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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

アイテムコンテストとギルドの発展

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結果発表当日・その3 アイテム・投擲

『では、次じゃ。アイテム・投擲部門に参るぞ』
「投擲……確かトビ先輩とハインド先輩が出品していらっしゃいましたよね?」
「そうでござるよ。設計が拙者で、作製はほぼハインド殿でござるが」

 サイネリアちゃんの言葉にトビが答える。
 数日前、二人で作業中に偶然ヒナ鳥三人が俺達の作業を見学に来たのだ。
 その会話を聞いたセレーネさんが、あることに気付いて申し訳なさそうにこちらを見る。

「もしかして、街の鍛冶場で? ごめんね、私がホームの鍛冶場をずっと使っていたから……」
「気にしないで下さい。街の鍛冶場で充分な程度の作業量だったので」
「その分、セレーネ殿の結果には期待しているでござるよぉ。フフフ」
「まぁ、そういうことです。どんな物を出したのかも聞いてないので、楽しみにしていますよ」

 冗談めかしつつも、半分以上は紛れもなく俺達の本心である。
 セレーネさんもそれが分かっているのか、控えめに微笑み返す。

「うわぁ、プレッシャーだなぁ……でも、任せておいて。自信を持てる位の手応えはあったから」
「おお、セッちゃんいつになく強気だな!」
「順番的にも装備は最後の方でしょうけど……。ただ、どんな結果であれセッちゃんに対する私達の信頼度は変わりませんから安心して――何です? みんなでこっちを見て」

 際限なく上がり続けるハードルとセレーネさんの心情を考慮してか、リィズが気遣いの言葉を発した。
 こういうところがあるから、普段の言動が皮肉っぽくても付き合いの長い相手にリィズが決定的に嫌われることは少ない。
 付き合いの浅いヒナ鳥達三人は、意外そうな顔でそんな我が妹を見ているわけだが。

「ありがとう、リィズちゃん」
「別に、私は何も……」

 セレーネさんの率直なお礼の言葉に、リィズははにかんでうつむいた。
 談話室がほっこりした空気に包まれた直後、女王の言葉が割り込んでくる。

『もう流れは分かっておろうな? まずは100位までの品物、ドーン! じゃ』
「急に紹介の仕方が適当になったな……」
「型通りにするのが嫌いなのでござろう……」
「我儘な女王だな!」
「その辺りは、最初に会った時の印象から何も変わっていませんけどね……」

 隣に立つ、アルボルと呼ばれた魔導士の老人も女王の態度にやれやれと顔を横に振っている。
 先程と同じように女王の言葉に呼応して、アイテムの山が登場した。

 このカテゴリに出品したのは俺とトビが共作した『特殊苦無』のセットである。
 内容は毒苦無・痺れ苦無・睡眠苦無の三種であり、オークションに出す際は各50本ずつのセットで販売される。
 このような消費型アイテムは出品時に個数を指定することが可能だ。
 本数によって審査の評価には影響しないとのことで、オークションに出す予定が無いプレイヤーは一本ないし一個で登録しているのだそうな。

「お、あったでござるよ! 拙者達の苦無セット!」
「ああ。ケースが特徴的でデカいから見つけやすいわな」
「期待が高まるね。どうなるかな……」

 苦無は薬品の付いた刃の部分に触らないように、革のカバーに入れた上で和風の木製ケースに詰め込んだ。
 それが三つあるのだから、アイテムの山にあっても非常に見つけやすかった。
 これでまずは100位以内は確定。問題は10位以内に入れるかどうかだ。

『10位のアイテムは――』



 最初のカテゴリよりもスムーズにアイテムが発表されていき、残りは1位のみとなった。
 そして発表された1位のアイテムは、女王が複製品をその場で使用してみせるという演出付きである。

「……画面が真っ白で何も見えないな……」
「でも、闘技大会決勝でハインド殿にシャイニングされた兄貴はこんな感じだったのでは?」
「案外先輩の戦いを見て着想を得たのかもしれませんよ? 結構インパクトありましたし」
「そんなもんかね? シャイニングと違って、モンスター全般にまで効くのなら最高だけどね」

 1位は閃光玉という投擲武器で、女王がその場で使ったところ画面内は驚きの白さへと変わった。
 残念ながら苦無セットは選外、思ったよりも10位の壁は高いようだ。

『アッハハハハハ! 愉快愉快! 以上で、アイテム・投擲部門の発表は終いじゃ。アルボル・ミレス両名の視力が回復次第、次の発表に移る。来訪者諸君は暫し待つが良いぞ!』
『陛下、さすがにお戯れが過ぎますぞ! む? 気配が……ミレス! ミレス! 追うのじゃ!』
『も、申し訳ございませんアルボル殿! 私めも不覚を――陛下! 女王陛下ーっ! どちらへおいでですかぁ! くそっ、何も見えんぞ!』

 まともに光を見たらしい腹心二人が右往左往しているのを残し、一度映像が途切れた。
 図らずも、対人兵器として素晴らしい性能であることを実証した形だ。
 ただ、これが1位になった理由は恐らく女王が発した「派手だから」という一言に尽きると思う。
 そしてメニュー画面に100位までの結果が載った通知が送られてきた。

「苦無……苦無……あった。52位だな、残念。我が国には無い美しき形状の武器なれど、些か地味ぞ――だってよ。褒められてはいるけど、女王の趣味に合わないって感じか」
「焙烙玉ならもっと上を狙えたでござろうか?」
「1位の結果を見る限り、苦無よりは可能性あったかな。まあ、後はオークションで高く売れるのを期待しようぜ」
「むー、残念ですねぇ……ハインド先輩とトビ先輩の作った苦無、格好いいのに」

 トビと結果についてそんな話をし、みんなからも「惜しかったね」などという慰めの言葉をもらう。
 リコリスちゃんなどは一緒になって本気で悔しがってくれており、おかげで俺達はそれほど落ち込まなくて済んでいる。素直で良い子だ、本当に。
 そしてシエスタちゃんも珍しく、俺達に対する慰めの言葉を口にする。

「100位以内に連続でねじ込んでいるだけでも、充分立派だと思うんですけどねー」
「一応俺とユーミル、トビ、セレーネさんは初日組だしね。リィズだって三日目からだし、他のプレイヤーより有利な面もあるさ」
「でも渡り鳥さんって、ハインド先輩が居なかった場合――」
「サイネリア殿、それ以上いけない」
「あ、はい。そうですよね……」

 サイネリアちゃんはトビに言い掛けた言葉を飲み込むと、椅子を立って俺の傍に来て背中をポンポンと叩いた。
 あ、うん、ありがとう……確かに今回はちょっとハードだった。
 でも、君も二人のフォローに奔走しているから似たようなものだよね?
 そんな俺の視線に、サイネリアちゃんは一つ頷くとリコリスちゃんとシエスタちゃんを順番に見た。
 ――そうですけど、苦労よりも二人と一緒に居る楽しさが勝っているので平気です。
 それは俺も同じだよ――と、そんなやり取りを口に出さずに行った俺達は……。
 がっしりと握手を交わすと、互いの肩を叩き合った。
 魔王ちゃんの側近、サマエルに抱いたものに近い共感の念が湧いてくる。

「さ、サイちゃん何? 今の」
「リコがユーミル先輩に向けている感情と似たようなものだよ」
「……なるほど!」

 リコリスちゃんは手を叩いて納得したようだったが、それで通じるのも凄いと思う。
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