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校舎を出た二人を迎えたのは、満天の星だった。
街灯も月も人影もない帰路の途中で、唐突に鮒木が言った。
「──どうでもいい話だけどな」
「なんだ」
「何でヨットなんだ? 金持ちのスポーツならテニスとかゴルフとか、他にもあるだろ」
「……くだらない理由だ」
「ふーん」
沈黙する鮒木に、今度は銀崎が尋ねた。
「あの二刀流は──今日、思いついたのか?」
「……ああ」
「それなら、まだ磨けるな」
「ああ」
岐路に立ち止まり、二人は互いを見た。
そして言った──二人同時に。
「──次は、負けない」