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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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474 要注意!

 バシ!

 時速にしたら軽く百――いや、二百キロ近くは出ているだろう、なんとも凶悪な球を投げてきやがる。

 まあ、魔力の強さを感じるところからして体を強化しているんだろうが、鉄球をここまで投げられるとは素の肉体もスゲーようだ。

 それに、金髪アフロのねーちゃん、まだ力を隠している。多分だが、六割の力でやっていると見た。

 オレも本気を出したら竜すら落とすから、力の加減は体が動かせると努力してきたから、相手の加減もなんとなくわかる。

 ……この金髪アフロのねーちゃん、下手したら親父殿より強いかもしれん……。

 いや、技術や駆け引きは親父殿が勝るだろうが、地力は金髪アフロのねーちゃんの方が上だろうよ。

 なんてことを考えながらもキャッチボールを楽しんだ。

 ちょっとずつ威力を増して行き、オレが五割、金髪アフロのねーちゃんが七割になった頃、ふいに鉄球が失速してオレらの間に落ちた。

 なんだ、いったい?

 明らかに意図的な動きだったが、魔力的感知はなかった。なにが起こったんだ?

「帰ってこないと思ったら、なに恐ろしいことやっているのよ、あなたは……」

 呆れた声に振り向くと、金髪ロングのエルフのねーちゃん……いや、姉御――殺気! いえ、ご令嬢がおりました。

 高鳴る心臓を落ち着かせ、こちらへと歩いてくる金髪ロングのご令嬢様を観察する。

 エルフとは縁があるので驚きはねーが、輝くような金髪のエルフを見るのはこれが初めて。まるで漫画の中から出てきたような秀麗さであった。

 こちらを一瞬見たが、ただそれだけ。まったく興味なしって態度である。が、エルフとは縁がある分、エルフのやりようはなんとなくわかる。試しに結界を張ったら案の定、精霊魔術が弾かれた。

「なるほど、神光の氏族か。どうりで魔力を感じない訳だ」

 その姿を表すかのように光の精霊を使役することに長けたエルフで、光の賢者とも言われている氏族である。

 オレの呟きが聞こえたか、光の精霊魔術を弾かれたことに驚いたかはわからんが、今度はあり得ない顔でこちらを見た。

「ふふ。エルフとしてはまだまだ若いようだ」

 年齢的には――ハイ、なんでもありません。ゴホン。まあ、あれです。賢者殿に比べたら月とスッポン。大学教授と幼稚園児の差くらいある感じだな。

「……なに者なの……?」

「初めまして。オレはヴィベルファクフィニー。言い難いときはベーで結構。元A級冒険者、ザンバリーの義理の息子でただの村人さ。神光のお嬢さん」

 オレの挑発にムッとしたものの、それ以上の失態は見せねーようで、ちょっとこちらに体を向けた。

「初めまして。わたしは、神光の氏族、ハルハントの子、ラントリアの巫女にして光の娘、サンリーよ」

「ついでにあたしも名乗っておくよ。A級冒険者、月と湖のアフロディータ。よろしく」

 アフロのアフロディータ。ぶふっ。超ウケるんですけど。なんて笑撃を必死で堪えた。

「……これはご丁寧に」

 根性でそれだけ口にする。それ以上は無理っす。口を開いたら笑うぞ、絶対。

 しばし、金髪ロングのご令嬢様と睨み合い(こっちは笑いを堪えのに必死なため睨んでるように見えると思います)が続く。

「……村人ね。随分と規格外じゃない」

 しびれを切らしたのか、金髪ロングのご令嬢様が口を開いた。

「まあ、そんなヤツもいるよ。ここにもな」

 そんなヤツになにか思い入れがあるようで、さりげなくオレのフォローに入る金髪アフロのねーちゃん。

 そんな金髪アフロのねーちゃんの思いやりにやっと笑撃がおさまり、なんとか頭が働き出した。

「世の中不思議がいっぱい謎いっぱい。気になるんなら神にでも問うんだな。まあ、オレは気にせんから問いたいとも思わんがな」

 いやまあ、オレが望んだ結果なんですけどね。

「さて。イイ汗かけたし、気分も爽快。ありがとな、ねーちゃん」

「なに、礼を言うのはこっちさ。久々に張り合えるヤツに会えたんだからね。もっとも、手加減されてたようだけど」

 さすがだな。そちらもわかっていたか。

「ふふ。朝の軽い慣らしにはちょうどイイだろう」

 本気でやってみてーが、それはさすがにアウトだ。いくら金髪アフロのねーちゃんでもオレの本気は死ぬわ。

「そうだね。朝から疲れることはしたくないか」

「そーゆーこった」

 まあ、それでも汗をかいちまったのですっきりしてーな。

「しゃーね。創るか」

 小さくなってプリッスル(プリッつあんキャッスルの略)の風呂に行くのも面倒。創った方が早いわ。

 地面を足で叩き、シャワー室を創り出した。

 収納鞄から水袋(中身はお湯ですけどね)を出してシャワー室の上にセット。空の水袋を下にセット。ハイ、完成。

「な、なんだいこれ?」

「シャワー室だよ。まあ、体を洗うもんだな」

 中へと入り、服をパッパと抜いて外にポイ。バルブを開いて体を洗った。

 石鹸シャンプーを使わなくてもお湯だけで充分気持ちがイイ~。

 ふんふふ~んと、お湯がなくなるまで体を洗い、すっきりさっぱりしてドアを開け外に出た。ちなみにちゃんと結界で大事なところは隠してます。

「ん? なんだい、ねーちゃんたちまだいたのかい?」

 出ると、なにやら口を開けた金髪コンビがそこにいた。

「……な、なんだい、こりゃ……?」

「だから体を洗うもんだよ。なんなら入ってみるかい?」

 と誘ってみたら金髪アフロのねーちゃんが速攻で頷き、パッパと服を脱ぎ、肌着姿になった。

「アフロ!?」

 略称がアフロって、ぷぷっ。なんて笑う余裕もねー。いくらオレがガキでもこんな場所で肌着姿になるとかびっくりだわ!

「で、どうするんだい?」

 ウブでもなけりゃ未知でもねーので直ぐに我を返し、ドアを閉めた。

「ったく。ワイルドなねーちゃんだ。ちょっと待ってろ」

 シャワー室の上の水袋を交換する。一人用タイプなんだよ、これ。

「中に丸いもんがあんだろう。それを左に回してみな」

「ん? ああ、これかい。――おおっ、湯が出たよ!? こりゃ気持ちいいもんだ」

 まったく、しょうがねーねーちゃんだ。

 肩を竦め、収納鞄からタオルを出して……後ろを振り返る。

「別に見られても困らねーが、ねーちゃんの名誉のために後ろを向いててくんねーかな」

 この状況、困るのは金髪ロングのご令嬢様の方だよ。

「わ、わかってるわよ!」

 食い気味で見ていた金髪ロングのご令嬢様が慌てて背を向けた。顔を真っ赤にさせて。

 ……金髪ロングのご令嬢様、あんた、隊商のねーちゃんと同類じゃないよね……?  

 なんか怖くなり、シャワー室の陰に隠れて服を着た。

 金髪ロングのご令嬢様、要注意!
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