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村人転生~最強のスローライフ 作者:タカハシあん
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472 反論できぬ

久しぶりに十二時間以上寝てしまった……。
 その後、バリアルの街の騎士団がやって来て、オレらに剣を向けたが、大老どの名と紋章で黙らせた。

「不満があるならいつでもかかってくるがよい。ただし、国家反逆罪に等しい罪が貴様らに与えられることを覚悟せよ」

 これは脅しであり、大老どのに権限はないが、やってしまったあとに困るのはバリアル領主。それが貴族社会である。

「…………」

 悔しそうにオレを見る騎士団。どうやら駄肉の子飼のよーだ。

「よいか。このことは不問とするが、大公様にはお知らせする。そして、このことは宰相様の耳にも届くだろう。しかと領主殿に伝えるがよい!」

 傲慢に言い放ち、駄肉どもを蹴り飛ばしてやる。

「よいか。貴族ならば貴族らしく振る舞え。貴様らのようなクズがおるから民は苦しむのだ! 権力には義務がつきまとう。貴様がやっていることはたんなる子供の我が儘だ!」

 貴族の恥め! と吐き捨て、席へと座り直した。

 フェリエは不思議そうな顔をしたが、目で座れと伝えると、素直に席へとついた。

 騎士団が駄肉どもを片付けるのを横目に、夕食を続けた。

 やがて騎士団が立ち去り、いつもの喧騒が……と思ったら、なにかの煮込み料理がテーブルに置かれた。

 ん? と顔を上げたら厳ついおっちゃんがニッコリ笑っていた。

「あのバカ息子にはほとほと参ってたんだ。ありがとよ!」

「気にしなくてイイよ。落ちているゴミを片付けただけ。オレの気分でやっとこさ」

 苦笑いしながら肩を竦めた。

「アハハ! あのバカ息子をゴミときたか! あんた――いや、貴方様はさぞかし身分のある方のようだ」

「今のオレは村人。それ以上でもなけりゃそれ以下でもねー。おっちゃんらとなんら変わりはねーただの人さ」

 オレの言葉にキョトンとなるが、直ぐに豪快に笑い出した。

「おれらと変わりねーか。いや、小さいのに器がデカいぜ!」

 バシバシとオレの背中を叩くおっちゃん。

 痛くはねーが、もうちょっと手加減してくれや。普通の十一才児だったら怪我してるぞ。

「はいよ、これも食べておくれ!」

 と、なにかの肉の串焼きが置かれた。

「これもだ!」

「食べてくれ!」

「スッかとしたぜ、これも食ってくれ!」

 次々とテーブルに置かれる料理の品数。いったいなにが起こってんだ?

 説明を求めるべくおっちゃんを見る。

「遠慮なく食ってくれ。あんた、あれだろう。街で大量にものを買って行くガキ――いや、子供って」

「あ、ああ。大量に買ってはいるが、それがどうかしたんかい?」

 それがどうしたって言うだ。

「あんたが買ってた店は大人気になるって評判でな、街じゃちょっとした噂よ!」

「はぁ? なんだいそりゃ?」

 なんでオレが買うことで大人気になんだよ。意味わからんわ。

「その店にあるものを全て買うばかりか、売値以上の金を置いて行く。そして、次も来て全てを買って行く。そんなことしてたら噂になるのは当然だし、なぜそこばかりと疑問に思う。で、その店を利用したら店主の人柄に気が付き、商品の質や値段の安さに驚く。そうとわかれば他の店なんて利用できねーさ。もう大繁盛ましっぐらよ」

 そんな意図はなかったが、確かにイイ店と思ったら馴染みにしてたな。でも、露天を利用してる方が多かったがな。

「露天市場でもあんたは有名だぜ。なんたって余り物、売れない物を相場より高く買って行くんだからな。それで生きてる者にしたら上客よ」

 まあ、確かに露天の品なんて半分も売れたら御の字。あとは捨てるしかねーもんな。

「いつしかあんたが現れると商売が繁盛するって噂が広まり、あんたを福の神なんて言うヤツまでいる。そして、これだ。あんたが現れたらあのバカ息子が懲らしめた。このことは一気に街に広がるぜ」

 まさかそんな噂になっているとは知らなんだ。だが、これはチャンスと見るべきだろう。

「なら、せいぜいあの駄肉の醜態を広めてくれや。二度と街に出てこれんくらいにな」

 ニヤリと笑ってみせると、おっちゃんはびっくりしたが、直ぐに豪快に笑った。

「おう! 任せておけ。皆もしっかり広めるんだぜ!」

 おっちゃんの言葉に観衆が歓声を上げた。

 ふふ。これで民衆の知るところになり、支持は得たことになる。もはや、これを覆すことは不可能。そして、オレらの正当性も得られた。例え大老どの以上の権力者が出て来てもなかったことにはできない。まあ、させもせんがな。大老どのが。

 収納鞄から酒樽を出し、プリッつあん(あ、プリッつあんらを忘れてきた)の力でデカくした。

「これはオレからの奢りだ。そして、屋台のものは全てオレが金貨一枚で買い占めた。今夜は宴だ!」

 鼓膜が裂けんばかりの歓声が起こった。

 収納鞄から木杯をある限り出し、テーブルへと放った。

「よし皆、ありがたくいだこうぜ!」

 場をおっちゃんに任せ、オレらはちょっと離れた。

「ちょっとベー。これはどう言うことなの?」

 フェリエが怒ったように尋ねてきた。

「民衆もまた力。味方にしとけだ」

 権力上等な世界で民衆の声など小さいものだが、貴族社会があるように民衆にも社会がある。貴族には貴族の、民衆には民衆の対応があり、民衆をおだて、囃すのには祭や宴が一番効率がよく、派手にした方が街の隅々まで広がるもんなんだよ。

「……ほんと、あんたって希代の詐欺師よね……」

 なんて説明したらそんなこと言われた。

 でも、反論できぬでござる!
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