BOSS戦突入
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第壱拾八話
ドラゴン
それは古代より存在する魔物。初めは手も足も無く、まさしく蛇の姿をしていた。しかし、時代が流れるごとに人間は力を付け、古代に存在した魔物は人間に殺され絶滅するか進化して人間を返り討ちにして生き延びた。ドラゴンは毒を吐き人間を撃退していたが解毒の能力が見つかり、今度は火を吐くようになった。それからは火は炎に変わり、水や氷、雷などの属性を吐くようになった。それを人間はブレスと呼ぶ。また、進化したのは能力だけでなく身体も進化していった。口には牙が生え、身体には手足が生えてそこから爪が生え、身体は強固かつ色彩鮮やかな鱗に包まれ、極め付けには翼が生えて陸空で最強と謳われるようになった。
現在は地上には存在せずにダンジョンや火山、極寒の中など人間が住めない場所で生きている。何故人間から離れたかは分からない。ただ離れたおかげで人間は絶滅せずに済んだと言っても過言ではない。
そんな人間を絶滅に追いやる魔物がこの洞窟に居座っていた。
そして、それは蒼空たちの目の前にいる。
「ドラゴン…………」
セラフィーナが絶望な声で呟いた。
「あれが師匠が直々に討伐に行った魔物」
蒼空も目の前の敵を見て呟いた。
ドラゴンは第二撃を撃たずにこちらを見ている。その瞳はこちらを射抜く強者の目をしていた。ただ見つめられるだけで足が震える。
足が震えながらも蒼空は
「本気で行くよセラ。じゃなきゃ殺られる」
剣を構える。
「無理よ!本気で行ったって殺されるに決まってるじゃない」
セラフィーナは叫ぶ。
「なら、何もせずにただ黙って死ねと言うのか!そんなん俺は絶対にしない!たとえ勝てる見込みが無くても諦めなきゃ希望は切り開ける!」
わずかに目に涙を浮かべるセラフィーナに叫ぶ。
そして、前へと走り出す。
「おおおぉぉぉぉぉおおお」
雄たけびを上げながらドラゴンに向かっていく。
ドラゴンの口が開く。そこは鋭い牙がびっしりと絶え間無く生えていた。
口から熱気が生じ、火の球が出来て、徐々に大きくなっていき炎の球へとなる。
そして、それが蒼空に向かって発射される。
蒼空もそのまま突っ込むほど馬鹿ではない。
「水よ、迫り来る獄炎を貫く牙となれ。飛翔水牙 ≪インペールファング≫」
ドラゴンの牙にも劣らない鋭き水の牙が炎球を迎え撃つ。
水の牙と炎の球が衝突し蒸気が発生する。
互いに消滅せずに押し合うが水の牙が徐々に小さくなっていく。
そして、水は全て蒸気となって消えって行った。
炎球はそのまま蒼空に直進する。
「キュウウウウゥゥゥ」
炎球に水の球がぶつかる。
しかし、結果は先ほど変わらずに炎球は向かってくる。
「フェニス。ソラを守って!」
セラフィーナが叫ぶとそれに呼応して右耳のピアスが輝き朱雀が姿を現す。
朱雀はその火の身体で蒼空に迫り来る炎の盾となる。
朱雀は火を纏っているからと言ってが効かないわけではない。ただ耐性があるだけなのだが蒼空とバハムの一撃で威力が削られた一撃は耐えられた。
「セラ!」
後ろを振り返るとそこには先ほどとは違う、希望に照らされた瞳をしたセラフィーナがいた。
「弱気になってごめんなさいソラ。あなたの言葉伝わったわ。私も一緒に戦わせて」
そんなセラフィーナに蒼空が
「あぁ、一緒に希望を切り開こう」
言うと、
「キュウ」 「我らも力を貸そう」
バハムと朱雀も答える。
「頼んだ。てかフェニスって喋れたの」
喋った朱雀に驚く蒼空。
「朱雀は神獣の一角よ。話せるに決まってるじゃない」
高位の精霊獣は人間の言葉を操ることが出来る。龍族も成長すれば話せるようになる。
「そうなのか、まぁ取り合えずあいつを倒して皆で生きて帰ろうか」
攻撃せずにこちらを見つめるドラゴンに振りかえる。こちらの都合を待ってるのは強者としての威厳なのか、それとも強者としての余裕なのかは分からない。
「死ぬ準備は出来たか人の子よ」
ドラゴンが突然話しだした。
「何だ、こちらの準備ができるの待っていてくれたのか余裕だなテメエは」
蒼空が剣先を向ける。
「我は誇り高きドラゴン。たとえ侵入者でも正々堂々と戦うまでだ」
ドラゴンは向けられた剣先を意に留めずに答える。
「その割にはいきなり攻撃してきただろうが」
「あれは貴様らを逃がさないように扉を破壊するために放ったのだ。此処まで来れたのだあれくらいはかわせるだろう人の子よ」
「俺らがテメエを倒したらどうやって出ればいいんだよ」
「心配するな、これからは本気で貴様らを殺しにいく。万一に貴様らが勝つことなどないわ!」
予備動作も無く口からブレスが放たれる。
「行くぞ!!!!!」
ブレスをかわし仲間に叫ぶ。
それは蒼空たちの死闘の幕開けを合図となった・・・・・・・