第十八話:水のフロートを取り戻せ!
『みっつー!みんな笑顔で明るいギルド!』
「さあみんな♪仕事にかかるよ♪」
『おおーっ!!』
いつものように朝礼を終え、仕事にかかる弟子達。
私達も依頼を見ようと上にいこうとした時、ドゴームが私達を引き止めた。
「なんですか?」
「お前達にお客さんだ。
入り口で待ってるから、早く行ってやれ。」
「わかりました。」
私達にお客なんて、いったい誰だろう?
疑問に思いつつ、私達は入り口へ向かった。
「あっ、ヒナタさん、カズキさん。」
「マリル君にルリリちゃん。お客さんて、貴方達のことだったの?」
「「はい。」」
入り口で待っていたのは、先日会ったばかりのマリルルリリ兄妹だった。
「実は、頼みたいことがあって。」
「頼みたいこと?」
「水のフロートを取ってきてほしいんです。」
「「え?」」
思わず声を上げてしまう。
海岸で見つかったって、言ってなかったっけ?
「実は、海岸に行ったら、こんなものが……」
そう言って差し出したのは、一枚の紙切れだった。
「何か書いてある。読んでみるね。え〜と……
『海岸にあった水のフロートは、我々が預かった。
返してほしかったら“エレキ平原”の奥まで来い。
しかし、力の弱いお前達が、果たしてここまで辿り着けるかな?ククククッ。
無理なら探検隊にでも頼むこったな。ククククッ。』
……って、これって脅迫じゃないか!?」
こんな幼い兄妹を脅すなんて!
「僕もすぐにエレキ平原に行ったんですが、あそこは電気タイプのポケモンが多くて、僕じゃ歯が立たなくて…何度行ってもすぐ倒されちゃうんです…。
僕は、弱い自分が…悔しくて…悔しくて……うぅっ……」
ついに泣き出してしまった。
「…わかったわ。私達が、水のフロートを取り返すわ!」
「本当ですか!?」
「もちろん!だからもう泣かないで。」
「!
…はい!
ありがとうございます!」
「絶対取り戻してみせるよ!」
「そうと決まればさっそく準備よ!
行くわよ、カズキ!」
「うん!」
私達は、トレジャータウンに向かった。
「ありがとうございました!」
カクレオンのお店で道具を買い、準備をする。
電気タイプが多いということで、麻痺対策に癒しの種などを用意した。
「これでいいわね。
じゃあ、行きましょう!」
「うん!」
いざエレキ平原へ行こうと歩きだした時……。
「おや?ヒナタさんじゃないですか。」
「ウィン。」
広場で、ばったりウィン達と出会った。
「これからダンジョンへ?」
「ええ。水のフロートを取りにエレキ平原へ。」
「そうですか。」
ウィンは少し考える素振りを見せる。
ちなみにルナは、ゆらゆら揺れるウィンの尻尾にじゃれている。
「…これは独り言として聞いてください。
もしも、敵に囲まれるようなことがあったら、むやみに攻撃せず、まわりの環境を確認することが大事です。」
「は、はぁ……」
……随分興味深い独り言で。
「一つ一つが弱くても、大勢いれば強大な力になります。
そんな敵に少数で挑むときは、周りを利用すると勝率が上がります。」
「…ご高説ありがとう。
参考にするわ。」
ウィン達に別れを告げ、私達はエレキ平原へ向かった。
「ここね。エレキ平原は。」
ギルドを出発して約三十分。
私達は、エレキ平原へと辿り着いた。
「行くわよ、カズキ!」
「うん!」
私達は、エレキ平原に入って行った。
「それにしても、誰があの紙切れを置いたのかな?」
「…まあ、大体見当は付くけど…。」
ドクローズ。一回しめた方がいいかな?
物騒な考えを持ちつつ、進んで行くリリーフであった。
その頃、トレジャータウンでは……
「なるほどー。水のフロートがねー。」
カクレオンのお店の前で、マリル兄妹とカクレオンが話していた。
「僕達の代わりに取ってきてくれるって!」
「それはよかった!リリーフなら安心できるものね。」
「はい!ルリリも助けて貰いましたし、本当に感謝してます。」
リリーフは気付いていないが、結成してから一度も失敗していないリリーフは、トレジャータウンのみんなにとって、とても信頼できる存在だった。
「皆さん、どうかしたのですか?」
と、そこにヨノワールが話に入ってきた。
「あっ!ヨノワールさん!
いやね…実はこんなことがありまして……」
カクレオンは、マリル達のことを話した。
「なるほど、そんなことが……。
誰がどういう理由でそんなことをするのかわかりませんが、しかし悪質な輩ですね。」
「でしょう!?こんな幼い子に意地悪するなんて!ワタシ達絶対許さないですよ!」
カクレオン達は怒り心頭だ。
「それで、リリーフは今どこに?」
「エレキ平原です。」
「え、エレキ平原ですって!?」
ヨノワールは、ひどく狼狽する。
「エレキ平原は…この時期は確か……。
リリーフが危ない!」
「えっ?」
「私これからエレキ平原に行ってきます!」
「えっ!ちょっ…!ヨノワールさん!?」
急いで走っていくヨノワールを、カクレオン達は見ているしかできなかった。
「ここが一番奥かな?」
空は雷雲に覆われ、太陽の輝きは見えない。
「凄い…。今にも雷が落ちそう…。」
「そうだね…。早く水のフロートを……ん?あれは!
ヒナタ、あれ!」
「…あれは、もしかして!」
カズキが示した先にあったのは、水のフロートと思われるリング状のもの。
マリル達の大切なもの。
「近づいてみよう。」
そう言って近づき、触れようとした次の瞬間!
「うわっ!?」
突然雷が落ちた。驚いて、大きく退く。
「ここへ何しに来た!
ここは、我々の縄張りだ!」
「誰かいる!?」
「隠れよう、ヒナタ!」
今だに姿を見せない声は、不適に笑う。
「隠れても無駄だ。
私の眼はあらゆるものを透視できる。
この眼で物陰に隠れた獲物を見付け…そして、仕留めるのだ!」
「…くっ!ここにいては危険ね。
貴方は誰!?姿を見せなさい!」
「フフフフ…。
私の名はレントラー。
そして、ルクシオ一族のリーダーだ!」
現れたのは、一匹のレントラーと数多くのルクシオ達。
「(まずい!囲まれた!)」
「覚悟!」
レントラーの声に、ルクシオ達が一斉に襲い掛かってきた。
「くっ!つるのムチ!」
「火炎放射!」
とっさに反撃するが、数が数なだけに返しきれず、攻撃を受けてしまう。
しかも、一度体勢を崩すと次々に別の攻撃がくるので、なかなか立て直せない。
「うぅっ……水平斬り!」
なんとか砂を巻き上げて相手の目をくらまし、脱出する。
「(数が多すぎる……)」
このままではやられる…。
そう思ったとき、ある言葉を思い出す。
『もしも敵に囲まれるようなことがあったら、むやみに攻撃せず、周りの環境を確認することが大事です。』
……そうだ。こんな大勢の敵相手に正面から挑んだって勝てっこない。周りを利用しなきゃ!
「カズキ!背中合わせになって!いったん防御に撤するわよ!」
「わかった!」
背中合わせになることによって、背後の敵を気にせずに正面の敵に集中する。
私は攻撃を迎撃しながら周りを確認する。
「(…とは言っても、何もないわね……。)」
何度も雷が落ちているのか、荒れた大地が広がっている。
あるとすれば、ちょっと大きめの岩があるくらい……。
「(でも、雷は利用できるかも。)」
かなり危険で、成功するかもわからないが、賭けに出てみることにした。
「カズキ!煙幕を使って離れて!」
「えっ!?わ、わかった!」
「つるのムチ!」
カズキが煙幕を放ったと同時につるのムチでレントラー達を捕縛する。
そして、煙幕がこの場を覆い尽くす前に、私は岩の上に乗った。
さらに空に向かってつるをピンと伸ばす。
「くっ!こんなもの!」
レントラー達はつるを振りほどこうとする。
「(うぅっ、早く来て!)」
空は雷雲でいっぱい。さらに地上で電気技を多用し、避雷針を造れば!
ピカッ!!
轟音と共に雷がつるに落ちる。
「ぐわあぁぁぁ!!」
つるを伝ってレントラー達に電流が奔る。いくら電気タイプでも、視界が効かない状況でいきなり攻撃がくれば、効果はあるはず。
しかし、自分が受けるダメージも半端ない。
ビリビリ……
雷が終わる。同時に煙幕も晴れた。
「ヒナタ!」
カズキが駆け寄ってくる。私は痺れて動けなかった。
「大丈夫ヒナタ!?」
「う…ん。な、ん、とか…。」
痺れているせいか、うまく喋れない。
「もう。無茶だよ!自分に雷を落とすなんて!」
「ご、めん、なさ、い。」
確かに無茶だった。
でも、他に思いつかなかったし、あのままの状態だったら、多分負けていた。
倒れているルクシオ達を見て、私達は完全に気を緩めていた。
「ぐおぉおぉぉ!!!」
「「!!?」」
「おのれよくもッ!!雷!!」
突如雄叫びをあげたレントラーは、起き上がると一気に攻撃してきた。
油断していたためとっさに動けない。
当たると思った。その時!
「待て!!」
大きな手が、雷を打ち消した。
「この者達は、ここを荒らしに来たのではない!」
「よ、ヨノワールさん!?」
突如現れたのは、探検家ヨノワール。
ヨノワールは、チラッとこっちを見ると、小声で
「任せてください。」と言った。
「貴様!何者だ!」
「私の名はヨノワール!探検家だ!
レントラーよ!貴方達の怒りはもっともだ!
特に!以前貴方達が受けた仕打ちを考えれば、無断で侵入するものに対して攻撃的になるのは当然だ!
また、この地が貴方達に安らぎをもたらしている事も、私は理解しているつもりだ!
この者達が縄張りに入ったことは詫びよう!
しかし!それは決して危害を加えるためではない!
用が済みしだい、我々はここを立ち去る!信じてくれ!レントラーよ!」
声を張り上げて説得するヨノワール。
レントラーは、驚いたような顔をする。
「………。
わたし達のことをよく知っているのだな、ヨノワールとやら。
……よかろう。少し時間をやる。その間にここから立ち去れ。
行くぞ。」
レントラーはルクシオ達を引きつれて去っていった。
「ありがとうヨノワールさん。」
「おかげで助かりました。」
私達はお礼を言う。
ちなみに癒しの種を食べたので、痺れは無くなっていた。
「でも、彼らはなんだったの?」
「レントラーとルクシオの一族です。
彼らはいつも過ごしやすい場所を求め、絶えず移動しているんです。
この時期のエレキ平原は雷が多いせいか、この時期は必ずここで生活するんです。
しかし、以前彼らはここでいきなり襲われたことがあり、その時だいぶ傷を負ったそうです。
それ以来ここに侵入する者は、やられる前にやる。いつしかそれが彼らの掟となったそうです。」
「へぇ〜。」
カズキは感嘆している。また尊敬の念を強めたようだ。
「ヨノワールさん。これが水のフロートですか?」
ヨノワールが話している間にとってきたのだ。
早く出ていけって言われてるんだし、急がなきゃ。
「はい。間違いありません。」
「やった〜!これで届けられるね!
でも、誰がこんな事を?」
「おそらくこれを仕掛けたものは、ここがレントラー達の縄張りと知っていたんでしょう。そして、レントラー達と衝突するのを期待して置いたんだと思います。」
「そして、戦いが終わって疲れ切っているであろう私達をさらに痛め付けて、理由はわからないけど八つ当りしようとしたんでしょうね。」
「そうですよね!?そこにいる輩達!」
「そうよね!?ドクローズ!」
二匹同時に背後の岩影に向かって言い放つ。
しばしの沈黙。
「………。
クククッ。わかっていたのか。じゃあしょうがない。」
そう言って現れたのは、意地の悪い笑みを浮かべたドクローズだった。
ヒナタ
「テストが終わってから更新するんじゃなかったの?」
そんなこと一言も言ってないよ?ただ遅れると言っただけで。
ヒナタ
「……もうほっとこう。」
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。