縁切 〜エンキリ〜 とある一日PDFで表示縦書き表示RDF


今のところ連載などは予定していませんが、面白かった、連載して欲しいという声が聞けたら連載を開始するかもしれません。
縁切 〜エンキリ〜 とある一日
作:雨月


プロローグ
 俺の先祖の縁儀理切漸衛門えんぎりせつざえもんはちょっと変わった人物だったそうだ。
どこが変わっていたかって?まぁ、よくは知らんが全般的におかしい人物だったそうだ。
例を挙げるなら五円玉には必ず赤い糸を巻いていたり………まぁ、する人もいるかもしれないが、長さが尋常じゃない。十センチ以上の長さだったりする。それに、ご飯を食べるときにご飯の上五センチほどまでチョップをする人物だったらしい。らしいというのは母さん(嘘をつきやすい)に聞いた話なのでよくはわからない。
―――
〜とある一日〜
 俺の目の前には一人の人物がいる。そして、俺は木刀を構えそれを俺が振り落とせる最高速度で木刀を水平線を断ち切るように縦一閃する。勿論、相手を叩くことなくすんでのところで止める。別に寸止め世界一に挑戦しようとはしていない。
「ま、こんなところでしょうかね?」
「ありがとうございます……あの、実感わかないんですけど」
「まぁ、そうでしょう………ためしに携帯電話で連絡でもしてみれば実感がわいてくると思いますよ。また、縁を復活させたいときはご自分で努力なさってください」
 俺は頭を下げて報酬を払ってくれた相手に手を振りながら体を軽く鳴らしたのだった。さて、そろそろ夕飯を作るとしようか………
 さて、ここで俺のやったことを説明したいと思う。
俺の一族は代々、人と人との縁を断ち切るような職業をやってきた。
直接縁を断ち切るものから徐々にその相手との縁が疎遠になってしまうもの………こう言うと同じように思われるがそうじゃない。
まず、前者は縁を断ち切ったそのときから物凄い効力を発揮する。
縁を断ち切ったものの実力にも関わってくるが、電話をかけても相手が出なかったり、会おうとしても何らかの事情で会えなくなってしまったりする。
もう一度縁を結ぶのは少々難しい。そして、後者が徐々に相手との縁が切れていくパターンだが、それは日に日に相手と関わる回数が減っていくものだ。たとえば、親友の縁を断ち切るとしよう。毎日話していたが、話す日に日に回数が減っていき………いずれ会うこともなくなってしまうという自然的なパターンである。
 まぁ、簡単に説明するならこんなところだろう。ちなみに、俺は前者のほうをよくやっている。すぱーっと物事は解決したい性質なのだ。断ち切るものは縁の糸と呼ばれるもので、これを切るのだが……俺の場合は集中しないと見れないし、間違って違うものとの糸を断ち切ったことだってある。この前も失敗したっけな〜
 そんなことを考えていると道場の扉が元気よく開いた。
「………不良高校生 縁儀理絶耶えんぎりたつや君、今日も学校をサボったのかしら?」
「………」
 俺の視界にちょっと面倒な奴が現れた。
相手の名前は手塚真奈美てづかまなみ
今学校では人気があるといわれている俺の幼馴染だ。
学校ではめちゃくちゃ優しいと評判の噂の彼女だが、その正体は粗雑にして乱暴。幼少の頃から俺を目の敵どころか地球の敵と認識している。そして、こんな相手が言ったことに対して言い返しても無駄である。どうせ、水の掛け合いになるだけだ………俺はそんなにお子様ではない。そして、断じて不良高校生ではなく、これはお仕事なのだ。きちんと学校には
「お休みします」と伝えておいたし、この
「エンキリ」という現象も先生は理解してくれている。(もっとも、はじめは理解してくれていなかったので先生の恋人との縁を切ってあげると素直に信じてくれた)
「あらら?図星で無視しているの?」
「………」
 俺は無視して親のいない家に戻ったのだった。
―――
「さて、今晩はすき焼きだな」
 俺は肉を焼きながら改めて部屋の中を見る。雑誌類が散乱しており、カップラーメンの容器から謎のきのこが発生している。
「ちょっと散らかってるな………いや、おかしいな……どうやったら二時間そこらでここまでちらかせるんだ?」
 俺はそのゴミを恐る恐る掴んでゴミ箱に入れていき、ごみを片付け終えたところで肉が焦げ付いていることにようやく気がついた…………
「はぁ………姉さん!ご飯!」
 そして、このごみ屋敷を形成した張本人を呼び出す。
「ぶぁぁぁあい」
 のっそりと出てきたのは俺の姉さんだ。長い髪の毛はぼさぼさで目つきはうつろ………よだれのあとが残っているし、ちょっと大き目のランニングシャツしか着ていない。
「………まったく、部屋を散らかさないでくれよ!!」
「ああ、すまん………けどな、絶耶……部屋は散らかすためにあるんだろ?」
「違うだろ!部屋は綺麗にするためにあるんだ!だから掃除機とかあるんだろ?掃除機は部屋を綺麗にしてくれる救世主だ!」
「違うな、それはお前の身勝手な妄想だ。連中、電気代がかかるぞ?これ以上、このぼろ家の家計を圧迫するなんて私にとっては悪魔だ………」
 どうやら、この姉との話は無意味のようだ。いや、それ以前にだんだんと話の論点がずれてきているような気がする……俺は姉にご飯をついでやり、肉を入れた容器も目の前においてやった。合計、三人分の皿に俺は今日も肉を綺麗に分けることが出来た。
 それに手をつけはじめ、おいしいのかおいしくないのか知らないが……ちょっと焦げすぎた肉をほおばりながら姉は口を開く。
「うん、今日の焼肉は上々だぞ?もうそろそろ上場できるんじゃないか?」
「………なんのだよ?」
 よく意味のわからん親父ギャグと唾をとばしてくる姉につっこんでおいて俺もご飯をついで食べ始める。
「絶耶、私の分は?」
 先ほどから部屋の中にいたのだが、俺がその存在を全否定していた相手が俺に話しかけてくる。
「…………」
 俺はあくまで無視。
「おい、絶耶、お前の彼女が部屋にいるぞ?飯ぐらい出してやれ」
「お姉さん、絶耶の彼女じゃありませんよ」
「お前のせいで俺の彼女はいなくなったわい!!」
 あれは本当に悲しかったな………まさか
「わ、私じゃ、い、いつもあなたの近くにいる手塚さんには対抗できない………ご、ごめんね!!」といわれるとは………すべてはこの女のせいである。くそ、今こそ我が一族の能力をもってしてこの女との縁を断ち切るべきではなかろうか?
 そんなことを考えたのを姉は知ったのだろうか?
「………切るのは自由だが、生半可な気持ちじゃ物凄いことになるぞ?」
 そう、そうなのである。切るものの心に無意識でも
「切りたくない!」という感情が残っていれば中途半端になってしまう。その結果、前よりも縁の糸は太くなっていき………最終的に死ぬまで一緒となってしまう可能性だってある。いわば、運命共同体となってしまうのだ。言い換えるなら切っても切れない腐れ縁といったところか?
「姉さん、別に俺は今、手塚との縁を切ろうなんておもっちゃいないぞ」
「だろうな、もう物凄く糸が太くなってるからな………お前の腕では断ち切れん……どうだ、いっそのこと彼女にすればいいだろ?気立てだっていいし、ふと見せる可愛い仕草や表情でご飯三杯はいけるんじゃないか?」
「ま、まぁ……お姉さんったら………」
 なんだかぼけっとした手塚のことなどどうでもいい。俺はこの手塚が嫌いだ。
「………残念だが俺は姉さんがなんと言おうと手塚は嫌い」
「なんで?胸が小さいからか?まぁ、確かに平均より下だとは思うが………」
「ぐはっ………む、胸がないって………」
 手塚が肉を落とし、姉さんはいつの間にか俺の分の肉にも手をつけている。話に三割、肉に七割ほど意識を奪われているに違いない。まったく、この肉食動物め!
「別に胸がないから嫌いなわけじゃない………手塚、すぐ暴力ふるおうとするし、俺の悪口を学校中に放送で告げるし………とりあえず、そんな奴の顔なんて見たくない」
「おかしな奴だなぁ、昔は『大きくなったら真奈美ちゃんと結婚するんだぁ〜』って言ってたくせして………」
「姉さん、そりゃ昔の話だ………今は違う」
「なるほど、結局胸が大きくならないからそれを待ってるのか?」
「ぐさっ………そ、それが理由………」
「違う、いい加減しつこい」
 やれやれ、この姉め………
「さて、飯も食ったし………寝るかな………」
「さっきまで寝てたじゃん?」
「あ〜そりゃ、昼寝だ………久々にあのうるさい父さんと母さんに妹がいねぇんだ。じっくり寝かせろっての………ふぁぁぁ〜」
 そういって姉は去っていった。しかし、何かを忘れたのか戻ってきた。
「…………絶耶」
「どうした?忘れ物?」
「手、出すのはいいんだろうけど…………ほどほどにな?」
 その一言に手塚の顔から蒸気が上がり、俺は木刀を姉に向けた。
「だ、誰がだすかっ!!さっさと寝ろ!」
「お〜こわっ………」
 姉はそういうと幽霊のような足取りで去っていった。
「やれやれ………さて、片づけしないと………手塚、悪いけど姉さんの分の食器持ってきて」
「わかった」
 俺は立ち上がって食器を洗うことにしたのだった。
―――
「あ〜今日も疲れたな〜」
 部屋に入ってくる月光に顔を照らされながら俺は布団に入っていた。
「絶耶、まだ起きてる?」
 障子に人一人の陰ができている。
「手塚か……おきてるが、なんだ?」
 布団から出て障子を開けると手塚が入ってきた。
「はい、これが今日の授業分………さっき渡すの忘れたからさ」
「ああ、ありがと………しっかしまぁ、律儀によく俺に渡してくれるよなぁ〜」
 小学校までは俺のほうが成績良かった(俺が百点とったら手塚は五十点ぐらい)のだが、中学辺りから家の事情で(主にエンキリのお仕事で)学校に出ることが少なくなったときから俺の成績はとてもよろしくないものとなっていた。しかし、手塚が俺に勉強を教えてくれているので最近では一定の点数をマークできるようになった。先ほども飯食って二時間ほど教えてもらっていた。
「ま、まぁね………仕事、忙しいんでしょ?」
「う〜ん、確かに………気がつけば手塚にテストの成績も負けてるからな〜」
「ま、まぁ………絶耶のぶんと私の分、合計二冊のノートも、そ、それに、た、絶耶にきちんと理解してもらえるように教科書読んでるからね」
 こっちを見て話してくれないのは怒っているからだろうか?
「わりぃな、なんだかお前の生活に俺が無理やりはいってるようで………」
「べ、別に!」
「………お前の邪魔になるなら教えてくれなくてもいいぞ?」
「そ、そうね………考えとくわ」
 この前もそんなことを言っていた気がする。まぁ、いずれ実行するだろう。
「ところで………今日はちょっと言い過ぎたわ」
「何のことだ?」
「道場に入ってきたときに言ったこと」
「ああ、気にするな………半分事実だし、学校の連中はそう思ってるさ」
 気合入れるために木刀使っているのが災いしたのか………それとも、この前不良グループをぼこぼこにしたのが間違いだったのか………どっちだろうか?
「私は別に絶耶が不良じゃないってこと知ってるわよ?」
「よく言うぜ、自分が広めてるくせして……」
「そりゃ、そんなレッテル貼っとけば絶耶に言い寄ってくる連中も減るから………」
「何か言ったか?」
「!?い、いや何も………」
 明らかに挙動不審な手塚に首をかしげながらも俺はそろそろ眠くなってきたので寝ることにした。
「じゃ、そろそろ寝るわ………ノート、ありがとな」
「………明日は学校に来るの?」
「う〜ん、まぁ、明日はいけるだろうな…………明日の朝ごはん、何が食べたい?」
「………なんでもいいわ。絶耶に任せる……じゃ、おやすみ」
「ああ、おやすみ………」
 俺の姉の部屋に手塚は去っていった。
「………昨日は姉さんにつぶされかけたって朝言ってったな……悲鳴も夜聞こえてきたし……そろそろ、散らかった部屋(姉、第二の部屋)を掃除して手塚の部屋を用意してやったほうがいいかも知れんな?」
 手塚の両親も俺の両親たちと共に外国に行っており、俺の家に住んでいる。勿論、俺の姉がいるからであるが、まぁ、いいや。
「明日の朝の献立………どうするべきだろうか………」
 俺はそんなことを考えながら目をつぶったのだった。
 心地よい眠りを妨げたのはまたもや手塚の悲鳴だった。
 見に行くと、案の定………姉に押しつぶされて唸っていた。
 俺が慌てて手塚を助けたのは言わなくてもわかるだろう。


どうだったでしょうか?少々、絶耶と真奈美のいちゃいちゃ感が出すぎていたような気がしますが………まぁ、それもよしとしてやってください。連載はもう一度言っておきますがやるかもしれません。













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