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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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475 運命の重なり

「こりゃ気持ちいいもんだね~!」

 そんなことを言う金髪アフロのねーちゃんの声を聞きながら服を着た。

 シャワー室の陰から出ると、金髪ロングのご令嬢様は、なんか身をもじもじさせていた。

 なんか知らんが、無視が最良。関わるな、だ。

 気にしないようにして風の魔術で髪を乾かす。

「ん? お湯が止まったよ」

「それで終わりだよ。お代わりするかい?」

 オレ基準にしてお湯を入れてたからな、体のデカい金髪アフロのねーちゃんの体では足りないだろうよ。

「いや、いいよ。汗は流せたしね」

 じゃあ、タオルでもと言う前にシャワー室のドアが開かれた。

「あーすっきりした!」

 あまりのことに金髪アフロのねーちゃんを凝視してしまった。

 それは金髪アフロのねーちゃんの裸体に、じゃねー。いや、ある意味裸体を凝視してんだが、そんな艶や色香なんてもん、どこにもねー。あるのは純粋な怒りだった。

「お、子供には刺激が強かったね」

「……あ、ああ。さすがにビビったわ」

 こんな心臓止まるような衝撃、滅多にねー……と言えねー我が人生に一気に冷静になった。オレの人生、結構ハードだな、まったくよ。

「女にこう言うのは失礼だが、酷いな……」

 女だからこそ、酷いとしか言いようがねー。これは、女として残酷だろう……。

 金髪アフロのねーちゃんの体は、傷と火傷がほとんどだった。これで生きてられるのかと不思議に思うくらいである。

「まあ、生きてるだけ幸運さ」

 その笑顔に一片の曇なし。なにかを乗り越えた清々しさがあった。

「……生きて、生きて、生き抜いて、その絶望の果てに欲しいものを手に入れた顔だな……」

 いや、経験した訳じゃねーが、考えるな、感じろが働き、つい口から出てしまったのだ。

「……ふふ。あんたはどこの千里眼だよ?」

「ねーちゃんのうわべだけしか見れねー凡人だよ」

 金髪アフロのねーちゃんの冗談に、オレは苦笑で返した。

 収納鞄からタオルを出し、金髪アフロのねーちゃんに放り投げてやる。

「その傷は見せてイイヤツにだけ見せな。安売りすんじゃねーよ」

 それはこの金髪アフロのねーちゃんの人生であり誇りだ。軽々しく見せてイイもんじゃねー。

「ふふ。小さいクセに男前だね、あんたは。十五年早く生まれててくれたら惚れてるところだ」

「……それは残念だ……」

 皮肉なことに今の金髪アフロのねーちゃんがあるのは、その十五年があったから。そして、オレじゃねー誰か、もしくは環境があったから。オレが関われなかったのが残念だよ。まったく、ままならねーもんだな、人生ってのは……。

 それ以上、なにも言えず、金髪アフロのねーちゃんが服を着るまで背中を見せていた。

「ありがとさん。気持ちよかったよ」

「あいよ」

 そんなあっさりとした言葉を交わしてオレたちはわかれた。

 旅は一期一会であり運命が重なるときでもある、とかなんとか誰かが言ってたが、まあ、少なくてもイイ出会いだったと思っておこう。なんたって金髪アフロを見れたんだからな。

 シャワー室を元に戻し、水袋を収納鞄へと仕舞った。

 部屋に戻ると、フェリエはまだ夢の中。起きる気配はなかった。

「金髪アフロのねーちゃんみたいになるのは、まだまだ先だな」

 いや、比べるのはどっちにも失礼ってもんだが、この寝顔を見てると、つい心配になってくんだよな。

「さて。あのねーちゃんらの目的がお前と関係ねーことを願うよ」

 あの二人は帝国から来たのはまず間違いねー。A級の冒険者が国を跨ぐのは珍しいことではねーが、A級の冒険者がするような仕事など、そうあるもんじゃねーし、あったとしても大暴走や討伐、希少なものの採取とかだろう。だが、そう言う場合はその国のA級冒険者に依頼すると親父殿が言っていた。冒険者にも縄張りと言うか、ホームがあり、その活動地域を荒らすのは冒険者の礼儀にも流儀にも反するんだと。

 まあ、その辺はよー知らんが、A級の冒険者が動くからにはそれなり以上の難しさがあり、それだけの能力を求められているってことだ。

 金髪アフロのねーちゃんに言ったように、オレは千里眼じゃねーし、占い師でもねー。先のことなんてわかる訳ねーが、なぜか勘だけはイイと来てやがる。ここはその勘に、従いフェリエを会わせないようにするか。

 金髪コンビには悪いが、いや、真実はどうかはわからんが、オレが優先するのは大切な幼なじみの方だ。

 まだ未熟なフェリエに運命など近付けさせんよ。

 金髪アフロのねーちゃんとは運命とやらは重ならなかったが、フェリエとは重なってしまった。ならば、不幸になどさせん。フェリエはもうオレの家族。守るべき存在なんだからな。

「今はゆっくり眠れ」

 辛そうな顔で眠るフェリエの金髪を撫でてやり、そろそろ起きてくるだろう食いしん坊のために部屋を出た。
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