挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

北の大地にて

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

215/297

文化祭準備・その3とイベント掲示板

 翌日の放課後、バイトのない俺は秀平と共に文化祭の準備に追われていた。

「わっち……輪投げだから輪飾りって、安直過ぎない? 誰だっけ、大量に飾ろうとか言い出したのは」
「文句を言うなよ。これ以外に大した作業はないんだし、いいじゃないか。他のクラスに比べたら楽なもんだろ」
「津金、あんたの輪飾りきったない。岸上君を見習ってちゃんとやんなさいよ」

 居残って作業をしているのは十名弱。
 隣には秀平、対面には学級委員長である佐藤さんとテニス部の斎藤さん。
 秀平に苦言を呈したのは佐藤さんで、真面目なのだが少し口が悪い。

「あ、はい……っていうか、わっちのはどうしてそんなに綺麗なの? 機械で生産してるみたいじゃん」
「逆にお前のは何でそんなに汚いの? 両面テープの位置がズレてるんじゃないか? もう一々口を出すのも面倒だから、二人で作業を分担しようぜ。俺が測って切って両面テープ貼るところまでやるから、秀平は丸めて接着してくれ。それなら間違いないだろう?」
「あ、いいの? じゃあ遠慮なく……って速い速い! 作るの追いつかないよ!」
「本当、手際良いよね。もう三人で、岸上君が切ったのを接着だけした方が早いんじゃないかな?」
「そうすっか。岸上君、私らのもよろしく」
「――のわっ!? 畜生、残り数枚だったのに……」

 減らした折り紙の束が一気に増量された。
 そのまま切り出し・テープ貼り付けが俺でそれ以外を三人という分業体制に。
 他のクラスメイトは主に看板作りを担当している。
 このままちゃきちゃきノルマを終わらせて、さっさと帰ることにしようか。



 ……そう思っていたのだが。
 佐藤さんから、みんなで持ち寄った景品の状態が良くないという相談を受けてしまった。
 この場に残っているのは輪飾りを作っていた四人だけだ。
 輪投げの景品は、不要になった各家庭のぬいぐるみがメインなのだが……。

「なんかさ、男共の持ってきたぬいぐるみが埃っぽいのよね……ゲームセンターの景品が主だと思うんだけど、どんな場所の置いといたやら」

 佐藤さんが袋を持ち上げると、中には薄汚れた塊がみっちり詰められていた。
 埃が舞ったところで、顔を背けて佐藤さんが袋を放り投げる。

「もしかして、部屋の隅に放っておいたのをそのまま持ってきたのか? 確かにこれは、とてもそのまま人に渡せるようなもんじゃないな……」
「岸上君、何とかならない?」

 何とかって、そりゃあ洗うしかない訳だが。
 クリーニングに出すとお金がかかるし、みんな嫌がるだろうな。
 俺は窓の外の天気を確認してから、顎に手を当てる。
 確か今週の天気は……ああ、行けそうか。

「洗おうか、明日」
「明日!?」
「ぬいぐるみってさ、陰干ししなきゃいけないし、中綿が乾くまで結構時間がかかるんだよ。中途半端にすると却ってカビの原因になるし、明日から二、三日は天気が良いから最適かと思って」
「うーん……分かった。洗うのに何が必要になる?」
「ブツブツ文句を言わずに一緒にやってくれそうな人を数人と、中性洗剤を」

 その言葉を受けて、斎藤さんがスマートフォンを取り出して高速で操作を始めた。
 急な動きに秀平がビクッとして離れたが、恐らく彼女はクラスメイトで手伝ってくれそうな人に掛け合ってくれているのだろう。
 中性洗剤の方は佐藤さんが用意してくれるとのこと。

「後はそうだな。折角だから仕上げに柔軟剤を使って、柔らかくいい香りにしてみたり――」
「そこまでする? あ、でも、確かに去年は外部の子供とか女の人も多かったし……した方がいっか」

 要はリサイクル品を景品にする訳だから、当然それくらいは必要だろう。
 綺麗な状態で渡すのは当たり前として、それだけじゃ寂しいな。

「他にはほつれを直したり、付加価値として服を作って着せてみたり。リボンで飾ってみるとか、そういうのはどうよ?」
「細かっ!? よくそんなにポンポン案が出るもんだ。リボンは簡単だし安いから、アリね」
「こういう分野は完全にわっち無双だなー。それにしても、佐藤さんは案がなさ過ぎない? 委員長なのになー、おかしいなー」
「黙れ津金」
「あぃ、すみません……」

 やがて斎藤さんが指でOKマークを作り、洗濯班に必要な人員が整った。
 さすがの人望と人脈……これで明日の休み時間は、洗濯タイムに決定だな。
 さて、用は済んだし今度こそ帰るか。



 家事を終わらせ、夕食を摂り、明日の学校の準備を終えて風呂へ。
 今夜は珍しく理世が先に風呂に入ったので、保温を停止して自室へ戻る。
 そしてイベントの情報収集のために、パソコンを立ち上げて掲示板を開いた。

【鹿】防衛イベントについて語るスレ3【熊】

TBで開催中の防衛イベントについて語るスレです
イベント攻略情報・雑談など、話題は自由です
次スレは>>950が立てること

92:名無しの武闘家 ID:EtnB5ir
鹿ぁ!

93:名無しの神官 ID:kHSXNMi
鹿ぁぁぁぁぁ!

94:名無しの重戦士 ID:mJZwBQk
※このスレは鹿の突進で大破しました

95:名無しの魔導士 ID:zpsjdzT
やめてw

96:名無しの騎士 ID:tYCPTkC
あっ、あっ、端攻めやめて
壁が、壁がぁぁぁ!

97:名無しの弓術士 ID:dN7BrPh
ああああああああ!

98:名無しの軽戦士 ID:Z9JCyzb
また今日も鹿が来ないように祈るゲームが始まる

99:名無しの武闘家 ID:EtnB5ir
ア ロ ー レ イ ン W T

100:名無しの弓術士 ID:dN7BrPh
ウ ィ ン ド ス ト ー ム W T

101:名無しの魔導士 ID:zpsjdzT
だからやめろって! 傷口を抉るんじゃない!
スキル欄が再使用待ちで真っ赤だよ!

102:名無しの武闘家 ID:EtnB5ir
仕方ないじゃないか
鹿と範囲攻撃のやり繰りが本当に辛いんだ……辛いんだ……

103:名無しの重戦士 ID:mJZwBQk
鹿がどのくらい出るかで、難易度に差があり過ぎるよ

104:名無しの騎士 ID:wygmYGm
今イベ、ソロがガチでキツイんだけど
一体どうすれば……

105:名無しの重戦士 ID:37UwYrj
ソロは厳しいだろ、仕様的に

106:名無しの神官 ID:7hNa6iX
>>104
ランダムパーティでいいじゃん
一人で門を通る時に選択できるやつ

107:名無しの弓術士 ID:BnLdDnA
ソロどころか、三人パーティとかでも厳しいだろう
フルパーティじゃないと

108:名無しの騎士 ID:wygmYGm
>>106
パーティって無言でも怒られない? 大丈夫?

109:名無しの神官 ID:7hNa6iX
>>108
別に怒られないけど、普通の野良パーティと同じだよ
最初と最後の挨拶くらいは言った方がいいぞ
できれば戦闘中も最低限の会話があると嬉しい。回復ほしいとか、敵が抜けたとか

110:名無しの騎士 ID:wygmYGm
>>109
ありがとう
ちょっとずつ喋れるように頑張る

111:名無しの軽戦士 ID:s7ESymZ
さすがにこのイベントを完全ソロでやるやつはいないでしょう
……いないよね?

112:名無しの武闘家 ID:P4Cc47W
いないと思う、ムリゲ

「――兄さん、何を見ているんですか?」
「うわあああああ!?」

 足元、机の下からタレ目の少女がぬっと顔を出す。
 俺は思わず立ち上がって後退り、その拍子にキャスターのついた椅子がガラガラと移動していく。
 心臓が痛いくらいに早鐘を打った。

「理世! どこに潜んでるんだ、お前は!」
「ご覧の通り、机の下ですよ?」
「ご覧の通り、じゃねえよ! っていうか、どうして気付かないんだよ俺は……はぁ。まぁ、いいや。見ているのはTBのイベント掲示板だよ。俺たちが検証やらで得た情報と、他のプレイヤーが持ってる情報の差を知りたくってな」
「ですが、どうせランカーたちはこういうところに情報を流さないでしょう? ……よいしょ」

 椅子を回収して座り直した俺の足の間に、理世がすっぽりと収まる。
 もうどかす気力も湧かないので、されるがままだ。

「だろうな。それでも大多数のプレイヤーの動向は掴めるし、知らない情報があるかもしれないから。丸っ切り無駄ってこともないはず」
「そうですか。では、このまま一緒に見ましょう」
「はいはい……」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ