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謙虚、堅実をモットーに生きております! 作者:ひよこのケーキ
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 冬になり、私も本格的に受験勉強を始めた。どうせエスカレーターで進学は決まったも同然なんだけど、まぁ一応。
 高等科に入学すれば、外部生がドッと入ってさらに順位が落ちそうだしね。今から対策しておかないと。
 なので今日も家庭教師の先生について、お勉強。
 教えてくれるのは、就職して家庭教師をやめた花梨先生に代わり、花梨先生の妹の真凛(まりん)先生。 真凛先生も国立大学なんだって。姉妹で優秀だわ~。

「この調子なら内部入試は合格間違いなしですね」
「本当ですか?」
「最後までこのペースで勉強し続ければ、ですけど」

 そっかぁ。でもお墨付きもらうとすぐダラけそうだから、あまり褒めないで。
 さぼり癖は私の魂に刻み込まれている前世からの因縁なのだから。

「そういえば、麗華様のお兄様とはほとんど会う機会がありませんねー」
「そうですわねぇ」

 お兄様は成人式を過ぎてから学業と家業を掛け持ちしているので、とっても忙しい。夕食の時間にも間に合わないことがほとんどで、前のように気軽に遊んでくれと言えなくなってしまった。
 でもお兄様は夜遅くにならないと帰ってこられないくらい忙しいのに、お父様は夕食に間に合うっておかしくない?お父様、お兄様を働かせすぎなのでは?
 はっ!もしかして不正を見つけてそれの秘密処理に追われているとか?!きっとそうに違いない。頑張ってお兄様!
 今度お弁当を作ってあげよう。妹の愛情たっぷりの手作りお弁当。きっと喜んでくれるはずだ。桜でんぶでごはんにハートマークを描いてあげよう。驚くぞぉ、うぷぷ。キャラ弁に挑戦もいいな。

「麗華様のお兄様は本当に素敵ですものね。姉も年下に思えない!って噂していたんですよ」
「まぁ」

 知らなかった。花梨先生、実はミーハー?
 確かに私のお兄様は素敵ですけどね。勉強や本を読むときはメガネをかける、そのインテリ横顔がメガネ男子好きの心をくすぐります。

「真凛先生も私のお兄様みたいな人がタイプなんですか?」
「こう言ってはなんですけど、貴輝様は観賞用。現実に恋人にするにはもっと普通の人でいいです」
「そんな方がいらっしゃると?!」
「ううん、いないけど。ただアタックしてくる同級生はいるかな~。でも私のタイプとは真逆なの。私の好きなタイプは恥ずかしいけど、ビジュアル系バンドのボーカルみたいな人だから」
「あら~。痩せてて色白で皮パンが似合うような人ですか」
「うん。恥ずかしいですけどね」

 普通の人がいいと言いながら、ビジュアル系とはこれいかに?
 国立に通う才女の意外な一面だ。

「ちなみに麗華様の好きなタイプは?」
「え…。どうでしょうね、優しくて真っ直ぐな方でしょうか」

 友柄先輩以来、好きな人がいないのでよくわからない。
 ジュリエット香澄様からは、時々友柄先輩ののろけ話を聞かされている。いいですね~みなさん、楽しそうで。

「私にアタックしてくる人も真っ直ぐなんですけどねぇ。少し暑苦しくて…」
「困っているのですか?だったら井の頭公園でボートに乗ってみたらいかがでしょう?」
「あれはカップルでないと効かないんじゃないかしら?」

 あれ?そうなんだ。桜ちゃんは激怒していたけどな。リアル般若っているんだなってくらいの恐ろしい形相だった。
 全く、ちょっとした遊び心だったのになぁ。「自分が恋愛ぼっちだからって、他人まで仲間に引き摺りこもうとするなぁっ!」って、凄い剣幕だったけど、桜ちゃんだってまだ両思いではないでしょう?それに運命の恋人ならその程度の妨害はエッセンスですよ。心に余裕をもたないとね。

 恋愛ぼっち村の村民募集中。



 一応受験生ということで、気分転換に学業の神様にお参りに行ってみた。
 合格祈願鉛筆の存在は知っていたけど、必勝ハチマキなんてものまであるとは知らなかった。
 よく年末年始のニュースで、ハチマキ締めてお正月返上で塾で勉強してる子供達の映像が流れてるけど、必勝ハチマキって結構定番なのかな?
 皇帝の異常なハチマキへの執念を考えると、ハチマキにはひとをやる気にさせるなにかがあるのかもしれない 。
 面白そうなので鉛筆と一緒に買ってみる。葵ちゃんのぶんも含めて2枚。怖い般若桜には買ってあげない。あれはガミガミ妖怪だからね。
 葵ちゃんは日に日にやつれていくから本当に心配だ。絵馬には葵ちゃんが無事合格しますようにと書いて、しっかりお祈りしておく。
 しかし天神様って学業の神様って言われてるけど、実際は左遷されてるんだよねぇ。本当にご利益あるのかしら。
 などと不届きなことを考えていたら、鳩の糞攻撃にあった。目の前に落ちてきて、セーフ!と思ったら、地面からのおつりがタイツに!!
 ごめんなさい。私が悪かったです。許してください。……怨霊、怖い。雷落とすのだけはやめて。


 ガミガミ妖怪には言っていなかったけど、実は体育祭の後くらいに、鳥海さんから話しかけられた。
 もちろん秋澤君のことで。
 秋澤君と、桜ちゃんの話を時々している姿を目撃して妙な勘違いをしたらしい。
「もしかして、秋澤先輩とお付き合いされてるんですか」って。ありえな~い。私達がこそこそ話しているのからそう思ったらしいけど、桜ちゃんといい、どんだけ恋愛フィルターかかってるんだよ。
 そして自分で言うのもなんだけど、よく私に話しかけられたな鳥海さん。恋の力って凄いな。
 その勇気に免じて、しっかり私達の関係を訂正したうえで「幼馴染の彼女がいるようだ」と教えてあげる。
「やっぱり…」と落ち込む鳥海さんに、「鳥海さんにはもっとお似合いの人がいると思いますわ」とアドバイスする。
 実は璃々奈の手下のメガネちゃんから、鳥海さんを好きな男子がいるという情報をもらっていたのだ。
「同じ陸上部の同級生にも目を向けてあげて」と遠回しに教えてあげたら、びっくりしていた。
 え~っと、と目を泳がせて赤くなっていたから、鳥海さんに片思いしている陸上部男子に春が来るのも近いかもしれない。
 今度こそいい仕事をした。
 ガミガミ妖怪、私は君の為に結構裏で頑張っているのだよ。村長の心は広いのだ。

 しかし璃々奈の手下のメガネちゃんは、おとなしそうな顔をしてかなりの情報通だ。いんちきスパイの私など、足元にも及ばない本物のスパイかもしれない。
 こっそり面白情報からお役立ち情報まで教えてくれる。
 私には慕ってくれる後輩も少ないので、メガネちゃんの存在は嬉しい。「麗華様」ではなく「麗華先輩」と呼んでくれるようにお願いしてみた。
 そのメガネちゃんから、騎馬戦で皇帝にボコボコにされた1年君がなぜか私にライバル心を抱いていると聞いた。なぜ?
「桂木はバカだという噂なので気を付けてください」って、私の周りはバカばかりだな~。鏑木に桂木。バカは名前も似ているらしい。難儀なことだ。
 そのおバカな1年君は一度私とすれ違った時に、「お前なんか円城さんにふさわしくない!」などと気の触れた発言をかましてくれた。バカの発想は素っ頓狂すぎて、私には理解できないよ。

 そんな残念な1年君は、後日私の取り巻きに闇討ちされたとかされなかったとか……。
 女子の集団に囲まれて、トラウマになるくらい罵られるってどれくらいつらいんだろうなぁ。
 ストレスで白髪になったら、相談に乗るぞ。
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