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本音を言えない私にダサ眼鏡の彼氏ができました。 作者:みりん

第一章 始まりは罰ゲーム

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4 神崎くんとデート?

 どうやって誘うか、それが問題だ。

 歴代の彼氏たちは、何にもしなくても、向こうからこっちが鬱陶しく思うほどのアピールをしてきた。だけど、土日にも神崎くんからのLINEはゼロだった。おかげで、レイカ達と楽しくカラオケすることが出来たからそれは良かったんだけど、GWも後半がまだ残っていることだし、一度くらい神崎くんと会っとかないとレイカ達の反応が怖い。

 やっぱり、私から誘わないとダメなのかなあ。でもなあ。なんて誘えば良いのか分からないし。

 神崎くんって、普段何して遊んでるんだろう?

 まったく想像がつかない。クラスで友達と一緒にいるところも見たことないし、じゃあボーリングとかフットサルとかはないよね。カラオケ……歌ってるところも想像出来ないや。選択授業も音楽や美術じゃなくて確か書道だったはず。

 うーん。ゲームセンターに行ったら、不良にカツアゲされそうな地味な見た目だしなあ、神崎くん。やっぱり、休み時間と一緒で読書とかしてゴロゴロ過ごしてるのかなあ?

 暇なんだったら、予定合わせやすいかもだよね。

 私だって、連休はお兄ちゃんのお友達に混ぜてもらってバーベキューしたり、その準備も手伝うし、同中の元テニサーの皆とテニスしたり、何だかんだで忙しいから、神崎くんに使える時間は限られている。

 テキトーに会って、数時間潰して、何事もなくやり過ごせたら一番良い。やっぱ、無難に映画とかかなあ?

 そんなことを考えているうちに、放課後になってしまった。

 日課になりつつある、教室を出ていこうとする神崎くんへの声かけ。

「授業お疲れ~。数学、難しかったね~」

 私がとりあえず愛想笑いをするんだけど、相変わらず無表情の神崎くん。

「そうか。じゃあ」

「待って!」

 そのまま帰ってしまいそうになる神崎くんを慌てて引き止める。

「あのね? ゴールデンウィーク、空いてない? ナナ、神崎くんと一緒に過ごしたいな~」

 ちらり、と上目遣いで聞いてみる。結局、ふつうに誘うくらいしか思いつかなかった。けど、思ったとおり、神崎くんの無表情は変わらない。

「ごめん。ゴールデンウィークは予定がある」

 え。

「一日も空いてないの? 全部予定でいっぱい?」

 予想外過ぎて、思わず確認してしまった。

「うん。ごめん」

 そんなあ! レイカ達に何言われるだろう。いやいや、こんな直近になってたら、ゴールデンウィークはさすがに予定空いてないか。神崎くんをなめてたや。

「じゃ、じゃあ、来週の土日は? 空いてる?」

 私は食い下がる。

「ごめん。土日もダメだ。休日は全部バイト入れてるから」

「バイト!? 神崎くん、バイトなんてしてるの? どこで?」

「地元のコンビニ」

「へええ! そうなんだあ」

 コンビニでバイトしてたんだあ。意外! そっかあ。高校生になってバイト始める人もいるよね。その選択肢は思いつかなかったなあ。

 そっか、そっか。それならデート出来なくても仕方ないよね? ……いや、レイカのことだから、それくらいで許してくれるとは思えない。要はレイカ達が面白ければ良いのだ。あの子そういうところある。こちらの事情とか関係ないジャイアンなところが。

 じゃあ、これって大ピンチじゃん! レイカの期待に応えられない、イコール、私ぼっちの仲間入り!? 困る! どうしよう!?

 私は、一人で顔面蒼白になっていたと思う。それを見かねた神崎くんが、なんと声をかけてくれた。

「俺はこれから図書館で勉強するが、一緒に来るか?」

 勉強?

「する! うん、するする! 勉強!」

 勉強会! 得意な教科を教え合いっこしたり、休憩時間にイチャイチャしたり、デートとはちょっと違うけど、彼氏彼女っぽいよね! しかも、図書館っていう公共の場所だったらうるさく出来ないから、仲が進展するようなことも起きづらいはず! これなら、レイカ達にも報告できるし、貞操の危機も起きない! やったあ!

 私は満面の笑みで頷くと、さっさと図書館へと歩き出す神崎くんの後について教室を出た。

゜+o。。o+゜♡゜+o。。o+゜♡゜

 それから、授業終わりの15時半から17時までの間は、私と神崎くんの放課後勉強会をするのが日課になった。18時になったら、神崎くんのバイトが始まるので、17時でお開き。電車の方向も一緒だから、途中まで一緒に帰る。

 そんな勉強会を初めて1ヶ月がたった。だけど、当初想像した、得意な教科を教え合う、みたいな展開は皆無だった。

 神崎くんは、秀才だということが判明したからだ。

 5月の中間考査で、神崎くんはなんと全科目90点以上を叩き出した。しかも、12科目のうち、数学Ⅰ、数学A、英語Ⅰ、世界史A、理科Aの5教科で満点をとって学年1位になってしまった。

 一緒に勉強しながら、もしかして何となく、神崎くんって頭良いかも? と思ってはいたんだけど、まさかここまで賢いとは思っていなかった。

 レイカ達は、別に驚いていなかった。神崎くん本人に聞いたら、本来なら、もう一つ上の高校に通えるレベルはあったらしいんだけど、万が一落ちて私立に通うことになるのが嫌だったから、ひとつレベルを下げたこの高校に決めたらしい。必死に勉強してこの高校に入った私としては、コメントに困るところだけど、レイカみたいにガリ勉バカだって神崎くんを笑う気にはなれない。

 レイカには、幼馴染で東大のイケメン彼氏がいるらしく、男子を見る目が異常に厳しいフシがある。ミサミサにも、ヤエにも、イケメンでラブラブな彼氏がいるから、地味でモテない神崎くんは論外みたい。

 私はと言うと、今までスポーツで目立つ、顔のカッコイイタイプと付き合って来たから、頭脳派の男子って珍しくて、神崎くんのことを少し見直した。

 一緒に勉強会をしているおかげで、中間考査もまあまあな点数が取れたし、ラッキーと言わざるを得ない。

 ただ、彼氏としてどうか、と聞かれると、疑問。神崎くんは、彼氏というより、家庭教師みたい。勉強中におしゃべりがないのは勿論のこと、わからないところの教え方が上手いところとか。勉強が終わったら、一緒に帰っていてもプライベートなことは話してくれない上、寄り道もせずに即解散なところとか。

 神崎くんが喋らないから、仕方なく私が今日あったこととか、趣味のデコパージュで何を作ったかとか、どうでもいいことを喋る。神崎くんは、話を聴いてるのかいないのか、ずっと無表情だけど、たまに「うん」とか「へえ」とか「そうか」とか相槌を打ってくれる。

 神崎くんは元彼たちと違って、一切触ってこない。勿論キスもない。それどころか、目も合わない。

 ナナのこと、全然興味ないのかなあ?

 前の彼氏だったら、ふと気づいたら、見つめられてて、目が合った瞬間手が伸びてきて、それを「やだー!」とか言いながらやんわり拒否するところまでが1セットで、ウザイくらいだったんだけどなあ。

 もしかして、ナナ老けた?

 高1にして、オバさん過ぎるかな?

 それって困る! って思ったから、ある日ポニーテールにして学校に行き、少し元気アピールをしてみたりもしたんだけど、神崎くんには全然効かなかった。超無表情だし何も言ってくれない。斜め後ろの席の男子がうなじを眺めて来る熱い視線は感じたんだけどなあ。

 あまりのスルーされっぷりに、レイカ達は基本大爆笑だから、それは全然良いんだけどね。デートが勉強会なのも、レイカ達にしてみたら罰ゲームみたいに写るらしくて、それも助かってる。

 変にイチャつかなくても良いし、勉強は教えてくれるし、他の女の影はないし、最初はどうなるかと思ったけど、罰ゲームが神崎くんで良かったかも。1ヶ月付き合ってみて、私は段々そう思うようになりました。
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