第四話:初めての依頼
昨日はペラップに部屋に案内され、すぐに眠ってしまった私達。
窓から光が差し込んでくる。私は眠い目を擦りながら目を開けた。
時刻は早朝。カズキはまだ寝ている。
私は基本早起きなので五時にはもう起きている。
……やっぱりフシギダネ…か。
今までのことは夢だった、なんて都合のいいことは無いようだ。
しばらく感慨に耽っていると、スピーカーのような耳を持ち、大きな口が特徴のポケモン―ドゴームがやってきた。
「すぅー……起きろおぉぉぉ!朝だぞおぉぉぉ!」
「わあ!な、なんだ!?」
突然の大きな声にカズキは飛び起きた。
私はとっさに耳を塞いだので大丈夫だったが、かなり大きな声らしく耳を押さえている。
「よし!起きたな。俺はドゴーム、弟子の一匹だ。
早くしないと朝礼に遅れるぞ!もし遅れたら親方の…たあーっ!が……とにかく!おまえらが遅れた所為で、こっちまでとばっちりを受けるのはゴメンだからな!」
ドゴームは言うだけ言うとさっさと行ってしまった。
「うぅ……耳が痛い……。確か朝礼がどうとか言ってたような……ああ!?まずい遅刻だ!ヒナタ急ごう!……ってあれ?」
「カズキ〜、早くしないと置いてくよ〜!」
私はひと足早く先に行っていた。
「あ、待ってよ〜!」
「遅いぞ新入り!」
昨日通った地下二階の広いスペースに弟子と思われるポケモン達が集まっていた。さっきのドゴームもいた。
「おだまり!お前の声はうるさいんだよ!」
「うっ……!すまねぇ」
ペラップはみんなの前に立っている。朝礼の進行役のようだ。
「みんな揃ったな。よし♪ではこれから朝礼を行う。」
全員いるのを確認すると扉にむかって声をかけた。
「親方様♪全員揃いました♪」
扉が開き、プクリンが出てきた。
「それでは親方様♪朝の一言お願いします。」
へぇ〜、いったいどんなものだろう?
「……ぐぅ」
……へ?
他の弟子達の囁きが聞こえてきた。
「ヒソヒソ(プクリン親方って凄いよな…。)」
「ザワザワ(ホントにそうだな…。)」
「ヒソヒソ(ああやって朝は起きてるように見えて…。)」
「ザワザワ(実は目を開けたまま寝てるんだもんな…。)」
ええっ!?そんなのあり!?目を開けたまま寝るなんて!
「ありがたいお言葉、ありがとうございました。」
ペラップはさらっと片付けてしまった。いつもこんな調子なのか?
「それでは最後に♪朝の誓いの言葉、始めっ!」
『ひとーつ!仕事は絶対さぼらない!』
『ふたーつ!脱走したらお仕置きだ!』
『みっつー!みんな笑顔で明るいギルド!』
「さあみんな♪仕事に掛かるよ♪」
『おおーっ!!』
弟子入り早々寝坊してしまったが、こうして私達の一日は始まった。
「……そういえば、僕達は何をすればいいんだろうね?……ってあれ?」
私はひと足早くペラップのところに行っていた。
「ペラップさん、私達は何をすればいいんですか?」
「お、さん付けとは感心感心♪ではリリーフ、着いて来てくれ♪」
ペラップは梯子を登っていった。(と言うより飛んでいった。)
「カズキ、行くわよ!」
「ヒナタ行動が速いね…」
「カズキが遅いんじゃないの?」
「そ、そんなぁ……」
へこんでいるカズキを引きずって、私達はペラップの後を追った。
上の階(地下一階)は昨日と同じく賑わっていた。
昨日はわからなかったが、ギルドの弟子以外のポケモンもいた。
「お前達には依頼をやってもらう。」
「依頼?」
「ここに掲示板がある。ここに貼ってある紙はすべて依頼だ。好きな依頼を選んでその内容をこなせば依
頼達成だ。まあ、お前達はまだ初心者だから、簡単なのを選んでやろう。」
そう言って掲示板に貼ってある紙の中から一枚を選びだした。
「では読むぞ。」
咳払いを一つして読み始めた。
『初めまして、私バネブーと申します。
実は、私の大切な真珠が、悪者に奪われてしまったんです!真珠は私にとって命と同じぐらい大切なものなんです。
でも、最近近くの岩場に捨てられたって言う情報がありました。でも、私にそこに行く勇気はありません。
探検隊の皆さん、どうかよろしくお願いします!』
「……それってつまり……ただの落とし物探しってこと?」
「まあ、そうなるな。」
「ええ〜、もっと凄いことやらないの?お宝探したり、未知のダンジョンを探険したり……」
「おだまり!」
文句を言うカズキに、ペラップが怒鳴った。
「お前達はまだ見習いだ!見習いには、こういう下積みが大切なんだよ!」
「でも……」
「カズキ、探険したいのはわかるけど、基礎をしっかりしないと、怪我するだけだよ?」
私も探険はしてみたいと思うが、今の私達のレベルじゃ未知のダンジョンどころか、海岸の洞窟ですら危ない。
「ヒナタがそこまで言うなら……わかったよ。」
「(素直で助かるな…)
ところでお前達、昨日話したことは覚えているか?」
「え?ええと……」
「最近各地で悪いポケモンが増えてるのは、時が狂い始めたのが原因なんでしょ?」
説明を聞いても、よく意味がわからなかったが、自分なりに考えて、時が正常に動かなくなった所為で、悪いポケモンや、我を失うポケモンが増えている、という結論を出した。
「その通り、ちゃんと聞いていたようだね。
バネブーの真珠は『湿った岩場』にあるらしい。気を付けて行けよ。」
「わかりました!」
私達は湿った岩場へと向かった。
「……やっぱり探険したかったな〜」
「だったらぐだぐだ言わないで、目の前のことに集中するのね。認められれば、きっと探険させてもらえるわよ。」
「……そうだね。よし、頑張ってバネブーの真珠を見つけよう!」
「おおー!」
湿った岩場というだけあって、襲ってくるポケモンは水タイプが多かった。
カズキは相性が悪いので、私が弱らせてから、カズキがとどめをさす、という方法で進んでいった。
しばらくそうやって進んでいると、行き止まりになった。どうやら奥地のようだ。
「ヒナタ、あれ!」
カズキが指差していたのは、中央にある噴水、そしてそこに、ピンク色の真珠があった。
「これがバネブーの真珠ね。」
「よし、持っていこう!」
真珠を見つけた私達は、ギルドへと帰って行った。
「ありがとうございます!私感激しました!」
ギルドに帰るとバネブーが待っていた。
「これはお礼です。受け取ってください!」
そう言って渡してきたのは、タウリン等の増強剤、そして更に……
「え!?2000ポケも!?」
ポケとはお金のことらしい。 私には2000ポケが高いかはわからないが、カズキの驚き方を見ると結構な大金らしい。
「いいんですか?こんなに貰っちゃって。」
私は一応聞いてみた。
バネブーは笑顔で、
「真珠に比べたら安いものですよ。どうぞ受け取ってください。」
「あ、あの……ありがとうございます!」
感謝されるのってなんか慣れないな。でも、悪い気はしないわね!
「いえいえ、では。」
バネブーは笑顔で帰って行った。
「お前達、初めてにしてはよくやったな。それじゃあ……」ペラップは、お金の入った袋を取ると…
「はい、200ポケ。」
渡されたのは、十分の一のたった200ポケだった。
「え……な、なんで!?」
「ほとんどはギルドの分だ。そこから差っ引いて、リリーフには200ポケだ。」
「ええ〜!!」
……流石にちょっと酷い気がした。それを口にすることはないが……
「仕方ないよ。それがこのギルドのルールなんだから。」
「納得できないー!」
しかし反論できるはずもなく、カズキの悔しそうな声が、虚しく響いていた。
ヒナタ
「カズキ連れてきたわよ。」
カズキ
「ねぇねぇ、僕の出番もっと増やしてよ。」
いきなりそれですか?まあカズキの努力次第ですね。
カズキ
「よし!頑張るぞ〜」
ヒナタ
「じゃあ特訓ね。」
カズキ
「へ?」
ヒナタ
「私がみっちり鍛えてあげる。」
カズキ
「え、ちょ……!助けて〜!」
カズキ……幸運を祈ります。
それでは!
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