6.忘れられない夢
燃えてる。
一面、真っ赤に染まってる。
ついさっきまで、なんともなかったのに。
私のせいだ。
熱い。あつい。
お父さんが、出口を開けようとしてる。お母さんが叫んでる。私を、1番に出そうとしてる。
だめ。だめだよ。このままじゃ、二人とも死んじゃう。私のせいで。
そんなのやだよ。やだ。……嫌だ。
(嫌────!!)
「……さん、蘭さん!」
覚えのある声で、蘭ははっと目が覚めた。肩を揺さぶっていた新一は、ほっと息をつく。
「大丈夫か?うなされてたけど」
「あ……大丈夫です。ちょっと転寝しちゃっただけだから。お帰りなさい、新一さん」
無理やり笑顔をつくって新一に対しながら、蘭は全身にかいた汗を感じていた。
彼は軽く目をしかめたが、ひとつ息をつくと、
「とにかく、もう寝なよ。あんまり夜更かししてっと、オレの健康がどうこういう前にそっちが体壊すぜ。オレは、夜食食べてから寝るから」
「はい……おやすみなさい」
彼が出て行くと、蘭は両手のひらを見つめた。じっとりと湿っている。
夢に見たのは、久しぶりだ。ここ数年は、前ほど頻繁には見なかった…あの時の夢。
(ここじゃ、だめなのかな……)
両親が、怒っている気がした。忘れるなと。
──蘭に、愛される資格なんかないんだと。
蘭は、与えられた部屋を見渡し、主の一家を思い出した。……彼らは、優しすぎる。
蘭が何をしたか知らないから、あんなふうに接してくれる。それでも、蘭には痛い優しさなのだ。
……過去を話すことなんて、今の自分には耐えられない事だけれど。 |