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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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476 強敵

「あで!」

「ん? あ、ワリー。気付かんかったわ」

 ドアを開けたら、ちょうどタケルがいて顔に当ててしまったようだ。

 魔力察知は得意な方だが、タケル、まったく魔力ねーから感じ取れんのよね。

「大丈夫か?」

「……は、はい。なんとか……」

 当たったデコをさするタケル。日々の努力がなければタケルは壁にめり込んでいただろうな。

 ぐぅ~!

 と、聞き慣れた虫の音が響いた。

「んじゃ、朝食にすっか。ん? 猫耳ねーちゃんはどーしたい?」

 いつも金魚のフンみたいにタケルの後ろにいる猫耳ねーちゃんがいなかった。

「タムニャならまだ寝てます。二日酔いが酷いみたいで」

「ああ、そー言や、猫耳ねーちゃんも沢山飲まされていたな。タケルは平気なのか? 結構飲んでたように見えたが?」

 食う飲むしか記憶がねーがよ。

「ん~。多分ですけど、酒もエネルギーとして持ってかれたんじゃないかと」

「なんかもう呪いの域に入ってんな、それ」

 酒が飲めねーオレには、ぜひとも欲しい機能だが、飲めるのに酔えねーってのもなんか寂しいもんがあるな。

「まあ、おれは便利でいいですよ。毒ですらエネルギーとして持っててくれますからね」

「さらりと恐ろしいこと言うな、お前は。つーか、毒なんていつ食ったんだよ」

 まあ、出会う前だろうが、いったいどんな食生活を送ってたんだ?

「嵐山の食糧がなくなってしばらくして、海で貝とか採って食べたんですが、あとで調べたら猛毒を持ってたらしくて命拾いしました」

「調べてわかんなら調べてから食えよ」

 海の生き物は、地上のよりえげつないものが多いんだからよ。オレだって先人の知恵やら毒味(犠牲になったゴブリン、その他諸々の命に合掌)をして食える食えないを確かめたんだからよ。

「ナハハハ。おれ、運だけはいいから」

 まったく、お前のその幸運にあやかりてーよ。

「まあイイや。食堂に行こうぜ」

「え、宿のメシを食うんですか?」

「まーな。せっかく宿に泊まったんだからどんなもんか知っておくのもイイだろしな」

 チャンスは活かせ。経験を蓄えろ。これ、全て生きる力となる、さ。

 なにかがっかりする顔をするタケル。どんだけサプルに胃をつかまれてんだよ、ったく。

「お前はサプルのを食えばイイさ。持ち込み可な宿らしいからな、ここって」

 フェリエはそう言ってたな。

 で、食堂に行って聞いてみたら、大丈夫なようだ。なんでも食文化の違いから食えるものや食えないものがあるとかで、持ち込み可にしてるそーだ。

「あ、ベーさま! いらっしゃいませ」

 食堂に来て席に座ると、注文を聞きにきた十三、四の女の子にそんなことを言われた。どちらさん?

「――あ、孤児院のか」

 名前は完全に出てきませんが、顔の記憶は一秒で出てきました。

「はい! お久しぶりですです」

「おう。久しぶり」

 満面の笑みに、こちらも笑顔で応えた。

「ここで働いてたんか。よく雇ってもらえたな?」

 孤児に後ろ楯はなく、伝もない。こんな上等な宿で働かしてもらうとかあり得ないだろう。

「はい。これもベーさまのお陰です。読み書き計算これができることで働かせてもらえてます」

 あーなるほど。読み書き計算、これができるかできないかで職の幅は決まってくる。商人の弟子すら何十年とかけて読み書き計算を覚えて行くのに、孤児院の子は読み書きができて、九九まで余裕。できるヤツは暗算で四桁まで計算できたほどだ。

「それはなにより。んじゃ、オススメを頼むわ。あ、オレの分だけでイイ。こっちは持ち込みだらよ」

「はい! 直ぐに持って参りますね!」

 元気に返事して厨房へと下がって行った。

「……ベーさんって、まんま主人公街道爆進してますよね……」

「は? なに意味わからんこと言ってんだ?」

 ジェネレーション突っ込みされてもわからんがな。

 収納鞄から料理を出してタケルを黙らした。もちろん、腹の虫の鳴き声を、だ。

「おや、豪勢な朝食だね」

 と、金髪コンビがやって来た。

「こっちだけな。オレはこの宿のを食うよ」

 その言い様に首を傾げたが、尋ねてくることはなかった。

「ねーちゃんたちは、今日も宿泊かい? ゆっくりしてるようだが?」

 冒険者ならもうギルドに行ってる時間だ。

「いや、今日の昼に出発さ」

 不必要に聞かない。必要なことは言わない。まったく、A級冒険者はスゲーもんだ。

「そうかい。なら、気を付けてな」

「…………」

 なぜかオレを見詰めてくる金髪アフロのねーちゃん。なんだい?

「いや、なんでもないよ。んじゃね」

「おう」

 先程と同じくあっさりとわかれた。

 運ばれてきた朝食を食いながら湧き出てくる感情を押し殺す。

 ヤベーヤベー。さすがA級冒険者。オレの違和感に気か付きやがったぜ。どんだけ勘がイイんだよ。油断ならねーぜ。

 前世の記憶と経験、今生での苦労。それがなけりゃ絶対に勘づかれてた。今のオレ、グッジョブ!

 なんて思いも心の奥でやり、顔には一切出さずに朝食をいただいた。

 その間、金髪アフロのねーちゃんの視線を感じたが、それも意識の外に追いやる。が、それも程度だと学んだので、タケルの食いっぷりに呆れたり、女の子の働きに目を向けたり、意味ありげに笑ったりと、オレの持てる力でこの場を乗り切った。

 金髪コンビが食堂から消え、それでも油断せず、充分な時間を置いてからテーブルに突っ伏した。

 ……マジ疲れたぜ……。

「ベーさん?」

 不思議そうな声を出すタケルになんでもねーと答え、収納鞄からコーヒーを出して一服。疲れきった精神を癒した。

「……まったく、どっちが千里眼だよ……」
フェリエの秘密(?)は書籍版の方に書いたんでした。と言うか、書籍化の話をいただいたときに考えたキャラなんですよね。ヒロイン増やすために。まあ、本編にはあまり出て来ないのでSSの方に出しちゃいましたがね。

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