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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

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ダンジョン遠征・ルスト編

「おー、段々と緑が増えてきましたよ!」
「景色を撮るのに夢中になって落ちないようにね、リコ」
「ハインド、ここはもうルストに入っているのか?」
「もうちょい。このオリエンスの山を抜けると、国境砦があるから」
「ここのフィールドボスは、確かモグラのモンスターだったよね? 出る時に、事前に倒す作戦を打ち合わせした……」
「そうです。ウェルテクス・タルパっていう、でっかいモグラですね」

 最初の遠征は最も遠くにある『ルスト王国』ということに決まった。
 メンバーはユーミル、セレーネさん、リコリスちゃん、サイネリアちゃんに俺の五人。
『ベリ連邦』の採掘メンバーから、フィリアちゃんとサイネリアちゃんを交代させた形だ。
 ルートは前にリィズと使用した『グラド帝国』経由の無難なもの。
 マールを経由して大きく回り込む南ルートも意見としては挙がったが、道中のモンスターのレベルと距離の関係で断念。
 主要都市を経由しない僻地ほど、モンスターのレベルが高い傾向にある。
 この辺りの探索は後々ということで。
 現在地は『オリエンスの山』で、進むほどに緑が濃くなる国境付近の山だ。
 馬上でスクリーンショットなどを取りながら、ゆっくりと移動中である。

「あ、ハインド先輩! 何か地面に穴ぼこが沢山!」
「おっと、出たか。三人で必殺スキルを撃てば終わるから、打ち合わせ通りによろしく」
「うむ! 行くぞ、セッちゃん! サイネリア!」

 大してやることのない俺とリコリスちゃんは、騎乗状態のままバフ・デバフ撒きだ。
 穴から顔を出したモグラ目がけてリコリスちゃんが『大喝』を発動、物理防御力を下げる。
 続いて俺がサイネリアちゃんに『アタックアップ』を。
 馬から降りてモグラの傍に三人が駆け寄り、まずはサイネリアちゃんが『アローレイン』を放つ。
 着弾前に穴に引っ込んだモグラだったが、多数の矢が柔らかい土をガリガリと抉り取っていく。

「おおー、さすが破壊可能オブジェクト! ハインドの言った通りだ!」
「ユーミル先輩、セレーネ先輩、後はお願いします!」
「うむ、追撃は任せろ! セッちゃんは止めを!」
「了解!」

 巣穴が半分ほど露出したところで、ユーミルが『捨て身』・『アサルトステップ』からの『バーストエッジ』を発動。
 まき上がる土と共に吹き飛んだ『ウェルテクス・タルパ』を、セレーネさんの『ブラストアロー』が貫き――光の粒子へ。
 戦闘時間にしておよそ二十秒、快速タイムでのボス撃破となった。

「「「おおー!!」」」

 近くで戦っていたレベル30台のパーティから、驚きの声と拍手が送られる。
 正直、今のは出来過ぎな結果だが……ユーミルが手を振って応え、弓術士二人は照れて縮こまった。
 そしてほとんど何もしていない俺とリコリスちゃんは、微妙な笑顔でそれを見守るのだった。



 国境砦を越えて『ウェストウッズの町』に到着すると、また前回とは違った様子に俺は驚いた。
 その原因は辺りを移動するプレイヤーたちの姿にある。

「前に来た時よりもエルフ率が上がってる……」
「ハインド君、確か未だにエルフ耳は――」
「売ってます売ってます。取引掲示板で量産品を売っていますし、以前と変わらず売れていますね」
「本当に多いな! ここにいる半数くらいのプレイヤーは、既にエルフ耳なのではないか?」
「わー……でも、ユーミル先輩のお仲間は少ないですね。ダークエルフ!」
「ふむ、確かにな」

 理由は普通のエルフ以上に似合う人を選ぶから、だと思われる。
 ちなみに耳仲間である獣耳と尻尾に関しては、ベリ連邦で装備しているプレイヤーが多かった。
 あのもこもこした毛の感じが、暖かそうなイメージがあっていいのだとか。
 俺たちは休憩も兼ねて、前に使ったカフェテラスを利用することに。
 注文品のパンケーキと飲み物が届くのを待ってから、行き先について確認を始めた。
 リコリスちゃんがパンケーキを口に含み、幸せそうな顔をしてから俺のほうを見る。

「ダンジョンってことは、おっきなフィールドなんですよね? フィールドボスが出ないっていう」
「そうそう。ウィリデ大森林ってところが最初の目的地だ。ルストのお約束として迷いやすい地形だから、マップをしっかり見ながら進む感じで」

 折角なので、この周辺のマップを表示しながらみんなに軽くもう一度説明をしておく。
 サイネリアちゃんが森ばかりのマップを眺めて、小さく溜め息をついた。

「方向音痴にはお勧めできない国ですね、ルストは」
「まあ、悪夢の森みたいな特殊な場所以外は、マップ機能で目的地までのマーカーを表示できるけどね。それでも迷いやすい人はストレスを感じるだろうから、ホームを構えるならマールかグラドがいいかもしれない。適度に変化する景色って考えると、その二国が有力だ」

 グラドは同じ景色がほとんど続かない複合的な地形だし、マールも海にさえ出なければ迷うことは少ないはず。
 他の三国は、どれもフィールドで迷う要素を多分に含んでいる。

「サーラは砂漠が、ベリは雪が厄介だからね。あれも方向感覚を狂わせる元だよ。ところで、ルストでは土のダンジョンを攻略するだけでいいんだよね?」
「風のダンジョンはサーラにもありますからね。ひとまずは、これを食べたらウィリデ大森林に向かうとしましょう」

 攻略の進捗が芳しくない時は数日間ルストに滞在するが、後のことを考えると短めに済ませたい。
 ユーミルはパンケーキを口いっぱいに頬張ると、ハーブティーと共に流し込んで立ち上がった。

「では、早速向かうとするか! 私たち三人にとっては初ダンジョンだからな、楽しみだ!」
「待て待て、みんなまだ食べてる途中だから。そう慌てないで座っ――リコリスちゃん、急がなくていい! 急がなくて大丈夫だって!」
「もごご、ふももも……!」

 ハムスターのごとく頬一杯にパンケーキ詰め込んだリコリスちゃんが、手を彷徨わせる。
 俺が皿ごとカップを持ち上げてやると、慌てて受け取って口をつけた。

「――ごきゅ! ふいー……何だあ、びっくりしました」
「むぅ、すまないリコリス。気持ちが先走った。ハインド、まだ行かないならおかわりしてもいいか?」
「あ、私も他に何か食べたいです!」
「ああ、いいんじゃないか? 今から焦っても攻略が早くなる訳じゃないし。落ち着いて、しっかり英気を養ってから出発しよう。二人はどうする?」

 セレーネさんとサイネリアちゃんにも訊ねると、二人もパンケーキを追加で注文した。
 女の子の甘い物に対する許容量は高いなぁ……喫茶店で働いている時も、いつも思うのだが。
 俺はハーブティーを追加で注文するに留め、みんなが食べ終わるのを待った。
 こんな感じで相変わらず出発直前はバタバタしたが……。
 ともかく、俺たちは町を出て大森林に向かうことにした。
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