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明日へ
作:星 明莉



第09話 どうして…


ただ霧が曇っているだけの真っ白な世界。
今、蘭はそこにいた。
「…ここは…?」

歩いても歩いても変わらぬ景色。
そこに見つけたのは最近見慣れなくなった光景。

「…!新一!?」

蘭は走る。
少しずつ新一に近づく。
しかしある異変に気付いてその足を止めた。
「新一…何を…?」
新一の手に握られた拳銃が、蘭の目にはっきりと映った。
新一は小さな声で言った。

「…悪かったな…蘭…」

そして銃口をこめかみに近づける。
「やだ…新一…何言ってるのか全然分かんないよ…!!」
蘭は涙ながらに新一を止めようとする。
しかしそれと同時に新一はゆっくり引き金を引こうとしていた。

「いや…いや…いやあああっ!!!」




  ★




蘭は思わず飛び起きる。
まだ朝日が眩い時間だった。
蘭は息を切らせながら自分の部屋を見渡す。
「…夢…だよね…?」
そして蘭は胸を撫で下ろした。
その時部屋のドアが開いた。
「…蘭姉ちゃん?」
コナンがひょっこり顔を出していた。
「…あ、ごめんねコナン君…起こしちゃった?」
「ううん。トイレに行きたくなっただけだから…」
「そう…」
そしてコナンがドアを閉めると蘭の顔は青ざめる。
(…なんていやな夢…)
そして額に手を当ててフッと笑った。
(疲れてるのね…私…この頃色んなことがあり過ぎて)
蘭は台所に向かいながら呟いた。
「…今日からまた部活なんだから…早く遅れを取り戻さなくちゃ…」



  ★



―放課後

「現場復帰だな、毛利」
数美は蘭が部活に顔を出して真っ先に声を掛けた。
「ありがとうございます。また頑張ります!」
「ええ、無理しないでね…」
そう言った数美は他の後輩のもとへと行ってしまった。

“無理をしない”

これからしばらくはこの事を意識してやる、と蘭は心に決めていた。


―20分後

(…やっぱりまだ左膝にダメージがあるのかしら…)
蘭は膝を曲げた時のかすかな痛みのため、休憩していた。
(…先生が最初は軽く15分程度にとおっしゃってたし…今日はもうあがろう)
蘭は数美にそのことを伝え、帰路についた。

(次に病院に行ったら聞いてみないと)
蘭は帰り道にそう考えていた。
この時も、蘭の足は小さな痛みがあった…。



  ★



―3日後・米花総合病院

「大分膝も伸びるようになってきたわね…」
看護師さんが言った。
「本当ですか」
蘭は微笑みながら機械を動かす。
しかし途中で止めて起き上がってこう言った。
「…あの、実はこの前から痛めた左膝のほう…曲げると痛むんです」
「え?それは…あなたまた無理をして…ない?」
「いえ…基礎練を20分程度ですし」
「基礎練…?よく分からないけど20分程度ならねぇ」
「…まさか…手術失敗…?」
看護師は首を振って答えた。
「それわないわ!失敗していたら歩く事も出来ないはずだから…」
「で、ですよね。よかった!こないだはすごく腫れちゃったから心配になっちゃって」
「腫れた…?」
「ええ。でも一日冷やしたら治ったんです。やっぱり気にしすぎですかね?私…」
「…」
看護師さんはしばらく黙ってから言った。
「もっと早く言ってくれれば…あ、でもこっちに来た時にはもう遅かったのね…」
「…え?遅いって…何が!?」
「いえ、ね。…一度よく…確認してみましょう…」
「せ、先生…!!」

蘭の前にはたちまち霧が曇っていくようだった。
晴れかけていた霧が、この前の夢のように。







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