第05話 再び
―毛利邸
「え!?もう練習しても平気なの?」
リハビリから帰った蘭はコナンに先生の言葉を報告した。
「うん!私、明日から部活出るからね!」
蘭は右手でブイサインを作る。
「そうなんだ…よかった!でも無理しないでね?」
コナンは心配そうに念を押す。
「分かってるわよ。心配しないで!」
そう言って、蘭は鼻歌まじりに自分の部屋へと向かう。
コナンも少し気持ちが楽になり、久々に蘭を愛おしそうに見つめた。
★
―帝丹高校
「蘭!聞いたよ。今日からやれるんでしょ?」
話し掛けて来たのは蘭の親友である鈴木園子だった。
「ありがと園子…園子の励ましがなかったら私…」
「なーに言ってんの!【工藤君の励まし】の間違いでしょ!」
「はぁ!?そんなわけないでしょ!」
「あらあらごめんなさいね、心の中を読んじゃったみたいで♪」
園子は手を口に当てて、楽しそうに笑う。
「本当に違うよ!怪我してから新一と電話してないし…」
蘭の笑顔は途端に寂しそうになった。
「え?どーして?こないだ電番聞いたって…」
園子も少し真剣な顔付きになる。
「そうなんだけど。最近つながんないし、向こうからもちっともかかってこないし」
「蘭…」
すると蘭はフッと笑い直して言った。
「なーんて!別にあいつ忙しいから私の心配させるつもりないし、寂しくもないしね!」
「…全く工藤君ったら、こんな健気な妻を残してどこ行ってんだか」
「ちょっと、妻ってなによー!!」
昼休み、蘭達の楽しげな会話が教室内に響いていた。
★
―放課後
蘭は待ちに待った部活へ直行した。
「それじゃー、ペアになって練習始めて」
「押忍!」
部長代理の数美が仕切る。
「毛利は私と。まずは軽くね」
「はい」
ダンッ ダン!
床を強く踏む音が体育館に轟く。
「拳もっと甘く!力んでるよ!」
「はい!」
数美は蘭に指摘をしながら突きを払っていく。
(隙有り!)
蘭は得意の回し蹴りを繰り出す。
しかし、同時に蘭の左膝に激痛が走った。
「…!!!」
「よし!いいぞ毛…」
ドサッ
蘭はその場に倒れこんだ。
膝を押さえ痛がる。
「…!毛利!?」
数美が駆け寄る。
「ど、どうした?」
他の部員達も心配して寄って来た。
「同じところね…左膝の…救急車呼んで!」
こうして蘭は再び病院へ運ばれた。
★
一方コナンは下校途中だった。
サッカーボールを蹴りながら、哀と並んで歩いている。
その時コナンの携帯がブルった。
「えーと…こっちはコナンか」
コナンは着信している携帯を確かめながらボタンを押した。
「もしもし?」
「…コナン、お前学校は終わったのか?」
相手は小五郎だった。
「うん、今帰ってるところだよ!」
子供っぽく返事をしながらコナンは思った。
小五郎からの電話…なんて珍しいんだ、と。
「今から杯戸中央病院に来られるか?」
「え…うん。博士に迎えに来てもらえれば」
「…じゃあ今すぐ来てもらえ」
「う、うん」
コナンの心臓の鼓動は高まる。
そうでないことを祈りながら小五郎に聞いた。
「…どうして?」
「…蘭が…再手術なんだ…」
「!!」
コナンは思わず携帯を落としそうになるほど動揺した。
しかしコナンのわずかに冷静な心理が一つの疑問に辿り着く。
杯戸中央病院…?
「ねぇおじさん、蘭姉ちゃんの病院って米花総合だよね?」
「こっちに着いたら説明してやるから」
「…わかった…」
コナンは小五郎との電話を切り、博士の自宅に電話をかける。
「何かあったの?」
その横で哀が心配そうに聞いた。
「…ああ」
これがコナンの今の精一杯の返事だった。
間もなく博士のビートルが到着し、コナンは杯戸中央病院へ向かった。
|