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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

大型アップデートと新コンテスト

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マール共和国からの出立と犬猫談義

 レイドイベント終了から四日。
 この日、俺達はマール共和国からサーラ王国に向けて出立する。
 ホームに滞在させて貰った礼をしっかりとし、ミツヨシさんら幹部に最後のご挨拶だ。

「うん、お世話様。大きなイベントがあったら、また会おう」
「熱い共闘だったな! 敵になるか味方になるか分からんが、再会を楽しみにしているぜ!」

 前者がミツヨシさん、後者がユキモリさんの言葉である。
 ホームを一通り回って他のメンバーにも軽い挨拶を済ませると、凜のギルドホームに別れを告げる。

「あ、ちょっと待ってみんな! 帰る前にこれをあげる!」

 出る直前だった俺達を、ホームの出入口で走って呼び止めたのはキツネさんだ。
 あげる、と言いつつ俺の頭に何かを乗せた。
 すると、トビが俺の頭と顔を見てプッと吹き出す。
 何が頭に乗ってるんだ? と思いつつ乗せられた物を手に取ると……。
 正体は茶色っぽいフサフサとした毛に覆われた、獣的な耳の付いたヘアバンド。

「……つ、付け耳? ですか?」
「正解! 狐耳だよー。ほら、みんなの分もあるからねー。仲間増やし仲間増やし」

 どういうつもりなのか、キツネさんは全員の頭に狐耳をポンポンと乗せていく。
 その理解の難しい行動に、俺を含めたメンバーの皆は為されるがままだ。

「似合う似合う! 尻尾もあるんだけど、どうかな? どうかなって言うか、付けよう? ね?」
「いやいや、待ってくださいって。もうちょっと意図を分かりやすくですね……」
「TBプレイヤー獣人化計画!」
「……は?」

 余計に分からなくなった。
 誰か、ユキモリさんを連れてきてくれないかな。

「本体君、前に勇者ちゃんのエルフ耳を作ったって言ってたじゃない?」
「まあ、キツネさんがどこで買ったのかしつこく訊いてきましたからね。確かに俺が作ったと、そう言いましたが」
「ファンタジー! 魔法! ヒューマン! エルフ! 魔族! ドワーフ……は居ないけど、何か足りないと思わない? 勇者ちゃん、忍者君」
「そこで獣人なのだな、姐さん! 無いなら作れ理論だな!」
「狐ならば、九尾の尻尾とかもあるとよりファンタスティックでござるよ?」
「つまりそういうことよ! 本体君!」

 どういうことだよ。
 強引に解きほぐすなら、俺のエルフ耳の情報を聞いて自分も獣人なりきりセットを作りたくなった……で、合っているだろうか?
 俺がそれを確認すると、キツネさんは無言で親指を立てた。
 面の下はきっと得意げな表情になっていることだろう。

「匠のメンバーにも手伝ってもらって大々的に売り出すから、帰りの道中で装備していてくれると嬉しいんだけど。それと、なるべく人の多い場所を通ってね? 詳細を訊かれたら和風ギルドが売ってるって宣伝しておいて!」
「……要は、私達を広告塔として利用する気なのですか?」
「いやん。魔女っ娘ちゃん、睨んじゃやーよ。君達みーんな可愛くて目立つから、お姉さんに協力して欲しいなーって。駄目?」
「なら、野郎二人は外しても構わんですかね? 特に宣伝にはならんでしょう」
「それはそれで笑えるから……アリ?」

 無いと思います。
 しかし彼女には色々と世話になった手前、リィズもそれ以上強くは言わない。

「あ、もしかして狐以外のやつの方が良い? でも、まだワンとニャンしかないんだよねー」
「犬猫ですか。確かに基本ではありますが」
「本体君はみんなに似合うのはどっちだと思う? 犬と猫だと」
「何で俺に訊くんですか? どうしても付けんなきゃならんのなら、せめてそれぞれの希望を聞いたら良いんじゃ」
「まぁまぁそう言わずに。んー……じゃ、まず魔女っ娘ちゃんは?」
「…………猫で」
「はーい、チェンジチェンジ! 魔女っ娘ちゃんは今から猫獣人だー!」

 ここは素直に言うことを聞いて、さっさと事態を進行させてしまうことにしよう。
 逆らえば逆らうだけ無駄な労力になる気がするし。
 リィズは性格的に、猫の中でもロシアンブルーとかそんな感じ。
 キツネさんによってリィズに猫耳と尻尾が装着される。

「へえ、ハインドさんは私を猫っぽいと……どうでしょう? 似合いますか?」
「ああ、似合ってる。可愛いぞ」

 俺の様な奴が付けるとギャグだが、リィズの様な女の子が付けるとあざとくも可愛い状態に。
 褒められたリィズは、はにかみながら両手で持った三角帽子をもぞもぞと動かした。
 更に耳と尻尾が呼応するようにピクピクと……ん? あれ?
 他のメンバーも異変に気が付いたのか、今見た物が本当かどうか互いの顔を見て確認し合っている。

「動いた!? 耳が動いたぞ! 尻尾も!」
「うむ、間違いなく動いたでござる!」
「今、動きましたよね!? サイちゃん、シーちゃん、見た!?」
「う、うん……見た」
「動いたねぇ。ふわぁぁぁ……あふ」
「キツネさん……今、皆が言うように尻尾と耳が動いたように見えたんですけれど」
「ハッハッハッハ! 良くぞ気付いてくれました!」

 キツネさんは自分にも狐耳と尻尾を装備すると耳をピコピコと、尻尾をモサモサと両手を上げて静止したまま振って、俺達が見たものが幻覚ではないことを証明した。

「なんと、この装備は勇者ちゃんのオーラと同じ! 脳波を感知して自動で動くトンデモ機能搭載よ!」
「マジですか!? しかし、どうやってそんなものを作って――」
「作ってないよ? より正確に言うと、作ったのは普通の付け耳と尻尾だよ?」
「……はい?」

 何だって? だったら、どうして付け耳にこんな不思議機能が付いているというのか。

「本体君に色々と話を聞いた後、レイドイベントの序盤からだっけかな? 色んな人に頼んで、運営にメールボムしたの! 付け耳、付け尻尾系統のアクセサリーに脳波感知して動く機能を下さいって!」
「ええ!? それ、まさか通ったのでござるか!?」
「中の人も割とノリノリで付けてくれたよ? いやー、仕事が早くて嬉しくなるね。今日のお知らせページに詳細が載っていると思う」
「メンテ日でも無いのに、今夜のログイン前に小さいファイルが更新されていたのはそのせいですか……恐ろしい行動力してますね、キツネさん」
「それほどでもあるよー。ブログも掲示板もSNSも、考えつく限りの手段を全て駆使してみんなにメールするよう呼びかけたからね! どやぁ」

 一体どれだけの人を巻き込んだのだろうか?
 しかし、そう言うことなら俺達を広告に使う意味も多少は分かる。

「話は分かりました。確かに付け耳が誰にでも作れるものなら、スタートダッシュは肝心ですね」
「でしょ? 色んな人が色んな耳を作って良いと思うけど、折角発起人なんだし。それに、実装を見越して前以て準備をしておいたんだから。今の内に一儲けしても罰は当たらないっしょ?」
「――おっ、ハインド! エルフ耳も動くようになっているぞ!? 今、セッちゃんに言われるまで動いていることに全く気が付かなかった!」

 こちらに良く見えるように銀の髪を除けながら、ユーミルがエルフ耳を動かす。
 エルフ耳もかぁ……獣耳とは違っても付け耳には違いないんだし、こいつも対象内だったか。
 ――ん? となると、エルフ耳も今がまさに売り時か?

「うんうん、きかなきかな。ってなわけで、サーラまでの帰り道でじゃんじゃん宣伝してくれ給えー。で、本体君。さっきの続き続き」
「続き?」
「ほら、犬猫どっちにするかってやつ」
「ああ……」

 もう色々と面倒になったので、俺はキツネさんの質問にサクサク答えていくことにした。
 視界の端では、手持ち無沙汰になったリィズが尻尾をうねうねと動かしながらこちらを見ている。

「よし、ちび勇者ちゃんから再開しよっか。どっち?」
「ちび!? 気にしているのに、酷いです! あ、でもちびでもユーミル先輩と同じ勇者はうれし――」
「リコリスちゃんですか……犬」
「ほい! 次、ポニ子ちゃんは?」
「ポニ……私がポニーテールだからですか? 別にどう呼んでくださっても構わないですけれど……」
「サイネリアちゃんは……ステイで。狐のままですね」
「ねむ子ちゃん」
「猫。と言うか、寝子ねこ
「眼鏡ちゃん」
「犬ですねー。特に垂れ耳だとぴったり」
「勇者ちゃん!」
「いのし――犬で」
「今、猪と言い掛けなかったか? ハインド? おーい、無視かー?」

 ユーミルのように銀髪褐色だと、イメージ的には犬より狼って感じがするが。
 そんなこんなで残った男二人はトビが犬、前に自分で自分をワンコだと評していたしな。
 最後にキツネさんの裁定によって、俺は狐のままに。

「はい、終了ー。うん、みんな可愛い! お姉さん大満足!」

 そしてようやくキツネさんから終了宣言が。
 これからサーラに向けての大移動なのに、出発前からどっと疲れた……。
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