FOR SALE
ある日古道具屋の店先で
僕の右腕が売られてた
人違いかと思ったが
爪の切り方や曲がり具合
転んで怪我した傷跡まで
どこからどう見ても僕の腕だ
相場よりずいぶん安い値段
青っ白い僕の腕は
そんなに評価は高くない
「これ、どうですか」と
店の主人に聞こうとしたが
僕の右手は売られているので
指差す事が出来なかった
そしてそれから数日後
古道具屋の店先で
僕の左足が売られてた
一体誰が売ったのか
皆目見当がつかないが
相場よりは高かったので
僕は少し安心して
杖つきながら家路についた
動くのが億劫なので
ずっと家にこもっていたら
友達から電話があった
動く左手で受話器を取ると
開口一番友は言った
「お前の脳みそが売られてたぜ
値段は中古のパソコンぐらい」
僕はそれがどういう事なのか
理解しようとしたけれど
頭がうまく働かないので
お礼を言って電話を切った
あれから数日経つけれど
何も考えが浮かばない
考えが浮かばないと言うより
僕はもういない気がする
その頃古道具屋の店先には
「FOR SALE」の赤文字が
「在庫処分のフルセット!
まとめてお安く致します」
まとめて売られる金額は
僕を育てるのにかかった金額より
ずっと ずっと安く
僕の親はそれを見て
悲しく涙を流しました
軒先でさんざん泣いた後で
店に入ってそれを買う
値引き交渉すらして
再び僕を手に入れました
今度はもっと高くしようと
帰り道で話し合い
またガラクタをつかまされたとは知らず
未来に夢を持ちました
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