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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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509 黒髪の乙女

 なんて感傷に浸る暇なく村が見えてきた。

「村に変わった様子はねーな」

 最高戦力が集結した村になんかあったらそれこそ世界の破滅ときってもんだが、無事な姿を見るとほっとするもんだ。

「ん?」

 視界に映っていた我が故郷が消え、海に変わった。

「どーしたん? 降りねーのか?」

「ボブラ村上空は飛行禁止区域なのでエリア2に降ります」

 エリア2? なんだいそりゃ?

 尋ねようとしたらメルヘン機が傾き、港の方に降下して行った。

 窓に顔を張り付け前方を見ると、なにか海にある。

「滑走路? いや、違うな。はぁ? え、空母?」

 オレの目が狂ってなけりゃ第二港に空母(なんかアニメ的なもの)が浮いていた。

「な、なんだいありゃ?」

「ストラトス6の海上基地です。まだ正式な名がないのでエリア2と呼称しています」

 もっと説明が欲しいところだが、きっとオレには理解できねー答えが返ってくるに決まってる。ここはスルー拳八倍で流しておこう。

 こちらは小さくなっているので空母の半分もしないて着陸……着艦か、この場合? いや、スルー拳九倍。気にするなだ。

「お疲れさまです。降りる際はお気をつけてください。小人族の竜機隊も使用してますので」

「……あいよ」

 もうなんて言ってイイかわからんので、素直に返事しておいた。

 降りながら体をデカくし、地面、いや、甲板か? に足をつけた。

「なんかもう別世界ね」

 頭から飛び立ち、上空に見えるファンタジーに感嘆と呟くプリッつあん。

 ……なんかもう、ある意味世界の破滅だよ、これは……。

 スルー拳を十倍二十倍と高めて、そこにある現実から逃れ――ようとしたら、プリッつあんがオレの頭に着地した。

「ベー。なんか金色のが降りてくるよ」

 スルー拳を解除し、空へと目を向けた。

「殿様か?」

 確か、金色の竜機は殿様の専用機、だったはずだが、今降りてくるのは金色に黒が混じってるな。護衛と思われる六機の竜機も黒地に金と、初めて見るものだった。

 疑問に思っている間に、なんとも軽やかにエリア2に着地した。

 金色の竜機から出てきたのは、派手なパイロットスーツ(的な?)を着た者だった。

 気圧や重力を緩和するパイロットスーツ(的な?)ものなので、スタイリッシュではねーが、体のフォルムからして女。動きからは若いとわかった。

 黒地に金の竜機から出てきたのも女らしく、なにか親衛隊のような統一された感じがあった。

 考えるまでもなくオレに用があるとわかるので、また体を小さくした。

 パイロットスーツ(的な?)ものは、一人で脱ぐのは大変なもののようで、親衛隊らしき者らが派手なパイロットスーツ(的な?)を着た者のヘルメット(的な?)を外した。

 出てきたのは黒髪の乙女(的な?)だった。

「お初にお目にかかる。わたしは、コノガの娘でリツと申します」

 コノガ? 誰だっけ? とは思ったが、その目を見れば誰だかわかる。

「そりゃどうも。名は知ってるだろうが、礼儀として名乗らせてくれ。オレは、ヴィベルファクフィニーだ。長いんでベーでイイ。にしても、殿様に娘なんかいたんだな。初めて知ったよ」

 息子には会ったことあるし、他にもいるとは聞いている。が、娘の話なんて全然聞いてねーぞ。

「はい。わたしは側室の子なので正式には認知されておりませんでしたが、国を離れ、藩主ではなくなったため、この度認知していただきました。今は、ボブラ村防衛隊隊長及びベー様の護衛を任命されました。どうぞよしなに」

 はい?

 なにか重要なことが、サラっと出ましたが、もう一度プリーズです。

「ボブラ村防衛隊隊長及びベー様の護衛です」

 サラっと繰り返してくれる黒髪の乙女さん。なんでやねん!

「……あ、いや、ボブラ村を守ってくれんのは助かるが、なぜにオレの護衛? オレは村人だぞ」

 言い訳にも理由にもなってねーな、とかの突っ込みはノーサンキュー。己を守れてこそのS級村人。護衛などオレの矜持が許さねーわ。

「護衛と言うのは名目上で、父とベー様を繋ぐ連絡役です。ただ、必要とあればわたしたちをお使いください。大恩あるベー様へのせめてもの恩返しをさせてください」

 別にこちらの都合で助けたまでだし、その恩恵はもらっている。それ以上はいらねーよ、と、少し前までなら言えたが、小人族にやってもらうことができた今、黒髪の乙女らの存在は渡りに船。ナイスタイミングである。

「そうかい。なら、遠慮なく使わせもらうよ」

 黒髪の乙女さんがほっと息をついた。

 どうやら無理矢理って感じではねーようだが、連絡役なんて言う雑用、よく引き受けたな、この黒髪の乙女さんは?

 でもまあ、嫌々じゃねーのなら助かるわ。人材集めるの、どうしようかと考えてたからよ。

「じゃあ、さっそく殿様に言付けを頼む。食糧流通の目処がついたんで、明日にでも行くと伝えてくれ」

「はっ! わかりました」

「あと、オレの護衛って、ここにいるヤツらだけか?」

「はい。わたしを含め十二名が直属ですが、必要とあれば艦隊を派遣できるように整えてあります。いつでもご命令くださいませ」

 いや、艦隊ってなによ? いくらS級村人でも艦隊はいらねーよ。

 とは言え、なにが起こるかわからないのが世の常。奥の手の一つとして受け取っておこう。うん……。

「あ、うん。どうもね。あと、護衛は村から出るときにしてくれ。村にいるときはゆっくりしてーからよ」

 その気持ちはありがたく受け取っておくが、それ以上の恩は迷惑でしかねー。オレの村人ライフには立ち入り禁止だぜ。

「はっ! 父からもベー様の生活になるべく干渉するなと厳命されております。お呼びの際はこれをお使いくださいませ」

 と、なんかペンダントを渡された。なにこれ?

「通信具です。それに魔力を込めながら話していただければわたしに繋がりますので、いつでも連絡してください」

「……あーうん。そのときはよろしく頼むわ……」

 なんかもう、通信ツールがいっぱいで頭いてーよ、ほんと……。
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