第二話 夜叉八将軍その三
「じゃあ俺は風を操らせてもらうぜ」
「風をか」
「ああ。だから言ってるだろ。俺は風魔の忍だって」
ここでそれをまた言うのだった。
「だから風を操ることはお手のものなんだよ」
「風魔の忍は皆そうなのか?」
「俺が特に得意なんだよ」
ここでの言葉は誇らしげであった。
「風を使うのなら何でもな」
「わかった。では頼む」
「ああ。それじゃあな」
跳び上がるとそのままグラウンドの旗のポールの上に立った。そこからグラウンド全体を見回すのだった。
「さてと」
白凰側を見る。そこには姫子もいる。
「相変わらず頑張ってるよな」
まずはそれに感心する。ところがであった。
「待てよ」
姫子の姿を見てふと気付いたのだ。
「今日の姫様はスカート」
セーラー服だ。だからこれは当然だった。
「それなら!」
スカートをめくろうと風を送った。しかし丁度その横に蘭子が来たのだった。
「きゃあっ!」
「げっ、蘭子!」
蘭子は咄嗟に前と後ろからスカートを押さえて防ぐ。小次郎もそんな蘭子を見て憮然とする。
「誰もおめえのなんか見たくないんだよ!」
「そこか!」
蘭子はすぐに察しをつけて小次郎のいるポールの上に小刀を放った。小次郎はその小刀を顔の前で受け止めてまずは冷や汗を流したのだった。
「・・・・・・あいつ、手裏剣の才能あるな」
そんなことをしているうちにプレイボールとなった。白凰は後攻であり一回裏からだった。まずはホームランで一点入りさらに攻撃を続ける。
次のバッターもヒットで出る。しかしここでボールは一塁に渡りその時だった。
「ぐっ!」
セーフの筈のバッターランナーが急にうずくまる。誠士館のファーストがボールを受け取るどさくさに紛れて肘をバッターランナーの腹に入れたのである。
「んっ!?」
小次郎が最初にそれに気付いた。だがまだ動かなかった。
「あいつひょっとして」
確証がなかったからだ。最初だったからだ。だから今は動かなかった。
しかしであった。またヒットが来てその一塁ランナーが二塁に進んだ時。ショートがタッチをする時にそのグローブで彼の顔を思い切り殴った。これで彼は倒れ担架で運ばれるのだった。
「やっぱり夜叉かよ」
その時のショートの手に般若の刺青を見た。それで確信したのだ。
「真面目に試合やれ。そう来るならよ」
反撃に転じた。今度は牽制球で代走に入ったランナーを潰そうとしたがここでその牽制球を風で動かした。それでさっきのショートの顔に当てて今度は彼を担架に送る。
今度はファーストに牽制球を仕掛けてきたがそこにも風をやる。それで今度はファーストを担架で運ばさせる。小次郎はそれを見てまずは満足した。
「よし、これで少しは大人しくなるだろ」
そのことにまずは満足した。それでふと一呼吸置いて周りを見ると。病院の一室から試合を見る一人の少女に気付いたのだった。
「おっ」
彼女に気付いて跳ぶ。それで彼女のところにまで来たのだった。
「えっ・・・・・・」
「よお」
まずは窓を開けて入って少女に挨拶をした。
「試合見ていたんだ」
「う、うん」
少女は戸惑いながらも小次郎のその言葉に頷いて応えた。
「風が・・・・・・」
「風は暫く吹かないぜ」
窓から入って来た風に戸惑う少女に対して述べた。
「だから安心していいぜ」
「風が吹くかどうかわかるの?」
「ああ」
小次郎はにこやかに笑って少女に答える。
「俺風がわかるんだよ」
「風が?」
「ああ、こうやるだよ」
右手の人差し指を出して少女に説明する。
「これで冷たさを感じた方が風が吹いている方向なのさ」
「そうなの」
「そうさ。それでな」
小次郎は少女にさらに問う。
「ここ病院だよな」
「そうだよ」
少女は小次郎に答えた。
「ちょっと入院しているの」
「そうなのか」
「皆すぐに治るっていうけれどね」
少女はそう小次郎に話しながら窓の方に顔を向けた。そうして手すりのところに両手をついてさらに小次郎に話す。彼も少女に続いて窓の手すりに手をつけさせた。
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