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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

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テッラ・カウムの探索

『ウィリデ大森林』は、地理的にはルストの王都『ウィリディス・ウルブス』の北西に存在している。
 馬が通れる最低限の道は整備されているのだが、いかんせん視界が悪い。
 更には少しずつ整備されたというそれは蜘蛛の巣のようで、マップ機能なしにはまともに進めない。

『ガウァッ!』
「のわっ!? またかよ!」

 真横から茶色の体毛を持った虎が、爪を振り上げながら襲いかかってくる。
 俺は緩く手綱を引きつつ体を傾けて、『グラドターク』を攻撃から回避させた。
 フォローのために減速してきたユーミルと入れ替わるように、パーティの先頭に出る。

「ハインド、そのまま進め! ポジション交代だ!」
「お、おう! そっちもモンスターに引っかからないように気を付けろ!」

 このように左右の木々の間からモンスターが頻繁に飛び出してくる。
 一々止まっていると切りがないので、騎乗状態を維持したまま振り切って進む。
『ウインドコンドル』『ランドタイガー』共に移動速度が高く『グラドターク』以外の馬のスタミナが心配だ。

「どうしてハインド先輩ばかり狙われるんでしょうね? ――危ないっ!」
「料理のいい匂いがするからじゃないか? ――であっ!」

 騎士二人が飛来するコンドルに対処しながらそんなことを言う。
 その間にも、俺は二匹の新手の攻撃を回避している。

「それ関係あるのか!? 確かに出発直前に肉料理は作ったけども!」
「虎もコンドルも、どっちも肉食だけど……単なる偶然じゃないかな? ――あ、ハインド君。他のパーティが来るよ」

 セレーネさんが持ち前の対人回避能力により、コンドルを射ち落としながら道の端に寄った。
 しれっとついでのように命中させるもんな……それも揺れる馬上で。
 命中率的に苦戦気味のサイネリアちゃんが、驚いて口元に手を当てている。
 それはそれとして道幅が狭いこともあり、こうして他PTとすれ違うのも一苦労だ。
 全員エルフ耳を付けた四人パーティが、道を開けた俺たちに会釈しながら通り過ぎて行った。
 マナーが良い人たちばかりで助かる。
 今のところ、すれ違う際にぶつかったりといったことは起きていない。

「うーん、私の腕だと数発に一回しか……ふぅ。セレーネ先輩、お嫌でなければ今度エイミングのコツを教えてくださいませんか?」
「私のやり方が参考になるか分からないけど……うん、喜んで」
「ありがとうございます。ところでハインド先輩、そろそろ到着だと思うのですが。目的のダンジョンはどこでしょう?」
「え? あ、本当だ。マーカーの向きが反転してた。ありがとう、サイネリアちゃん」

 事前に掲示板を見て、ダンジョンがあるという場所の座標データをマップに入力しておいたのだ。
 これにより視界内にマーカーが出現、それを頼りにここまでやってきたという訳である。
 一人が分かっていれば良いだろうということで、マーカーが表示されているのは俺だけだ。
 完全に油断していたな……どうやらサイネリアちゃんは、マップ上で大体の位置を憶えていてくれたらしい。

「いえいえ――あ、リコとユーミル先輩が先に!」
「ふ、二人とも!? ハインド君とサイネリアちゃん止まってるよ! おーい!」
「――げっ!? ストップ! 騎士コンビストーーーップ!」

 ……それから数分後。
 サイネリアちゃんの言葉を切っかけに移動を止めた俺たちは、馬から降りて周囲を探った。
 情報が確かなら、この辺りにダンジョンがあるはずだ。
 道を外れ、モンスターに気を付けながら茂みの中へと侵入していく。

「見つかりませんねー」
「方向は合ってるはずなんだけど、木が多過ぎるんだよな。最初に見つけた人は凄いな」

 草木を掻き分けながら、見落としがないようにゆっくりと。
 このフィールドのモンスターのレベルは40後半とそれなりなので、万が一を考えて全員での探索だ。
 中々それらしいものを発見できずに、俺が再度マップの座標を確認しようとしたところ――

「おっ、あれではないか?」

 先頭のユーミルが急に足を止める。
 その指差した先には、暗い洞穴が口を開けて待ち構えていた。



 ここは土属性のダンジョン『テッラ・カウム』というらしい。
 馬は洞窟の入り口傍にまとめて繋いでおいた。
 このゲームでは持ち主以外は許可を出さない限り乗り物に乗れないので、盗難の心配はない。
 ダンジョンの周りには他のプレイヤーの馬も繋がれていて、ここがそれなりに知られた場所であるということを示していた。
 地下に向かって下っていくタイプのダンジョンを、五人揃って少しずつ攻略していく。
 現在の階層は8、まだまだ序盤といったところだ。

「何だか、前に家族で行った鍾乳洞を思い出します!」

 洞窟内にリコリスちゃんの声が反響する。
 天井から氷柱のように鍾乳石が伸びているのが分かった。
 足を着けている下側にも、石筍がニョキニョキと……。

「というかそのものズバリ鍾乳洞だね、これは。結晶に光が反射している場所とか、綺麗だなー」
「うむ、破壊不能じゃなかったら少し持って帰りたいくらいだな! それにしても、空気がひんやりしているな。少し肌寒いぞ」

 外気温と比べると、結構な温度差がある。
 ユーミルがスクリーンショットを起動して、光が反射した結晶を撮影しながら歩く。

「なんかこういう地形、ワクワクしますよね! すごいお宝とか眠っていそうな!」
「分かるよ、リコ。洞窟に財宝を隠すのは定番だもんね。私もちょっと楽しい」
「おお、サイちゃんが珍しく乗り気だ!」
「……」

 和気あいあいとした会話の中、セレーネさんが岩を見つめて複雑そうな顔をしている。
 何故だろうか、考えていることが大体分かるぞ。

「セレーネさん……これだけ岩場があって採掘ポイントが一切ないから、釈然としないんですね?」
「ど、どうして分かったの!? ま、まあ……ダンジョンの仕様だっていうのは知ってるんだけどね」
「ダンジョンは基本的に宝箱しかありませんからね。帰りにルストの採掘ポイントは回りますんで、それまで我慢してください」

 ダンジョンはモンスターのドロップ品と宝箱、この二つのアイテム入手ルートしか存在しない。
 ランダム生成のため宝箱は一部を除いて入場の度に再配置されるが、中身もランダムであり、手に入るものにはバラつきがある。
 今回は『セーフリベレーション』という罠を解除するスキルの巻物を持ち込んだので、安心して宝箱の中身を回収することができる。

「うん、ありがとう。それにしても土属性のダンジョンだけあって、ゴーレム系が多いね。今のところ、ゴーレム三種類に対してコウモリが一種類だけだから」
「確かにセッちゃんの言う通りだな。この分では、20階層のボスもゴーレムなのではないか?」
「あー、その可能性は……大いにあるな」

 このゲームのボスは、道中のモンスターの強化版というパターンが散見される。
 特にダンジョンはその傾向が強く、逆にそうじゃない場合は戦術を組み立てるのが大変だったりする訳だが。
 ユーミルの予想を裏付けるように、20階層で俺たちは……。

「これは……」
「やはりゴーレムか!?」

 空中に浮かぶ、ゴーレムのコアらしき宝石を見つけた。
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