挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

集団戦と夏休みの開始

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

287/354

国家別・ギルド対抗戦

「まずは今回の発表を再確認しようか」

 みんなが集まった談話室で、俺はそんな言葉で会議を始めることにした。
 今回運営から発表されたのは、レベルキャップの解放と経験値アップキャンペーンの同時開催。
 それから国家別・ギルド対抗戦という新イベントの予告である。
 俺の言葉に最初に反応したのはセレーネさんだ。

「経験値アップは新規の呼び込みも兼ねてのものだよね? これでゴールドラッシュ、初期アイテム優遇、経験値とスタートダッシュに必要なものがフルに揃う形だから」
「でしょうね。レベルキャップが解放されたので、経験値アップは俺たちにとっても恩恵がありますが」

 ちなみにゴールドラッシュの採取ポイントは鉱石とは別だったので、セレーネさんがそれを知った時は心底ほっとした様子だった。
 続けて一番最後にログインしてきたトビが、小さく手を挙げて発言する。
 内容は新イベントのギルド戦に関するもののようだ。

「何というか、あの新規の勧誘どうこうの会話がフラグみたいになってしまったでござるな。早速、ギルドメンバーの数が重要なイベントが来てしまったでござる」
「したな、そんな会話を。でも、増員に関しては今更な話だろう?」
「今のギルドの状態を気に入っている人が多いですからね」

 トビの言葉にこう返したのは俺とリィズである。
 あまり人数を増やし過ぎると、今のギルドの雰囲気が変わってしまうのではと考えているメンバーが大多数なのだ。
 だから仮に新規に人を入れる場合は、よほど気が合った人を慎重に、という形になると思う。
 これはヒナ鳥たちが近くにホームを構えて同盟を組んで、少し経ったころに全員で話し合って決めた基本方針でもある。

「む? しかし、人数が足りないギルドはNPCで補えるのだろう?」
「じゃあ、強化計画云々よりもその話を先にするか。ギルド戦で定員割れしているギルドに補充されるのは、各所属国の国軍組織のNPC。サーラの場合は当然、砂漠のフクロウのメンバーが一緒に戦ってくれるということになるな。現地人の認識上このイベントは、五国間で行われる大規模な軍事演習っていう扱いになっているらしい」

 そもそもこのギルド対抗戦、国ごとに別れて戦う勢力戦という大きな枠組みも兼ね備えている。
 成績の良かった国は国土の大きさこそ変わらないが、経済状態の上昇・移民の増加・ショップ売りのアイテムの種類増加・ギルドホームの効果にボーナスなど、色々な特典が付くそうだ。
 引き換えに地価の上昇とギルドホームの賃貸料上昇などがデメリットとして付加される。
 成績の悪かった国はメリットもないがデメリットもなしで、地価だけが下がる。

「ギルド単位ではなく、国単位で全員が一斉に戦って勝負を決すれば話が早いのにな! 大陸全土で超大規模戦っ! どうだ!?」
「いいのか? プレイヤー人口が一番少ないサーラが、真っ先に狙われて敗北するけど」
「……」

 立ち上がっていたユーミルが、俺の言葉を聞いて静かに着席した。
 人口から考えても国力から考えても、総力戦をやったらグラド帝国が簡単に勝ってしまう。
 規模が大きな戦闘になるほど個の力が関係なくなってしまうし、ゲームとして面白くないだろうな。
 今回のギルド対抗戦は、向かい合う二つの砦を使った最大99人対99人の対戦となるそうだ。

「あれっ? 50対50じゃないんですか?」
「それが今回の戦いの味噌なんだよ。プレイヤーに比べて、NPCである国軍兵士の能力ってやや劣るじゃない?」
「各国首脳のNPCは別格ですけどねー」
「それは置いておいて」

 疑問の言葉はリコリスちゃん、話を途中で混ぜっ返したのがシエスタちゃんだ。
 レベルが100を超えているような連中のことを考えても仕方ない。
 どうせ彼らは助っ人として呼べない訳だし。

「だからプレイヤーの欠員一人につき、二人のNPCが補充される訳だ。場合によってはあえてプレイヤーの参加人数を抑えて、現地人の数を確保する戦術も有りってことになる。極論、プレイヤーが1人で現地人が98人でも参加可能って話に繋がる訳だ。一ギルドで出せるチーム数には制限があるけど」
「……何だかハインド先輩、楽しそうですね?」
「「「うんうん」」」

 サイネリアちゃんの発言に、みんなも同意するように二回頷く。
 そこまで分かりやすく声が弾んでいたかな?

「いやあ……だって、上手くやればプレイヤーの数が少ない俺たちでも戦況を引っくり返せるってことだから。これは戦術の組み立て甲斐があって楽しいよ。あ、ところでヒナ鳥のみんなは――」
「もちろん一緒に参加しますよ! 同盟は一単位で大丈夫なんですよね?」
「所属国が一緒の場合は大丈夫だってさ。ありがとうね」
「はい!」

 プレイヤーの数が五人と八人とでは、全然戦い方が違ってくるだろうからな。
 リコリスちゃんにお礼を言って、ここからの説明はセレーネさんに譲ることにする。
 質問者は主に公式サイトのお知らせを読み飛ばし気味な騎士の二人。

「NPCのレベルは教練で行ったものがそのまま適用されるんですよね? 人によっては全く教練をしていないのに、事前に色々していた人たちと同じ支援を受けられちゃうんですか?」
「それについては、ギルド全体で国軍に与えた影響によってNPCの能力値が微量増減するそうだよ。それと、命令を出した時の反応が変わるんだとか。全く軍事教練をしていないからといって言うことを聞いてくれない、なんてことにはならないらしいけど。多少の差は出る感じになると思うよ」
「なるほどー!」

 ヒナ鳥たちも熱心に軍事教練を行っていてくれたからな。
 俺たちのものも含めると、サーラのプレイヤーの中ではかなり国軍に影響を与えていると思うが。
 とはいえ対戦バランス的には気持ち有利になる程度で、そこまで極端な優遇はされないだろうと予想している。

「そういえば有名NPCの扱いはどうなるのだ? セッちゃん。まさか同時にゲーム内に同じキャラクターが存在するという訳にもいくまい?」
「あ、うん。それに関しては、ちょっと掲示板が荒れてたんだよね……有名NPC、砂漠のフクロウで言うと団長のミレスさんとかだよね? 有名NPCは好感度トップのプレイヤーがいるギルドが独占できるそうだよ。一ギルドにつき一人、対象が複数いる場合はその中から一人を選べるらしいけど」
「何っ!? ではプレイヤーによっては今頃、血眼になって好感度上げを――」
「イベント発表時点までのものを参照だから、もう確定済みだね……軍事教練も発表直後からイベントが終わるまではできなくなったから、もっと早くやっておけば良かったって声がかなり多かったよ」
「それで掲示板が荒れているのか……」

 それらの機能を残したまま当日まで引っ張った場合、掲示板よりもゲーム内が大変なことになっていただろう。
 だからこれで正解だと思う。
 俺たちが誰かを確保できたのか、確保できていたとして誰なのかは対抗戦の出場受付を行っている『練兵場』まで行ってみないと分からない。
 有名NPCは一般兵と比べて能力が高いので、いればそれだけ有利となる。

「有名NPCに関しては、後で確認しに行こうぜ。多分、確保できていたとしたらミレスさんだと思うけど」
「あの中では一番付き合いが長いでござるからな。他の部隊長や一部の兵士も、可能性がないとは言い切れないでござるが」

 俺たちが軍事教練を行った回数から考えても、誰かしらは俺たちの戦いに参加してくれると思う。

「そういえば、サーラの兵士たちの最終的な平均レベルはいくつでござったっけ?」
「そういうのはリィズに――」
「昨日の時点でレベル40ですね。グラドが45だそうですから、十分勝負になる範囲かと」
「だってさ」

 セレーネさんが装備をせっせと提供してくれていたので、恐らくそれくらいの能力差は問題にならない。
 ギルド戦に関してはそんな感じで、今からNPCを強化することは不可能だ。
 だから、後は自分たちの状態をいかに整えておくかという話になる、
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ