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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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508/992

508 愛しき故郷へ

「遅かったわね」

 たっぷりと話し合ってきたらいつの間にか三時を過ぎてしまった。

「ワリーワリー。いろいろ長話しっちまったわ。お、容赦なく頼んだようだな」

 テーブルの上に並べられた空の食器と、厨房とテーブルを往復するウエイトレスのねーちゃん。その血も涙もない所業にアッパレだよ。

「そりゃ誰かさんの薫陶を受けたら容赦なんてなくなるわよ」

「アハハ。それは結構。今後も容赦なく生きるこった」

 食器を下げるウエイトレスのねーちゃんに大銅貨を渡し、厨房にいる料理人のおっちゃんに金貨を一枚渡した。

「ギルド長のおごりじゃないの?」

「これはチップさ」

 他人の金で実を買い、己の金で恩を得る。こーゆーのを漁夫の利を得る、だっけか? 濡れ手で粟だっけか? まあ、なんでもイイや。とにかく儲けったってこと。そのお裾分けをして酒場のヤツらにチップを渡す。ギルド長以外は皆幸せになるってことだ。

「些細なことに感謝を見せてやれば人は好感を持ってくれる。味方つくりの基本だ」

 それをしてきたからこそ、オレは村で暮らせ、忌み子鬼子と恐れられなかった理由だ。

「……覚えておくわ……」

 うん。素直でよろしい。

「それとな、フェリエをオレの専属冒険者とした。なんで、指名依頼がきたらオレに許可を得るか断るかしろよ。普通の依頼ならフェリエの判断で決めてイイ。ただし、よく吟味して少しでも違和感を感じたら受けるなよ。もし受けてしまったら専属者の緊急依頼を受けたとか言って違約金を払いな」

 過保護だとは思うが、狡猾なヤツはいくらでもいる。その備えはしておかんとあとで後悔するからな、オレがよ。

「……わかった。そうするわ……」

 よしよしと頷き、カラエルたちを見る。

 なにがなにやらわからない顔しているが、フェリエの指示に従い料理を重箱に詰め、詰まったら収納鞄に入れて行く作業をこなしていた。

「ふふ。不思議か?」

 そう問いかけると、カラエルたちが振り向き、どう言ってイイかわからない顔を見せていた。

「お前らなら食えない辛さは知ってるだろう。オレも食えないときを経験してるし、飢饉とは呼べねーまでの不作は経験したことはある」

 まあ、オレが三才の頃でオトンが生きてたから食うには困らなかったが、村の大人たちの苦労は見ている。あれは一度で充分。二度は見たくねーよ。

「オレが得た教訓。それは、常に備えろだ。ゆえにオレは食材を買い込み、食糧を溜め込む。飢饉、いつでもかかってこいや! だ」

 過剰とは自分でも思うが、それがあったからこそカラエルら孤児たちは食うに困らなくなり、エリナやモコモコ族も助けられるのだ。

「カラエルたちの依頼は、各地を回りいろんな食材を集めること。集めたらボブラ村に持ってくること。契約は収納鞄が満杯になるごと。どうだい。やるかい?」

 食材集めの依頼は昨日言ってるが、やるやらぬは聞いてない。なんで、正式に依頼を出したのだ。

「やるよ」

 と、直ぐに答えた。

「兄貴やフェリエを見て、自分たちがどれほど未熟か嫌になるくらいわかったよ。だから、この機会は逃したくない。おれたちは、一流になる!」

 その決意と判断にうんと頷いた。

「ふふ。お前らなら一流の冒険者になれるよ」

 ギルドからの正式な依頼を受けたのち、カラエルらに収納鞄と資金、装備を渡した。

「ボブラ村で待ってるよ」

「ああ。鞄を満杯にして行くから楽しみにしててくれ」

 そう言って旅立った、まだ無名の冒険者パーティーとフェリエを見送った。

 まあ、出発は明日だろうが、オレたち(プリッつあんとドレミはいますよー)はこれでさようならだ。

 バリアルの街の外へと出てしばらく進むと、メルヘン機が上空を通り過ぎ、大きく旋回をして地上へと着地した。

「お待たせしました」

 なんかもうメルヘン具合がなくなった……メルヘンA。進化がハンパねーな、畜生が……。

 複雑な感情を放り投げ、我が身とその他諸々も小さくする。

 メルヘンAの指示でメルヘン機に搭乗。発進オーライ。

「さあ、帰るか。愛しき故郷へ」
 
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