現在ルール説明が終わり、チームをクジで決めている最中。
「剛〜…」
「…どうした」
情けない声を出しながら大夢が近寄って来た。
ちなみに大夢は遅刻ギリギリで登校して来た。
俺が置いて行った後も暫く二人の世界に入ってたらしい。
いっそそのまま遅刻してしまえば良かったのに…。
閑話休題。
…ちなみに、どんな用件かは予想がついている。
「実は――」
「愛ちゃんと別のチームになったんだろ?」
「流石親友! 言わずとも分かってくれてたか!!」
「…ああ。まあな」
毎度毎度同じ事で落ち込んでるからなコイツは。
「何故…何故俺が愛と別チームなんだーーっ!!」
「…クジで別になったからだ」
「この世には神も仏もないのか!?」
…ん? 微妙にデジャビュ?
「…恐らくない」
「どちくしょーっ!!」
親友は叫びながら何処かへ走りさっていく。
…あいつは本当に万年バカップル野郎だな…。
しかし、正直だるいな。
ああっ…今すぐ家に帰って陽菜と遊びたい。
陽菜…今頃何してるかな…。
休みだから遅めの朝食食べてるところか?
母さんに頼んでおいたけど…あの人の生活能力の無さは致命傷な位だからな…心配だ。
ああっ! やっぱり父さんが休日出勤する今日位、俺が学校休むべきだった!
…いや! 今からでも遅くない! コッソリ抜け出して――
「…日下部。声に出てる」
「なぬっ!?」
背後から声をかけられ、振り返るとそこには――。
「い、委員長?」
うちのクラスの学級委員長、久遠 華織がいた。
「…委員長って呼ぶな」
「うっ…わ、悪い久遠」
「…今回だけ特別に許す」
「そ、それで、声に出てたってどこから?」
「…『家に帰って陽菜と』の辺りから」
「マジで!?」
俺の言葉に久遠は無言で頷いた。
シーット! ほぼ全部じゃねぇか!!
「…さぼりは許さない」
「うっ…」
久遠は基本的に無表情で淡々と話す。
だが…目は、目だけは常に異様な輝きを放っている。
その目に睨まれると何もしてなくても思わず土下座したくなる程である。
…実際に睨まれている今も正直怖い。怖過ぎる。土下座したくて仕方がない。
…ここはさぼらないと言っておくか。
「…分かった。さぼったりしない」
「…本当に?」
勿論嘘だ。
「本当だ」
久遠は無言で俺の顔をじーっ、と見てくる。
…目から何かが照射されてる気がする。
目を逸らしたくなるが、逸らしたら嘘がばれる恐れがあるので根性で逸らさない。
それから数秒後。
「…ふぅっ…」
久遠が俺から視線を外し溜め息を吐いた。
「…分かった。一応信じる」
俺は心の中でガッツポーズをした。
よっしゃっ! 勝った!
「信じて貰えてなによりだ」
ふっ…馬鹿め、これでエスケープ出来るぜ!
「…でも」
な、なんだ? まだ何か有るのか?
「でも?」
「…なんでもない」
「? そうか」
なんなんだ一体…。
『クジ引きが終わりましたので、チームごとに集まって下さい』
「おっ」
「…移動しないと」
「そうだな。じゃあな、久遠」
「…あっ、待っ――」
何か言いかけた久遠から逃げる様に(というか実際逃げて)、俺は走って集合場所に向かった。
ま、最初位は出とかないとな。
………………………
俺はチームのメンバーを見て愕然としていた。
俺を含めて男子が二人だけ…他は全員女子。
しかし、それは最たる問題にならない。
「…何故ここに」
「…だから待って、って言おうとしたのに」
…そう。なんの因果か久遠が同じチームにいた…。
「言っとけ! そういうことは!」
「…言おうと思ったけど」
「けど…なんだよ?」
「…日下部がさぼらないなら、言わなくても後で分かると思って言わなかった」
「うっ…」
この女…! だからあっさり信じやがったのか…!
クソ! これじゃエスケープ出来ねぇっ!
『A-8チームとA-9チームは第三コートに集まって下さい』
俺達はA-8チームだ。
「…呼ばれてるな」
「…早く移動しましょう」
「…ああ、分かってるよ」
仕方なく第三コートに向かう。
移動すると、第三コートにはすでに敵チームが揃っていた。
敵味方互いに外野に三人移動後、敵チームにボールが渡される。
って何故?
「あー…アドバンテージか…」
どうやら、敵の方がアドバンテージを貰っている生徒が多いらしい。
準備完了。
「それではこれより、A-8チームとA-9チームの試合を行います」
【よろしくお願いします】
審判(生徒)の言葉に敵味方全員が挨拶する。
そして、次の瞬間に試合が始まった。
「ふんっ!」
気合い(?)とともに敵チームの男子がボールを投げてくる。
狙いは…俺か。
「うおっと…」
横に跳び難なく躱す。
ボールはそのまま外野へ飛んでいった。
ボールから距離をとる為にダッシュ。
ボール取ろうとしないと、基本的にこの動作の繰り返しなんだよな…。
「ふっ!」
「きゃっ!?」
敵チームの投げたボールが、味方の女子に当たる。
…一人アウトか。
外野一人と交代しに行く女子。
「おらっ!」
「痛っ!」
…二人目。
どうやら敵は女子に狙いを定め始めたらしい。
…もしかしてこのままあっさり負けるんじゃ?
うちのチームは女子が八割以上だし…。
………………………
現在の生存者数
A-8(俺達):三人(俺、久遠、男子A)
A-9(敵):十五人(全員)
「…負けそうだな」
三人で敵の投げるボールから逃げつつ話す。
まさか本当にここまであっさりいくとは…。
「…そう思うならどうにかして」
「無理」
即答した。
「…田中」
「うっ…」
黙る男子A(田中というらしい)。
気持ちは分かる。
この状況を覆すのはハッキリ言ってかなりキツイ。
「…私はどんな事でも負けるのは嫌い」
「それは知ってる」
一緒のクラスになって分かった事だが、久遠はかなりの負けず嫌いだ。
「で?」
「…だから使えるものはなんでも使う」
「ふん? どうするつも――うおっ、と」
飛んできたボールを避ける。
「…日下部」
「…なんだよ」
「…これはなんだと思う?」
久遠がジャージのポケットから何かを取り出す。
「……っ!? そ、それはまさかっ…!!」
見た瞬間に身体が震え出した。
あれは…! あれはまさか…!!
「俺が先週没収された陽菜の写真!?」
「…イエス」
そう。あれは授業中に見ていたから、などという下らない理由で教師に没収された、マイ・シスターの写真!
それを何故久遠が!?
「…こんなこともあろうかと、先生を説得して渡して貰った」
「でかした久遠!! さあ! 返して――」
「…でも、タダでは返さない」
「なぬっ!?」
そ、そんな…!?
「な、何が望みだ!?」
「…私達のチームが優勝したら返してあげる」
「…………」
「ふっ!」
パシッ…
敵の男子が投げてきたボールを片手でキャッチする。
「…へ?」
目を丸くする男子。
そいつに向かって俺は全力でボールを――
「じぇりゃーっ!!」
投げ返した。
ドゴッ!!!
「グゲッ!?」
吹っ飛び、そのまま動かなくなる男子。
俺は男子に当たってこちらへ戻ってきたボールをキャッチする。
【……え?】
吹っ飛んだ男子を見て呆ける敵チームの面々。
「ふっ…。この程度でのびるとは情けない」
と、俺。
「…この程度…」
と、久遠。
「お、恐るべしシスコン」
と、田中。
「パーーーースッ!!」
俺は九割の力で田中にボールを投げる。
「ぐふぅっ!?」
白目を剥き倒れる田中。
「…何やってるの日下部?」
おおっ…こういう時も冷静な久遠に少し驚く。
『何やってるの』だって? それは勿論…。
「パスだ!!」
断言した。
「…パスで人は気絶しない」
「俺のパスではするんだ」
ちゃんと手加減はしてるしな。
「…そう」
久遠は何かを諦めたようだ。
「とりあえず、田中は盾にでもしとけ」
「…分かった」
…自分で言っといてなんだが大した外道ぶりだな、うん。
…さてと。
俺は敵チームに向き直る。
【ひっ!?】
すると敵チーム全員が悲鳴を上げる。
「うっふっふっ♪ さて、次は誰にしようかな〜♪」
【い、いやぁぁぁぁっ!?】
ふひゃひゃひゃひゃっ!
ふひゃはっ! うひゃひゃひゃひゃひゃっ!
………………………
『決勝戦を行います。A-8チームとD-1チームは第一コートに集まって下さい』
「ハッハッハ! あっと言う間に決勝だぜ!」
「…ここまで上手くいくとは思わなかった」「ふっ…俺の陽菜への愛を甘く見過ぎだ」
今の俺なら物理法則だって歪めて見せる!
「…何にせよ後は決勝戦だけ」
「ふっ…相手が誰だろうと負ける気が――」
言葉の途中に背後から殺気。
「!? とうっ!」
咄嗟に飛び退く。
シュッ!
一瞬遅れて、さっきまで俺が立っていた場所に蹴りが…。
…って、あぶな!? 誰だいったい!?
「…ちっ」
蹴りを繰り出した当人から舌打ちが聞こえた。
…ん? こ、この声は…!
「涼白! てめぇか!!」
蹴った奴の顔を見ると、そいつはやはりミス・サディスティック、涼白だった。
「てめぇ! いきなり何しやがる!?」
「邪魔よ。通れないでしょ」
「口で言え! 口で!!」
「面倒い」
「そん位の手間は割け!」
つーか、口より先に蹴りが出るって、どんだけ!?
「…こんにちは。麗菜」
「あ、華織。 やっほー」
久遠と挨拶を交わす涼白。
…俺には蹴りをお見舞いしてきたのに、この差はいったい…。
『繰り返します。決勝戦を行います。A-8チームとD-1チームは第一コートに集まって下さい』
おっと、また収集がかかった。涼白の相手してる場合じゃないな…。
これに勝たねぇと陽菜の写真が戻ってこねぇし…。
「ちっ…さっさと行くか…あばよ。涼白」
涼白に背を向け第一コートに向かおうとする。
俺の後ろに久遠が続き…何故か涼白もついてくる。
「…なんだよ」
「私もこっちに用があんのよ」
…ん? 何か嫌な予感がしてきたぞ…。
「…誰かの応援か?」
「選手よ」
…予感的中。
「…マジ?」
が、現実から逃避しようとする俺。
「嘘だと思う?」
「…思いません」
…よりによってコイツがいるチームが相手かよ…。
軽く頭が痛くなりつつ、俺達は三人で第一コートに向かった。
………………………
俺達が第一コートに着くと、すぐさま整列させられた。
そしてそこに見知った顔を二名(涼白を除く)発見した。
「…大夢もかよ」
「よう。剛」
我が親友大夢も涼白と同じチームらしい。
さっきの状態からは復活してるな…。
それはいいとして…。
問題はもう一人の方である。
「…なんでいるんですか涼白先生」
「え? 何かおかしい?」 …そう。何故か当然のように整列しているのは、うちのクラスの担任の涼白 明実先生だった。
「いや、教師のあんたがなんで当然のようにそこにいるんですか」
「ああっ」
ぽん、と手を打つ先生。
「実はね、今日は一人欠席が出たのよ」
「ふむ?」
それがどうしたというのか?
「そうなるとね、一つのチームだけ一人足りなくなるのよ」
…今の言葉で八割方分かった。
「その足りない一人に先生が?」
「そういうこと♪」
楽しそうに笑う涼白先生。
…まあいいか。どのみち今の俺の敵じゃあないだろ。
「それではこれより、A-8チームとA-9チームの試合を行います」
おっと、長話してる場合じゃかったな。
【よろしくお願いします】
試合開始と同時。
「死になさい! シスコン!!」
シュビッ!
物騒な言葉とともに俺に向かってボールを投げてくる涼白。
うおっ! ボール速っ!
…って。「…だ」
ボールが迫る。
「れ」
俺は両腕を広げる。
「がっ!」
バシッ!
涼白が投げてきたボールを両手で挟むようにキャッチ。
「なっ!?」
驚きの表情を浮かべる涼白。
…その隙を見逃す俺ではない。
「シスコンかーーーっ!!」
シュオンッ!!
先程涼白が投げたボールの三倍以上の速さ(当社比)でボールを投げ返す。
涼白はさっきの投球体勢のまま。
もらった!
…と思ったが。
涼白の横から誰かが飛び出し――
「ふっ!!」
バシンッ!
――俺が投げたボールをキャッチした。
「何っ!?」
俺の懇親の一球が…!
「ふふっ。甘いわ日下部君」
そう言うのは、やはりというか、何というか…。
「あんたか! 涼白先生!!」
「私がいる限り麗菜ちゃんには手を出させないわよ!!」
ぬうっ…決勝も楽勝だと思ってたのに…思わぬ伏兵が現れたな…。
しかし!
「邪魔するなら先生といえど容赦しませんよ…!」
俺には勝たなければならない理由がある…!
「ふふふっ…私だって相手が教え子でも手加減するつもりは無いわ!」
…ぶっちゃけ手加減して欲しい。
「喰らいなさい!」
シュオッ!!
先生の気合いとともにボールが放たれる。
…ジャッ、ジャイロ回転してません!?
俺はその球を…。
「とうっ!」
…避けた。
「ちょっ!? ぐほうっ!?」
ボールは俺の後ろにいた田中(さっき復活した)に当たった。
錐揉み状に回転しながら吹っ飛ぶ田中。
「ほいっ、と」
俺は田中に当たって跳ね返ったボールをキャッチする。
「…一応ルール上田中はセーフだけど」
「…完璧にのびてる」
と、久遠。
…哀れ田中。意識がアウトだったか。
俺は先生に向き直る。
「おのれ! よくも田中を!!」
【えーっ!?】
と、その場にいる全員。(俺を除く)
「いや! 明らかにお前が避けたせいだろ!?」
と、大夢。
…だが、俺にも言い分がある。
「あんな球避けて当然だ!!」
「お前がそれを言うか!?」
「それはさて置き!」
「置くな!!」
親友が何か言ってきたが、今度はスルーする。
俺は改めて先生に向き直る。
「先生…。よくもやってくれましたね…!」
「うーん…素直に返事したくないわね…」
「これまで…盾になってくれたり…盾になってくれたり…盾になってくれたりした田中をよくも!!」
「盾になってばっかり!?」
…何を言っているのやら。
「奴にそれ以外の使い道がある筈無いです!!」
「あなた悪魔!?」
「ふっ…妹の(写真の)ためなら俺は悪魔にでもなってやりますよ!」
「それなら納得だわ!」
【えーっ!?】
と、またもやその場にいる全員。(俺、大夢、涼白先生を除く)
「分かってくれましたか!」
俺はぐっ! と親指を立てる。
「勿論よ!」
先生も答えるようにぐっ! と親指を立てた。
「俺も納得だぜ!」
最後に大夢もぐっ! と親指を立てた。
今、俺達の心は繋がった…!
「…華織。あのアホどもの会話を理解出来ないのは私だけ?」
「…大丈夫。私も」
久遠達が何か言っている気がするがスルーする。
「分かってくれて嬉しいですが、早速死んで貰いますよ、先生…!」
「ふっ…。やってみなさい…返り討ちにしてあげるわ…!」
じりじりと移動する俺。
そんな俺からじりじり距離を取る先生。
涼白と久遠は静観モード。それ以外のメンバーも巻き添えにならない為か、俺達から距離を取り始めている。
「「…ふぅっ」」
二人同時に息を吐く。
…埒が明かない。
と、そんな時。
「おいおい親友。俺を忘れてるぜ」
不敵に笑いながら、大夢が先生のそばに立った。
「なっ!? 貴様! 親友である俺を裏切るのか!?」
「ふっ…。勝負の世界で敵にかける情など無い!」
「兄さん! 頑張って!!」
声がした方を見ると、そこに愛ちゃんを発見。
…なるほどな。
「てんめぇっ! 愛ちゃんにいい格好見せたいだけだろ!?」
「当たり前だ!」
「威張って言うことか!」
しかし、これで数の上では二対一。
流石に二人相手はキツイな…。
…よし。まずは奴から仕留める…!
「大夢! まずはてめぇから仕留めてやる!」
「上等だ! やってみやがれ!」
ふっ…甘い! 甘いな! 貴様の弱点などお見通しだ!
俺は愛ちゃんがいる方を指差し、叫んだ。
「あっ! 愛ちゃんがクラスメイトにナンパされてる!」
「何ぃっ!?」
驚愕の表情で振り返る大夢。
…にやり。
「隙ありーーっ!」
シュゴウッ!!
「なっ!? てめ! 卑きょ――がふぅっ!?」
俺が投げたボールに当たり、吹っ飛ぶ大夢。
「ああっ!? 兄さん!?」
愛ちゃんが悲鳴を上げる。
大夢に当たったボールは跳ね返ってこちらへ戻ってくる。
「ふっ…。勝負の世界で敵にかける情なんて無いんだぜ、大夢」
「兄さーーん!!」
愛ちゃんが吹っ飛んだ大夢に駆け寄る姿を尻目に、俺はまた先生に向き直る。
「…何しに出てきたの? 日野は?」
と、久遠が無感動に言い。
「…はあっ」
涼白は呆れて、溜め息を吐いていた。
「さて、では改めて死んで貰います。先生」
「ふふふっ…。何度来ても返り討ちにしてあげるわ」
また膠着状態になる俺達。
…やはり埒が明かない。
しかし真っ正面から攻めてもさっきのように容易くキャッチされてしまうだろう。
…さて、どうするか。
俺はフルパワーで頭を働かせる。
…………………。
…よし。ここは…。
「ん?」
訝しげな声を出す先生。
そんな先生を見ながら、俺はコートの後ろに下がり始める。
「…ははーんっ。助走をつけて投げる気ね」
先生が得意気に言う。
「…ご名答です。先生」
「甘いわよ日下部君。その程度ならまだまだ余裕でキャッチ出来るわ」
微笑みながら先生が言う。
しかし、俺も内心笑っていた。
そして先程の言葉に声には出さず付け足す。
…半分は、と。
「…余裕」
「…あのアホどもは今どんだけ人間離れしてんのかしら」
「…さあ」
何やら久遠達が言っているが、当然スルーする。
「行きます!」
「来なさい!」
「うおぉっ!!」
俺は先生に向かって走り出す。
そして。
「りゃあっ!!」
俺は走りながらボールを投げる――
「えっ!?」
――床に向かって。
バウンドしたボールは、天高く舞い上がる。
「…! まさか!?」
…俺の考えに気付いたか。
だが…!
「もう遅い!」
俺はボールを追うように跳躍する。
「スパイク!?」
その通り。
これなら最終的に手からボールが離れるから、ボールに当たれば先生はアウトになる。
プラスして、上から下に叩き付けるから威力も上がる!
「うおぉぉぉっ!」
咆哮しながら空中で構える。
本日最強の威力を持つ球が今放たれ――
「あっ! 日下部の妹が勝手に学校に入って来てる!」
――る前に涼白の驚愕発言。
「何ぃっ!?」
陽菜!? 何故ここに!? お兄ちゃんに会いに来てくれたのか!? なんて可愛い奴だ!!
…などと考えながら俺は涼白が指差す方を見る。
…が。
「…いねぇじゃねぇか!!」
涼白の奴…! 騙しやがったな!
…って。
「しまったぁっ!?」
ボールはとっくの昔に予定していた打点から落下。
それどころか…。
「…悪いわね。日下部君」
落ちたボールは涼白先生の手に…!
俺は今着地したばっかりで足が…!
「ちょっ、ちょっと待っ――」
必死に動こうとするが――
「ふっ!」
シュオンッ!!
――そんな俺を嘲笑うかのように、一切の躊躇なく先生の手からボールが放たれ――
ドゴン゛ッ!!
「グボァッ!?」
――俺の腹に直撃した…。
………………………
…結局、決勝はそのままD-1チームの勝利で終わり…。
「…日下部」
「ごめんなさい。ごめんなさい。本当ごめんなさい」
久遠にはひたすら睨まれ続けたうえ、写真は戻って来ず…。
「てめぇ! よくも騙しやがったな!」
「剛さん! 酷過ぎです!」
「喧しいわ! バカップル共!」
バカップル共と喧嘩するハメになり…。
「涼白てめぇ! よくも!」
「せいっ!!」
「ぎゃーすっ!?」
俺を騙した涼白には反論し無くなるまで蹴られ続け。
挙句の果てに、次の日には…。
「か、身体中が痛ぇっ!?」
限界を超えた能力を使った為か、俺は全身筋肉痛になった。
「畜生! ドッチボールなんて嫌いだっ!! …いでででっ!!」
…おしまい。
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