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推理小説 作者:タマヒメ
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1、犯人は物語の当初に登場していなければならない

あれは1週間前のことだっただろうか。
大学時代の恩師から手紙が届いた。
その手紙に曰く、
私の教え子の中から特にユニークだった7人に見せたいものがある。つきましては今度の土日でうちの別荘に来てもらいたい。最寄駅からの足は私が手配しよう。泊まってもらいたいので着替えだけ用意してくれるとありがたい。
事なかれ主義の私がどうしてユニークなのかはわからなかったが、別に予定があるわけでもないし、恩師を無下にもできない。私は行ってみることにした。

そして週末。
指定された恩師の別荘の最寄駅の改札を出ると、一台の小型バスが止まっていた。
手配した足とはきっとこれのことだろう。
私が恐る恐る近づくと、バスの中から一人、飄々とした雰囲気の男が出てきた。
「やあ。君が最後だよ。早くバスに乗ってくれよみんな待ってるよ」
その男は馴れ馴れしく話しかけてきた。
「ちょっと待ってくれ、あんたは一体誰なんだ。あんたも先生に呼ばれたのか?」
「そうだとも。それに僕は先生から僕も含めた7人全員を率いて別荘まで来てくれと言われているからね。君たち全員の氏素性は教えてもらっているのさ。君はサラリーマンだろう?その日常的に結ばれているであろうちょっと形の崩れたネクタイと擦れている袖口、あとはその右肩だけに擦れて光沢ができている。これを見れば君は日常的にスーツを着ているが多くの種類を持っていない。それにしょっちゅう新しいものに変えているわけでないこともわかるから、君が役員クラスの階級でないことはわかる。それにその革靴の汚れ方から見て日常的に革靴を履いて過ごしている。だからサラリーマンだと聞いていた、まだ来てなかったあと1人の参加者が君だと推理したわけだが、違ったかね」
「いや、それであってる。俺も今の話で、お前が俺を騙そうとなりすましてるわけじゃないことがわかった。で、このバスに乗ればいいんだな」
この男と会話していると妙に疲れる。だから俺は会話もそこそこにバスに乗り込んだ。

バスに乗ってみるとすでに5人座っていた。
ぱっと見俺と同年代くらいから、白髪頭の人までいる。
5人の視線が突き刺さるような感じがして俺は、バスの二列目の席に腰を下ろした。
「ようし。これで全員揃ったな。じゃあ、先生の別荘に向かおう」
俺の後から乗って来たさっきの男が通路を挟んだ俺の隣に座った。
直後、バスの扉が閉まり、バスは動き始めた。

バスが走り始めてから5分ほど経ったころ、隣に座っているさっきの男が話しかけて来た。
「この企画の趣旨を僕は先生から聞いていない。ただ、『ユニークな7人を集めた』ということしか。僕がユニークだというのはわからんでもない。だが他の人はわからない。それでだ。この企画には1つ絶対に守ってもらいたいルールがあるそうだ。曰く『自分の名前を他人に教えるな。また、他人の名前を探ろうとするな。あだ名で呼びあえ』だそうだ。で、これを踏まえた上で自己紹介をしよう。僕の名前は《名探偵》だ」
「不思議なルールだな《名探偵》さん。で、俺のあだ名は決まっているのか?それとも自分で考えるのか?」
することもなかったし、このルールを知らないと後で痛い目を見るかもしれないと、俺も話に応じた。
「僕は自分で考えたんだけどね。君の名前は僕がつけてあげよう。君の名前は《ワトソン》だ。よろしくな《ワトソン》」
そう言って《名探偵》は握手を求めて来た。
「どうして《ワトソン》なのかを尋ねるほど俺もバカじゃないさ。お前、さっきのバスの前のやり取りはそういうことなんだな」
そう言って俺は手を握り返した。
と、そんなこんなしているうちに、バスは山奥に入り、そして山奥にあった一軒の別荘の駐車場に入って止まった。
「さあ、着いたぞ《ワトソン》君。立ちたまえよ。参加者の残り5人は別荘のロビーで紹介しよう」
そう言って《名探偵》は軽やかな足取りでバスを降りて行った。

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