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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

ギルドホームを作ろう

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筋肉が示す道標

 湯気を立てるナポリタンが目の前に置かれる。
 麻里子さんに礼を言ってから、早速くるくるとフォークに巻き付けてまずは一口。
 うん、このケチャップたっぷりのシンプルな味付けがたまらんね。
 喫茶店といえばナポリタンというイメージを持っている人なら、きっとこの良さを分かってくれるはず。

「でさ、わっち。TBでそろそろギルドホームを作りたいって言ってたじゃん?」
「言ってたな。でも随分と広いみたいじゃないか、あの世界」

 未祐が望むようにあちこち回ってから、というのは難しそうだ。
 乗り物も確保できていない訳だし。

「うん。だから分かっている情報からある程度、場所を絞って進むのがいいんじゃないかと思って」
「なるほどね。で、例によって掲示板か?」
「そうだね。攻略サイトも良いんだけど、ああいうのは確度の高いしっかりした情報を選んで載せるところだから。掲示板の情報の早さには勝てないよ」
「その分、掲示板での情報の真偽は、自分で確認する必要があるけどな」
「それが楽しいんじゃないかぁ。ガセネタに踊らされるのも一興!」
「分からんでもないぞ。そういう手探り感は嫌いじゃない」

 秀平がピザトーストをかじって美味いと呟く。
 俺もナポリタンを食べ進め、完食するとコーヒーを一口。
 ふぅ……この一杯で、残り時間もしっかり働けるってもんですよ。
 秀平がスマホを取り出したので、俺もポケットを探る。

「で、どのスレが参考になりそうだ? 目星はつけているんだろう?」
「TB世界を適当にお散歩するスレ、っていうのがオススメ。見れば分かるよ」



【あっちこっち】TB世界を適当にお散歩するスレ4【ふらふら】

VRMMORPG「トレイルブレイザー」の世界で見つけたものを報告するスレです。
何処で目撃したかの詳細については、スクリーンショット及びゲーム中の地名か座標x、yの数値を添えると信憑性が増します。
憶えていない、そんな余裕は無かったよ! という方は、最寄りの施設や目印を挙げると良いでしょう。

現在は「ヒースローの街」を起点にどちらに向かったかという話が主流です。
次スレは>>950が立てること。

847:名無しの神官 ID:GztnDhA
俺、UFO見たよUFO!
南の方で!

848:名無しの魔導士 ID:9FHrFjH
はいはい

849:名無しの武闘家 ID:cfrSJaP
ヨカッタネ

850:名無しの弓術士 ID:ND4pLLa
ヒースローから西に行ったらでっかい牛が湖の傍に居たよ!
【画像】
怖いんで放っておいて進もうと思ったら、出口にバリア……
あ、場所はラテラ湖畔っす

851:名無しの騎士 ID:3WU4KEe
じゃあエリアボスじゃん
得意の見えないかべー
お散歩勢として、この仕様は誠に遺憾である!

852:名無しの魔導士 ID:mP6wJTm
通れなくもないけど、迂回するの大変なんよね
結局、エリアボスを倒せないレベルで回り込んでも
その先の高レベル雑魚モンスにコロコロされるという

853:名無しの重戦士 ID:TZP5anV
世知辛いのう……
弱いとオチオチ散歩もできないというのか……

854:名無しの軽戦士 ID:zsbGFTM
戦う為でなく散歩する為に強くなるのか
もはや目的が謎である

855:名無しの神官 ID:GztnDhA
UFO……(´・ω・`)

856:名無しの騎士 ID:75ae3Du
構ってちゃんうぜえw
信じて欲しけりゃスクショ持ってこいや!

857:名無しの弓術士 ID:dXjwVRS
画像も貼らずに連レスとな!?
【画像】
多分>>855が言ってるのはコレ

856:名無しの重戦士 ID:ZU3GBbf
画像見たけど、クラゲじゃねーか!
確かに空は飛んでるけど!

857:名無しの神官 ID:GztnDhA
(・ω<) てへぺろ☆

858:名無しの魔導士 ID:x97hcBE
うざw
しかし、こんなモンスターも居るんだなぁ
南は暖かいんだろうか……近くに海でもある?
でも、こいつは空飛んでるし関係ないか

859:名無しの重戦士 ID:D2kKJRU
ヒースローのやや北、帝都
【画像】
その北
【画像】

【画像】

【画像】
西
【画像】

860:名無しの弓術士 ID:WytY3BJ
!? なんぞこれ!

861:名無しの軽戦士 ID:zsbGFTM
何この人、しゅごい……

862:名無しの神官 ID:CNKWZY5
>>859
何という変態的な攻略速度www
一体どこまで進んでんだ、あんたwww

863:名無しの神官 ID:UdBzs5S
結構な高所から撮ってるようだけど、どうやってんだ?
足元見えないように撮ってるからイマイチ分からん

864:名無しの武闘家 ID:cfrSJaP
木登り?

865:名無しの弓術士 ID:WytY3BJ
どう見ても最後の画像は砂漠なんですが……
登れる木なんか近くにないよ

866:名無しの魔導士 ID:x97hcBE
それこそクラゲみたいに飛んでない?
プチ航空写真みたいになってる気がするんだけど

867:名無しの弓術士 ID:Y7FEM6W
まあ>>859がどうやってスクショを撮ったかはともかく
これが本当ならかなり地形がくっきりしてるね
北は山岳地帯
南は島が点在
東は森ばっか
西は砂漠地帯
中央は……スタート地点も中央に含めていいんかな?
これもヒースローを起点にしてって話だろうし、村も近いから

868:名無しの魔導士 ID:TPNKWtd
いいんでない?
ちなみにNPCがグラド帝国ターラ領って言ってたよ
アルトロワもヒースローも

869:名無しの騎士 ID:SaximAw
俺ら、帝国に居たんか
全然知らなかった

870:名無しの魔導士 ID:TPNKWtd
それくらいは知っとこうよw
現地民に訊けば答えてくれるよ
他国については何故か教えてくれないけど

871:名無しの重戦士 ID:wkGxrWE
情報制限かもよ
プレイヤーに未知の場所として探索して欲しいのかな、運営としては

872:名無しの武闘家 ID:cfrSJaP
結局、どこまでが帝国領かも分からないわけか
その地形の特徴が出てる場所は他国な気がするけど

873:名無しの重戦士 ID:eDLVWDj
ゲームのお約束から考えるとそうだろうねぇ



 時間も少ないのでざっと最新のレスを見てから秀平に視線を戻す。
 その顔からして、見せたかったのは859の重戦士のスクショだろう。

「このスクショ、信用できるのか? 本物なら良い情報だとは思うけど」
「そう思うよね。でもさ、わっち。三枚目のスクショをもう一回見てみ?」
「?」

 言われるままに画像を開くと、高所から撮った島と海の景色が……ん!?
 良く見ると、がっしりした太ましい腕が画像の隅に映っている。
 剥き出しの腕のようだが、焦点は景色に行っているのでブレ気味な上に装備品も見えない。
 これだけでは……。

「腕が映ってるが、これがどうかしたか? とても個人を特定できるほどじゃ……」
「俺には分かる。この筋肉の付き具合、間違いない……兄貴だ!」
「――はい?」

 数秒、思考が停止した。
 秀平が何を言っているのか理解できない。
 腕の筋肉の付き方で個人を判別? それって、お前……

「気持ちわるっ」
「!? キモイとか言うなよぉぉぉ! ほら、わっちと違って俺は兄貴と握手したじゃん! その時に近くで見たからで――」
「ふーん」
「やめてよ、その冷たい目! 言っておくけどそういう趣味じゃないからね!? 純粋にカッコイイ男に惚れこんでるだけだから! わっちだって戦国武将とか幕末の志士とか好きじゃん!」
「羽柴秀長と土方歳三は俺の心の師匠だ。馬鹿にするな」
「してないよ!? 要はそういう感覚と同じだって言いたいの!」
「分かった分かった」

 騒ぐなよ、マスター達が驚いてるじゃんか。
 仮にこの画像を貼ったのが本当にくだんの傭兵アルベルトだとすると……。

「嘘とか吐くタイプには見えなかったよな。短い時間しか会ってないけれど」
「でしょ。だから、ある程度はこの情報も信用できると思う」
「そうな……たださ。あの人なら、各地で大ジャンプしてこれを撮ったって言われても信じそうだよ、俺……」
「ぶっ!? やめてよ、わっち! そんなわけ……」

 俺と秀平は会話を中断して兄貴の姿を想像した。
 軽装になり、足の筋肉をほぐしていく兄貴。
 不意に体を沈み込ませると、凄まじい勢いで筋肉が縮み、うなりを上げて力を溜め込む。
 そうして溜めた力を一気に解放!
 抉れる地面、震える大気。
 カタパルトのように地面から射出された兄貴は、その重そうな体からは考えられないほど高く高く舞い上がり――

「や、やめようぜ! これ以上考えるのは!」
「そ、そうだね! ともかく、これは兄貴の情報っぽいから有力ということで!」

 考え過ぎると頭がどうにかなりそうだ。
 まあ、何だ……明日は理世も模試が終わるし、その時にこの情報を元に四人で相談すればいいか。

 話も一段落した所で、ドアベルがカランカランと音を立てる。
 っと、お客さんか。
 休憩を切り上げ、立ち上がって出迎える。

「いらっしゃいま――何してんの、お前ら……」

 誰かと思えば、未祐と理世が互いを睨みつけながら店に入ってきた。
 仲良く一緒に来た――という訳じゃ、ないだろうな……。

「じゃ、じゃあわっち、俺は帰るね! また明日!」
「あっ、おい!」

 秀平の野郎、逃げやがった。
 飲食代はちゃんとテーブルに置いてあるが、友人としてそれはどうなんだ?

 あー……どう対応すっかな。
 見た感じ理世は勉強の息抜き、未祐は単純にケーキを食べに来たというところだろうか?

「頑張っている兄さんのお顔を見たくて来ました。そうしたら、見たくもない顔とそこで会ってしまいまして……」
「亘、ケーキのついでに会いに来たぞ。不愉快なちんちくりんの所為で、私の食欲は減退気味だが!」

 お互いにタイミングが良過ぎ――いや、悪過ぎるのか。
 ともかく、仕方ないのでカウンター席に一人分の間を空けて座らせた。
 他のお客さんも続けて来たので、二人にはなるべく静かにしていてもらいたい。

「ね、ね、亘ちゃん。結局どっちが本命なの? 今日もとっても可愛いわねぇ、二人とも。オバサンにだけこっそり教えて?」
「はぁ……」

 麻里子さんが案の定、俺に絡んでくる。
 片方は妹なんです、という説明は前にした筈なのだが。
 容姿が似ていないせいか、直ぐに忘れられちゃうんだよな……なので、もう諦めた。
 そんな俺を見たマスターの苦笑と「若いね」という呟きが、やけに耳に残った。
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