お姉さんは好きですか?はい、好きです♪でも、ちぃちゃい子も好きです♪はいっ♪変態確定☆
学校終わりにすぐにヘリで群馬県は四万温泉に向かっている三千院家一行。ヘリといっても内装はなかなか豪華で何部屋か用意されているのだが。ナギは白皇の制服を着替えるために別室に入り、ハヤテとマリアは席に座っている。
「温泉旅行なんて…なんだかドキドキしちゃいますね」
「温泉は本当いいですよね〜。ハヤテ君、せっかくなんですからのんびりしてくださいね」
「はい。でも…まだ僕は若いですから温泉っていうのは早いような…」
「…なんですって?なんだかそれでは私がもう年寄りみたいな言い方じゃないですか…!?」
「あっ…いや…」
ちょっと言い方が悪かったせいか二人の間に微妙な空気が流れる。
「すみません…」
「もう…!ちょっとは女の子の気持ちを読めないと好きな人に嫌われちゃいますよ?」
「え…?マリアさん?」
「…ち、違いますよ!?私がハヤテ君を好きだとかそういうことじゃありませんよ!?例えです!!例え!!」
マリアが顔を真っ赤にしながら弁解しているとようやく着替えを終えたナギがやって来た。ようやく二人も安心するのだった。
「待たせたな。…どうした?ハヤテもマリアもなにかあったのか?」
「い、いえ。別にありませんよ!」
「そ、そうですよ!それよりナギ!!危ないですから早く席についてください!!」
「ああ。それから私はちょっと疲れた。学校というものは人々から生気を奪う恐ろしい場所だな」
「…相変わらずですね」
「そういうことで私は旅館についたら休ませてもらうから二人で適当に過ごしていてくれ」
「え?いいんですか?お嬢さま抜きで…」
「言いといっているではないか。なんども言わせるな」
「…わかりました」
「夜ご飯までには起きるから」
「ではハヤテ君。一緒に温泉街にでも行ってみますか?」
「はい。マリアさん」
そんな会話が交わされる中一同を乗せた小型ヘリは四万温泉近くのヘリポートに到着。ここから先は車での移動になるようだ。
「ハヤテ、マリア。私はもう宿へ行くつもりなのだがお前たちはどうする?」
「そうですね…。マリアさんはどうします?」
「たしか宿までは歩いて30分程ですし…せっかくですから温泉街を見ながら行くことにしましょうか、ハヤテ君」
「わかりました。ではお嬢さま。僕たちは歩いて向かうことにします」
「おお。気を付けろよ」
そう言い残しナギは1人先にSPの運転する車で宿へ向かった。ハヤテは周りを見渡す。
「いやー。やっぱり都会と空気が違いますねー」
「そうですねー。古風な感じがまたいいですわねー」
温泉街は昔ながらの町並みが残り二人はすっかり旅番組のコメンテーター気分に。
「ハヤテ君。ほら!こっちに行ってみましょう!」
「えっ…はい…」
マリアはハヤテの手を握り温泉街にあった茶屋へと入っていく。急に手を握られハヤテはちょっと赤面。
「お団子でも食べていきません?小腹が空いてしまったもので…」
「あはは…」
「…なんですかそのせせら笑い。もしかしてハヤテ君、私が甘い物に目がない食いしん坊だとか思って…」
「い、いやいや!そんなこと思ってないですよ!!」
「…ま、ハヤテ君にどう思われようが関係ないですよーだ」
「ちょ…食べましょう!団子!あ!そうだ!僕がおごりますよ!」
ハヤテはマリアの機嫌を直そうと必死に。しばらくは口を閉ざしていたマリアも少し経つとハヤテに笑って話しかけた。
「じゃあ…お言葉に甘えましょうか」
「は、はい!喜んで!」
二人は団子屋の前にある長椅子に腰かける。
「みたらし、醤油…いろいろありますけどなにを食べたいですか?」
「そーですねー…」
(お代は出してくれるみたいですけどハヤテ君、そんなにお金はあるんでしょうか…)
しばらく考えたマリアはハヤテを気遣ってか自分では選ばない。
「ハヤテ君が選んでください。見栄を張っていないことはわかってますけど…ほら、やっぱりお財布が…」
「え?なんです?」
ハヤテに聞こえないよう小さな声で呟いたマリア。結局ハヤテは無難にあんこを選んだ。
「どうぞ、マリアさん」
「おいしそうですね♪では…いただきますわ♪」
「…どうですか?」
一口食べたマリアにハヤテは感想を求める。
「…うん。とってもおいしいですよ。ハヤテ君も食べたらどうです?」
「え?いや…僕は…」
(持ち合わせが少ないなんて言ったらなんか気を遣わせてしまいそうだし…ここは…)
「僕は大丈夫ですよ。マリアさんが好きなだけ食べても…」
「大丈夫って…なにが大丈夫なんですか。遠慮しないで食べてくださいっ!えいっ!」
「むぐっ!」
マリアは無理やりハヤテの口の中に団子を突っ込んだ。驚きながらもハヤテはなんとか団子を食べることができた。
「…ほら、ハヤテ君。おいしいですからどんどん食べちゃってくださいね」
「もがもがもが…」
容赦なくマリアはハヤテの口の中に団子を入れていく。気付けば口の中は団子でいっぱいに。
「むがもがむが〜…!!」
「…やりすぎましたかね〜?大丈夫ですか?ハヤテ君…」
「………ぷはっ!はー…はー…な、なんとか…。ひどいですよマリアさんってば…」
「す、すみません…つい楽しくなってしまって…」
「僕は団子が喉に詰まって窒息死するところでしたよ…?」
「じゃあ…お茶でも飲みます?」
「ええ…ぜひいただきたいです…」
「すみませーん。お茶いただけますか?」
店員にお茶をもってきてもらいハヤテはようやく事なきを得た。動いたわけでもないのにすごく疲れた顔をしている。
「じゃあハヤテ君。お団子も食べましたし行きましょうか」
「結局僕が殆んど食べましたけどね…」
「ごちそうさまでした♪あ、ハヤテ君。せっかく温泉地に来たんですから浴衣にでも着替えませんか?」
特に何の説明もしてなかったがハヤテもマリアもいつものごとく執事服とメイド服なのだ。マリアの提案にハヤテも賛同。
「そうですね。でも浴衣なんて一体どこに…」
「ついでですからここで買っていきましょうか」
やって来たのは温泉街の一角にある着物店。ハヤテは浴衣の値段を見て驚いた。
「…あの〜マリアさん?やっぱりやめておきます。浴衣って高いですし…」
「そうですか?結構浴衣にしてはリーズナブルじゃありません?いつも買っている店の服より0が3つほど少ないですし…」
「え!?…一体マリアさんやお嬢さまはどこで普段服を買ってるんですか…!」
「まぁそれはそれとして…さっきお団子をいただいたお礼です。ハヤテ君も選んでください」
「団子のお礼が浴衣って…かなりのわらしべ長者ですね…」
「あ♪ほらハヤテ君♪これなんか似合うんじゃないですか?」
そう言ってマリアが指差したのは女物の着物である。お値段はマリア目線でリーズナブル。
「…冗談…ですよね?これはマリアさんに似合うん…」
「店員さーん!この着物を一着この子に…」
「わぁぁ!!なに言ってるんですかマリアさんっ!!」
「仕方ありませんね〜。だったら無難にこっちの淡い赤のやつを…」
「それは俗に言うピンクですよ。まぁ確かに○楽さんがピンクを着ていて違和感ありませんけど…」
「じゃあハヤテ君的なポジションの赤い着物で♪座布団運びならお手のものですよね?」
「じゃあマリアさんは紫の着物ですね」
そう言った瞬間、マリアの顔がしかめっ面に。
「…なぜです?もしかしてハヤテ君、私が腹黒いとか思ってるんじゃ…」
「ち、違いますよ!ほら!腹黒い一面もありますけど学に長けてる一面もあるから―」
「…もういいです。浴衣はやめましょう。旅館に行けばちゃんと用意されてますし。行きますよ、ハヤテ君」
「あ…はい…」
プイッとそっぽを向きマリアは宿のあるほうの坂道を歩き始める。ちょっと後ろからハヤテもついていくが空気を悪くしてしまったことを気にしていた。
(せっかく楽しい温泉旅行に来たというのに…僕ってノリが悪いのかなぁ…。マリアさんも怒らせちゃったし…あぁ…困った…)
「ハヤテ君?どうしたんです?そんな暗い顔して…」
「えっ?」
下がっていた顔をあげると心配そうに顔を見つめるマリアがいた。途中で止まってハヤテが来るのを待っていたのだ。
「ハヤテ君がそんなつまらなそうな顔をしていたら私までつまらなくなってしまいますよ。なにを考えているのかは知りませんけど楽しんでくださいよ?」
「マリアさん…怒ってないですか?」
「別にそんなことないですよ。むしろ…楽しいです。こうやってハヤテ君と二人で温泉街を散策できて♪…ほら、行きますよ♪」
すっとマリアは右手をハヤテに差し出した。ハヤテも最初は戸惑ったが素直にマリアと手を繋いだ。
(良かった…。マリアさんも結構機嫌がいいみたいで…)
(…まったく世話がやけますね。ここはお姉さんとしてしっかりハヤテ君をリードしてあげなくては…)
自然に二人は歩いていたがなにやら周りからの目線が気になり始めた。二人は浮かれた気持ちを抑え冷静にさっきまでの行動・言動を分析。その結果…
((こ、これはもしやデートなのでは!?))
そしてとしっかり握られた手。何気無く繋いだ手もこうして考えると恥ずかしくなってきた。しかし二人は赤面しながらも離そうとはしなかった。
(ど…どうしよう…!恥ずかしいけどここで離せばますます気まずくなりはしないだろうか…!)
(いけませんわ…!なんだか体が火照って…!けどここで離したらまたハヤテ君に嫌われてるんじゃないかとかそういうあらぬ誤解を招いてしまうのでは…!)
二人が二人とも裏の心理を読み合い事態は平行線。恥ずかしながらもそのまま手を繋いだまま歩き続ける。しかし意識してからは一切会話がない。切り出そうにもなにを言えばいいのかもわからない。
((一体どうしたら―!))
二人が悩んでいるとやっと事態が動き出す。このタイミングでなんと前からなぜか伊澄が歩いてやって来たのだ。二人は伊澄を見るや否やすぐ手を離した。
「「い、伊澄さん!」」
「あら…ハヤテさまにマリアさん…。こんにちは」
「「こんにちは!伊澄さん!」」
なぜか二人は息ピッタリである。そしてハヤテはさらに気になったことを聞いてみた。
「…それより伊澄さんはどうしてここに?」
「それが…咲夜の家に行くつもりが迷子になってしまったんです。一緒に温泉に行くつもりだったんですけど…」
「温泉って四万温泉にですか?」
「はい。よくご存じで」
「い、いえいえ」
(この間会ったとき言っていたというのは言わないでおこう…)
「大丈夫ですよ伊澄さん。四万温泉はこの近くです。良かったら一緒に行きませんか?」
(そうすれば迷子になることも…)
伊澄の身の安全を第一に考えたハヤテの提案であったが伊澄は首を横に振る。
「お心遣いはありがたいのですが咲夜と一緒に行く約束をしてしまったので…。また後で来ることにしますね」
「…え?でもそんなことしなくても…ってあれ!?」
ちょっと目を離したスキに伊澄は視界から消えていた。咲夜の家に行けたか不安なところである。
「…とりあえず私たちは宿に行きましょう。ナギを一人にしておくのも不安ですから…」
「そ、そうですね…」
気まずい雰囲気から変な空気に変わり、消化不良のまま二人は宿へと向かうのだった。
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