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第六話 霧の中でその六
 二人はプールの底を泳ぎつつ進む。その後ろではまだ選手達が競技を続けている。それを背に今同じく水中にいる雷電と対するのだった。
「雷電、姑息な真似をしやがるな」
「ほう、やっぱり来たか」
 兜丸と雷電は水中で睨み合いながら話をする。
「面白い。ならばここで」
「待て、雷電」
 しかしここで彼の横に闇鬼が来た。それで雷電を止める。
「ここで戦うのは止めろ」
「何っ!?」
「霧風、兜丸」
 彼は風魔の面々に顔を向けて声をかける。
「場所を変える。いいか」
「そうだな。俺としてもそっちの方が都合がいい」
「私もだ」 
 兜丸と霧風も闇鬼のその申し出を受けて頷いてみせた。
「では行くぞ」
「うむ」
 二人はそのままプールの中から姿を消した。その時プールサイドではアナウンスがかかっていた。
「競技場でアクシデントが起こりました。暫くお待ち下さい」
「何とかこの場は乗り切れたが」
「はい、けれど」
 蘭子と姫子は放送を聞きながら強張った顔をしていた。二人の前には選手達がいる。しかしその一人がしゃがみ込んでしまっているのだ。
「大丈夫?いける?」
「はい、何とか」
 彼女は心配そうに自分を気遣うコーチに対して顔を上げて答えていた。
「大丈夫です、ですから」
「いや、止めた方がいい」
 彼女の両肩に手をやってしゃがみ込んで様子を見ている劉鵬が答える。
「この娘はかなり水を飲んでしまっている。今は休んだ方がいい」
「そうですか。けれどそれだと」
 コーチは劉鵬のその言葉を聞いて顔を曇らせる。
「選手の数が足りなくなって棄権するしか」
「だったらこじ・・・・・・むっ」
 蘭子はここで何か言おうとしたがすぐにその言葉を一旦中断する。そして言葉を言い換えるのだった。
「小次江」
 笑顔でいきなり名前を呼んだ。
「小次江!?誰だよそれ」
「ああ、そうですね」
 小次郎は話がわからず辺りを見回す。しかし姫子はわかって顔を明るくさせる。
「小次江さんがおられました」
「!?見たところ誰もいねえけれどよ」
「ああ、そうだな」
 しかしここで今度は劉鵬が気付いて微笑む。それで小次郎を見上げて呼ぶ。
「小次江さん」
「!?ひょっとして」
「そうだな」
 驚いたことにあの竜魔まで微笑んでいた。麗羅も小龍も笑って小次郎を見ている。
「そういうことだな」
「そうだな」
「頑張ってね、小次江ちゃん」
「ちぇっ、またかよ」
 その竜魔と小龍、麗羅に言われてやっとわかる。すぐにまた女装して打ち合わせに参加していた。今度はサッカーの時よりもさらに不気味なものがある。
「くそっ、こうなりゃヤケだ」
「そういう割には乗ってるな」
「うるせえ。皆、行くわよ!」
 劉鵬に言葉を返しながらもシンクロに参加する。何だかんだで出番の多い小次郎だった。
 岩山の荒野。辺りはまばらな草と岩、それに荒れた土が見える。そこに霧風と兜丸は立っている。向かい側には闇鬼と雷電が立っている。完全に対峙している。
「霧風に兜丸か。話は聞いている」
「そうか」
 霧風が雷電に対して答えた。雷電はもう手袋をはめ闘志を剥き出しにして二人を見据えている。
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