女神』ってジョブ名?」
 リーズが英雄世界の仲間を指さす。
「このヤザキ ユナってのも、ジョブ名が『もと勇者』になってるけどさー もと××って特徴じゃない?」
 むむ?

「う〜ん……退役軍人とか隠居がジョブ名って通ったりもするわよね。分類する人次第じゃない?」と、サラ。
 分類する人……仲間欄をオレに与えたの、女神様だよな。
 あの神様が何考えてるかなんて、わからん。

「それより、ジャン。疑問だったんだけど、」
 幼馴染が、エスエフ界の仲間を指さす。
「ユーリアさんとタチアナさんは、二人とも科学者でしょ? ジョブが被ってない? なんで仲間にできたの?」

 へ?

「……専門分野が違うからじゃないか?」
「そんなんでOKなの? アタシとシャルロットさん、同じ魔術師学校の生徒だったけど、学年は違ったのよ。でも、シャルロットさんは仲間枠に入らなかったじゃない? なんか、おかしくない?」
 むむむ。
「じゃ、片っぽが狂的(マッド・)科学者(サイエンティスト)で、片っぽがまともな科学者……あぁ……二人とも狂的(マッド)だったよな……それに、どっちにしろ科学者か……」
 あれ?

「ねー、勇者さま、ニーナちゃんのジョブ名は『幽霊』になってるけどー 『幽霊』って、お仕事?」
 あと『人魚』や『スライム』や『ゾンビ』もお仕事? と、アナベラが無邪気に聞く。

 う。

 指摘されてみれば、確かに種族名だ。ジョブじゃない……
 じゃ、ニーナのジョブ名ってなんだ?
 人魚やスライムやゾンビは知能が低かった。集団生活しなきゃ、ジョブなんかできないわけだし……無職? けど、全員がそれじゃ、ジョブ被りじゃん。

 むむむむぅ。

 なんで、仲間にできたんだ?

「て、ことは、こうだな」
 リーズがオレの書いた一覧に、ちょちょっと書き足す。

 ニーナ……幽霊のニート
 フェドラ……海のニート
 スライム……陸のニート
 ゾンビ……腐ったニート

 いや、いくら何でも……その分類ひどすぎ。
「んじゃ、フリーター」
 え〜

「あ、あの、お兄さま……」
 内気な義妹が、肩の紫の小鳥を掌で指す。
「レイちゃんが……お話があるそうです」

 小鳥に変化している雷の精霊が、偉そうに胸をふんぞりかえらせる。
《愚昧なる勇者に教えてやろう。精霊界のジョブ名、全て間違っておる》
 話し方はジジイだし、性格も野郎っぽい。けど、レイの声は舌ったらずで童女のようにキンキンしている。
《精霊とは種族名。ジョブを表記するのであれば、『炎の精霊』ではない》
「んじゃ、『炎のしもべ』か」
《違う。しもべにしたのは、仲間にした後。萌えた時点では『しもべ』ではない》
 あ、そっか。
《あえて言うなら『炎の無職(フリーター)』であろう? 無職で精霊界でうろついておったのであるから》
 えーっ!
 すると、『導き手』の役職についてたルーチェさんを除く、全精霊が『無職(フリーター)』?
 オレの伴侶……無職率が異常に高くない?

 無職は無職でも、××の無職なら、おっけぇなのか?
 戦士も、ビキニ戦士とクマ戦士が居るしなあ。
 女王様も、ドラゴンと星が居るし。

《又、ジョブの分類であるが、あくまで神基準と心得よ。貴様等の世界では通用せぬ分類とて、ありうるのである》
「どういうことだ?」
《たとえば……エスエフ界の二人の科学者。貴様らには科学者でしかないが、『機械創造主』と『生物創造主』、或いは『ロボット使い』と『バイオロイド使い』と認識されたのやもしれん。あくまで推測であるが》

『機械創造主』と『生物創造主』?
 でなきゃ、『ロボット使い』と『バイオロイド使い』?
 なに、それ?

《神霊の価値観を、人間基準で測るでない》
 義妹の精霊が、フフンと笑う。
《でなければ、痛い目にあうぞ》


 レイの予言は、そのすぐ後に実現してしまった……


 ドロテアの移動魔法で、オレらは各地の彼女の友人達に会いに行ったんだが……

「有翼人の戦士ラーギエルです」

「ヴァルキリーのオルニルだ」

「海の化身マリンでーす」

「熊の神ドーブエルじゃ」

「蛇神ナハスである」

 ドロテアが次々に紹介してくれる転移神は、美女ばかりだった。
 清楚、凛々しい系、異形美、ワイルド、セクシーと、みなさまそれぞれ違う魅力にあふれていた。

 出逢う度に、オレのハートはキュンキュンキュンキュンとうるさいほどに鳴った。

 なのに、駄目だった。

 花冠を頭にのせた半植物化した花の女神フィオナ。
 六人目として紹介された彼女にも、萌えた。
 けど、伴侶枠入りしないんだ。

 フィオナの前で、オレはがっくりと肩を落とした。

「……ジョブ被り?」

 有翼人は背中に白い翼があって、天使そっくり。だけど! 有翼人戦士だろ? 別ジョブじゃないの?
 ヴァルキリーは……戦の女神枠か?
 海の化身は、見た目が人魚。
 熊の神は、見た目がクマ。
 蛇神は、ラミアそっくり。
 花の女神は……もしかして森の神と被った?

 そっと優しい手が背に触れる。サラとジョゼだ。
 オレがマイナス思考にいかないよう気づかってくれてるんだろう。
 お師匠様を失ってからオレ、情緒不安定なとこがあるから。
「ありがと、平気だから……」
 気をつかわせて、すまなく思う。
 すぐに元気をださなきゃ。

 けど……
 女神基準のジョブ分類がわかんない……
 大量の無職はおっけぇだったくせに、何でこの世界のもと神様達は駄目なんだよ。

《どっかの世界で戦士を仲間にしたら、もう戦士は仲間にできないってことね〜》
 託宣が下された日の神様の言葉を思い出す。
《完全一致しなきゃいいんじゃなぁい? 戦士が駄目でもナイトはおっけぇとか、魔法戦士や狂戦士ならイけるかも〜》
 他人事みたいに、いい加減なことを言ってたんだよな。

 オレはあと二十八人を仲間にしなきゃいけないってのに……
 あと二十七日しかないってのに……

 完全一致じゃねーのに、ジョブ被りにしやがって!
 あのクソ馬鹿女神〜

 冒険世界で魔王に大ダメージ与えられる女性と出逢う確率は半々だと、神様はセリアに教えた。
 けど、それは出逢いの確率でしかなく……
 出逢った女性を仲間にできる確率じゃなかったんだ。

 強い女性がいっぱい居ても、仲間にできなきゃ意味ねーんだよ!

 あの女神、ほんと性格悪い!

 一瞬、お師匠様の静かな顔が脳裏をよぎった。

 くそ。
 負けるかよ。

 あきらめるもんか。
 強い伴侶を百人集めりゃ、オレの勝ちなんだよ!
 究極魔法無しで、オレは魔王に勝つ!

「ドロテア! 次! 次を頼む!」

 お色気魔女は、困ったように頬に手をあて首をかしげる。
「では、北の精霊のもとへご案内します」

 精霊……?
「雪と氷を司る者にございます」
 うわ。
 グラキエス様と一緒じゃん。
 ジョブ被りの予感……

 けど、会うだけは会おう。
 どーせ、移動魔法で一瞬で行けるんだし!
 ともかく数をこなす!
 それしかない!


 魔女の魔法で移動した途端、肌を突き刺すような痛みを感じる。

 猛吹雪だった。

 周囲に激しい雪と風が荒れ狂っている。
 昼間のはずなのに、薄暗い。
 どこまでも続く真っ白な風景。
 舞い散る雪風と白い世界しか見えない。

 猛烈に寒い!

 今回は意地を張らずに、すぐに精霊に助けを求めた。全員薄着だし、アナベラはほぼ裸だ。凍死しちまう。
 風の精霊に結界を張ってもらって雪風を防ぎ、炎の精霊に熱を発してもらって、光の精霊に雪風を受けた仲間の治癒を頼む。
「さぶ〜 なんで、真冬?」
 リーズが体を縮こませる。生意気盗賊も、寒さには弱いようだ。
 アウラさんの結界内に入ってからは、ビキニアーマーのアナベラのがけろっとしている。

「この地を、雪と氷の女王サンドラが統べておるせいだ。神によってはそこに存在するだけで、自然に影響を及ぼす者も居る」
 人間のようには寒さや痛みを感じないのか、ドロテアは結界外で上空を見上げていた。
「……我が気を感じ、参ったようです。さ、旦那様、どうぞお萌えくださいませ」

 よぉ〜し!

 ドロテアが掌で差した宙に、女性が現れる。

《いきなり呼び出して何用です、ドロテア?》

 猛吹雪が、長い髪を舞いあがらせる。

 髪や肌が雪のように白い。

 冷たく鋭い青の瞳。高い鼻、薄い唇。まるで氷の彫刻のように美しい顔。

 背筋をのばしたたずむ姿に、息をのんだ。

 凄まじい雪や風が全身にまとわりついているから、はっきりとは見えない。
 見えないんだけど……
 間違いなく……

 全裸だ。

 大事なところを手で隠そうともせず、氷の美貌の女性は気品あふれる姿でたたずみ続けている。
 その威厳あふれる姿は、まさに女王だった……


 オレのハートは、キュンキュンと鳴った……


 心の中でリンゴ〜ンと鐘が鳴る。
 欠けていたものが、ほんの少し埋まっていく、あの感覚がした。

《あと二十七〜 おっけぇ?》
 と、内側から神様の声がした。


 仲間にできた!

 氷の精霊そのものなのに!
 なんで、ジョブ被りにならなかったんだ!
 わかんないけど、いいや、ラッキーだから!

《愚か者。貴様の氷の精霊は『氷の無職(フリーター)』であろう? あの女は『雪と氷の女王』、ジョブは被っておらぬ》と、レイ。

『フリーター』と『女王』か!

 魔王が目覚めるのは、二十七日後だ。

 神様のジョブ分類の基準さえわかれば、仲間探しも何とかなる……よな。
 ともかく突き進む!


* * * * *


『勇者の書 101――ジャン』 覚え書き

●女性プロフィール(№073)

名前     サンドラ
所属世界   冒険世界(本当の所属世界は不明)
種族     雪と氷の精霊(精霊界出身ではない)
職業     雪と氷の女王
特徴     ドロテアの友人。転移神。
       存在するだけで、周囲を猛吹雪にする。
戦闘方法   雪と氷。
年齢     きっと数百歳。
容姿     髪も肌も真っ白。冷たい氷の美貌。
       全裸だが、大事なところは
       雪風で隠している。
口癖     不明。
好きなもの  雪と氷かな?
嫌いなもの  たぶん、暑い所。
勇者に一言  今のところ無し。
挿絵(By みてみん)
+注意+
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