挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

515/992

515 十二戦十二敗

「ところで、勇者ちゃん、どうしてる?」

 聞きたいことはあらかた聞きたいので、優先順位が低かった勇者ちゃんのことを尋ねた。

 言っちゃ悪いが、勇者ちゃんのことはそれほど問題にはしてねー。好きに生きたらイイんじゃね? って気持ちだ。

「あー、勇者な。集落の子供たちと元気に駆け回ってたよ」

 内容だけなら微笑ましい出来事だが、親父殿の表情ではよくねーことがあるようだ。

「他が、問題だと?」

「ああ。お付きの騎士はいるが、世話役は逃げてったよ」

 世話役? あ、ああ、いたな。メイドだか侍女だか知らんが、そんな感じのねーちゃんらが。

「まあ、都会のもんには田舎暮らしは辛いわな」

 前世の記憶があるオレからしたら都会も田舎も大差ないが、そこに住んだことがねーヤツらには天と地ほどの違いがあんだろうよ。

「でも、逃げちゃってイイのか? 勇者ちゃん、この国のお姫さまでもあるんだからよ」

 お姫さまの欠片もねーが、あのピンクの髪が王族なのは村の子供でも……知ってるっけ? まあ、村長あたりが説明してんだろう。

「よくはないが、主たる勇者が認めたら可能だ」

 あの勇者ちゃんなら軽く承諾しそうだな。

「勇者ちゃんは、なんか文句言ってるか?」

「いや、もう野生児のごとく遊び回ってるって話だ」

 あ、ああ。環境に、と言うより勇者ちゃんに負けたって感じか。そりゃ逃げたくなるわな。

「女騎士さんは、大丈夫なのか?」

「騎士にしておくのはもったいないくらい人物だな。なに一つ不平不満を述べず、顔色も変えず勇者を見守っているんだから」

 フフ。その光景が見えるようだぜ。

「親父殿。勇者ちゃんと女騎士さんをうちに住まわせるけど、イイか?」

「うちにか? だが、お前は村で面倒みるようなこと言ってただろう」

「ちょっとギルドの連中と取引してな、勇者ちゃんの面倒をみることになったんだわ」

「ギ、ギルドと取引って、お前は相変わらず恐ろしいことしてんな。ギルドはそんな甘いもんじゃねーぞ」

「わかってるよ。だが、こちらには国の重鎮と大商人、近隣の実力者。正式ではねーが、二つのギルドを掌握してる。コネはこちらが上。金も帝国との取引で負けてねー。力だってある。やるんならやるし、仲良くしようってんなら仲良くするさ。どうするかはあちら次第。まあ、できることなら平和に行きたいもんだ」

 国を跨ぐ冒険者ギルドだが、必ずしも一枚岩とは限らねー。いや、あのギルド長の態度や言葉からして派閥はある。それも、明確にわかれた派閥がな。

 なら、それはもう弱点でしかねー。もし、ギルド長が約束を破るってんならもう片方の派閥につくだけ。コネ、金、力はこっちが上なんだからな。ケッケッケ。

「また、悪い顔して。まあ、構わんだろう。一人増えるも二人増えるものも違いはないし、仕事も増える。好きにしたらいいさ」

「ふふ。さすが親父殿。頼りになるぅ~」

 理解ある親がいる。なんと素晴らしきことか。イイ親を持ってオレは幸せだぜ。

「……おれ、あいつ嫌い……」

 いつも無口なトータがわざと聞こえるよえに呟いた。ど、どーした、マイブラザー。お前がそんなこと言うなんて……?

「説明ぷりーずだ、チャコ!」

 トータの頭に咲く花人に求めた。って、お前、大きくしたのに、なんで小さくなってんの?

 プルプルと花が揺れると、ぽんと音とともに人類サイズに変化した。

 ……こいつもよーわからん生き物だよな……。

「トータ、ピンクちゃんと勝負して負けたのよ」

 ムスとしてそっぽを向くマイブラザー。

 スーパー幼児トータくんとは言え、勇者ちゃんとは隕石を落とし、オレの球を受けることができる人外だ。とてもじゃないが勝負にはなるまいて。

「次は勝つ!」

 こそっと勝敗をチャコに聞くと、十二戦十二敗のよーだ。

「ちなみにサプルには二十戦二十敗してるわよ、ピンクちゃん」

 うちのマイシスターどんだけ~!

「……ま、まあ、サプルだしな。不思議はねーか……」

 サプルには武装結界、マジカルチェンジ(なにか趣味が合わなかったようで、作業用の魔法鎧ってことにしてある)を纏わせてある。

 任意でも可能だが、生死にかかわるような攻撃を受けそうになったら強制的に発動できるように設定してある。

 人外クラスには厳しいだろうが、勇者ちゃんくらいなら破られたりはしねー。なら、あとはサプルの力で余裕だろうよ。

「まあ、ガンバレや」

 トータの成長力も異常だ。ガンバレは一勝くらいはできんだろうさ。

「大丈夫よ。トータはまだレベルが低いだけ。レベルアップすれば勝てるわよ」

「修行してくる!」

 バビュンと食堂を出て行くマイブラザー。ガンバレ~。

「しょうがないわね。付き合いますか」

 やれやれと立ち上がるチャコ。

「ワリーな、面倒みてもらって」

 トータのなにが気に入ったかわからんが、まるで姉のような顔を見せていた。

 ……こいつ、こんなキャラだったっけ……?

「気にしなくていいわよ。好きでやってるんだからさ」

「そうかい。なら、好きなだけ好きなことをすりゃイイさ」

 それがうちのルールだがらな。 
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ